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本編 浮島編
リヴァイアサン
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『アガガガガ…………ッ』
リヴァイアサンは奇声を上げ、クネクネと変な動きで左右に揺れている。
……何がしたいんだ?
「あいつ変じゃないか? 戦う様子もないしさ?」
「確かにのう……さっきの威勢も無くなったし」
スバルの背中からパールと様子を伺っていると、痺れを切らした銀太が『主~こやつ我がやっつけていいのか?』と言い出した。
『む? なら俺の出番だぜ? だってよー、俺がダンジョンマスターだぜ? それにさ、銀太はこの海じゃ身動きとれないだろ?』
『ぐぬぬ……確かに』
なら俺がと、スバルもやる気満々。今にも魔法で攻撃しそうだ。
コイツがダンジョンマスターな訳だし、変な奴だけど倒さないと先に進まないよな?
どうしようかとリヴァイアサンを見ると……今度は泣いている?
もしや俺たちが怖いのか? だからあんな変な行動をとっていたのか?
リヴァイアサンの対応に困惑していたら、大きな口が開く。
『カスパール様!』
「「えっ?」」
俺とパールは思わず顔を見合わせる。
クネクネの変な動きが止まり、次はなんで泣いているんだと思っていたら、パールのことをカスパール様と言った。
確かに今の姿はカスパール様なんだが、なんでリヴァイアサンがカスパール様のことを知ってるんだ?
『カスパール様! 私です、覚えていませんか? トカですよ! トカゲの【トカ】』
「トカじゃと……?」
『そうですよー! あああっ会いたがっだぁぁぁぁっ』
リヴァイアサンは大粒の涙をぽろぽろと流しながら、俺たちに近寄ってきた。
「パール知り合いか?」
「ううむ? ワシ……リヴァイアサンに知り合いはおらんのじゃが……?」
パールは顎髭を撫でながら小首をかしげる。
「でもさ? トカって名前に聞き覚えはないのか?」
「トカ……ふうむ? トカゲ……? トカ??」
『ええ……っ』
リヴァイアサンはパールの様子を見て自分を覚えてないことに気付いたのだろう。
思い出してもらおうと必死にアピールをしだす。
『ほら? 水色の小さなトカゲを助けてくれたじゃないですか! それが私ですよ! ね? ね?』
「水色? はて……? あっ!」
パールは何かを思い出したのか両手をポンッと叩く。
「わかったぞ! 其方は尻尾がなくなっておったトカゲか!」
『そう! そうです! カスパール様』
「パール思い出したのか?」
「うむ……こやつはの? 倭の国にある大きな滝【神通の滝】で倒れておったんじゃよ。それをたまたまワシが見つけての? 回復魔法をかけて助けてやったんじゃ」
『そうなのです! そうなのです! カスパール様は命の恩人なのです』
リヴァイアサンはうれしくて堪らないっと、頭を何度も上下に動かす。その度に俺たちに涙の粒が襲い掛かる。
「リヴァイアサン……ちょっと落ち着いてくれないか? さっきからお前の涙が飛んできて」
『ああっ! すみません。興奮のあまり』
リヴァイアサンはそう話すと、俺の腕くらいの長さの龍の姿に変身した。
『これならご迷惑をかけないかと』
それと同時にさっきまで海だった地面が砂地に変わっている。あの海はリヴァイアサンが作っていたのか? だとしたらとんでもないぞ。
地面ができたので空中ではなく地上におり、リヴァイアサンの話を聞くことにした。
リヴァイアサンは奇声を上げ、クネクネと変な動きで左右に揺れている。
……何がしたいんだ?
「あいつ変じゃないか? 戦う様子もないしさ?」
「確かにのう……さっきの威勢も無くなったし」
スバルの背中からパールと様子を伺っていると、痺れを切らした銀太が『主~こやつ我がやっつけていいのか?』と言い出した。
『む? なら俺の出番だぜ? だってよー、俺がダンジョンマスターだぜ? それにさ、銀太はこの海じゃ身動きとれないだろ?』
『ぐぬぬ……確かに』
なら俺がと、スバルもやる気満々。今にも魔法で攻撃しそうだ。
コイツがダンジョンマスターな訳だし、変な奴だけど倒さないと先に進まないよな?
どうしようかとリヴァイアサンを見ると……今度は泣いている?
もしや俺たちが怖いのか? だからあんな変な行動をとっていたのか?
リヴァイアサンの対応に困惑していたら、大きな口が開く。
『カスパール様!』
「「えっ?」」
俺とパールは思わず顔を見合わせる。
クネクネの変な動きが止まり、次はなんで泣いているんだと思っていたら、パールのことをカスパール様と言った。
確かに今の姿はカスパール様なんだが、なんでリヴァイアサンがカスパール様のことを知ってるんだ?
『カスパール様! 私です、覚えていませんか? トカですよ! トカゲの【トカ】』
「トカじゃと……?」
『そうですよー! あああっ会いたがっだぁぁぁぁっ』
リヴァイアサンは大粒の涙をぽろぽろと流しながら、俺たちに近寄ってきた。
「パール知り合いか?」
「ううむ? ワシ……リヴァイアサンに知り合いはおらんのじゃが……?」
パールは顎髭を撫でながら小首をかしげる。
「でもさ? トカって名前に聞き覚えはないのか?」
「トカ……ふうむ? トカゲ……? トカ??」
『ええ……っ』
リヴァイアサンはパールの様子を見て自分を覚えてないことに気付いたのだろう。
思い出してもらおうと必死にアピールをしだす。
『ほら? 水色の小さなトカゲを助けてくれたじゃないですか! それが私ですよ! ね? ね?』
「水色? はて……? あっ!」
パールは何かを思い出したのか両手をポンッと叩く。
「わかったぞ! 其方は尻尾がなくなっておったトカゲか!」
『そう! そうです! カスパール様』
「パール思い出したのか?」
「うむ……こやつはの? 倭の国にある大きな滝【神通の滝】で倒れておったんじゃよ。それをたまたまワシが見つけての? 回復魔法をかけて助けてやったんじゃ」
『そうなのです! そうなのです! カスパール様は命の恩人なのです』
リヴァイアサンはうれしくて堪らないっと、頭を何度も上下に動かす。その度に俺たちに涙の粒が襲い掛かる。
「リヴァイアサン……ちょっと落ち着いてくれないか? さっきからお前の涙が飛んできて」
『ああっ! すみません。興奮のあまり』
リヴァイアサンはそう話すと、俺の腕くらいの長さの龍の姿に変身した。
『これならご迷惑をかけないかと』
それと同時にさっきまで海だった地面が砂地に変わっている。あの海はリヴァイアサンが作っていたのか? だとしたらとんでもないぞ。
地面ができたので空中ではなく地上におり、リヴァイアサンの話を聞くことにした。
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