【完結】魔がさし令嬢の国外逃亡は恋の予感

愚者 (フール)

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第4章  真実の愛を求めて

第5話 本が語るもの

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 夕食後に彼は、またグレースの本に呼ばれるかのように読みだした。
人を惑わす本か。
確かに、自分は今まさにそうだ。

カルロスは、令嬢の学園生活を文字の中で体験していた。

婚約者とは疎遠そえん、成績を落とせば退学になる彼女は勉学をするしかなかった。
反対に婚約者は、女性関係が派手はでになっていく。

カトリーナ嬢の男性番か。
複雑な思いをして、カルロスは読み続ける。

決定的な場面だ!

卒業パーティーのドレスを相談するために、令嬢が婚約者を探している。
そこには肩を寄せ座る男女は、愛をささやき言葉をわしていた。
彼女は震えながら、物陰ものかげで話を聞いてしまう。

今日見てしまった事柄ことがらを父親に相談すると、両親も婚約者の浮気話を知っていた。

彼女は婚約者にも、実の両親にも裏切られる形になる。

カルロスは読んでいて余りにも不憫ふびんな令嬢に、カトリーナ嬢とは違うあわれみを感じた。

結局は浮気を認め、その浮気相手の令嬢を選ぶ婚約者。
婚約破棄の慰謝料いしゃりょうは、援助した金があてがわれた。
彼女は捨てられた女扱いで、貴族のメイドとして働くために家を出ることになる。

酷い婚約者だとカルロスは思うが、自分も当てはまるので一瞬息がまる思いをした。

何とも、今はこれを読むのが心底辛い状況ばかりが書かれていた。

  幸せになって欲しいと願いながら読み始めていた表情が、またまた険しくなっていく。

令嬢は実家に、休暇で帰省していた。
山火事からの災害から復興し、借金も令嬢からの給金の送金を足して返金できた。
だが、相変わらず貧乏貴族であった。

令嬢の母親が、長年の疲労がたまったのか体調を崩してしまったのだ。
帰省してから知った現実に、令嬢はこの先どうしたら良いか悩むのである。

「どうして、私に手紙で知らせなかったのです!!
母上がこんなに弱ってしまっていたなんて…」

令嬢は泣きながらこぶしを握り、父親と弟を非難した。
帰りの馬車から見た、領地や領民を見て安心して喜んでいたのにー。

読んでいた彼も、令嬢の気持ちと心が重なっていた。
結局は不幸のまま終わるのか。
それでは、悲劇すぎるのではないか。
続きを読むのが、やめたくなる内容。

首を左右に軽く振り、目線を本に向けて読みだした。

  令嬢は休暇の間を、母親の看病と屋敷とは呼べない屋敷の掃除に食事の準備と毎日忙しく働いた。
こんな事を、毎日長年していたから母は倒れたのよ!
伯爵家で働いていた時より、大変で重労働だわ。
令嬢は伯爵家の仕事を辞めて、実家に戻る決意をした。

「姉上、お辛くありませんか?
戻られたら、必ず元婚約者の話が耳に入りますよ」

弟は婚約破棄をされて、故郷から遠く離れて1人で働く姉を哀れに思って話す。

「構いません、そんな事より母や家が大事です!
もしかして、それを気にして知らせなかったの?!」

「姉上…、私は…」

「なら、私を侮辱ぶしょくしている。
私は彼を元婚約者を、もう何とも思ってないのだからー!」

令嬢は周りに気遣いされ、情けない気持ちになっていた。
行き遅れの結婚適齢期をすぎた女性だから、これが逆で男性なら何も言われなかったの。
これが男女格差、男性は独身でもこんなに情けなくはないものね。

弟が下を向き自分の顔を見ない態度で確信して、自虐気味じぎゃくぎみに声を出さずに笑う。

 最後まで読み終えると、顔が涙と鼻水で酷い有り様だった。
ハンカチを用意するのを忘れたのを後悔しつつ、慌てて探してハンカチできながら大きく息をついた。

明日、朝食の席で顔を会わせたくないなぁ。
目がれて泣いたのがわかるはずだ。

でも、いい話だった。

令嬢の最後の気持ちは、書いた作者のグレースの願望の表れなのだろうか?!
閉じた本の表紙を触りながら、本の感想をそう考える。

    翌朝、自分の顔を朝見て食堂に行きにくかった。
入った瞬間に、父と妹は自分の顔を見ていた。

父は納得の表情で、気持ちがわかると笑っている。

妹はなにそれの表情で、少し馬鹿にしてる風である。

席に着くとお祈りをして、食べ始めた。

「お兄様、そんなにグレースの本は感動するの?!
男性である、父上やお兄様までお泣きになるなんて!
私には想像が出来ませんわ。クスクス」

2人の男性たちはそう小馬鹿こばかにして笑う、娘と妹の言葉に顔をお互いに向けた。

息子の複雑な表情を見て、父アキシミアンは娘に優しくさとす。

「ベアトリス、泣く泣かないは人それぞれ。
感じるのもだ。本は読まなくして語れないよ」

兄のカルロスも父の話に、静かに軽くうなづいて妹へチラり視線を向ける。

父の話にベアトリスは素直に返事をしてみたが、そんなに泣くほどかと思っていた。
兄カルロスからちょっと聞いた、令嬢たちの言い争い相談していたからだ。

後日、ベアトリスは自分が父や兄に言った言葉を恥じていた。

グレースの本は、彼女を淑女としての行い。
そして、近い将来に貴族の夫人としての考えを改めるきっかけになる本になったのだ。
書きしめしたグレースの文章は、ベアトリスに多大な影響を与える。

それにより彼女の事を、一生涯尊敬するのであった。
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