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第二章
27.恋バナ
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後期試験の結果は散々だった。
前回は二位だったのに、今回は六位まで順位を落としてしまった。
いまいち試験に集中出来ていなかったと自分でも反省している。
今回も首位はライル様、そして二位はソフィアだ。
ついでにリィナは二十八位とかなり順位を落としていた。
ソフィアは今回かなり自信があったようで、その分非常に悔しがっていたが、もはや満点を取るしかないんだわ…!と新たに闘志を燃やしていた。
ライル様とはあの時以来、会話をしていない。相変わらず忙しいせいなのか、私を避けているのか、試験が始まる直前に来て、試験が終わるとすぐに帰ってしまっていた。
今でもリィナと逢瀬を重ねているのか分からないが、私にはそれを知る手立ても、度胸もなかった。
今日は久々にソフィアに誘われて、貴族街のカフェテリアに来ていた。ここのカフェテリアは、ソフィアのお父様が所有しているお店らしく特別室に案内してもらえた。
…さすがルデンス公爵家。
「やっと後期試験が終わったわね。
私もよく我慢したものだわ!」
ソフィアはそう言って、紅茶を一口飲むと、それを味わうように目を閉じた。そんなに試験が終わるのが待ち遠しかったのだろうか。
「そうだね。ソフィア、二位、おめでとう!」
「まぁ、今回はアンナが本調子じゃなかったからね。」
「へ?別に体調崩してなかったけど…」
「体調じゃないわよ。色んなことに心乱されてたでしょ?最近よくぼーっとしてるし。」
「え…そ、そんなことー」
ない、と答える前に私の眼前にソフィアがずいっと迫る。
……すごい圧だ。今日は逃げられないかも……。
「ほら、洗いざらい話しなさい。」
「な、何を話すって言うの?」
「いいわ、話しにくいなら質問形式にするから。
んー…どれから話してもらおうかしら?」
「ど、どれからって…」
「まずは殿下とのことでしょ?勿論お兄様のことも聞かなきゃいけないし。ユーリも最近様子がおかしいしね。」
ライル様と、ジョシュア様はともかく……。
「ユーリ?……ユーリに何かあったの?」
「あれ?違ったかしら?
ユーリ、最近元気ないでしょ?私はてっきりアンナ関連かと思ったんだけど…」
「ううん。私、知らない……。
ユーリが元気ないのも…気付いてなかった……。」
自分のことでいっぱいで、ユーリの変化に気付かなかった自分が恥ずかしい。困った時には一番に力になりたい、と思ったばかりなのに。
私が俯くと、机上に置かれた手にソフィアの手が添えられる。暖かくて、柔らかい手だ。
「そんなに落ち込まないの。私の勘違いかもしれないし。それに、ユーリは私もちゃんと見てるから大丈夫。」
「うん、ありがとう…。」
「そんな、御礼を言われるようなことしてないわ。ユーリは私にとっても大事な友人だもの。」
ソフィアはそう言って優しく笑う。その笑顔でソフィアがユーリのことを大切に思っていることが分かり、私まで嬉しくなる。
「そっか…。嬉しいな、二人が仲良くなってくれて。」
「ふふっ。そうね。私もアンナがいなかったら、ユーリのようなタイプとは友人になれていなかったと思う。
……いつもアンナは私の世界を広げてくれるわ…ありがとう。」
「私は何もしてないよ!皆、ソフィアと話して、ソフィアの魅力に気付くだけ。」
本当にそうだと思う。ソフィアは美しくて、可愛くて、優しくて、賢くて、完璧な公爵令嬢なんだもの!出会った時からずっと彼女は私の憧れだ。
ソフィアは照れたように視線を落とす。
「魅力だなんて…アンナは大袈裟なんだから。
それに魅力があるのは、アンナの方でしょ?殿下に続いて、お兄様も夢中にさせてるんだから。」
「…なっ!!」
なんでソフィアがジョシュア様の気持ちを知ってるの?!
私の心を見透かすようにソフィアはニコッと笑った。
「ふふっ。ずっと知ってたわよ、お兄様がアンナに想いを寄せていることくらい。」
「ず、ずっと?!」
「えぇ。トマスさんとのことをアンナが解決してあげた時から。お兄様からも聞いてたし。」
「えぇ?!ソフィアに言ってたの?!」
もう驚きすぎて、空いた口が塞がらない。
「えぇ。諦めた方がいいとは分かってるんだがーって悩んでたことがあったのよ。あのいつでも自信たっぷりのお兄様が、よ?
だから、アンナは殿下が好きで、婚約したわけじゃないってことを教えてあげたの。
というか、ようやくお兄様は自分の気持ちをアンナに伝えたのね。」
「はっ!!……いや、何というかー」
これはバレてよかったのかな?!ジョシュア様も私みたいなのに告白したことなんて隠してて欲しかったんじゃー
「別に隠さなくてもいいじゃない。おめでたいことよ。頭でばっかり考えて、言い訳ばかりのお兄様が一歩踏み出したんですもの。」
ジョシュア様…随分な言われよう…。
ソフィアは満足そうに頷いた後、また一口手元の紅茶を美味しそうに嚥下した。紅茶のふわっとした芳醇な香りが漂う。
「……で、でもー」
私がジョシュア様の想い人なんて、ソフィアは嫌じゃないだろうか…?
「私はアンナが義理姉になってくれたら、嬉しいわ。」
「え、えぇ?!」
話が飛躍しすぎている。
大体私はライル様の婚約者で…。
「本心よ。
アンナと家族になれたら…と何度夢見たことか。」
二人で手を取り合って、色んな行事に出ることを想像する。
…確かにそれはとても楽しいような気がした。
「…そりゃあ私もソフィアと家族になれたら嬉しいけどー」
それでも、やっぱり私の脳裏に浮かぶのはライル様で…。ずっと話してもいない、喧嘩したままだと言うことを思い出し、胸がツキンと痛む。
ティーカップの中で揺れる紅茶に映る私は、不安そうに揺れていた。
「ふふっ。やっぱり殿下への気持ち自覚したのね?」
「へ?」
ソフィアの言葉に思わず顔を上げるー
が、すぐにそれを後悔した。
ソフィアはフフッと声を出して笑う。
「目が泳いでるし、顔も真っ赤よ。感情隠すの下手なんだから、正直に話せば良いじゃない。まぁ、話したくないなら、止めるけど。」
「あ…ご、ごめん。
話したくないわけじゃ…ない、の。
ただ……は、恥ずかしくて…。」
俯きがちにボソボソと喋れば、向かい側に座るソフィアからは小さくため息が漏れた。
……もしかして、呆れられたのかな?と、不安になった次の瞬間、ソフィアがぽそっと呟いた。
「はぁ……可愛い。」
「…は、はぁ?!」
私は恥ずかしくなって、ついはしたない声を上げてしまう。ソフィアの厳しい目線が飛ぶ。
「アンナ。
令嬢が『はぁ?』なんて言うものじゃないわ。」
「ご、ごめん。」
怒られて肩を落とした私を見て、ソフィアが微笑む。
「ふふっ。で、どうする?
この話、止める?」
そう問われて…迷った。けれど、やっぱりソフィアに聞いて欲しかった。
杏奈の時も含めて、恋なんてしてこなかった私には、ライル様への恋心と、ジョシュア様から向けられる好意……とてもじゃないが一人で対処できそうになかったから。
私は、ティーカップを両手でぎゅっと握り、言った。
「……聞いて、ください。」
「そうこなくっちゃ!はい、どうぞ!」
ニッコニコと楽しそうにソフィアは私を見つめる。
私はポツポツとライル様への恋心を自覚した経緯とその後に喧嘩をしたこと、そしてジョシュア様から告白された流れを、リィナとのやり取りも含めて説明した。
私が全て話し終えると、ソフィアは眉を下げた。
「ライル様への気持ちを自覚したのは良いとして…
そのきっかけがリィナ…っていうのは、辛かったわね。」
「うん……。リィナもやけに自信があるようだったし、ライル様も会っていることは否定しなかったし……正直何を信じて良いのか分からないの。」
そう。ライル様を信じて良いのか分からない。
正直この一年間、ライル様ルートで発生したイベントは殆ど起こらなかった。ライル様があまりにもリィナを避け、私と一緒にいたので、最初は緊張していたイベントの日も途中からはそのイベントの時期が過ぎるとふと胸を撫で下ろす程度になっていた。ここ数ヶ月は学園自体にも来ていなかったし…。
けれど、ここに来て、二人は急接近している。私の見えない王宮の中で。ライル様ルートで王宮のシーンなど一度もなかったと言うのに。
グルグルと考えて俯く私にソフィアは言う。
「そんな時、お兄様から告白を受けて、気持ちが揺れてしまった…と。」
ドキッと胸が跳ねる。
ジョシュア様の真っ直ぐな紺碧な瞳を思い出してしまう。
「気持ちが揺れるって言うか……
ずるいのは分かってるんだけど、真っ直ぐに嘘偽りなく私を想っているのが伝わってきて…嬉しかったの…。胸の奥がじんわり温かくなるような感じで…。
ライル様の婚約者である私は、そんなこと思っちゃいけない立場なのにー。」
「それに別にまだ結婚してないし、構わないんじゃない?他の人を想いながらも、政略結婚をする人だって沢山いるんだし。私は結婚したら、相手の方に誠意を尽くすべきだと思うけど、まだアンナは婚約者でしょ。
あと、人を好きになるきっかけなんて何でもいいじゃない。ずるくなんかないわ。」
「で、でも、そんな、好きとか……じゃ、まだなくて。
ジョシュア様をそんな風に見たことなかったから……。」
「分かってるわよ。でも、惹かれているアンナもいるってことでしょ。きっとお兄様はそれだけでも跳んで喜ぶわよ。」
ソフィアは悪戯に笑う。
ジョシュア様が跳んで喜ぶところを想像するが……
あまりにも似合わない。私は思わず吹き出してしまった。
「ぷっ。そんなはずないじゃない。」
「どうかしらね。
お兄様の名誉の為にこれ以上は黙っておくわ。」
そう言ったソフィアと顔を見合わせて、二人で声を上げて笑った。
前回は二位だったのに、今回は六位まで順位を落としてしまった。
いまいち試験に集中出来ていなかったと自分でも反省している。
今回も首位はライル様、そして二位はソフィアだ。
ついでにリィナは二十八位とかなり順位を落としていた。
ソフィアは今回かなり自信があったようで、その分非常に悔しがっていたが、もはや満点を取るしかないんだわ…!と新たに闘志を燃やしていた。
ライル様とはあの時以来、会話をしていない。相変わらず忙しいせいなのか、私を避けているのか、試験が始まる直前に来て、試験が終わるとすぐに帰ってしまっていた。
今でもリィナと逢瀬を重ねているのか分からないが、私にはそれを知る手立ても、度胸もなかった。
今日は久々にソフィアに誘われて、貴族街のカフェテリアに来ていた。ここのカフェテリアは、ソフィアのお父様が所有しているお店らしく特別室に案内してもらえた。
…さすがルデンス公爵家。
「やっと後期試験が終わったわね。
私もよく我慢したものだわ!」
ソフィアはそう言って、紅茶を一口飲むと、それを味わうように目を閉じた。そんなに試験が終わるのが待ち遠しかったのだろうか。
「そうだね。ソフィア、二位、おめでとう!」
「まぁ、今回はアンナが本調子じゃなかったからね。」
「へ?別に体調崩してなかったけど…」
「体調じゃないわよ。色んなことに心乱されてたでしょ?最近よくぼーっとしてるし。」
「え…そ、そんなことー」
ない、と答える前に私の眼前にソフィアがずいっと迫る。
……すごい圧だ。今日は逃げられないかも……。
「ほら、洗いざらい話しなさい。」
「な、何を話すって言うの?」
「いいわ、話しにくいなら質問形式にするから。
んー…どれから話してもらおうかしら?」
「ど、どれからって…」
「まずは殿下とのことでしょ?勿論お兄様のことも聞かなきゃいけないし。ユーリも最近様子がおかしいしね。」
ライル様と、ジョシュア様はともかく……。
「ユーリ?……ユーリに何かあったの?」
「あれ?違ったかしら?
ユーリ、最近元気ないでしょ?私はてっきりアンナ関連かと思ったんだけど…」
「ううん。私、知らない……。
ユーリが元気ないのも…気付いてなかった……。」
自分のことでいっぱいで、ユーリの変化に気付かなかった自分が恥ずかしい。困った時には一番に力になりたい、と思ったばかりなのに。
私が俯くと、机上に置かれた手にソフィアの手が添えられる。暖かくて、柔らかい手だ。
「そんなに落ち込まないの。私の勘違いかもしれないし。それに、ユーリは私もちゃんと見てるから大丈夫。」
「うん、ありがとう…。」
「そんな、御礼を言われるようなことしてないわ。ユーリは私にとっても大事な友人だもの。」
ソフィアはそう言って優しく笑う。その笑顔でソフィアがユーリのことを大切に思っていることが分かり、私まで嬉しくなる。
「そっか…。嬉しいな、二人が仲良くなってくれて。」
「ふふっ。そうね。私もアンナがいなかったら、ユーリのようなタイプとは友人になれていなかったと思う。
……いつもアンナは私の世界を広げてくれるわ…ありがとう。」
「私は何もしてないよ!皆、ソフィアと話して、ソフィアの魅力に気付くだけ。」
本当にそうだと思う。ソフィアは美しくて、可愛くて、優しくて、賢くて、完璧な公爵令嬢なんだもの!出会った時からずっと彼女は私の憧れだ。
ソフィアは照れたように視線を落とす。
「魅力だなんて…アンナは大袈裟なんだから。
それに魅力があるのは、アンナの方でしょ?殿下に続いて、お兄様も夢中にさせてるんだから。」
「…なっ!!」
なんでソフィアがジョシュア様の気持ちを知ってるの?!
私の心を見透かすようにソフィアはニコッと笑った。
「ふふっ。ずっと知ってたわよ、お兄様がアンナに想いを寄せていることくらい。」
「ず、ずっと?!」
「えぇ。トマスさんとのことをアンナが解決してあげた時から。お兄様からも聞いてたし。」
「えぇ?!ソフィアに言ってたの?!」
もう驚きすぎて、空いた口が塞がらない。
「えぇ。諦めた方がいいとは分かってるんだがーって悩んでたことがあったのよ。あのいつでも自信たっぷりのお兄様が、よ?
だから、アンナは殿下が好きで、婚約したわけじゃないってことを教えてあげたの。
というか、ようやくお兄様は自分の気持ちをアンナに伝えたのね。」
「はっ!!……いや、何というかー」
これはバレてよかったのかな?!ジョシュア様も私みたいなのに告白したことなんて隠してて欲しかったんじゃー
「別に隠さなくてもいいじゃない。おめでたいことよ。頭でばっかり考えて、言い訳ばかりのお兄様が一歩踏み出したんですもの。」
ジョシュア様…随分な言われよう…。
ソフィアは満足そうに頷いた後、また一口手元の紅茶を美味しそうに嚥下した。紅茶のふわっとした芳醇な香りが漂う。
「……で、でもー」
私がジョシュア様の想い人なんて、ソフィアは嫌じゃないだろうか…?
「私はアンナが義理姉になってくれたら、嬉しいわ。」
「え、えぇ?!」
話が飛躍しすぎている。
大体私はライル様の婚約者で…。
「本心よ。
アンナと家族になれたら…と何度夢見たことか。」
二人で手を取り合って、色んな行事に出ることを想像する。
…確かにそれはとても楽しいような気がした。
「…そりゃあ私もソフィアと家族になれたら嬉しいけどー」
それでも、やっぱり私の脳裏に浮かぶのはライル様で…。ずっと話してもいない、喧嘩したままだと言うことを思い出し、胸がツキンと痛む。
ティーカップの中で揺れる紅茶に映る私は、不安そうに揺れていた。
「ふふっ。やっぱり殿下への気持ち自覚したのね?」
「へ?」
ソフィアの言葉に思わず顔を上げるー
が、すぐにそれを後悔した。
ソフィアはフフッと声を出して笑う。
「目が泳いでるし、顔も真っ赤よ。感情隠すの下手なんだから、正直に話せば良いじゃない。まぁ、話したくないなら、止めるけど。」
「あ…ご、ごめん。
話したくないわけじゃ…ない、の。
ただ……は、恥ずかしくて…。」
俯きがちにボソボソと喋れば、向かい側に座るソフィアからは小さくため息が漏れた。
……もしかして、呆れられたのかな?と、不安になった次の瞬間、ソフィアがぽそっと呟いた。
「はぁ……可愛い。」
「…は、はぁ?!」
私は恥ずかしくなって、ついはしたない声を上げてしまう。ソフィアの厳しい目線が飛ぶ。
「アンナ。
令嬢が『はぁ?』なんて言うものじゃないわ。」
「ご、ごめん。」
怒られて肩を落とした私を見て、ソフィアが微笑む。
「ふふっ。で、どうする?
この話、止める?」
そう問われて…迷った。けれど、やっぱりソフィアに聞いて欲しかった。
杏奈の時も含めて、恋なんてしてこなかった私には、ライル様への恋心と、ジョシュア様から向けられる好意……とてもじゃないが一人で対処できそうになかったから。
私は、ティーカップを両手でぎゅっと握り、言った。
「……聞いて、ください。」
「そうこなくっちゃ!はい、どうぞ!」
ニッコニコと楽しそうにソフィアは私を見つめる。
私はポツポツとライル様への恋心を自覚した経緯とその後に喧嘩をしたこと、そしてジョシュア様から告白された流れを、リィナとのやり取りも含めて説明した。
私が全て話し終えると、ソフィアは眉を下げた。
「ライル様への気持ちを自覚したのは良いとして…
そのきっかけがリィナ…っていうのは、辛かったわね。」
「うん……。リィナもやけに自信があるようだったし、ライル様も会っていることは否定しなかったし……正直何を信じて良いのか分からないの。」
そう。ライル様を信じて良いのか分からない。
正直この一年間、ライル様ルートで発生したイベントは殆ど起こらなかった。ライル様があまりにもリィナを避け、私と一緒にいたので、最初は緊張していたイベントの日も途中からはそのイベントの時期が過ぎるとふと胸を撫で下ろす程度になっていた。ここ数ヶ月は学園自体にも来ていなかったし…。
けれど、ここに来て、二人は急接近している。私の見えない王宮の中で。ライル様ルートで王宮のシーンなど一度もなかったと言うのに。
グルグルと考えて俯く私にソフィアは言う。
「そんな時、お兄様から告白を受けて、気持ちが揺れてしまった…と。」
ドキッと胸が跳ねる。
ジョシュア様の真っ直ぐな紺碧な瞳を思い出してしまう。
「気持ちが揺れるって言うか……
ずるいのは分かってるんだけど、真っ直ぐに嘘偽りなく私を想っているのが伝わってきて…嬉しかったの…。胸の奥がじんわり温かくなるような感じで…。
ライル様の婚約者である私は、そんなこと思っちゃいけない立場なのにー。」
「それに別にまだ結婚してないし、構わないんじゃない?他の人を想いながらも、政略結婚をする人だって沢山いるんだし。私は結婚したら、相手の方に誠意を尽くすべきだと思うけど、まだアンナは婚約者でしょ。
あと、人を好きになるきっかけなんて何でもいいじゃない。ずるくなんかないわ。」
「で、でも、そんな、好きとか……じゃ、まだなくて。
ジョシュア様をそんな風に見たことなかったから……。」
「分かってるわよ。でも、惹かれているアンナもいるってことでしょ。きっとお兄様はそれだけでも跳んで喜ぶわよ。」
ソフィアは悪戯に笑う。
ジョシュア様が跳んで喜ぶところを想像するが……
あまりにも似合わない。私は思わず吹き出してしまった。
「ぷっ。そんなはずないじゃない。」
「どうかしらね。
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