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3巻
3-2
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2 肉祭り
冒険者ギルドを後にし……俺達は街を散策しながら、道具屋を探している。
鉱山の街って言うくらいだから、鉄商品の種類も豊富にありそうだなと、思っているのだ。
使い獣が増えて大所帯になってきたし、一度に沢山焼ける焼き台が欲しい……理想のものがあると良いなぁ。
『ティーゴ! アレじゃない? 金物屋って書いてあるから、鉄商品とかの専門店かも?』
「金物屋なんて初めて聞いたぞ?」
三号に言われて外の窓ガラスから店内を見てみると、色々な鉄商品が並んでいるのが分かる。
「おおっ確かにここだな。よし入ってみるか」
カラン♪ と音を鳴らして扉を開ける。
出迎えてくれたのは、俺と同い年くらいの空色の髪をした少女だった。
「いらっしゃい! って⁉ フェフェ……フェンリル‼ あわわわ……」
やばい! ビックリして少女が今にも気絶しそうだ。これはまずいぞ。
「このフェンリルは俺の使い獣なので何もしません。可愛いだけです」
慌てて俺は銀太をモフモフして見せる。
モフモフ……もふもふ……モフモフ。
「ゴクリッ……もふもふ……もふもふ」
ん? やり過ぎたか? 少女の目がウットリと銀太を見つめている。
「すみません? コイツが大丈夫なの……分かってもらえましたか?」
「あっ……⁉ ゴッゴメンねっ! 最高の毛並みね。私はチャイ! この店の店主よ……って言っても、従業員は私一人だけどね?」
「こんにちは! ティーゴです」
金物屋さんをこんな少女が一人で経営しているのか。
「で? ウチの店でどんな商品が欲しいの?」
「外で使える大きな焼き台が欲しくて」
「大きな焼き台ね。ふむ……それは肉とかを焼くのよね?」
「そうです! 肉を焼く用です」
「……うーん。ちょっと待ってて?」
そう言うと奥の部屋に入って行った。
俺が考えているような焼き台があったらいいなぁ。
「お待たせ! ウチにある中で一番大きな焼き台よ!」
持って来てくれた焼き台は、横幅六十センチ、縦幅三十センチ、高さ一メートル二十センチの、よく見る焼き台よりは一回り大きいサイズだ。
「どーだい? こんな大きな焼き台は何処探しても置いてないよ?」
確かに! 今まで見た中じゃ一番大きい。でも俺が欲しかった焼き台は、これ四つ分くらいの大きさの焼き台なんだ。
「どーしたの?」
「折角出してもらって申し訳ないんだが……俺が欲しかった焼き台は、これの四つ分くらいのだったんだ」
「この焼き台四つ分って! そんなに大きなの、持ち運びに困るでしょ?」
店主のチャイさんが目をまん丸にして驚いている。
「それなら大丈夫! 俺はアイテムボックスのスキル持ちなんだ」
「アイテムボックス! 超レアスキルじゃん、羨ましい……あっ! そうだ、持ち運びに困らないんなら、これと同じ焼き台四つを、溶接でくっ付けてあげるよ!」
「いいんですか?」
何てありがたい提案だ!
「こんなのチャチャッと仕上げてあげる! じゃあ裏の作業場について来て?」
「はいっ!」
店の裏側は大きな鉄材や作品が無造作に並べてあった。
まぁ……色々な物がゴチャゴチャしている。
「適当な場所に座って待ってて? 私……片付けが苦手でね」
チャイさんはペロっと舌を出し、照れ臭そうに笑う。
『主~良かったのう。欲しい物が手に入って!』
『そうなの! ティーゴが嬉しそうだとティアも嬉しいの!』
銀太とティアは嬉しいこと言ってくれるなぁ。可愛い奴め。
『ティーゴの旦那? 顔がニヤニヤしてるぜ?』
嬉しくて顔に出てたのか!
スバルはすぐそういうことに目敏く気付くからな。
「いーだろ? もうっ!」
「お待たせ! 完成だよ。どう?」
チャイさんが出来上がった焼き台を見せてくれる。
そう! これだよこれ、俺が求めてたのは。
「ありがとう最高だ!」
「ふふっ良かった。代金は金貨四枚だよ!」
「ありがとう! じゃあこれを」
金貨四枚を渡した。
「毎度あり! また買いに来てね!」
俺はほくほくで金物屋を後にした。
早速この焼き台を使いたい! でも街中で使えないしなぁ。
何処かいい場所ないかな?
よし……いっそこの街を出て森で肉祭りをしよう! 森なら誰にも迷惑かけないし。
「森に出てこの焼き台を使ってみたいんだけど、いいかな?」
『我は良いのだ!』
『森ってことは来た道を戻るのか?』
銀太とスバルに言われて、俺は頷く。
「そうしようかなと……」
すると、今度はパールが話に入ってきた。
「それなら……街の北の方にある森に行くのはどうじゃ? 北の森は、この街の者達が薬草などを採取する用に門が開いていて。門番は居るが検問などはなかったはずじゃ」
「なるほど!」
「まぁ三百年前の記憶じゃが……」
「え? なんか言った?」
「んん? 何でもないのじゃ」
「ところでさぁ? 何でそんなこと知ってるんだ? パール?」
パールはこの街に初めて来たんじゃないのか? まるで過去に来たことがあるかのようだ。
「えっ! あっ……ワシ、猫じゃった。じゃなくて……んんとじゃ?」
パールの様子が少しおかしい。動揺しているように見える。何でだ? 理由が分からない。
色々なことを思い出しているんだろうか?
「分かったぞ! …………もしかしてお前は、昔この街に住んでいたのか?」
「住んで? ワシが……? そんなわっいやっ……そうじゃ! 住んでたんじゃ」
「なるほどな、だからセロデバスコに詳しいのか。じゃあパール? 北の門への道を教えてくれ!」
「分かったのじゃ!」
ほんと不思議な猫だよな。
パールの後をみんなでついて行く。
「ここを曲がると……門が見えるはず、おおっ! 変わっておらん」
パールの言った通り門があり、門番は不在で、小さな門扉の奥には木々が生い茂っていた。
「凄い、門を通ったらすぐ森じゃないか!」
『街の中に森があるみたいだな』
『本当っすねー森と街が合体してる』
一号と二号が不思議そうに見ている。その気持ち、同感だ。
「行こうか! 森に行ったら肉祭りだ!」
『『『『やったー! 肉祭り』』』』
「楽しみじゃな!」
「ここら辺でいいか!」
俺は焼き台を出して、肉をどんどん焼いていく。今日はシンプルにこの焼き台で肉を焼き、特製タレにつけて食べる。シンプルイズベスト!
広い焼き台の上に、ワイバーンにオークジェネラル、さらにはロックバードの肉を順に置き、焼いていく。大きな焼き台の上には、芳ばしい香りを放つ全ての肉が並ぶ。
みんなは早速口に入れて、顔を綻ばせた。
『美味いのだ! このタレが最高に』
『はぁぁ……ティアは幸せなの!』
『ロックバードを焼いてこの甘辛タレをつけて食べるの、最高に美味しい!』
『オークジェネラルはこっちのあっさりタレだな!』
「肉を焼いただけじゃのに美味い……ワシ……ワシ……最高じゃ! 美味いのじゃー! 次はこっちのタレで食べてみるのじゃ!」
銀太とパールの尻尾がずっとブンブン回っている……ククッ。
美味いんだよな、分かる!
『はあっ……美味いっすねー、オークジェネラルがサッパリと何枚でも食べれるっすよ』
一号、二号、三号達は人化してるから、表情が分かりやすいな。
「んっ? あれっティア、何で人化してるんだ!」
気づけば、ティアはスッポンポンで肉を必死に頬張っている。
『だってこの姿の方が、お肉を口にいっぱい入れて食べれるの! ティアは幸せなの!』
あーあ……口の周りがタレでベッタベタじゃないか。
「なぁ三号? 何でもいいからティアが着れる服ないか?」
『う~ん。何でもいいの? じゃあ……私のシャツを羽織っとく?』
三号がティアに服を着せてくれた。
さすがに真っ裸で肉食べさせる訳にはいかないからな。近いうちにティアの洋服を買いに行こう。
ふと視界の隅で何かが動いたので視線を向ければ、茂みの一箇所が揺れている。何だ? 銀太達が居るのに近付いてくる強者が居るのか?
茂みを意識して見ていると、小さな足が見える。
あれは人族の子供か? こんな場所に子供? 俺は気になり、近寄ってみる。
茂みを搔き分けると、やはり小さな子供が二人震えながら立っていた。とても幼い女の子と男の子が一人ずつ。しまった、急に近寄って驚かせちゃったかな?
「ええと……怖がらせるつもりはなくてだな? そのっ……こんな所でどうしたんだ?」
「ごめしゃい……なぐるのや……」
「オレたちはいいにおいがして、見てただけなんだ。だからなぐらないで?」
子供達は両手で頭を庇うように覆う。
「なっ⁉ 何言ってるんだよ! 殴る訳ないだろ?」
「だってオレたちはスラムのクズって……いつもマチのひとはなぐる」
街の人達は、スラムの子供達に八つ当たりしてるのか? 最低だ。
でも……この状況を作った領主が一番悪い。
「いいか? 俺は絶対に殴ったりしない。お腹空いてるんだろ? こっちに来な、一緒に食べようぜ」
「え……いいにょ?」
「そんなこと……ゴクリッ」
「子供は遠慮するな! さぁ行くぞ?」
俺は二人の子供達を抱きかかえる。
なっ、軽い……手にゴツゴツした骨の感触がある。ガリガリじゃないか!
「お前達は何歳なんだ?」
「ミューはしゃんしゃい!」
「オレは七歳だ」
女の子と男の子が、それぞれ教えてくれる。
マジか……二人とも三歳と七歳には見えない。
「いっぱい食べろよ? ええと、ミューと、お前の名前は?」
「ルート!」
男の子が元気に手を挙げた。
俺は両手で二人を抱き上げたまま、みんなの所に連れて行く。
「みんな~飛び入り参加のルートとミューだ! 仲良くしてくれよ?」
『主~、その人族達も肉祭りに参加するのか?』
「ああ! だって肉祭りだからな!」
銀太とスバルが近寄って来た。
『お前達、ラッキーだぜ? 肉祭りは最高だからな!』
俺はルートとミューに言い聞かせる。
「コイツ等はみんな俺の大事な仲間なんだ。見た目は怖いかもだが、優しい良いヤツ等だから」
「もふもふしゃんがいっぱい♪」
ミューはどうやら怖くないのか、銀太に抱きついた。
「ほら? 肉食べな」
そう促すと、二人は口いっぱいに肉を頬張る。
「ウメェ……肉なんてっ父ちゃんが死んでから食べてない……もぐ……」
「おいちっ! にくまちゅり! おいち!」
良かった……二人とも泣きながら必死に食べている。
そりゃお腹空いてるよな。
「なぁルート? お前達みたいな子供は、スラムにいっぱい居るのか?」
「もぐっ……ゴクンッ。うん! いる」
「そうか……居るよな」
肉はダンジョンで狩りまくったのが沢山ある!
なくなったら、みんなに頼んで狩ってきてもらったら良い。
この話を聞いて、何もしないなんてこと、俺には出来ない。
「よし! 決めた! スラムでも肉祭りするか!」
★ ★ ★
カラン♪っと鳴り響くドアを開け、俺は再び金物屋を訪れた。
「こんにちは」
「ティーゴ⁉ どーしたの? 焼き台に何か問題あった?」
店主のチャイさんが慌てている。
「いや、焼き台は最高だよ!」
「何だぁ……良かった、ビックリさせないでよね?」
チャイさんが頬をぷくりと膨らませ、腕組みをする。
「あはは、ゴメンな? 気に入ったからさ、アレと同じ焼き台を後二つ、今すぐ作ってもらいたくて」
「同じのを? 今すぐ⁉ 一つ金貨四枚もするんだよ? まだ二つも追加って……大丈夫なの?」
「運良く懐事情はいい感じなんだ」
「そうなの? お金持ちぃ。でもさぁ? そんなにいっぱい焼き台を作ってどうするの?」
チャイさんが意味が分からないと首を傾げる。
「その焼き台を使ってな? スラムの人達に肉を焼いて、みんなで食べようと思ってるんだ。ただなぁ、人数が多そうだから、焼き台も後二つくらいあった方がいいかな? って思って」
「それは……確かにスラムの奴等は喜びそうだけど、そんなに大量にお肉はあるの? スラムの奴等、二百人くらいは居るよ?」
「二百人か! それなら全然大丈夫だ。もっと多いのかと思ってたから!」
「はぁ⁉」
チャイさんが口をアングリと開けて固まってしまった。
人族の食べる量なんて、聖獣達と比べたら、たかが知れてる……二百人分なんて余裕だ。
「スラムの子供達のことは私も心配してたんだ。でもさ、私も自分が生きるので精一杯だからさぁ。……焼き台を作ることで協力出来るなら、急いで作らせてもらうよ!」
「ありがとう」
「また裏で待っててくれる?」
そうして、みんなで焼き台が出来るまで店の裏で待つことになった。
「もふもふしゃ……」
『我の毛並みはふわふわであろ?』
ミューが銀太に抱きついている。
ミューとルートはすっかり銀太達に馴れたみたいだな。
それを横目に、俺は考えを巡らす。
俺が今から肉祭りをスラムでしたところで……一時的に飢えを凌げるだけで、根本的な解決にはならない。
スラムのみんながちゃんと生きていけるように、お金を稼げるようにならないと。
うーん……いいアイデアないかな。
悩んでいると、チャイさんが裏口の扉を開けて出てきた。
「お待たせ! いいのが出来たよ!」
「これは! ツギハギじゃなくて一枚の大きな鉄板……?」
「そうなの! 気付いてくれた? もうあの焼き台がなかったから、大きな鉄板を使ってチャチャっと作ったの。凄いでしょ?」
チャイさんが鼻息荒く、これでもかと後ろに仰け反り、どうだと俺を見る。
「ブッッ……ンンッ。最高だよ。ありがとうチャイさん」
思わず噴き出しそうになるも、必死に堪えて礼を言う。
「えへへ」
「代金は前と同じでいいのか?」
「同じでいいよ。ありがとう」
「じゃあ金貨八枚な! あっ……そうだ。チャイさんも時間あるならスラムに来てよ。お肉をご馳走するよ?」
「本当に? 嬉しい! お店閉めて後から行くね」
「じゃあまた後で!」
アイテムボックスに焼き台を締まってから、俺はみんなを見渡す。
これで準備も出来たし! スラム街に向かうか。
「ルート。スラムに案内してくれ」
「はい」
ルート達が住んでいる子供達のスラムは、大きな穴の一番底にあるらしく、人一人が通るのが精一杯の細長い橋を、何度も往復しながら下へ下へと下りていく。
下りながら横穴を見ると、確かに人が住んでいる……元々この穴は鉱山の発掘跡だったらしい。
子供達は俺達の存在に気づくと、横穴から顔だけ出してじっと見てきた。
一番底に下りてきたはいいけど……物凄く……臭い。土がドロドロしていて靴底に張り付く。
『主~、我は鼻が曲がりそうなのだ……』
『クッ、クセェ……』
『ねぇ……ティーゴ? この臭いの中で肉祭りをしても、食べる気がしないわよ?』
銀太、スバル、三号が顔をしかめている。
確かに、これじゃ食べる気がしない。鼻をつまんでも臭い。
『ならば我が浄化してやろう! この臭い、もう耐えられぬ』
銀太がそう言うと浄化魔法を放つ。
パァァァァァーッっと地面が眩しく光り輝く。
数分もすると、汚かった地面が綺麗になり、さっきまでの臭いが全くなくなった!
『だが……この地面のままだと、時が経つとまた臭くなるだろうな! なら俺が土魔法で床を作ってやる!』
二号が張り切って床を作ると言い出した。
『二号は何か作る魔法が上手いんだよな!』
そんな二号をスバルは絶賛し、何を作るんだと興味津々。
「なっ……⁉ ちょっと待ってくれ……」
止める間もなく二号が魔法を発動し、地面がドンドン美しいレンガで敷き詰められていく……。
こんな一瞬で作れちまうのか?
「二号! スゴいよっ」
『こんなの一瞬だよ。地面を探ると水脈があったから、ついでに井戸も作っておいたぜ』
「ついでに井戸って……! そんな簡単に⁉」
嘘だろ? 井戸を作るにはかなり深く掘らないとダメなんだぞ?
二号があそこに作ったと、指した先を見ると。
「……井戸だ」
しかもこの井戸は、下からポンプで水を汲み上げなくても良いのか、水が自動で上まで溢れてきてる……どんな仕組みなんだ?
「井戸だぁ!」
「お水!」
急に綺麗になった地面に、はじめは戸惑っていた子供達が、井戸を見つけ一斉に穴から出て来た。
みんな井戸に集まり必死で水を飲んでいる。
「お兄ちゃん。ありがとう……うっ、オレたちは水を飲むのも街の中まで上がらないとダメだから大変だったんだ」
ルートは泣きながら、何度も何度もお礼を言ってくれた。
そうか……この場所から何回も上に上がるのは子供にとって大変だよな。
ついでに子供達が住んでいる穴も綺麗にしてもらうか?
「二号! 子供達が出てる間に、穴も綺麗で頑丈にしてくれないか?」
『余裕だな! そんなのは一瞬だ、任せろ!』
穴の土壁が白亜色の花模様のタイル壁に変わる。
そんなことも出来るのか?
「オシャレだな」
『こんなのは序の口だ! 俺は色々と作るのが好きなんだ』
「ありがとうな、二号。これはご褒美だ!」
俺は二号にトウカパイを渡す。
『おお! やったパイだ』
『あっ? ズルいぞ⁉ 二号にだけパイあげて!』
スバルがパイに気づいて飛んで来た。
二号は自慢げにパイを見せびらかす。
『俺は地面と壁を綺麗にしたからな? これはご褒美だ!』
『ご褒美⁉ なら我も浄化したのだ!』
今度は銀太がご褒美パイを寄越せと、俺の腹に顔をぐりぐり擦り寄せてきた。何だその可愛い仕草は。
「じゃあ銀太にもご褒美だな。はい」
『やったー! パイなのだっ!』
『ぐぬぬ……ティーゴの旦那! 俺にも何か仕事くれよ!』
美味そうにパイを食べる二人を、スバルが悔しそうに見ている。
「分かった分かった! 考えておくから、後でな」
さぁて、肉祭りの準備をするぞ!
俺は新調した焼き台を並べ、肉祭りの準備を始める。
冒険者ギルドを後にし……俺達は街を散策しながら、道具屋を探している。
鉱山の街って言うくらいだから、鉄商品の種類も豊富にありそうだなと、思っているのだ。
使い獣が増えて大所帯になってきたし、一度に沢山焼ける焼き台が欲しい……理想のものがあると良いなぁ。
『ティーゴ! アレじゃない? 金物屋って書いてあるから、鉄商品とかの専門店かも?』
「金物屋なんて初めて聞いたぞ?」
三号に言われて外の窓ガラスから店内を見てみると、色々な鉄商品が並んでいるのが分かる。
「おおっ確かにここだな。よし入ってみるか」
カラン♪ と音を鳴らして扉を開ける。
出迎えてくれたのは、俺と同い年くらいの空色の髪をした少女だった。
「いらっしゃい! って⁉ フェフェ……フェンリル‼ あわわわ……」
やばい! ビックリして少女が今にも気絶しそうだ。これはまずいぞ。
「このフェンリルは俺の使い獣なので何もしません。可愛いだけです」
慌てて俺は銀太をモフモフして見せる。
モフモフ……もふもふ……モフモフ。
「ゴクリッ……もふもふ……もふもふ」
ん? やり過ぎたか? 少女の目がウットリと銀太を見つめている。
「すみません? コイツが大丈夫なの……分かってもらえましたか?」
「あっ……⁉ ゴッゴメンねっ! 最高の毛並みね。私はチャイ! この店の店主よ……って言っても、従業員は私一人だけどね?」
「こんにちは! ティーゴです」
金物屋さんをこんな少女が一人で経営しているのか。
「で? ウチの店でどんな商品が欲しいの?」
「外で使える大きな焼き台が欲しくて」
「大きな焼き台ね。ふむ……それは肉とかを焼くのよね?」
「そうです! 肉を焼く用です」
「……うーん。ちょっと待ってて?」
そう言うと奥の部屋に入って行った。
俺が考えているような焼き台があったらいいなぁ。
「お待たせ! ウチにある中で一番大きな焼き台よ!」
持って来てくれた焼き台は、横幅六十センチ、縦幅三十センチ、高さ一メートル二十センチの、よく見る焼き台よりは一回り大きいサイズだ。
「どーだい? こんな大きな焼き台は何処探しても置いてないよ?」
確かに! 今まで見た中じゃ一番大きい。でも俺が欲しかった焼き台は、これ四つ分くらいの大きさの焼き台なんだ。
「どーしたの?」
「折角出してもらって申し訳ないんだが……俺が欲しかった焼き台は、これの四つ分くらいのだったんだ」
「この焼き台四つ分って! そんなに大きなの、持ち運びに困るでしょ?」
店主のチャイさんが目をまん丸にして驚いている。
「それなら大丈夫! 俺はアイテムボックスのスキル持ちなんだ」
「アイテムボックス! 超レアスキルじゃん、羨ましい……あっ! そうだ、持ち運びに困らないんなら、これと同じ焼き台四つを、溶接でくっ付けてあげるよ!」
「いいんですか?」
何てありがたい提案だ!
「こんなのチャチャッと仕上げてあげる! じゃあ裏の作業場について来て?」
「はいっ!」
店の裏側は大きな鉄材や作品が無造作に並べてあった。
まぁ……色々な物がゴチャゴチャしている。
「適当な場所に座って待ってて? 私……片付けが苦手でね」
チャイさんはペロっと舌を出し、照れ臭そうに笑う。
『主~良かったのう。欲しい物が手に入って!』
『そうなの! ティーゴが嬉しそうだとティアも嬉しいの!』
銀太とティアは嬉しいこと言ってくれるなぁ。可愛い奴め。
『ティーゴの旦那? 顔がニヤニヤしてるぜ?』
嬉しくて顔に出てたのか!
スバルはすぐそういうことに目敏く気付くからな。
「いーだろ? もうっ!」
「お待たせ! 完成だよ。どう?」
チャイさんが出来上がった焼き台を見せてくれる。
そう! これだよこれ、俺が求めてたのは。
「ありがとう最高だ!」
「ふふっ良かった。代金は金貨四枚だよ!」
「ありがとう! じゃあこれを」
金貨四枚を渡した。
「毎度あり! また買いに来てね!」
俺はほくほくで金物屋を後にした。
早速この焼き台を使いたい! でも街中で使えないしなぁ。
何処かいい場所ないかな?
よし……いっそこの街を出て森で肉祭りをしよう! 森なら誰にも迷惑かけないし。
「森に出てこの焼き台を使ってみたいんだけど、いいかな?」
『我は良いのだ!』
『森ってことは来た道を戻るのか?』
銀太とスバルに言われて、俺は頷く。
「そうしようかなと……」
すると、今度はパールが話に入ってきた。
「それなら……街の北の方にある森に行くのはどうじゃ? 北の森は、この街の者達が薬草などを採取する用に門が開いていて。門番は居るが検問などはなかったはずじゃ」
「なるほど!」
「まぁ三百年前の記憶じゃが……」
「え? なんか言った?」
「んん? 何でもないのじゃ」
「ところでさぁ? 何でそんなこと知ってるんだ? パール?」
パールはこの街に初めて来たんじゃないのか? まるで過去に来たことがあるかのようだ。
「えっ! あっ……ワシ、猫じゃった。じゃなくて……んんとじゃ?」
パールの様子が少しおかしい。動揺しているように見える。何でだ? 理由が分からない。
色々なことを思い出しているんだろうか?
「分かったぞ! …………もしかしてお前は、昔この街に住んでいたのか?」
「住んで? ワシが……? そんなわっいやっ……そうじゃ! 住んでたんじゃ」
「なるほどな、だからセロデバスコに詳しいのか。じゃあパール? 北の門への道を教えてくれ!」
「分かったのじゃ!」
ほんと不思議な猫だよな。
パールの後をみんなでついて行く。
「ここを曲がると……門が見えるはず、おおっ! 変わっておらん」
パールの言った通り門があり、門番は不在で、小さな門扉の奥には木々が生い茂っていた。
「凄い、門を通ったらすぐ森じゃないか!」
『街の中に森があるみたいだな』
『本当っすねー森と街が合体してる』
一号と二号が不思議そうに見ている。その気持ち、同感だ。
「行こうか! 森に行ったら肉祭りだ!」
『『『『やったー! 肉祭り』』』』
「楽しみじゃな!」
「ここら辺でいいか!」
俺は焼き台を出して、肉をどんどん焼いていく。今日はシンプルにこの焼き台で肉を焼き、特製タレにつけて食べる。シンプルイズベスト!
広い焼き台の上に、ワイバーンにオークジェネラル、さらにはロックバードの肉を順に置き、焼いていく。大きな焼き台の上には、芳ばしい香りを放つ全ての肉が並ぶ。
みんなは早速口に入れて、顔を綻ばせた。
『美味いのだ! このタレが最高に』
『はぁぁ……ティアは幸せなの!』
『ロックバードを焼いてこの甘辛タレをつけて食べるの、最高に美味しい!』
『オークジェネラルはこっちのあっさりタレだな!』
「肉を焼いただけじゃのに美味い……ワシ……ワシ……最高じゃ! 美味いのじゃー! 次はこっちのタレで食べてみるのじゃ!」
銀太とパールの尻尾がずっとブンブン回っている……ククッ。
美味いんだよな、分かる!
『はあっ……美味いっすねー、オークジェネラルがサッパリと何枚でも食べれるっすよ』
一号、二号、三号達は人化してるから、表情が分かりやすいな。
「んっ? あれっティア、何で人化してるんだ!」
気づけば、ティアはスッポンポンで肉を必死に頬張っている。
『だってこの姿の方が、お肉を口にいっぱい入れて食べれるの! ティアは幸せなの!』
あーあ……口の周りがタレでベッタベタじゃないか。
「なぁ三号? 何でもいいからティアが着れる服ないか?」
『う~ん。何でもいいの? じゃあ……私のシャツを羽織っとく?』
三号がティアに服を着せてくれた。
さすがに真っ裸で肉食べさせる訳にはいかないからな。近いうちにティアの洋服を買いに行こう。
ふと視界の隅で何かが動いたので視線を向ければ、茂みの一箇所が揺れている。何だ? 銀太達が居るのに近付いてくる強者が居るのか?
茂みを意識して見ていると、小さな足が見える。
あれは人族の子供か? こんな場所に子供? 俺は気になり、近寄ってみる。
茂みを搔き分けると、やはり小さな子供が二人震えながら立っていた。とても幼い女の子と男の子が一人ずつ。しまった、急に近寄って驚かせちゃったかな?
「ええと……怖がらせるつもりはなくてだな? そのっ……こんな所でどうしたんだ?」
「ごめしゃい……なぐるのや……」
「オレたちはいいにおいがして、見てただけなんだ。だからなぐらないで?」
子供達は両手で頭を庇うように覆う。
「なっ⁉ 何言ってるんだよ! 殴る訳ないだろ?」
「だってオレたちはスラムのクズって……いつもマチのひとはなぐる」
街の人達は、スラムの子供達に八つ当たりしてるのか? 最低だ。
でも……この状況を作った領主が一番悪い。
「いいか? 俺は絶対に殴ったりしない。お腹空いてるんだろ? こっちに来な、一緒に食べようぜ」
「え……いいにょ?」
「そんなこと……ゴクリッ」
「子供は遠慮するな! さぁ行くぞ?」
俺は二人の子供達を抱きかかえる。
なっ、軽い……手にゴツゴツした骨の感触がある。ガリガリじゃないか!
「お前達は何歳なんだ?」
「ミューはしゃんしゃい!」
「オレは七歳だ」
女の子と男の子が、それぞれ教えてくれる。
マジか……二人とも三歳と七歳には見えない。
「いっぱい食べろよ? ええと、ミューと、お前の名前は?」
「ルート!」
男の子が元気に手を挙げた。
俺は両手で二人を抱き上げたまま、みんなの所に連れて行く。
「みんな~飛び入り参加のルートとミューだ! 仲良くしてくれよ?」
『主~、その人族達も肉祭りに参加するのか?』
「ああ! だって肉祭りだからな!」
銀太とスバルが近寄って来た。
『お前達、ラッキーだぜ? 肉祭りは最高だからな!』
俺はルートとミューに言い聞かせる。
「コイツ等はみんな俺の大事な仲間なんだ。見た目は怖いかもだが、優しい良いヤツ等だから」
「もふもふしゃんがいっぱい♪」
ミューはどうやら怖くないのか、銀太に抱きついた。
「ほら? 肉食べな」
そう促すと、二人は口いっぱいに肉を頬張る。
「ウメェ……肉なんてっ父ちゃんが死んでから食べてない……もぐ……」
「おいちっ! にくまちゅり! おいち!」
良かった……二人とも泣きながら必死に食べている。
そりゃお腹空いてるよな。
「なぁルート? お前達みたいな子供は、スラムにいっぱい居るのか?」
「もぐっ……ゴクンッ。うん! いる」
「そうか……居るよな」
肉はダンジョンで狩りまくったのが沢山ある!
なくなったら、みんなに頼んで狩ってきてもらったら良い。
この話を聞いて、何もしないなんてこと、俺には出来ない。
「よし! 決めた! スラムでも肉祭りするか!」
★ ★ ★
カラン♪っと鳴り響くドアを開け、俺は再び金物屋を訪れた。
「こんにちは」
「ティーゴ⁉ どーしたの? 焼き台に何か問題あった?」
店主のチャイさんが慌てている。
「いや、焼き台は最高だよ!」
「何だぁ……良かった、ビックリさせないでよね?」
チャイさんが頬をぷくりと膨らませ、腕組みをする。
「あはは、ゴメンな? 気に入ったからさ、アレと同じ焼き台を後二つ、今すぐ作ってもらいたくて」
「同じのを? 今すぐ⁉ 一つ金貨四枚もするんだよ? まだ二つも追加って……大丈夫なの?」
「運良く懐事情はいい感じなんだ」
「そうなの? お金持ちぃ。でもさぁ? そんなにいっぱい焼き台を作ってどうするの?」
チャイさんが意味が分からないと首を傾げる。
「その焼き台を使ってな? スラムの人達に肉を焼いて、みんなで食べようと思ってるんだ。ただなぁ、人数が多そうだから、焼き台も後二つくらいあった方がいいかな? って思って」
「それは……確かにスラムの奴等は喜びそうだけど、そんなに大量にお肉はあるの? スラムの奴等、二百人くらいは居るよ?」
「二百人か! それなら全然大丈夫だ。もっと多いのかと思ってたから!」
「はぁ⁉」
チャイさんが口をアングリと開けて固まってしまった。
人族の食べる量なんて、聖獣達と比べたら、たかが知れてる……二百人分なんて余裕だ。
「スラムの子供達のことは私も心配してたんだ。でもさ、私も自分が生きるので精一杯だからさぁ。……焼き台を作ることで協力出来るなら、急いで作らせてもらうよ!」
「ありがとう」
「また裏で待っててくれる?」
そうして、みんなで焼き台が出来るまで店の裏で待つことになった。
「もふもふしゃ……」
『我の毛並みはふわふわであろ?』
ミューが銀太に抱きついている。
ミューとルートはすっかり銀太達に馴れたみたいだな。
それを横目に、俺は考えを巡らす。
俺が今から肉祭りをスラムでしたところで……一時的に飢えを凌げるだけで、根本的な解決にはならない。
スラムのみんながちゃんと生きていけるように、お金を稼げるようにならないと。
うーん……いいアイデアないかな。
悩んでいると、チャイさんが裏口の扉を開けて出てきた。
「お待たせ! いいのが出来たよ!」
「これは! ツギハギじゃなくて一枚の大きな鉄板……?」
「そうなの! 気付いてくれた? もうあの焼き台がなかったから、大きな鉄板を使ってチャチャっと作ったの。凄いでしょ?」
チャイさんが鼻息荒く、これでもかと後ろに仰け反り、どうだと俺を見る。
「ブッッ……ンンッ。最高だよ。ありがとうチャイさん」
思わず噴き出しそうになるも、必死に堪えて礼を言う。
「えへへ」
「代金は前と同じでいいのか?」
「同じでいいよ。ありがとう」
「じゃあ金貨八枚な! あっ……そうだ。チャイさんも時間あるならスラムに来てよ。お肉をご馳走するよ?」
「本当に? 嬉しい! お店閉めて後から行くね」
「じゃあまた後で!」
アイテムボックスに焼き台を締まってから、俺はみんなを見渡す。
これで準備も出来たし! スラム街に向かうか。
「ルート。スラムに案内してくれ」
「はい」
ルート達が住んでいる子供達のスラムは、大きな穴の一番底にあるらしく、人一人が通るのが精一杯の細長い橋を、何度も往復しながら下へ下へと下りていく。
下りながら横穴を見ると、確かに人が住んでいる……元々この穴は鉱山の発掘跡だったらしい。
子供達は俺達の存在に気づくと、横穴から顔だけ出してじっと見てきた。
一番底に下りてきたはいいけど……物凄く……臭い。土がドロドロしていて靴底に張り付く。
『主~、我は鼻が曲がりそうなのだ……』
『クッ、クセェ……』
『ねぇ……ティーゴ? この臭いの中で肉祭りをしても、食べる気がしないわよ?』
銀太、スバル、三号が顔をしかめている。
確かに、これじゃ食べる気がしない。鼻をつまんでも臭い。
『ならば我が浄化してやろう! この臭い、もう耐えられぬ』
銀太がそう言うと浄化魔法を放つ。
パァァァァァーッっと地面が眩しく光り輝く。
数分もすると、汚かった地面が綺麗になり、さっきまでの臭いが全くなくなった!
『だが……この地面のままだと、時が経つとまた臭くなるだろうな! なら俺が土魔法で床を作ってやる!』
二号が張り切って床を作ると言い出した。
『二号は何か作る魔法が上手いんだよな!』
そんな二号をスバルは絶賛し、何を作るんだと興味津々。
「なっ……⁉ ちょっと待ってくれ……」
止める間もなく二号が魔法を発動し、地面がドンドン美しいレンガで敷き詰められていく……。
こんな一瞬で作れちまうのか?
「二号! スゴいよっ」
『こんなの一瞬だよ。地面を探ると水脈があったから、ついでに井戸も作っておいたぜ』
「ついでに井戸って……! そんな簡単に⁉」
嘘だろ? 井戸を作るにはかなり深く掘らないとダメなんだぞ?
二号があそこに作ったと、指した先を見ると。
「……井戸だ」
しかもこの井戸は、下からポンプで水を汲み上げなくても良いのか、水が自動で上まで溢れてきてる……どんな仕組みなんだ?
「井戸だぁ!」
「お水!」
急に綺麗になった地面に、はじめは戸惑っていた子供達が、井戸を見つけ一斉に穴から出て来た。
みんな井戸に集まり必死で水を飲んでいる。
「お兄ちゃん。ありがとう……うっ、オレたちは水を飲むのも街の中まで上がらないとダメだから大変だったんだ」
ルートは泣きながら、何度も何度もお礼を言ってくれた。
そうか……この場所から何回も上に上がるのは子供にとって大変だよな。
ついでに子供達が住んでいる穴も綺麗にしてもらうか?
「二号! 子供達が出てる間に、穴も綺麗で頑丈にしてくれないか?」
『余裕だな! そんなのは一瞬だ、任せろ!』
穴の土壁が白亜色の花模様のタイル壁に変わる。
そんなことも出来るのか?
「オシャレだな」
『こんなのは序の口だ! 俺は色々と作るのが好きなんだ』
「ありがとうな、二号。これはご褒美だ!」
俺は二号にトウカパイを渡す。
『おお! やったパイだ』
『あっ? ズルいぞ⁉ 二号にだけパイあげて!』
スバルがパイに気づいて飛んで来た。
二号は自慢げにパイを見せびらかす。
『俺は地面と壁を綺麗にしたからな? これはご褒美だ!』
『ご褒美⁉ なら我も浄化したのだ!』
今度は銀太がご褒美パイを寄越せと、俺の腹に顔をぐりぐり擦り寄せてきた。何だその可愛い仕草は。
「じゃあ銀太にもご褒美だな。はい」
『やったー! パイなのだっ!』
『ぐぬぬ……ティーゴの旦那! 俺にも何か仕事くれよ!』
美味そうにパイを食べる二人を、スバルが悔しそうに見ている。
「分かった分かった! 考えておくから、後でな」
さぁて、肉祭りの準備をするぞ!
俺は新調した焼き台を並べ、肉祭りの準備を始める。
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