親友に彼女を寝取られて死のうとしてたら、異世界の森に飛ばされました。~集団転移からはぐれたけど、最高のエルフ嫁が出来たので平気です~

くろの

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二章 復讐と集団転移編

第16話 君が隣にいてくれるから

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 目を覚ますと、顔中が控えめな弾力に包まれていた。


 ――この固いといえば固いのに、その中にほんのりと柔らかさがある絶妙な配分……間違いない、メアの胸だ。
 
 俺はまだぼーっとしている頭で万一聞かれたら半殺しになりそうなことを考えながら、そのまますべすべの肌と、時折掠める先端の感触を心ゆくまで堪能する。
 
 やがて、意識がはっきりしてきて――同時に、昨日の出来事を思い出す。

 けれどもう取り乱したりはしなかった。
 少しだけ、心の奥がチクリと痛んだだけだ。

 俺はゆっくりとメアから離れ、立ち上がり、

「……ありがとな、メア」

 そっと彼女の頬を撫で、ログハウスから出た。
 
 早朝の森は空気がひんやりしていて気持ちいい。
 特に、股間を冷たい風が抜けると謎の背徳感がある。
 特に気にする理由もないので全裸で出て来たが、正解だったな。

 ログハウスの犠牲になった切り株の一つに座り、何となく空を見上げる。
 天気は晴れ。ゆったりと雲が流れる穏やかな朝だ。
 大木の枝葉が風に揺れ、時折差し込む陽の光が温かく、心地がいい。
 光が股間に当たると表があったかくて裏だけ冷たい……面白いなこれは。

 とまあ、現実逃避はこのくらいにしないと。

「ふぅ……どうしたもんかなぁ」

 俺は改めて昨日の出来事を思い返し、ため息を吐く。

 メアのおかげで一旦は落ち着いたが、正直どうしたらいいのか分からない。
 
 晴野七海──ナナ。まさかあいつがこの世界に来ていたとは。
 正直全く予想してなかった。
 俺以外にも転移者がいるとすら考えてなかったし、仕方ないっちゃ仕方ないが。

 存在自体が恐怖の対象だったが、会った途端あんな風に取り乱すとは。
 普通に自分で自分の反応に驚いた。

 というかナナがいたということは、あいつも……俺を裏切った親友も、この世界にいるかもしれないのか。
 ナナのことは問い詰めたが、あいつとは話すらしていない。
 果たして、顔を合わせた時自分がどうなってしまうのかは……全く分からない。
 
 そうでなくてもナナがこの世界にいるというだけで、親友がこの世界にいるかもしれないと考えるだけで、気分が悪くなってくる。
 せっかく異世界に来て、メアと出会って、過去と決別できたと思っていたのに。
 あいつらはまだ俺を苦しめるのか。

 石紅たちの事は可哀そうだし、どうにかしてやりたいとは思う。
 だが、これ以上彼らと関わるくらいなら、いっそ――

「いっそ、この森から逃げてしまいましょうか」

 考え込む俺に、背後から声が掛かる。
 世界で一番安心する声が。

「メア、それは……って、なんでお前も服着てないの?」
「オウガイさんのが脱ぎ捨ててあったので。そういうのがご所望なのかなぁと」

 振り返ると、メアは全裸だった。
 超美形のエルフが朝日のまばらに差し込む森で全裸で立っている。
 うん、実に絵になる。
 
 いやそうじゃなく。

「音出してお前を起こしたくなかっただけだよ。……昨日は、だいぶ気を遣わせたからな」
 
 守られ、お姫様抱っこされ、泣き喚いているところを慰められ、そして最後は別の意味でぐちゃぐちゃに慰められた。
 全裸に驚いたが、今は顔を見て話をするのも恥ずかしいくらいだ。

「私がやりたくてやったことなのでお気遣いなく。それに、最後の方は好きに楽しませてもらいましたし」
「——っ」

 妖艶な笑みを浮かべるメアを見ていると、途端に顔が熱くなってくる。
 それから、昨日の記憶が鮮明に浮かび別のところも熱くなる。

「あは、まだしたりなかったですか?」

 それを見て彼女はニヤニヤしてこちらに詰め寄って来る。

「勘弁してくれ干乾びちまうよ……それより、森を出るってのは――」
「ああ、そうでしたね。……だって、これ以上ここに居てもオウガイさんが嫌な思いをするだけじゃないですか。魔法の練習にも便利で、愛の巣としても良い場所ではありますが、街で冒険者をしても似たようなことは出来ます。それはそれで楽しいと思いますよ?」

 メアは隣に座り、身を寄せ、真剣な目で真っすぐに見つめてくる。
 
「でも、それだと石紅たちを見捨てることになる」
「彼女のことは残念に思います。……でも、私にとって一番大切なのはオウガイさんです。これ以上、あなたが傷付くのを見たくはありません。だから、私の為にも森を出てください」

 メアの言葉には重みがあった。
 きっと、彼女は既に決めているのだ。
 俺の苦しみという、それだけを取り除くために数十人の未来を犠牲にする覚悟を。
 彼女にとっては同郷でもなんでもない知らない相手だ。
 だが彼女は、俺のためにその罪悪感を共に背負ってくれようとしている。

 ……本当に、愛されてるな。
 
 気付けば俺は苦笑していた。
 全く、メアには頭が上がらない。
 夜も大体俺が下なのに、昼間もこうなっちゃ形無しだ。 

 そんな風に、何気ないこの時間に、メアの言葉の一つ一つに、俺は幸せを感じられるようになった。
 元の世界にいた頃の俺からは考えられないくらい、凄いことだ。

 ——けど、石紅たちは違う。

 この先彼女たちを待ち受けているのは、間違いなく不幸と絶望だ。
 転移だけでも参ってしまっているというのに、人の悪意が彼女たちをより苦しめようとしている。
 それは……あまりにも惨いと思う。

「あいつら、あのままじゃ悪い奴にいいようにされちまうんだよ……せっかくの異世界なのに、そんなのあんまりだろ」

 この世界に来て数日、紆余曲折はあっても俺は楽しかった。
 魔法を覚えたり、家を作ったり。前の世界より自由に感じた。

 そして何より、メアに出会えた。

 彼女との出会いは、間違いなく俺の人生で一番の幸福だ。
 この幸福を少しくらいお裾分けしたって、バチは当たらないだろう。
 ま、結婚式のブーケトスみたいなものだ。
 実際俺たちは婚約している訳だしな。

「俺は、あいつらを助けてやりたいよ。もちろん無理のない範囲でだけど」
 
 俺は真っすぐメアの目を見てそう言った。

「次にあの人に会ったら、昨日よりも嫌な思いをするかもしれませんよ? ……それでも、やるんですか?」

 メアは静かに問いかけてくる。
 まるで俺の覚悟を確かめるみたいに。

「その時はまた慰めてくれ。……それに何となくだけど、もう大丈夫な気がするんだよな。昨日は突然で驚いたけど、今は多分、メアが隣で手でも握っててくれれば普通に話せる気がする」

 ——君が隣にいてくれるから。
 何があっても離れないと、そう安心出来るから。
 だからきっと、この先何があっても大丈夫だと、そう思う。

「……分かりました。ではその時は今日以上にめちゃくちゃに犯してあげますから、楽しみにしていてくださいね♪」

 メアは呆れたように笑って、胸を押し当ててくる。

「そこが慰めるじゃなくて犯すなのがメアの残念なところなんだよなぁ……」

 彼女に釣られて、俺も笑った。

 胸はやっぱり固さが勝っていた。
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