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第1章 隣国への逃亡
第12話 愛と夢を文字に
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仲間たちと外出するのは、何度目になるか。
何時もは楽しいカフェ巡りだったが、今日はちょっと訳が違う。
「この店よ!さぁ、入りましょう」
中に入ると夫婦だろうか、私たちを値踏みするような嫌な目つきで見ていた。
「この品を、全て買い取りして欲しいの!」
私に代わって友人の気が強い彼女が、二人の相手をしてくれる。
「これは、小さいルビーだね。
ハンカチは絹か。
刺繍は丁寧で綺麗に出来てる」
(そのネックレスは、お給金を貯めて買ったモノなのよ)
「このドレスは、かなり古いね。
まぁシンプルだけど、手直ししないといけない。
これは手間がかかるねぇ~」
全て文句を言ってきて、まともな品ではないみたい。
グレースの曇りがちな顔をチラッと見て、友人は可哀想になり助け船を出す。
「そんなこと言って、私たちを騙してるのね!
知っていてよ、王宮で働く人が故郷に帰るからって安く買い叩いているんでしょう?!」
「あんた、何言ってるんだい!
聞き捨てならないセリフだね!」
二人の不穏な空気に、焦ってグレースが仲裁する。
「あのー、喧嘩をしないで下さいな。
いったい、お幾らぐらいになりますか?」
グレースが、青白い顔で亭主に聞いてみた。
「アンタが売り主かい!
なるほど、気の弱そうなお嬢さんだね!
フン、分かったよ!
全部で金貨1枚だ。
それ以上は出せない、他所をあたってくれよ」
(金貨1枚、これなら診察代は払えそう)
「はい、お願いします!」
グレースは即答した。
仲間は、それで良いのかという素振りをする。
「二人共、嫌な事を言わせてごめんなさいね。
これでいいのよ!
有難う、有難うございます!」
彼女が申し訳なさそうに礼を言うと、二人はニコリとして満足そうにしてくれた。
金貨1枚と給金を合わせて、彼女は実家に送金する。
便りの返事を待つ間にグレースは、どうしてこんな不幸が続くのか自身の生い立ちを振り返る。
前に嫌な事を文字に書いてスッキリすると、日記に書き綴ったと友人が話していたわ。
私も書いてみようかしら。
王妃様が遠くで働く女性たちに、郵便代を月に2回だけ無料で出せるようにしてくれていた。
それに合わせて、インクと紙は6ヶ月ごとに支給してくれている。
私は余り書くことが無いから、確か余っていたわよね。
どうせ書くなら自分の事でも、他人にして最後は幸せになる話が書きたいわ。
名前も設定も変えて、どんな物語にしようか。
彼女は、自身の果たせなかった愛される喜びを求めて書き出していた。
裏切られ罵倒され、悲しみから這い上がる未来をー。
書くたびに思い出す。
学園生活時代、自分への他生徒たちの噂話。
接点を持つために挨拶をして、嫌がられた婚約者の表情。
その彼の隣で、優越感を漂わす彼女。
あのピンクブロンドの髪と、美しいエメラルドの瞳に嫉妬していた。
私は平凡な栗毛、琥珀の瞳。
身分も下で、何一つ叶わない。
いいえ、成績だけは誰にも負けなかった。
それが誇りだった、私にはそれしか無かった。
かえってそれが、可愛くないと陰でなく直接言われていたけどね。
はっきり言えば良かった、浮気者と…。
紙の上では好き放題書けるのに、情けない自分がイヤになる。
書くことでモヤモヤが晴れる、物語の中で生き続けるもう一人の私。
段々減る紙とインクを不安になりつつ、物語を書き進めていた頃に実家から手紙が自分に届く。
小刻みに揺れて慌てて手紙の封を切ると、内容には送金の感謝と想いとは裏腹の返事。
「薬を飲めば元気になる。
薬は高価で、買うのが困難か…。あの屋敷には売るものは何も残ってないわ、きっと…。
どうして、神は私たちをお見捨てなさるのー!」
あぁ、もう書きたくても紙もインクもない!
母を助けたくても、お金がない!!
何もない、悲しいくらいにー!
こんな顔で、王妃様にお茶をお出しするなんて駄目だわ。
しっかりして、グレース!
王妃様に縋りついて情けを受ける!
きっとお優しいあの方は、医師を母のために診察へ寄越してくれるかも。
駄目よ!
そんな特別扱いを、あの王妃様にさせられない!!
大きな声で泣きたいが、隣で寝ている人に悪い。
悶々として、一人ベッドの中で声を抑えてシクシク泣き出していた。
何時もは楽しいカフェ巡りだったが、今日はちょっと訳が違う。
「この店よ!さぁ、入りましょう」
中に入ると夫婦だろうか、私たちを値踏みするような嫌な目つきで見ていた。
「この品を、全て買い取りして欲しいの!」
私に代わって友人の気が強い彼女が、二人の相手をしてくれる。
「これは、小さいルビーだね。
ハンカチは絹か。
刺繍は丁寧で綺麗に出来てる」
(そのネックレスは、お給金を貯めて買ったモノなのよ)
「このドレスは、かなり古いね。
まぁシンプルだけど、手直ししないといけない。
これは手間がかかるねぇ~」
全て文句を言ってきて、まともな品ではないみたい。
グレースの曇りがちな顔をチラッと見て、友人は可哀想になり助け船を出す。
「そんなこと言って、私たちを騙してるのね!
知っていてよ、王宮で働く人が故郷に帰るからって安く買い叩いているんでしょう?!」
「あんた、何言ってるんだい!
聞き捨てならないセリフだね!」
二人の不穏な空気に、焦ってグレースが仲裁する。
「あのー、喧嘩をしないで下さいな。
いったい、お幾らぐらいになりますか?」
グレースが、青白い顔で亭主に聞いてみた。
「アンタが売り主かい!
なるほど、気の弱そうなお嬢さんだね!
フン、分かったよ!
全部で金貨1枚だ。
それ以上は出せない、他所をあたってくれよ」
(金貨1枚、これなら診察代は払えそう)
「はい、お願いします!」
グレースは即答した。
仲間は、それで良いのかという素振りをする。
「二人共、嫌な事を言わせてごめんなさいね。
これでいいのよ!
有難う、有難うございます!」
彼女が申し訳なさそうに礼を言うと、二人はニコリとして満足そうにしてくれた。
金貨1枚と給金を合わせて、彼女は実家に送金する。
便りの返事を待つ間にグレースは、どうしてこんな不幸が続くのか自身の生い立ちを振り返る。
前に嫌な事を文字に書いてスッキリすると、日記に書き綴ったと友人が話していたわ。
私も書いてみようかしら。
王妃様が遠くで働く女性たちに、郵便代を月に2回だけ無料で出せるようにしてくれていた。
それに合わせて、インクと紙は6ヶ月ごとに支給してくれている。
私は余り書くことが無いから、確か余っていたわよね。
どうせ書くなら自分の事でも、他人にして最後は幸せになる話が書きたいわ。
名前も設定も変えて、どんな物語にしようか。
彼女は、自身の果たせなかった愛される喜びを求めて書き出していた。
裏切られ罵倒され、悲しみから這い上がる未来をー。
書くたびに思い出す。
学園生活時代、自分への他生徒たちの噂話。
接点を持つために挨拶をして、嫌がられた婚約者の表情。
その彼の隣で、優越感を漂わす彼女。
あのピンクブロンドの髪と、美しいエメラルドの瞳に嫉妬していた。
私は平凡な栗毛、琥珀の瞳。
身分も下で、何一つ叶わない。
いいえ、成績だけは誰にも負けなかった。
それが誇りだった、私にはそれしか無かった。
かえってそれが、可愛くないと陰でなく直接言われていたけどね。
はっきり言えば良かった、浮気者と…。
紙の上では好き放題書けるのに、情けない自分がイヤになる。
書くことでモヤモヤが晴れる、物語の中で生き続けるもう一人の私。
段々減る紙とインクを不安になりつつ、物語を書き進めていた頃に実家から手紙が自分に届く。
小刻みに揺れて慌てて手紙の封を切ると、内容には送金の感謝と想いとは裏腹の返事。
「薬を飲めば元気になる。
薬は高価で、買うのが困難か…。あの屋敷には売るものは何も残ってないわ、きっと…。
どうして、神は私たちをお見捨てなさるのー!」
あぁ、もう書きたくても紙もインクもない!
母を助けたくても、お金がない!!
何もない、悲しいくらいにー!
こんな顔で、王妃様にお茶をお出しするなんて駄目だわ。
しっかりして、グレース!
王妃様に縋りついて情けを受ける!
きっとお優しいあの方は、医師を母のために診察へ寄越してくれるかも。
駄目よ!
そんな特別扱いを、あの王妃様にさせられない!!
大きな声で泣きたいが、隣で寝ている人に悪い。
悶々として、一人ベッドの中で声を抑えてシクシク泣き出していた。
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