【完結】魔がさし令嬢の国外逃亡は恋の予感

愚者 (フール)

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第5章  永遠の愛をあなたに

第24話 王宮への道

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 マロー子爵の屋敷で夕食後、王宮への招待にグレースたちは驚くのだった。
グレースは、婚約者になるカルロスと二人きりで話をしている。
エテルネルに来る前、エーレンタール侯爵夫人の話を思い出していた。

「アデラ様が出発前、どうしてパーティーで着て行くようなドレスや宝石を持たせたのか。
いまやっと、納得しましたわ」

「私もだ。
なぜ礼装を荷物に中に入れられたか、不思議に思っていたよ」

最初からエテルネルの王妃様と、侯爵家で内密で連絡を取り合っていたのだろうか。

「でも、もし王妃様にお声をかけられたら…。
機会があるかもしれません。
あの渡された指輪を、お返しする事が出来ますわ。
女官長さまが、この世におられないのは残念で仕方ありませんが…」

もの悲しげな顔をしている自身の姿が、彼の美しい青い瞳に映すのを確認すると。
グレースは、真っ赤になり顔を下に向けた。
照れる彼女を可愛いと思い、なにか喜ばしたいと彼は考える。

「そうだ、グレース。
王妃様にー、イヤ誰でも良い。
女官長様が、眠っておられる場所を伺おうではないか。
日程を変えて女官長様に会い行ってから、ザイールに戻ろう」

婚約者の提案に治まりかけた赤い顔をまた真っ赤に変え、彼に思い切り抱きついてお礼を伝える。

「よろしいですか?
カルロス様、有難うございます。
女官長様にお会いできる。
貴方様のお気持ちが、とても嬉しゅうございます」

そんな喜びをあらわにしてきた、婚約者の小さな体を強く抱きしめた。

 
    本日は、王宮で開催される夜会の前日である。

「すっかり伺うのを忘れてしまいましたが、お父様やお母様は失礼ですが…。
夜会に着ていく服は、ご用意してございますの?!」

前日になり慌てて心配をしだす、どこか抜けた娘である。

「ホホホっ、グレース。
昔のドレスですが、今風に作り変えをしました。
あの貴族の夫人方にお顔が広い。
ポレット夫人にお手紙を出したら、快く受けて頂きました。
旦那様とご一緒に服を作り直しました」

「たぶん、二度と王宮などへは呼ばれることもあるまい。
わざわざ新しく、服を作ることはないだろう。
それに我が家は、たかだか子爵だ。
誰も気にする方もおるまい」

婚約者のザイールの名門エーレンタール侯爵令息は、この両親の元で成長した彼女の質素倹約の原点を発見した。

「もうお二人共、カルロス様があきれておられますよ。
両親揃って、すみません」

グレースは照れ笑いして彼に言い出すと、彼はいい考えではないかと婚約者の両親の案に賛成する。
王宮の晩餐会の話題と笑いが、部屋を和やかにさせていた。

 
    翌日の夕方、いよいよパーティーの当日になる。
成人前の弟のパトリックはお留守番で、4人はエレンタール侯爵の馬車に乗り王宮に馬車を走らせた。

「エーレンタール侯爵令息、馬車に同乗させて下さり感謝します」

「私たちには、馬車なんて高価な代物がございませんので助かりますわ」

父と母は、カルロス様に丁重にお礼を申し上げてくる。

エーレンタール侯爵夫妻はこのコトまでも予想して、立派な馬車をご用意してくれたの?
旅は長く座り放しは大変だからと、持っている馬車でいい馬車を出してくれたと馭者ぎょしゃのタイラー父様がおっしゃってましたわ。

「気にしないで下さい。
エテルネルの王宮は、初めてのなので貴重な体験が出来て此方こそ感謝しておりますよ」

カルロスの会話が功を奏したのか、両親は私たちにも言いかけて笑っていた。

「お父様とお母様は、社交界デビューの新年のご挨拶で陛下たちのご尊顔とお言葉を賜っていらっしゃるのでは?
私はその点は一番知ってますよ。裏方ですかね」

「言われてみれば、グレース嬢は王宮で働いていたのですから。
パーティーの給仕もしておられたのですか?」

「えぇ、人が足りない時はしてましたよ。
凄く緊張しましたわ。
人にぶつからないように、飲み物を渡すのはヒヤヒヤものでした」

馬車の中では4人の笑い声が、外で手綱たづなを握るタイラーにも聞こえそうである。
この御者タイラーも4人には内緒だが、侯爵夫妻から正装用の服を持たされていたのであった。

「エテルネル国の王宮か…。
平民の出の、この俺がー。
馭者とはいえ、王宮に入るなんてよ。
生きていると、人生いろいろな事が起きるもんだ。
気をつけて粗相そそうのないようにしないと、お前たち頼んだぞ」

彼は優しく、馬たちに手綱で合図を送るのであった。

会いたかった人と、もう二度と会いたくない人。

まさか、この王宮のパーティーでグレースが鉢会う。
その舞台になる王宮は、目と鼻の先に迫ってきた。




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