104 / 124
第5章 永遠の愛をあなたに
第9話 真実の愛を
しおりを挟む
グレースとカルロスが交わした約束の日が、静かに訪れようとしていた。
二週間前と同じこの場所で、お茶はグレースが用意する。
使用人たちはカルロスが、彼女にお茶を頼んだとしか思っていなかった。
まったく怪しまれずに、二人きりでこうして対面できたのだ。
「カルロス様には、お待たせして申し訳ありませんでした。
私は何度も言いますが、地味で少しだけ勉学が出来るくらいしか取り柄はありません」
また謙遜しているのだと彼は、グレースの自信のなさに頭を痛める。
「そんな事はないよ。
このお茶はとても美味しいし、これだけでも心が休まる」
褒められて顔を真っ赤にさせたグレースは、前のように平然としていられなくなっていた。
目の前で自分を見つめる視線に、とても意識してしまうのである。
「け、けっ結論から申しますとー。
わ、私は貴方様がー!カルロス様をとても意識してます。
それは、私が貴方に好意を感じているからです」
吃ってまわりくどい言い方をする彼女に、カルロスは少しだけ理解する反応が遅れた。
「ごめん、それは私と同じ気持ちで合っているんだよね。
私と君は、両想いでいいんだよね!」
何度も確認するカルロスは、かなり慎重派の性格のようだ。
実の父に婚姻後の世継ぎの件で、側室拒否まで確約させる事は普通はしないだろう。
大きな琥珀と美しい青が、二つの瞳が同時に重なり合い。
グレースは、息が詰まりそうになりながらも必死に返事をする。
「不束な者ですが、カルロス様が好きなんです!
初めて馬車から顔をお出しになり、私に声を掛けて下さった。
あのとき、胸がドキドキとしました。
仮面祭りの舞台でも、それ以外でも沢山あります。
私ったら、何を言ってるのかしら」
話ながら立ち上がり、カルロスに向かって近づく。
そんな彼女に視線を向けたままでいる。
「真実の愛を毎日誓う。
命が尽きる限り、尽きても天国で誓うよ。
グレース嬢、愛しております」
彼も立ち上がり右手を胸に当てて、彼女に愛の誓いを立てた。
「真実の愛を求めてー。
ここに掴んで、この胸の中にあるのね。
カルロス様!」
グレースは、無意識に両手を組んで握り胸の前に重ねていた。
まるで、目の前にいる彼を神様に見立てて祈るかのように。
「カルロスって呼んでいいよ!グレース!!」
思いが通じ体が勝手に動く。
彼女をそっと抱き締めると、軽く唇にキスをした。
重なる唇は温かくて、お互いが1つになったように感じる。
そんな気持ちが高まっていて、時間が止まっている気がした。
この世には二人しか存在しない、そのような不思議な感覚。
その二人の幸福が絶頂の時を、またもオペラグラスで優雅に覗き見していた令嬢がいた。
「あーぁ~!
おっ、お父様!お母様!
あのお兄様が、ついにやりましてよ!
グレースと抱き合って、キスまでしましたわぁ~~!!!」
妹ベアトリスがオペラグラスで見たままを、馬鹿正直に近くに座る両親に実況していた。
興奮していたのが仇となり、恥じらいも忘れこと細やかに身ぶり手振りまでして報告する。
「あらまぁ、なんてはしたない娘でしょうか?!
兄の恋路を盗み見ては、声高に暴露するなんて!」
呆れ果てて、母アデラは額に手を押しあてて大袈裟に嘆く。
「アデラ、許してやれ!
それだけ、二人を心配しておったのだろう。
これから少しだけ、私たちも忙しくなるな。ハハハ!」
エーレンタール侯爵マキシミアンは、グレースの両親に向けて婚約を頼む手紙を書き使者を送るつもりでいた。
「ベアトリス。貴女が先に片付かないと、兄が安心してグレースを迎えられないわよ!
公爵令息に、絶対に捨てられない様に頑張りなさい」
オペラグラスをずらして口を尖らせ、母を軽く睨んでから小さな舌をちょっとだけ出して見せた。
その様子に、侯爵夫妻は吹き出して笑い始める。
明るい笑い声はもしかしたら愛する二人にも聞こえるかも知れないほどで、ベアトリスも加わりだんだんに大きくなっていく。
そんな二人は、一部始終を覗かれてるとは思わず、妹はちゃっかり両親に固く口止めをしていた。
二人が思いを通じあってからこの後、一年間は新たな国外追放の罪をこの国ザィールで償う日々を過ごす。
二週間前と同じこの場所で、お茶はグレースが用意する。
使用人たちはカルロスが、彼女にお茶を頼んだとしか思っていなかった。
まったく怪しまれずに、二人きりでこうして対面できたのだ。
「カルロス様には、お待たせして申し訳ありませんでした。
私は何度も言いますが、地味で少しだけ勉学が出来るくらいしか取り柄はありません」
また謙遜しているのだと彼は、グレースの自信のなさに頭を痛める。
「そんな事はないよ。
このお茶はとても美味しいし、これだけでも心が休まる」
褒められて顔を真っ赤にさせたグレースは、前のように平然としていられなくなっていた。
目の前で自分を見つめる視線に、とても意識してしまうのである。
「け、けっ結論から申しますとー。
わ、私は貴方様がー!カルロス様をとても意識してます。
それは、私が貴方に好意を感じているからです」
吃ってまわりくどい言い方をする彼女に、カルロスは少しだけ理解する反応が遅れた。
「ごめん、それは私と同じ気持ちで合っているんだよね。
私と君は、両想いでいいんだよね!」
何度も確認するカルロスは、かなり慎重派の性格のようだ。
実の父に婚姻後の世継ぎの件で、側室拒否まで確約させる事は普通はしないだろう。
大きな琥珀と美しい青が、二つの瞳が同時に重なり合い。
グレースは、息が詰まりそうになりながらも必死に返事をする。
「不束な者ですが、カルロス様が好きなんです!
初めて馬車から顔をお出しになり、私に声を掛けて下さった。
あのとき、胸がドキドキとしました。
仮面祭りの舞台でも、それ以外でも沢山あります。
私ったら、何を言ってるのかしら」
話ながら立ち上がり、カルロスに向かって近づく。
そんな彼女に視線を向けたままでいる。
「真実の愛を毎日誓う。
命が尽きる限り、尽きても天国で誓うよ。
グレース嬢、愛しております」
彼も立ち上がり右手を胸に当てて、彼女に愛の誓いを立てた。
「真実の愛を求めてー。
ここに掴んで、この胸の中にあるのね。
カルロス様!」
グレースは、無意識に両手を組んで握り胸の前に重ねていた。
まるで、目の前にいる彼を神様に見立てて祈るかのように。
「カルロスって呼んでいいよ!グレース!!」
思いが通じ体が勝手に動く。
彼女をそっと抱き締めると、軽く唇にキスをした。
重なる唇は温かくて、お互いが1つになったように感じる。
そんな気持ちが高まっていて、時間が止まっている気がした。
この世には二人しか存在しない、そのような不思議な感覚。
その二人の幸福が絶頂の時を、またもオペラグラスで優雅に覗き見していた令嬢がいた。
「あーぁ~!
おっ、お父様!お母様!
あのお兄様が、ついにやりましてよ!
グレースと抱き合って、キスまでしましたわぁ~~!!!」
妹ベアトリスがオペラグラスで見たままを、馬鹿正直に近くに座る両親に実況していた。
興奮していたのが仇となり、恥じらいも忘れこと細やかに身ぶり手振りまでして報告する。
「あらまぁ、なんてはしたない娘でしょうか?!
兄の恋路を盗み見ては、声高に暴露するなんて!」
呆れ果てて、母アデラは額に手を押しあてて大袈裟に嘆く。
「アデラ、許してやれ!
それだけ、二人を心配しておったのだろう。
これから少しだけ、私たちも忙しくなるな。ハハハ!」
エーレンタール侯爵マキシミアンは、グレースの両親に向けて婚約を頼む手紙を書き使者を送るつもりでいた。
「ベアトリス。貴女が先に片付かないと、兄が安心してグレースを迎えられないわよ!
公爵令息に、絶対に捨てられない様に頑張りなさい」
オペラグラスをずらして口を尖らせ、母を軽く睨んでから小さな舌をちょっとだけ出して見せた。
その様子に、侯爵夫妻は吹き出して笑い始める。
明るい笑い声はもしかしたら愛する二人にも聞こえるかも知れないほどで、ベアトリスも加わりだんだんに大きくなっていく。
そんな二人は、一部始終を覗かれてるとは思わず、妹はちゃっかり両親に固く口止めをしていた。
二人が思いを通じあってからこの後、一年間は新たな国外追放の罪をこの国ザィールで償う日々を過ごす。
11
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
リトライさせていただきます!〜死に戻り令嬢はイケメン神様とタッグを組んで人生をやり直す事にした。今度こそ幸せになります!!〜
ゆずき
恋愛
公爵家の御令嬢クレハは、18歳の誕生日に何者かに殺害されてしまう。そんなクレハを救ったのは、神を自称する青年(長身イケメン)だった。
イケメン神様の力で10年前の世界に戻されてしまったクレハ。そこから運命の軌道修正を図る。犯人を返り討ちにできるくらい、強くなればいいじゃないか!! そう思ったクレハは、神様からは魔法を、クレハに一目惚れした王太子からは武術の手ほどきを受ける。クレハの強化トレーニングが始まった。
8歳の子供の姿に戻ってしまった少女と、お人好しな神様。そんな2人が主人公の異世界恋愛ファンタジー小説です。
※メインではありませんが、ストーリーにBL的要素が含まれます。少しでもそのような描写が苦手な方はご注意下さい。
毒姫ライラは今日も生きている
木崎優
恋愛
エイシュケル王国第二王女ライラ。
だけど私をそう呼ぶ人はいない。毒姫ライラ、それは私を示す名だ。
ひっそりと森で暮らす私はこの国において毒にも等しく、王女として扱われることはなかった。
そんな私に、十六歳にして初めて、王女としての役割が与えられた。
それは、王様が愛するお姫様の代わりに、暴君と呼ばれる皇帝に嫁ぐこと。
「これは王命だ。王女としての責務を果たせ」
暴君のもとに愛しいお姫様を嫁がせたくない王様。
「どうしてもいやだったら、代わってあげるわ」
暴君のもとに嫁ぎたいお姫様。
「お前を妃に迎える気はない」
そして私を認めない暴君。
三者三様の彼らのもとで私がするべきことは一つだけ。
「頑張って死んでまいります!」
――そのはずが、何故だか死ぬ気配がありません。
3回目の人生は、悪役令嬢を辞めて引きこもります~一歩も出ずに国を救ったら、なぜか「聖女」として崇められ最強の男たちが部屋を包囲してくる件~
放浪人
恋愛
公爵令嬢エリザベートは、1度目は悪役令嬢として断罪され処刑、2度目は改心して聖女となり国に尽くしたが過労死……という悲惨な最期を遂げた。 記憶を持ったまま3度目の人生が始まった瞬間、彼女は固く決意する。 「もう絶対に働きません! 今世は部屋から一歩も出ず、睡眠と趣味に命をかけます!」
最強の拒絶結界『絶対領域』で部屋に籠城し、婚約破棄イベントも夜会も全て無視して惰眠を貪ろうとするエリザベート。 しかし、彼女の「働きたくない」一心からの行動――適当な農業アドバイスや、安眠妨害への容赦ない迎撃――が、周囲には「国を憂う深慮遠謀」「慈愛に満ちた奇跡」として超好意的に解釈されてしまう!?
ヤンデレ化した元婚約者の王太子、物理で愛を語る脳筋騎士団長、効率厨の隣国王子、さらには古代の引きこもり少年までをも巻き込み、事態は国家規模の大騒動へ。 部屋ごと空を飛んで戦場を浄化し、パジャマ姿で古代兵器を操り、地下牢をスイートルームに変えながら、エリザベートは究極の安眠を手に入れることができるのか? 塩対応すればするほど愛され、逃げれば逃げるほど伝説になる、最強引きこもり令嬢の勘違いドタバタ溺愛ファンタジー、ここに完結!
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
【完結】公爵令嬢は勇者への恩返しを試みる〜サブヒロインとして頑張ります〜
マロン株式
恋愛
公爵令嬢ユウフェには、ひとつだけ秘密がある。
――この世界が“小説の中”だと知っていること。
ユウフェはただの“サブヒロイン”で、物語の結末では魔王のもとへ嫁ぐ運命にある……はずだった。
けれどーー
勇者の仲間、聖女、そして魔王が現れ、〝物語どおり〟には進まない恋の三角関係(いや、四角関係?)が動き出す。
サブヒロインの恩返しから始まる、ほのぼの甘くて、少し切ない恋愛ファンタジー。
◇◇◇
※注意事項※
・序盤ほのぼのめ
・勇者 ✖ サブヒロイン ✖ 魔王 ✖ 巫女(?)の恋愛模様
・基本はザマァなし
・過去作のため、気になる部分あればすみません
・他サイトと並行改稿中のため、内容に差異が出る可能性があります
・設定ゆるめ
・恋愛 × ファンタジー
愛する人は、貴方だけ
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
下町で暮らすケイトは母と二人暮らし。ところが母は病に倒れ、ついに亡くなってしまう。亡くなる直前に母はケイトの父親がアークライト公爵だと告白した。
天涯孤独になったケイトの元にアークライト公爵家から使者がやって来て、ケイトは公爵家に引き取られた。
公爵家には三歳年上のブライアンがいた。跡継ぎがいないため遠縁から引き取られたというブライアン。彼はケイトに冷たい態度を取る。
平民上がりゆえに令嬢たちからは無視されているがケイトは気にしない。最初は冷たかったブライアン、第二王子アーサー、公爵令嬢ミレーヌ、幼馴染カイルとの交友を深めていく。
やがて戦争の足音が聞こえ、若者の青春を奪っていく。ケイトも無関係ではいられなかった……。
【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!
美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』
そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。
目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。
なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。
元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。
ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。
いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。
なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。
このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。
悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。
ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる