【完結】魔がさし令嬢の国外逃亡は恋の予感

愚者 (フール)

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第5章  永遠の愛をあなたに

第3話 母と娘の望み

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 風そよぐ天気の中で頼まれていた庭師が、はちに植えてある藤のなえを見せて説明をしていた。

「ご覧ください。
よく立派に育った苗です。
駄目になる可能性がありますので、数を多めにご用意致しました」

カルロスはくきがシッカリとする苗を確認して、庭師に満足げそうな顔をして礼をべる。

「ありがとう。
早速さっそくだが植えてみたい。
どこか、場所はあるか?」

「もちろんでございます!
旦那様の指示で、日当たりの良い場所に決まりました。
東屋あづまやが近くにありますので、お茶を飲みながら楽しめますよ」

庭師をともなって、みずから土を掘り越こし植えることにしてみた。
 
グレースは洗濯せんたくしたシーツをした場所に行くために、メイドたちとそのころ丁度ちょうどそこを歩く。
お客様が来ない日は、庭を横切るのを許されていたからだ。

「見て!カルロス様が何かを植えていらっしゃるわ」

「あんな事をするなんて意外ですわね!
いったい、何を植えてるのかしら?」

メイドたちは、将来の当主のする事がすべてが気になるよう。

グレースも気になりながらも、真剣に作業している彼を歩きながら眺めていた。

カルロス様が学園をご卒業して、あの仮面祭りを終えて1ヶ月があっという間に過ぎ去る。

あまり接点せってんが無くグレースは、ベアトリスの家庭教師以外はメイドの仕事をしていて過ごす日々。
今では、タイラー父様と話す機会の方が多くなっている。

「タイラー父様、仮面祭りから日がたちましたね。
私はドロシーさんが気になりまして、彼女は旦那様を亡くされてお一人ですの?」

グレースは仮面の館で、独りで店をするドロシーを気になっていたのだ。

「息子さん夫婦が近くにいるぜ。
店は体が動けるまでやりたいそうだ。
グレースは気にしてくれていたんだな。
たまには、ドロシーに会いに行ってやれ!」

「服を買わなくても、訪問していいのかしら?!」

悩む顔つきでそう言うと、聞いていて吹き出し笑いをする。

「ハハハ、気にしなくて平気だ!祭りでいっぱい稼いでるさ」

またクッキーでも作り、カーター父様とドロシーさんの店に行く約束をするのだった。

 ベアトリスとアデラは、カルロスがグリシーヌを植えたのを執事長しつじちょうから報告されていた。

「お母様!お兄様が、そろそろ本格的ほんかくてきに動くつもりですわ」

「フフフ、そうみたいね。
我が息子はちゃんと告白出来るか、母としては気がかりよ」

エーレンタール侯爵の女性たちは、奥手おくてのカルロスの話で盛り上がっている。

「もしもですが、グレースが受けて承諾しょうだくしたら…。
お母様たちはどうしますか?
ご実家は言いづらいですが、とても貧しいみたいですわ」

娘は思い切って母に、嫁ぐさい持参金じさんきんを心配になり伺ってみた。

「ベアトリス、持参金はグレース自身よ。
彼女はかしこいし、とてもつつしみ深い。
カルロスが当主になったら、彼に適切な助言を与えてくれる。
そんな貴重な女性に、持参金なんて必要ないわ」

アデラとマキシミアンは二人の間の話し合いで、この理由でマロー子爵家から持参金はいっさい無しで嫁がせる予定をしている。

「お母様のおっしゃる通りですわ。
グレースは、メイド仕事にも精通せいつうしてます。
未来の侯爵夫人として、社交しゃこうだけが問題ですわね」

ベアトリスは侯爵令嬢で、未来の公爵夫人。
生まれた時から、社交はお手のものである。
社交という綺羅きやびやかな世界に、えんがない貧乏生活を過ごしてきたのだ。

「彼女の場合は、それが気がかりです。
従事じゅうじしてきた宮中きゅうちゅうで、それらを見聞きして知っているはずだわ。
せめてもの救いです。
私たちが目を光らせ、見守ってあげれば平気ですよ」

二人はグレースの婚礼衣装の話をすると、娘が母に相談してきた。

「お母様、2年後に私が結婚式をしますわ。
彼方の公爵家が承諾したら、お兄様と御一緒にしませんこと?!」

「何と言うことを言うのです!
ベアトリス、それは公爵家に失礼に当たりますよ。
貴女たちを先にするのが礼儀です。
カルロスたちはその後!カトリーナ嬢の件もありますからね」

母の話を聞いていると、何故か彼女はカトリーナのいまの現状を知りたくなる。

「カトリーナ嬢は、どうされているのかしら?
お母様は何か聞いていて、ご存知ぞんじてますか?!」

アデラは夫からカトリーナ嬢の牢屋ろうやでの様子を聞いて知っていたが、目の前の娘には知らせない方がよいと考えた。

「さぁ、知らないわね。
マキシミアンには、一度だけ聞いてみたわ。
でもね、刑期中けいきちゅうは中の様子は分からないみたいなの」

アデラがもっともらしい返事をすると、娘ベアトリスも一応は納得した。
それからはグレースにどんな言葉で告白をするのか、話題はそれになりお茶の続きをして想像しながら楽しむのである。



    
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