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本編 浮島編
神々が住まう楽園ですと?
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「ちょちょちょっ!? おいロック! なんだその話は!? 今初めて聞いたぞ!」
ロックのポツリと言った一言に、前のめりで問い詰める鷹の王。
「ちょっ父上っ鷹の王! おっ落ち着いて下さい」
「これが落ち着いていられるか! お前は神々が住まう楽園に、一人で行って来たと言うのか!? なぜ私を誘わん? そんなのズルすぎるだろうが!」
鷹の王はロックの胸ぐらを掴み、激しく揺すっている。
余りの激しさに、ロックは気を失いそうな勢いだ。
「ちょっ!? 鷹の王? 落ち着いてくれ! ロックがこのままだと気絶するぞ」
「大賢者様止めないで下さい! 私だって行きたいのにっ……それをこいつはっ」
鷹の王は涙目で訴えてくる。そんなに異空間に行きたいのか?
「分かったから! 鷹の王も来たかったらいつでも楽園に遊びに来てくれていいから」
「えっ?」
「ぐはぁっはぁっ」
俺がそう言うと、瞳をキラキラと輝かせやっとロックを離す鷹の王。
ロックを見ると、首を擦りながら咳が止まらない。とりあえず気絶は避ける事が出来たか。
「神の御使い大賢者様、私も神の楽園に行っても良いと?」
「ああ」
ロックもだけどな? 鷹の王よ、神の御使い大賢者様ってなんだ? そんな二つ名要らないからな。
「それでしたら今すぐに! 是非に是非に! 私を神々の住まう楽園に連れて行ってください」
鷹の王が地面に頭を擦り付け、異空間に連れて行ってくれと懇願してくる。
鳥人王国の王が、俺の足下にすがりつく姿を、他の鳥人たちに見られたら、更なる誤解を生みかねない。今すぐにでも止めてもらわないと!
「分かったから! 連れて行くから普通にしてくれ」
「はい」
俺が必死にそう言うと、鷹の王はすっくと立ち上がったかと思いきや「では行きましょうか大賢者様」とニコニコ微笑み案内しろと言わんばかりに、後ろに立つのだった。
はいはい。分かりましたよ、連れて行ったら良いんだろ。
★★★
「神々の住まう場所はこんなにも美しいのか……」
「そうなのです。私も初めて訪れた時は感動しましたから」
鷹の王が初めて訪れる異空間に興奮が隠せない。それを見たロックがうんうん、自分もそうでした。と同調している。
しかしそれが気に食わないのか、鷹の王の顔が少し歪むと。
「むっ? ロックよ? 少し先に行ったと思って……私にマウントをとるのか」
「えっ!? ちがっ違いますよ。私は神々の楽園の素晴らしさを、父上と共感したかっただけですよ」
「そっそうか……羨ましかったばかりに卑屈になってしまった。情けない王ですまぬ」
「いえっ」
なんなんだ……俺は何を見せられているんだこれは。まぁ喜んでくれているのは嬉しいけどな。
「ティーゴにロック! またどうしたんだ?」
「俺とロックに気づいた獣人のアレクが、手を振りながら近付いて来た」
ロックはアレクに気付いて、走り寄り握手をしている。
そんな二人の様子を鷹の王は目を見開いて驚いている。
そうか……獣人と鳥人が仲良くしている姿が信じられないんだろうな。黙って様子を見ていたら、ロックが鷹の王を呼びに行き、三人で何やら話している。
何を話しているのかは距離がはなれている俺には分からないが、三人は泣きながら抱き合い、さらなる和解をしたように思う。
獣人達と鳥人達の拗れた仲違いの糸が紐解かれ、今一本の太い絆の糸として再現された様に感じた。勝手な妄想だけどな。
三人は笑いあって俺の所に歩いて来た。そして鷹の王が「私たち鳥人を楽園に住まわせて下さい」と言ってきた。
「ティーゴ俺からもお願いだ! 俺たち獣人と鳥人が再び一緒に暮らせるチャンスを貰えないだろうか?」
アレクが頭を下げる。
「「「お願いします」」」
三人が頭を下げお願いしてくるんだが、異空間に住むのはロックだけじゃなかったのか? 鳥人族全員が住むって事だったのか。
って事は浮島フロッティ事異空間に引越ししてくるって事か?
あんな大きな島をどうやって異空間に入れるんだ? 明らかに扉の大きさより浮島が大きいぞ?
ロックのポツリと言った一言に、前のめりで問い詰める鷹の王。
「ちょっ父上っ鷹の王! おっ落ち着いて下さい」
「これが落ち着いていられるか! お前は神々が住まう楽園に、一人で行って来たと言うのか!? なぜ私を誘わん? そんなのズルすぎるだろうが!」
鷹の王はロックの胸ぐらを掴み、激しく揺すっている。
余りの激しさに、ロックは気を失いそうな勢いだ。
「ちょっ!? 鷹の王? 落ち着いてくれ! ロックがこのままだと気絶するぞ」
「大賢者様止めないで下さい! 私だって行きたいのにっ……それをこいつはっ」
鷹の王は涙目で訴えてくる。そんなに異空間に行きたいのか?
「分かったから! 鷹の王も来たかったらいつでも楽園に遊びに来てくれていいから」
「えっ?」
「ぐはぁっはぁっ」
俺がそう言うと、瞳をキラキラと輝かせやっとロックを離す鷹の王。
ロックを見ると、首を擦りながら咳が止まらない。とりあえず気絶は避ける事が出来たか。
「神の御使い大賢者様、私も神の楽園に行っても良いと?」
「ああ」
ロックもだけどな? 鷹の王よ、神の御使い大賢者様ってなんだ? そんな二つ名要らないからな。
「それでしたら今すぐに! 是非に是非に! 私を神々の住まう楽園に連れて行ってください」
鷹の王が地面に頭を擦り付け、異空間に連れて行ってくれと懇願してくる。
鳥人王国の王が、俺の足下にすがりつく姿を、他の鳥人たちに見られたら、更なる誤解を生みかねない。今すぐにでも止めてもらわないと!
「分かったから! 連れて行くから普通にしてくれ」
「はい」
俺が必死にそう言うと、鷹の王はすっくと立ち上がったかと思いきや「では行きましょうか大賢者様」とニコニコ微笑み案内しろと言わんばかりに、後ろに立つのだった。
はいはい。分かりましたよ、連れて行ったら良いんだろ。
★★★
「神々の住まう場所はこんなにも美しいのか……」
「そうなのです。私も初めて訪れた時は感動しましたから」
鷹の王が初めて訪れる異空間に興奮が隠せない。それを見たロックがうんうん、自分もそうでした。と同調している。
しかしそれが気に食わないのか、鷹の王の顔が少し歪むと。
「むっ? ロックよ? 少し先に行ったと思って……私にマウントをとるのか」
「えっ!? ちがっ違いますよ。私は神々の楽園の素晴らしさを、父上と共感したかっただけですよ」
「そっそうか……羨ましかったばかりに卑屈になってしまった。情けない王ですまぬ」
「いえっ」
なんなんだ……俺は何を見せられているんだこれは。まぁ喜んでくれているのは嬉しいけどな。
「ティーゴにロック! またどうしたんだ?」
「俺とロックに気づいた獣人のアレクが、手を振りながら近付いて来た」
ロックはアレクに気付いて、走り寄り握手をしている。
そんな二人の様子を鷹の王は目を見開いて驚いている。
そうか……獣人と鳥人が仲良くしている姿が信じられないんだろうな。黙って様子を見ていたら、ロックが鷹の王を呼びに行き、三人で何やら話している。
何を話しているのかは距離がはなれている俺には分からないが、三人は泣きながら抱き合い、さらなる和解をしたように思う。
獣人達と鳥人達の拗れた仲違いの糸が紐解かれ、今一本の太い絆の糸として再現された様に感じた。勝手な妄想だけどな。
三人は笑いあって俺の所に歩いて来た。そして鷹の王が「私たち鳥人を楽園に住まわせて下さい」と言ってきた。
「ティーゴ俺からもお願いだ! 俺たち獣人と鳥人が再び一緒に暮らせるチャンスを貰えないだろうか?」
アレクが頭を下げる。
「「「お願いします」」」
三人が頭を下げお願いしてくるんだが、異空間に住むのはロックだけじゃなかったのか? 鳥人族全員が住むって事だったのか。
って事は浮島フロッティ事異空間に引越ししてくるって事か?
あんな大きな島をどうやって異空間に入れるんだ? 明らかに扉の大きさより浮島が大きいぞ?
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