欠け神の宵契り

種田遠雷

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14、閨技

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 揉み合うような激しいくちづけで溶けた身体を抱え上げられ、わ、とレニは声を上げた。
「なかなか、面白い眺めだ」
 寝台に寝そべるナルヌイの腹を跨いで座らせられ、慌てて腰を上げる。
「いや、さすがにご不敬です、から、」
 上げた腰を岩のような手で引き下ろされ、眉を下げてナルヌイを見た。
「わからぬやつだ。契りのさなかだぞ」
 両手で掴んだ腰をナルヌイが笑いながら揺すってやると、困ったように目をうろつかせていたレニが、ふと瞬いて、ほんの少し眦を染めた。
「……あの、胸をお借りいたします」
 太い腰を跨ぐために大きく開いた足の下、下着を着けていない夜着越しに、むちりと詰まったナルヌイの陽根を感じる。ぬくさまで伝わるそれは、触れるに近い感触だ。
 広い胸に手を着き、互いの柔いところを揉み合わせるよう腰を揺すった。
「駄目だ。屈むな」
「ん……はい」
 レニが自ら漕ぎ出す腰から離れたナルヌイの手が、胸から離させる手を下から掬うように指を絡ませて支えた。
 閉じきれない唇から浮く息を弾ませながら、ナルヌイの形を探り、熱を溜めていく股座を擦りつける。
 少しずつ押し上げられるようになると、奉仕が叶っている安堵と恥ずかしいような興奮で、身体が鋭くなっていく。
「レナン」
「……はい」
 気を抜くと撓んでしまう背を時折立て直しながら、声に招かれて目を向けた。
「これは互いに“渡す”儀だな。お前の受けたいものを聞いていない」
「ああ……」
 腰を揺すりながら、そういえば、と甘くなった頭に巡らせてみる。
 元々、知らぬ間に預かっていたナルヌイの力を渡すために、身に習った祭を提案しただけだった。手段として有効なはずだと。
 確かに、宵契りの渡しは巫女の家筋に溜め込んだ力や民の信仰を神に渡し、神からは暮らしへの加護を賜るものだ。
 儀式を重んじてくれるというナルヌイの言葉が嬉しくて、あたたかく綻ぶような心地にふと、稲妻のようにひとつの考えが突き上げた。
 動くのを思わずやめてしまうほど身に力が入る。
「商売繁盛……! 商売繁盛のご利益がいただきたいです……!」
 奉仕も忘れて食いつくように答えたレニにナルヌイは目を丸くし、ふは、と噴き出すと、そのまま低い声を揺らして大いに笑った。
「――はっははは!」
 長く笑われて、次第に我に返るよう、レニはそっと目を背けた。
「雪と絹の巫子殿は俗に染まられたようだ」
 からかわれて、ううと小さく呻いた。
「……すみません、欲走り……」
 いいや、と、まだ笑いを引きずりながら手を伸ばして、ナルヌイはレニの夜着を解く。はらりと腰の周りに溜まる布地をそのままにさせておいて、捏ね合って頭を持ち上げているレニの茎を手に取った。
「得手のことで幸いだ。お前を失望させずに済む」
 節張って大きな手に弄られ迷う腰を、漕げと促されて再び使い始める。
 ナルヌイの手に擦りつけながら尻の下のものを揉み、淫らな有様に胸が喘いだ。
「海と、商売が繋がるのですか、」
 問うところに、くるりと敏感な先端を親指で丸められ、んっと甘い声が鼻から抜ける。
「海が範疇だが、豊漁をもたらすことが本懐だ」
 ハッとまた興奮しそうになるのを、今度は弱いところを強めに握られ、腰砕けになった。
「あっ、ああ、んぅ、」
 亀頭の裏の縫い目様のところを親指の腹で掻かれ、腰が捩れる。垂れてくる雫を塗り拡げられて、顎が浮いた。
「よろこびよって」
 笑う顔に、捩る身体をこらえて自分の肩に頬を擦り寄せ、笑う吐息で答える。
「きっと、……今は、この袖寄屋が、俺の国なのです、」
 眉を下げて笑うレニに、ナルヌイが黙って目で頷いた。
 股座を押し付けて弄る内に次第に固く、姿が判るようになっていく陽根を揉むのをやめて、尻の谷間で挟みあげ、先端を探して擦りつける。
「ナルヌイ様……」
 物足りない、という淡い焦れを、上手く表現できない。
「暴いて跨げ」
 手を離して導かれ、もつれるような指でナルヌイの胸や腹も晒させ、身にまとわりついていた夜着を放り出して、固く血の筋を浮かせているものを直接尻に挟んだ。
「は……」
 ぞくりと、それだけで甘い痺れが胴を逆さに這い上がる。
 震える腰を持ち上げられ、ナルヌイのを前へ招き、促されて自らの腫れた茎をすり寄せた。
「あ、は、あっ、っぁ」
 手が足りず両手で握り、想像しなかったような悦さに夢中で擦りつけていると、もう尖っていた乳首をつままれ、声が跳ねた。
「あっ、あ、あ、あ、」
 胸を弄られる細く鋭い快が、鈴口の敏感な歓びに接続する気がする。
 そうしながら首裏から耳の下を、首筋から背を、肩を、腹へ腰へとナルヌイの手が這い回って、湧き続ける快楽を身体中に塗り拡げていく。
「はっ、あ、ああっ」
 甘ったるく声を上げながら、自分でも思わぬような容易さで吐精し、反り返って震える身体を、大きな掌に支えられた。
 精液を拾う指が尻に這い、穴を揉まれてもまだ動けない。
「あ……」
 少し焦れるようになってようやく、吐き出した量とは思えない滑りを、内へと指が押し込んだ。
「ぁ、ぅっ、っは、んぅぅ」
 拡げられるかと思ったら真っ直ぐに入り込まれて、今度は逆に背が丸まってしまう。
「あっ、ああ、ぁっ、ああ、ああ……」
 わずかにあった痛みの行方が見えなくなる。
 荒くはやらないが遠慮のない動きで腹の中を掻き回され、腰の裏から額まで、溢れる快楽で詰まっていくようで。たまらずまたナルヌイの胸に手を着いて、瞼を伏せたら勝手に涙が落ちた。
「はぅ、ぁ、あん、ナルヌイ様、……ナルヌイ様ぁ、」
 もうぺったりと石の混じる胸に身を伏せ、あまりにはしたない声が聞こえて意識の遠くで驚いた。
 指を増やして丁寧に開かれるのがたまらない。ならぬような身体を、受け入れられるよう解されていると思うと、身の内の何かがねっとりと捩れて、千切れそうだった。
「は……ん、」
 潮の香りのする胸を舐め、鼻先をこすりつけ、石の肌も愛おしく撫でて、肋を覆う筋肉を掌で探った。
「ふ……」
 散々に掻き乱して指が抜けたのを知ると、レニは手を手繰り、重くなった身を起こして持ち上げる。
 天を突くようになっているものを探して拾い、その上に乗り上がると、こらと笑う声に咎められた。
「まだお前には無理だ」
「 、俺だって、閨技けいぎの十や二十くらい、習ってるん、ですから……」
「多いな」
 笑っている顔からついと顔を背け、ただれたような穴に先端を合わせて、腰を下げた。
 そのぬくい丸みに押されるだけで喘ぎそうになる。
 腰を揺すり、捏ねつけ、沈み込ませようと四苦八苦して、終いに音を上げた。
「入りません……」
 ナルヌイが身を起こし、ふっふと吐息を揺らして笑っている胸に抱き寄せられて、しんなりと身を預けた。
「やれている。慣れれば出来るようになる」
 張り切るな、と、囁きと共に髪にくちづけられ、仕方なく長い息を吐く。
 形勢を逆転するように敷布に横たえられ、覆い被さり影を作る精悍な顔を見つめて頬を緩めた。
「そう急くな。どうせ長く掛かるぞ」
 唇を吸われ、音を立てて吸って返し。石の灰色に覆われた顔から、首へ胸へと撫でて下ろす。
「……お姿を見たくて」
 陰って黒に見える青い目がわずかに丸くなると、艶然と笑みを浮かべ。瞬くような間に脚を抱えて開かされ、濡れた穴にあの丸みが押しつけられた。
「はっ、あうっ!」
 あれほど捩っても入らなかった先端がぐぽりと嵌め込まれ、身体が反り返って勝手に声が弾んだ。衝撃で目の前がチカチカする。
「レナン……」
 そこで止まってまた唇を塞がれ、唾液を混ぜるよう舌を絡ませた。吸って、ついばみ、また絡ませ、とろけて柔らかくなる身体に、ゆっくりと押し広げながら這い込んでくる。
「んぅ、うぅ、んんんぅ」
 どこまで、と、焦るような深みの少し先で止まって、離れた唇を追おうと残った舌を遅れて引っ込めた。
 固く大きな杭を打たれて動けなくなる腰から、藻掻くように脚を動かし、膝の内にナルヌイの胴を挟む。
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