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本編
20.沢山、愛して
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「ごめん。ちょっと感極まっちゃって。
本当に格好悪いね、俺。」
そう言ってレイは涙を拭い、照れたように笑った。
「いえ、落ち着いたようで良かったです。
…大丈夫ですか?何かありましたか?」
「いや、久し振りにサーシャに会えたから感動したんだ。俺自身を拒否された訳じゃなかったと知れて、すごく嬉しかったし。」
サーシャは酷くレイを傷付けてしまったことを改めて実感し、申し訳なく思う。
(それにレイ様は知らないけど、この花がどんな花かちゃんと伝えないと…。全部話すと決めたんだから。)
サーシャはレイを見つめる。
「本当にごめんなさい…。実はこの痣の花はー」
「忌み花、でしょ。」
サーシャは息を呑む。
「知ってたんですか…!」
「あぁ、その花が忌み花と呼ばれる理由も、この世界でどんな存在の花であるかも聞いた。けど、異世界から来た俺にはそんなの関係ない。…ただの、綺麗な花だよ。
でも……サーシャを苦しめたって意味では本当に忌々しい花だよね。」
レイはそう言って眉を下げた。
「私も…初めて見た時は、綺麗な花だなって思いました。勿論この痣で辛い思いもしたから、今も好きだとは言えないけど…。」
「そう…。」
レイのどこか悲しげな表情を見て、レイはこの花に何か思い入れがあるのかもしれないな、と思った。
暫しの沈黙が二人の間に流れた後、サーシャはずっと気になっていたことを尋ねた。
「レイ様は…
何故、突然婚約の申し入れに来られたんですか?それに申し入れだけなら、お手紙だけでも良かったのに。」
「……サーシャのお父様に御礼を言いたかったんだ。
サーシャを育ててくれて、ありがとうございますって。」
「御礼を伝えに?なんで、そこまでー」
サーシャが不思議に思い聞き返すと、レイはその銀色の瞳でサーシャを捉えた。その真剣な眼差しにサーシャは動けなかった。
「あぁ。サーシャは俺が愛せる唯一だから…。」
「唯一…?」
「うん。」
けれど、サーシャはそこまで自分に価値があるとは思えない。レイのような高貴で素敵な男性であれば、欠陥のある自分なんかを選ばなくとも、もっと若く美しい女性とも縁できると思った。実際、あんなに美しいアリスの心を射止めたんだから。
「でも、レイ様は強くて、優しくて、格好良くて…
私なんかには勿体ないお方です。今はまだみんな慣れてないけど、レイ様のことを知ったらきっと皆レイ様のことを好きになると思います…。
…ア、アリスだって…。」
サーシャは頬を染めながら可愛らしくレイのことを話していたアリスを思い出す。…レイがアリスもその腕に抱いたのかもしれないと思うと、胸がぐっと苦しくなった。
そう考えるサーシャを他所にレイは首を横に振った。
「そんな立派な人間じゃない。いつもサーシャに嫌われるのが怖くてビクビクしてる臆病者だよ。おまけに獣人だ。俺を本気で好きになる人なんているはずないさ。
それに、サーシャは俺の好意が彼女に向けば良いと思ったみたいだけど、無理なんだ。
言っただろ?サーシャが唯一だって。
他の女性にやましい気持ちを持って触れたことは一度たりともない。」
「じゃあ、アリスとはー」
「尋ねて来たのは、あの一回きりだ。
…あの時は気が立っていて、手酷く追い返してしまったからね。それにあの世話役は変に甘ったるい匂いがして、近くにいると頭が痛くなるんだ。」
(…レイ様はアリスを抱いてなかった…!)
レイが触れるのは自分だけだと言う事実がサーシャには嬉しかった。
だが、同時にサーシャは自分の匂いが気になってきた。
(レイ様は獣人だから、匂いに敏感なんだわ…!
…もっと念入りに確認しておくんだった。)
「わ、私は大丈夫ですか?」
「…あぁ、ずっと嗅いでいたいほど、良い匂いだ。
身体の芯から熱くなるようなー」
うっとりとレイの瞳が蕩けるようにサーシャを見つめる。その熱い視線にサーシャは身体の奥から熱が溢れ出すような気がした。
慌ててサーシャはレイから目線を逸らす。
「と、ところで…レイ様…!
婚約前にしなきゃいけない儀式とは何ですか?」
「儀式…?」
レイは首を傾げた。
「…え?
お父様がレイ様の世界には婚約前の儀式があるってー」
「…あ、あぁ!うん、そうだったね…。」
レイは「子爵はそんな風に伝えたのか…」と一人呟くが、サーシャの耳には届かなかった。
「レイ様?」
レイは一回咳払いをすると、サーシャの手を握った。
「その…俺の世界では婚約前に二人の相性を確かめる必要があるとされている。」
「相性…。」
「あぁ…その…
身体を、重ねる…んだ。」
「身体を重ねる…
えっと…抱き合うとかですか?」
(それなら前に何度かしたことあったはずだけどー)
「いや、もっと…ちゃんと…。」
「もっと?!
って…ど、どこまでですか?」
レイの顔は赤く染まり、耳がピクピクと動く。
「あー、えっと…最後まで。中に出す…まで。」
サーシャの顔はかーっと赤くなる。
(この夜着を着た時から、なんとなくそれに近い何かなのかも…とは思ってたけどー
まさか最後までだなんて…!そ、それに中に出すなんて。こ、子供が出来ちゃうかもしれないのに…。)
サーシャの頭にはレイに良く似た、耳と尻尾の生えた天使の様な獣人の子が浮かぶ。その可愛らしさに、何も言わず一人ぼーっと空想に浸るサーシャを見て、レイは肩を落とした。
「好きな奴がいないとは言え…嫌だよね。
ごめん…。
でもー」
「嫌だなんて思ってません!
確かに緊張はするけど…こ、こういうことをするなら、レイ様とじゃなきゃ嫌、です。」
「サーシャ…。」
「…こんな身体だけど…愛してくれますか?」
レイは再び悲しそうに眉を下げた。
「こんな身体なんて今は言わないで…。
俺には愛しくて堪らないと言ったでしょう?」
レイはそう言うと、サーシャをベッドに押し倒した。
サーシャの心臓はバクバクと音を立てる。緊張と恥ずかしさで逃げ出したくなるほどだ。
しかし、同時に嬉しくて堪らなかった。
大好きなレイに女性として愛してもらえるということが。自分が一生手に入れることが出来ないと思ってたものを、他の誰でもないレイが与えてくれるということが。
サーシャの口からは自然に気持ちが溢れ出ていた。
「レイ様…好きです。」
レイの動きが止まる。
レイは自分の都合の良い幻聴かと思ったが、確かにサーシャの瞳はレイへの好意を伝えていた。あんなに求めてやまなかった番から愛されるという喜びにレイは震えていた。
そして同時にその喜びはそう長くは続かないこともレイは分かっていた。サーシャを長年苦しませてきた痣がレイの所為だと知れば、きっとサーシャは自分を恨むだろうと思った。
何も答えないレイにサーシャは真っ直ぐな気持ちをぶつけた。
「ずっと…ずっとレイ様のお側にいたいです。」
レイの瞳は揺れる。
そう出来たら、どんなに幸せだろうと思う。
「…俺もだよ。
出来ることなら…ずっとサーシャと生きていきたい。」
サーシャの胸には、喜びが広がる。
こんなに幸せな瞬間が自分に訪れるなんて信じられなかった。痣のせいで、結婚も恋をすることでさえも諦めてきたのに、この痣を含めてレイは自分を愛してくれるんだと思ったら、レイへの想いで苦しいくらいだった。
「…レイ様が、欲しいです。沢山愛して。」
レイは思う。
たった一度の交わりだとしても…
今夜だけは…愛し愛される番同士として、サーシャを愛し尽くし、この全身でサーシャに愛を伝えよう、と。
「サーシャ…愛してる。」
レイはサーシャの柔らかな小さな唇に唇を重ねる。
そして、そっと花の痣に手を這わせた。
本当に格好悪いね、俺。」
そう言ってレイは涙を拭い、照れたように笑った。
「いえ、落ち着いたようで良かったです。
…大丈夫ですか?何かありましたか?」
「いや、久し振りにサーシャに会えたから感動したんだ。俺自身を拒否された訳じゃなかったと知れて、すごく嬉しかったし。」
サーシャは酷くレイを傷付けてしまったことを改めて実感し、申し訳なく思う。
(それにレイ様は知らないけど、この花がどんな花かちゃんと伝えないと…。全部話すと決めたんだから。)
サーシャはレイを見つめる。
「本当にごめんなさい…。実はこの痣の花はー」
「忌み花、でしょ。」
サーシャは息を呑む。
「知ってたんですか…!」
「あぁ、その花が忌み花と呼ばれる理由も、この世界でどんな存在の花であるかも聞いた。けど、異世界から来た俺にはそんなの関係ない。…ただの、綺麗な花だよ。
でも……サーシャを苦しめたって意味では本当に忌々しい花だよね。」
レイはそう言って眉を下げた。
「私も…初めて見た時は、綺麗な花だなって思いました。勿論この痣で辛い思いもしたから、今も好きだとは言えないけど…。」
「そう…。」
レイのどこか悲しげな表情を見て、レイはこの花に何か思い入れがあるのかもしれないな、と思った。
暫しの沈黙が二人の間に流れた後、サーシャはずっと気になっていたことを尋ねた。
「レイ様は…
何故、突然婚約の申し入れに来られたんですか?それに申し入れだけなら、お手紙だけでも良かったのに。」
「……サーシャのお父様に御礼を言いたかったんだ。
サーシャを育ててくれて、ありがとうございますって。」
「御礼を伝えに?なんで、そこまでー」
サーシャが不思議に思い聞き返すと、レイはその銀色の瞳でサーシャを捉えた。その真剣な眼差しにサーシャは動けなかった。
「あぁ。サーシャは俺が愛せる唯一だから…。」
「唯一…?」
「うん。」
けれど、サーシャはそこまで自分に価値があるとは思えない。レイのような高貴で素敵な男性であれば、欠陥のある自分なんかを選ばなくとも、もっと若く美しい女性とも縁できると思った。実際、あんなに美しいアリスの心を射止めたんだから。
「でも、レイ様は強くて、優しくて、格好良くて…
私なんかには勿体ないお方です。今はまだみんな慣れてないけど、レイ様のことを知ったらきっと皆レイ様のことを好きになると思います…。
…ア、アリスだって…。」
サーシャは頬を染めながら可愛らしくレイのことを話していたアリスを思い出す。…レイがアリスもその腕に抱いたのかもしれないと思うと、胸がぐっと苦しくなった。
そう考えるサーシャを他所にレイは首を横に振った。
「そんな立派な人間じゃない。いつもサーシャに嫌われるのが怖くてビクビクしてる臆病者だよ。おまけに獣人だ。俺を本気で好きになる人なんているはずないさ。
それに、サーシャは俺の好意が彼女に向けば良いと思ったみたいだけど、無理なんだ。
言っただろ?サーシャが唯一だって。
他の女性にやましい気持ちを持って触れたことは一度たりともない。」
「じゃあ、アリスとはー」
「尋ねて来たのは、あの一回きりだ。
…あの時は気が立っていて、手酷く追い返してしまったからね。それにあの世話役は変に甘ったるい匂いがして、近くにいると頭が痛くなるんだ。」
(…レイ様はアリスを抱いてなかった…!)
レイが触れるのは自分だけだと言う事実がサーシャには嬉しかった。
だが、同時にサーシャは自分の匂いが気になってきた。
(レイ様は獣人だから、匂いに敏感なんだわ…!
…もっと念入りに確認しておくんだった。)
「わ、私は大丈夫ですか?」
「…あぁ、ずっと嗅いでいたいほど、良い匂いだ。
身体の芯から熱くなるようなー」
うっとりとレイの瞳が蕩けるようにサーシャを見つめる。その熱い視線にサーシャは身体の奥から熱が溢れ出すような気がした。
慌ててサーシャはレイから目線を逸らす。
「と、ところで…レイ様…!
婚約前にしなきゃいけない儀式とは何ですか?」
「儀式…?」
レイは首を傾げた。
「…え?
お父様がレイ様の世界には婚約前の儀式があるってー」
「…あ、あぁ!うん、そうだったね…。」
レイは「子爵はそんな風に伝えたのか…」と一人呟くが、サーシャの耳には届かなかった。
「レイ様?」
レイは一回咳払いをすると、サーシャの手を握った。
「その…俺の世界では婚約前に二人の相性を確かめる必要があるとされている。」
「相性…。」
「あぁ…その…
身体を、重ねる…んだ。」
「身体を重ねる…
えっと…抱き合うとかですか?」
(それなら前に何度かしたことあったはずだけどー)
「いや、もっと…ちゃんと…。」
「もっと?!
って…ど、どこまでですか?」
レイの顔は赤く染まり、耳がピクピクと動く。
「あー、えっと…最後まで。中に出す…まで。」
サーシャの顔はかーっと赤くなる。
(この夜着を着た時から、なんとなくそれに近い何かなのかも…とは思ってたけどー
まさか最後までだなんて…!そ、それに中に出すなんて。こ、子供が出来ちゃうかもしれないのに…。)
サーシャの頭にはレイに良く似た、耳と尻尾の生えた天使の様な獣人の子が浮かぶ。その可愛らしさに、何も言わず一人ぼーっと空想に浸るサーシャを見て、レイは肩を落とした。
「好きな奴がいないとは言え…嫌だよね。
ごめん…。
でもー」
「嫌だなんて思ってません!
確かに緊張はするけど…こ、こういうことをするなら、レイ様とじゃなきゃ嫌、です。」
「サーシャ…。」
「…こんな身体だけど…愛してくれますか?」
レイは再び悲しそうに眉を下げた。
「こんな身体なんて今は言わないで…。
俺には愛しくて堪らないと言ったでしょう?」
レイはそう言うと、サーシャをベッドに押し倒した。
サーシャの心臓はバクバクと音を立てる。緊張と恥ずかしさで逃げ出したくなるほどだ。
しかし、同時に嬉しくて堪らなかった。
大好きなレイに女性として愛してもらえるということが。自分が一生手に入れることが出来ないと思ってたものを、他の誰でもないレイが与えてくれるということが。
サーシャの口からは自然に気持ちが溢れ出ていた。
「レイ様…好きです。」
レイの動きが止まる。
レイは自分の都合の良い幻聴かと思ったが、確かにサーシャの瞳はレイへの好意を伝えていた。あんなに求めてやまなかった番から愛されるという喜びにレイは震えていた。
そして同時にその喜びはそう長くは続かないこともレイは分かっていた。サーシャを長年苦しませてきた痣がレイの所為だと知れば、きっとサーシャは自分を恨むだろうと思った。
何も答えないレイにサーシャは真っ直ぐな気持ちをぶつけた。
「ずっと…ずっとレイ様のお側にいたいです。」
レイの瞳は揺れる。
そう出来たら、どんなに幸せだろうと思う。
「…俺もだよ。
出来ることなら…ずっとサーシャと生きていきたい。」
サーシャの胸には、喜びが広がる。
こんなに幸せな瞬間が自分に訪れるなんて信じられなかった。痣のせいで、結婚も恋をすることでさえも諦めてきたのに、この痣を含めてレイは自分を愛してくれるんだと思ったら、レイへの想いで苦しいくらいだった。
「…レイ様が、欲しいです。沢山愛して。」
レイは思う。
たった一度の交わりだとしても…
今夜だけは…愛し愛される番同士として、サーシャを愛し尽くし、この全身でサーシャに愛を伝えよう、と。
「サーシャ…愛してる。」
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