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本編 浮島編
新たなる目的
しおりを挟む「予定よりも大分早く終わったなぁ……」
「そうじゃの、彼奴らのヤル気が凄かったからのう」
「本当にな」
俺とパールそれに二号は、ブルネイ王国を後にしてハイパール号のなかでお茶をのんびりと飲んでいる。
これは抹茶と言うんだって、初めて聞いた名前だが、倭の国ではお土産人気ナンバーワンなんだとか。
それにしてもブルネイ王国の復興は凄かった。
レミアール王国の人達と仲良く手を取り作業していた。
キツイ重労働だと思うのに、笑顔が絶えない現場だった。
あんな姿を見てしまうと、二国の仲を裂こうとした存在が許せない。
よくにまみれた人を操り、あっという間に国を乗っ取り戦争を起こした。
その根本的な存在を根絶やしにしないと、また第二のレミアール王国のような悲劇が生まれかねない。
「なんじゃティーゴよ? そんな難しい顔をして? 抹茶が気に入らんかったか?」
パールが不思議そうに俺をみる。
「あっいや……抹茶は美味しいんだが、その邪神や空に浮かぶ魔導王国のことが気になって……」
俺がそう言うとパールは、自慢の長い髭をひと撫でし眉を顰めた。
「ふむ……邪神と共に天空に消えた謎大き王国。確かに気になるのう。この一連の事件は全てその邪神関連じゃと思うしのう……リィモじゃって邪神に操られておったわけじゃし。もうこうここまで邪神に関わってくると放っておけん」
「放っておけんって? もしかして……」
「そうじゃ! 大元である邪神をやっつけてやるんじゃ!」
「邪神を!? 俺たちが?」
「うむ。余裕じゃ!」
パールはそう言ってごくりと抹茶を飲んだ。
余裕じゃってパール? 邪神って神って付くくらいだから神様なんだろ? 神を相手に余裕じゃって……相変わらずだなぁ。
まぁ乗りかかった船だ。最後までやらないとだ。
「ようしっやってやるか! 邪神を!」
「おお? ティーゴもやる気になったようだな」
俺とパールがやる気に満ち溢れていると二号が申し訳なさそうに
『あの……盛り上がってる所すまない。俺は早く風呂に入りたい』
無口な二号が珍しく早口で話す。
風呂……確かにな。復興作業を頑張りすぎて俺たち汚れてるもんな。
「ははっそうだな。異空間に戻ってみんなで風呂に入ろうぜ! 二号ピッカピカに洗ってやるからな」
『頼んだ!』
二号はニコリと笑った。
犬じゃない姿のたまに見る二号の笑顔は、やばいほど綺麗で犬だとわかっていても少し照れる。
「よしっワシは露天風呂に入るんじゃ~!」
異空間に戻ると、露天風呂の前で頬を染めたトカが気落ち良さそうに銀太や三号たちと寛いでいた。
『ああっカスパール様、ティーゴ様お帰りなさい』
俺たちに気付いたトカが走って来た。
どうやら温泉がかなり気に入ったみたいだ。あれやこれやと楽しそうに温泉について語ってくれた。
そして俺たちが今から入ると言うとまた入ると後をついてきた。
それを聞いた銀太達まで『なら我も主とはいるのだ。シャンプーしてもらうのだ! フンス』っと銀太達まで一緒に入ると言い出す始末。
相変わらず面白いやつらだ。
★★★
お久しぶりの本編更新となりました。
これからまた新章が始まりますのでよろしくお願いします。
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