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第5章 永遠の愛をあなたに
第27話 復讐は華麗に大胆に
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目の前にいるのはやり切れない感情を文章に書き、気持ちを整理して鎮めようとした元凶の人たち。
昔と今の自分を、心の中で戦っている。
横に寄り添ってくれている彼に、そんなみっともない姿や動揺を見せたくなかった。
しかし、体は無意識に震えだす。
どうすることも出来ずに、彼らに目が離せず。
ただ情けなく、こうして立ちすくむ。
カルロスは生まれて初めて、侯爵の息子という身分を使うことにした。
身分をひけらかすのは恥じることだから、今までは出来るだけしないと決めていた行為である。
どうしても、あの男を許せない。
確かにカトリーヌ嬢に対して自分もしてはならぬ態度をしていたが、これとあれとは違う。
この男は堂々と浮気をして、グレースの信頼と愛情を裏切ったのだ。
「グレース、あの二人に復讐をしないか?
そうすることで、君はキッパリと過去の自分に区切りをつけてくれないか?
私が側にいるし、必ずや助けよう」
「…、復讐?
いったい、何をされるの?!
すっかり過去のことです。
カルロス様、あちらに参りましょう。
美味しいお料理でも、二人で食べに行きましょ」
彼女は彼の腕を引っ張って、料理が並んでいる場所に移動させようとしていたが…。
腕をそっと手をどかすと、カルロスは独りで彼等のいる所へ歩き出してしまった。
「カルロス様!
どちらに行きますの。
お待ちになって下さい!」
彼の後を戸惑いつつも、彼女は後を追うのだ。
「やぁ、ご機嫌よう。
ザイール国から来て、初めて王宮のパーティーに参加してます。
私は、カルロス・エーレンタール侯爵の嫡男です。
あなた方は、どちらのお方ですか?」
彼がとびっきりの笑顔で話すと、彼女は少しだけ顔を赤らめている。
グレースはその態度の変わりように、ムカついてきて腹が立つのだ。
急ぎカルロスの側に近づく先には、酷い事を言っては自分を馬鹿にして傷つけた二人。
あの元婚約者と、浮気相手の憎き伯爵令嬢シャロン。
「あっ、あの。カルロス様。
コチラの方は、私が以前に家同士で婚約をしていた。
御相手の方ですわ」
仕方なく彼女が間を取り持って、話しかけることにした。
「あぁー、あれかー!
確か、婚約者がいながら浮気していた男女か!
グレース嬢のような賢い女性を選ばないで、この方を選んだのかい?
心から君には、感謝している。
お陰でエーレンタール家は、理想の女性が嫁ぐのだからな」
侯爵令息の痛烈な批判は、周りの客人の注目を浴びて話題になってしまう。
「グレース、お前は!
私たちに恥をかかせて、破棄された恨み言を言いにわざわざ来たのか!」
幼なじみで元婚約者の男は、眉間にシワ寄せて彼女を怒鳴りつけてくる。
もう、昔の負け犬ではないわ!
あの大人しいだけの、何も言えなかった自分ではない!
「貴方様とは、もう関係ございませんわ。
グレース等と、名を呼び捨てはおやめ下さいませ。
それに、お二人は婚姻されたのでしょう?
身分はー、覚えている限り子爵でしたわよね。
でしたら、陛下から今日より父が伯爵を賜りました。
なので、身分は伯爵令嬢でございます」
意地悪く笑いながら横のカルロスの腕を取り、馬鹿にしたように二人に拒絶の言葉を放った。
前の二人は学園時代からの彼女の変わりように、口をダラシなく開けて目を大きくさせ見ている。
「それだけではない。
私と婚姻するのだから、未来の侯爵夫人が約束されている。
このような無礼な態度をするなら、外交を通じて抗議致すぞ」
あのお姫様のようだったシャロンの顔が、一瞬で醜く歪んでいた。
「こんな…、こんな侮辱ないわ!
あの地味な女がー。
この私より、身分が高くなるなんて!
貴方と婚姻など、しなければ良かったわ」
彼女は人の目をかえりみず、グレースと横にいた夫である元婚約者に捨て台詞を言う。
そして逃げさるようにドレスの裾を乱暴に掴むと、振り返り走るように会場の出口に向かっていた。
その姿を見ては、何ごとかと眺める招待客たち。
「あらあら淑女とはいえぬ、不様な格好ですこと」
「ほら、子爵夫人が帰って行きましたよ。
貴殿も、彼女の後を追わなくても良いのか?!」
二人が笑いながら元婚約者に忠告すると、彼は何も言わずにワナワナ震えて彼女を追って小走りに去っていく。
「…なんで、私はー。
あんな方を、少しでも好意を持っていたのかしらね。
それにね。
学生時代より太って、くたびれて見えました。
比べられないほど、カルロス様は素晴らしい方です」
「それは、嬉しい褒め言葉だ。
これで気分は晴れて、少しはスッキリしたかい?
意地悪で、勇敢なお嬢さん」
二人が顔を合わせてケラケラ笑い出すと、彼女は聞き慣れた曲に合わせて瞳をキラキラさせた。
「さぁね、どうかしら!?
次に流れる曲は、私たちの思い出のワルツみたいよ。
この曲だけは、誰にも負けないわ。
素敵な、王子様。
どうか、私と踊って下さいませんか?」
「愛しき姫よ。
光栄でございます。
今宵は、二人で踊り明かしましょう」
頭を下げて差し出された彼の手に、重ねるように手を置いた。
おとぎの国のお姫様のような彼女を、令嬢たちは羨ましげに横目で見ている。
アデラに無理矢理に練習をさせられた、あのワルツを優雅に笑いながらステップを踏む。
そんな楽しげな二人を離れていた場所から、複数の目が優しく微笑んで見守っていた。
グレースは彼と踊りながら、彼らと対峙して臆病で逃げてばかりの自分。
そんな昔の弱かった自分に、やっと別れを遂げたのである。
昔と今の自分を、心の中で戦っている。
横に寄り添ってくれている彼に、そんなみっともない姿や動揺を見せたくなかった。
しかし、体は無意識に震えだす。
どうすることも出来ずに、彼らに目が離せず。
ただ情けなく、こうして立ちすくむ。
カルロスは生まれて初めて、侯爵の息子という身分を使うことにした。
身分をひけらかすのは恥じることだから、今までは出来るだけしないと決めていた行為である。
どうしても、あの男を許せない。
確かにカトリーヌ嬢に対して自分もしてはならぬ態度をしていたが、これとあれとは違う。
この男は堂々と浮気をして、グレースの信頼と愛情を裏切ったのだ。
「グレース、あの二人に復讐をしないか?
そうすることで、君はキッパリと過去の自分に区切りをつけてくれないか?
私が側にいるし、必ずや助けよう」
「…、復讐?
いったい、何をされるの?!
すっかり過去のことです。
カルロス様、あちらに参りましょう。
美味しいお料理でも、二人で食べに行きましょ」
彼女は彼の腕を引っ張って、料理が並んでいる場所に移動させようとしていたが…。
腕をそっと手をどかすと、カルロスは独りで彼等のいる所へ歩き出してしまった。
「カルロス様!
どちらに行きますの。
お待ちになって下さい!」
彼の後を戸惑いつつも、彼女は後を追うのだ。
「やぁ、ご機嫌よう。
ザイール国から来て、初めて王宮のパーティーに参加してます。
私は、カルロス・エーレンタール侯爵の嫡男です。
あなた方は、どちらのお方ですか?」
彼がとびっきりの笑顔で話すと、彼女は少しだけ顔を赤らめている。
グレースはその態度の変わりように、ムカついてきて腹が立つのだ。
急ぎカルロスの側に近づく先には、酷い事を言っては自分を馬鹿にして傷つけた二人。
あの元婚約者と、浮気相手の憎き伯爵令嬢シャロン。
「あっ、あの。カルロス様。
コチラの方は、私が以前に家同士で婚約をしていた。
御相手の方ですわ」
仕方なく彼女が間を取り持って、話しかけることにした。
「あぁー、あれかー!
確か、婚約者がいながら浮気していた男女か!
グレース嬢のような賢い女性を選ばないで、この方を選んだのかい?
心から君には、感謝している。
お陰でエーレンタール家は、理想の女性が嫁ぐのだからな」
侯爵令息の痛烈な批判は、周りの客人の注目を浴びて話題になってしまう。
「グレース、お前は!
私たちに恥をかかせて、破棄された恨み言を言いにわざわざ来たのか!」
幼なじみで元婚約者の男は、眉間にシワ寄せて彼女を怒鳴りつけてくる。
もう、昔の負け犬ではないわ!
あの大人しいだけの、何も言えなかった自分ではない!
「貴方様とは、もう関係ございませんわ。
グレース等と、名を呼び捨てはおやめ下さいませ。
それに、お二人は婚姻されたのでしょう?
身分はー、覚えている限り子爵でしたわよね。
でしたら、陛下から今日より父が伯爵を賜りました。
なので、身分は伯爵令嬢でございます」
意地悪く笑いながら横のカルロスの腕を取り、馬鹿にしたように二人に拒絶の言葉を放った。
前の二人は学園時代からの彼女の変わりように、口をダラシなく開けて目を大きくさせ見ている。
「それだけではない。
私と婚姻するのだから、未来の侯爵夫人が約束されている。
このような無礼な態度をするなら、外交を通じて抗議致すぞ」
あのお姫様のようだったシャロンの顔が、一瞬で醜く歪んでいた。
「こんな…、こんな侮辱ないわ!
あの地味な女がー。
この私より、身分が高くなるなんて!
貴方と婚姻など、しなければ良かったわ」
彼女は人の目をかえりみず、グレースと横にいた夫である元婚約者に捨て台詞を言う。
そして逃げさるようにドレスの裾を乱暴に掴むと、振り返り走るように会場の出口に向かっていた。
その姿を見ては、何ごとかと眺める招待客たち。
「あらあら淑女とはいえぬ、不様な格好ですこと」
「ほら、子爵夫人が帰って行きましたよ。
貴殿も、彼女の後を追わなくても良いのか?!」
二人が笑いながら元婚約者に忠告すると、彼は何も言わずにワナワナ震えて彼女を追って小走りに去っていく。
「…なんで、私はー。
あんな方を、少しでも好意を持っていたのかしらね。
それにね。
学生時代より太って、くたびれて見えました。
比べられないほど、カルロス様は素晴らしい方です」
「それは、嬉しい褒め言葉だ。
これで気分は晴れて、少しはスッキリしたかい?
意地悪で、勇敢なお嬢さん」
二人が顔を合わせてケラケラ笑い出すと、彼女は聞き慣れた曲に合わせて瞳をキラキラさせた。
「さぁね、どうかしら!?
次に流れる曲は、私たちの思い出のワルツみたいよ。
この曲だけは、誰にも負けないわ。
素敵な、王子様。
どうか、私と踊って下さいませんか?」
「愛しき姫よ。
光栄でございます。
今宵は、二人で踊り明かしましょう」
頭を下げて差し出された彼の手に、重ねるように手を置いた。
おとぎの国のお姫様のような彼女を、令嬢たちは羨ましげに横目で見ている。
アデラに無理矢理に練習をさせられた、あのワルツを優雅に笑いながらステップを踏む。
そんな楽しげな二人を離れていた場所から、複数の目が優しく微笑んで見守っていた。
グレースは彼と踊りながら、彼らと対峙して臆病で逃げてばかりの自分。
そんな昔の弱かった自分に、やっと別れを遂げたのである。
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