【完結】魔がさし令嬢の国外逃亡は恋の予感

愚者 (フール)

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第4章  真実の愛を求めて

第7話 奥底にある想い

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  そんな話題になってるとは知らずに、グレースは銀食器をみがいていた。
独りではない、王都の屋敷で仲良くなった二人のメイドと会話をしながらだ。

「グレースさんも変わってるわよね。
普通に私たちに、お茶を頼めるのに立場なのに」

「私は客人扱いですが、元々は他国の貧乏貴族ですからね。
メイドをしてる方が気が楽なの」

グレースは、ザィールに来てから4ヶ月っていた。

王都には偶然だがタイラー父様こと、グレースを送り届けてくれた馭者ぎょしゃが住んでいる。
タイラー父様に、休日をもらって会いに行きたいなぁと考えて食器を磨いていた。

「そう言えばカルロス様の新しい婚約者は、何方どなたになるのかしらね?!」

「あのカトリーナ様でないなら、何方でもいいんじゃない?!」

二人が代わる代わるに、後継ぎになるカルロスの新たな婚約者の話に盛り上がっていた。

「やはり、気はなりますか?」

グレースがメイドたちに聞くと、笑いながら答えてくる。

「当たり前よ!
未来の女主人になるのだから。
私たちに直接かかわり合いにはならないけど、奥様から当たられたら大変よ」

「そうそう、上級メイドに当たり散らされるのが1番下ですもの!
優しい気立ての良いお方を選んで欲しいわ」

王宮メイドたちとそう大してて変わらないのね。
綺麗に磨かれたフォークを、丁重にそっとしまう。


  ベアトリスは、グレースの本が最終局面さいしゅうきょくめんに入っていた。

主人公グリシーヌーが独りに住む家には、父親頼んだ村長そんちょう家族が様子を見に訪れている。

何しろ屋敷のメイドの仕事はこなせるが、畑に関してはズブの素人しろうとなのだ。
くわの使い方から肥料ひりょうまき、そして種の巻き方や水やりの調節まで村長の息子さんが手取り足取り教えてくれた。

「すみません、1から教えてくれて助かります」

「いいって、礼はいらないぜ。
辛くはないか?!
お嬢さん暮らしをしていたんだろう?」

「いいえ、メイドの仕事はしてました。
ただ身体を使う畑仕事は、全然違いますね」

二人は最初は畑に関する話しかしなかったが、今では少しづつであるが自分たちのことを話し合ったりした。
お昼のお弁当も、二人分グリシーヌが作ったりしていた。

「グリシーヌさんの弁当は美味うまいな!」と、彼が照れながら笑う顔を彼女もまた笑顔で返していた。

昔の思い出が、突如頭によみがえってくる。
あの時に婚約者とこんなふうに話をしていたら、もっと互いに理解が深まってー。
今頃は…、もしかしたら…。
木の下で敷物の上に座って、軽く頭を振る。
前を向き、耕している場所を見つめて言う。

「やっと、畑らしくなってきたわ。
実りがあると良いけどね」

「そうだなぁ、食べるものがなかったら家に来いよ。
親父もお袋も歓迎するはずだ」

何故か、二人は顔を赤くするのであった。

ベアトリスは本を読みながら胸をときめかして、誰も居ない自室で独り言をいう。

「あーっ、嘘ーでしょう!!
これって相思相愛そうしそうあいなの?!
最後の最後に、恋愛の話がくるのね。
まさに、真実の愛だわぁ!」

ドキドキして胸が高鳴りながら、ベアトリスは読む。

何せ、今まで暗い領地の災害で婚約破棄。
主人の恋愛による、令嬢たちのいじめに心を痛めてる主人公。
家庭環境による帰郷ききょう

ダメ押しに、貴族世界からの別れによる平民の独り暮らしだ!
これは本人の意志いしだが…。

「君は貴族でこの領主の娘だ。
身分が違う、でも俺は…」

彼を見つめ、彼の言葉を待った。
かつて婚約者に、一度も言われてこなかった言葉をー!

サーッと、爽やかな風が吹いた。
決心した表情で彼は、横に座るグリシーヌに告白した。

「身分以外は、姿は変わらない。
そして、愛を思う心もだ!
グリシーヌ、愛してる!
綺麗なドレスも宝石も与えられない。
でも、真実の愛は毎日与えるよ!
生きている限り!」

グリシーヌは目を彼に向けて、大粒の涙を流した。

「あぁ、本当に!
貴方は、私を愛して下さるの?!」

「今、目に映るのは君だ!
君しかいないよ!
俺と結婚したら平民になる。
それでも構わないか?!」

「えぇ、やっと私の求めた愛が…。
裏切られて、あきらめてた思いが…。
真実の愛を求めて!
この胸の中に、つかんで今ここにあるのね!」

彼女は胸元のあるリボンの飾りがシワができる位、強く強く握りしめて話す。
彼を見つめていた笑顔の瞳には、光り輝く涙がこぼれ落ちていた。
今までと違う、幸せな涙が…。

ベアトリスは泣きながら読みきり、主人公の思いと彼女を照らし合わせている。

そして、グレースの奥底にある希望を読み取った。
婚約破棄をされて心を傷つけながら、それでも愛を求め続ける女心をー!

兄の婚約者カトリーナ嬢も、グレースと同じ気持ちなのかしら?
二人は境遇きょうぐうも育った環境も違う、だが愛を求めていたの?!

私は、こんなにも恵まれていたとはー。
それなのに、その上の身分の令嬢をうらやましいがっていた。
なんて、傲慢ごうまんのだろうか!

家同士の政略結婚でも、気持ちはつながっているとお互いに感じている。
その気持ちを思いを、ずっと大切に大事にしなくてはー。

グレースに「真実の愛を求めて」に、この本の物語に感謝をしよう。
目を閉じ一筋の涙をまた流して、本を優しくで続けていた。



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