【完結】魔がさし令嬢の国外逃亡は恋の予感

愚者 (フール)

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第5章  永遠の愛をあなたに

第4話 ドロシーの苦言

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 前日にドロシーさんのお土産として、クッキーとミートパイ焼いたのを用意していた。
少し多めに焼いてので、タイラー父様とベアトリス様にも差し上げるつもり。
もう1つ渡せないのが手元にあるが、グレースは会えなさそうなので自分が食べようと思っていた。

誰かが、自分の部屋をノックする。
今日は午後から休みのはずなのに、首をかしげて扉を開くとー。

「こんにちは、グレース嬢!
お天気も良いし、今から庭でお茶でも如何いかがかなぁ?!」

カルロス様が少し緊張した面持おももち、目の前で私に向けて話をしてくれた。

「あの、すみません。
今からタイラー父様と、仮面かめんやかたへ。ドロシーさんに会いに行く予定です」

手鼻をくじかれてガッカリしたが、ドロシーさんには大会のお世話とお礼を言っていないのに気がつく。

「では、私もお礼を言いたいな。屋敷から菓子を用意しようではないか。
馬車は私も行けば我が家のを使えるし、辻馬車つじばしゃを使わずにすむ。
これは、かなりお得ではないか!」

カルロスは、グレースの性格を見抜き始めていた。
執事長やメイド長メリッサから、彼女の事を何気に聞き出した成果だ。 
お得の言葉に、なぜか非常に弱いと…。

「えっ、宜しいのですか?!
ドロシーさんも、カルロス様に会えて喜びますわよ!」

彼はグッと我慢がまんし、今日は告白をするのはあきらめる。

目の前で喜ぶ笑顔を見れて、それで十分に幸せで満足ではないか。
それにいきなり誘うのでなく、予定を聞いてから方が良いのではと悩んだ。
彼はその容姿に似合わない、恋愛経験なしの今どき珍しいじゅんな若者。

 タイラーは約束の門の前で待っていたら、侯爵家の乗りなれれた。
いつも使っている馬車が1台近づいてきた。

「タイラー父様!
カルロス様も、ご一緒したいそうですわ」

グレースが喜び馬車の中から声をかけると、彼も笑顔でタイラーに話しかける。

「タイラー殿、私もドロシーさんに優勝の礼を言いたいのだ。
いいだろうか?!」

次期当主であり、雇い主に言われては断れない。
3人は馬車で、ドロシーがいる仮面の館へ向かう。

 仮面の館の前に着くと、彼はいきなり扉を開けた。
無作法にも、いきなりドロシーに呼びかける。

「よう!景気けいきはどうだ。
ドロシー、会いに来たぜ」

あきれ顔の彼女は、客がいたらどうするんだとタイラーに怒鳴りつける。

「客なんか。
何処にもいないだろう?!」

グレースたちは、仮面祭りの優勝の礼を改めて言う。

「ほぉ~、それでタイラーは飲み代に困んなくなったのかい?」

ドロシーはからかう様に、タイラーに向かい聞き出す。

「まぁな!母ちゃんに8枚渡して、残り7枚はもらったよ。
でもさぁ、結局全部を渡した。
たまにいい酒を出してくれるように頼んだ」

「お前も侯爵家で働くようになって、やっと少しはかしこくなったもんだ!
これも、グレースのお陰だね。
アハハハ」

二人の会話を嬉しそうに聞くグレースを、隣で優しげな眼差しで見つめるカルロス。

「グレース!すまないが、前にカフェがある。
ポットを持っていって、コーヒーと紅茶を買ってきてくれないかい?」

ドロシーはポットを2つ、カーターとグレースに渡す。

「この貴族の坊っちゃんは、留守番だよ!目立つからね」 

二人はドロシーの言われた通りに、店を出て行く。

 ドロシーはカルロスにカップと、お菓子を皿に並べる用意をさせた。

「あんた、グレースに告白するんだね!
顔と態度で丸分かりだよ!」

話してないのに、ズバリ当てられて真っ赤な顔をした。

「わかりやすいですか?!
でも、気づいて欲しい人は気づかないのです」

精神的に若い彼にため息をつき、そしてよかれと思い苦言をするのである。

「いいかい!好きなら結ばれるのが、当たり前と思ってはいけないよ!
あんたは侯爵になるんだろう?」

「ドロシーさん、家族全員がグレース嬢を望んでいます!
確かに、侯爵家に嫁ぐのは大変ですが!
私が彼女を守ります」

目の前の若者の言葉と表情を見て、もう一度厳しく言い聞かせる。

「お前さんは貴族の嫡男ちゃくなんだ!
祖先を残さなくてはならないんだよ。
グレースに世継ぎがなかなか出来なかったら、側室をと周りがきっと言い出す。
そうしたら、アンタはどうするんだい?!」

彼女の質問に返事するのを躊躇ちゅうちょするカルロスを見て、ドロシーは続ける。

「いいかい!婚姻とは、生半可なまはんかでは駄目だ。
男はいいさ!
たが、女性にしたらたまったもんじゃない。
愛した男を取られて、他の女と見比べられるんだよ。
よく考えて、グレースに不安を与えてはいけない」

カルロスは、かみなりに打たれたように感じた。
ドロシーの話はもっともで、グレースを思っているからこそ自分に嫌な事を言ってくれた。

「助言を有り難く受け取ります。もう一度よく考える。
でも、私はグレース嬢と一緒に歳をとっていきたいのです!」

ドロシーは彼の返答に優しげな眼差しになり、首を一度ハッキリ縦に振ってみせた。
この男は信じられると、心の底から確信したからである。
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