【完結】無意識 悪役公爵令嬢は成長途中でございます!幼女篇

愚者 (フール)

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第1章  思い出は夢の中へ

第2話 異常な日常と運命の日

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 3歳になって間もなく、父は公爵家と若き王の宰相さいしょう兼任けんにんしていた。
私が生まれてから、本格的に公爵を祖父から譲られたそうです。

父は長女リリアンヌと1つ下の長男ブライアンが誕生した頃は、祖父である公爵の補佐のみで余裕があった。
姉と兄は、両親の愛情を感じつつすこやかに幼少期を過ごされたみたい。

歳の離れた姉は当時10歳、兄は9歳。

友達も出来て、毎日楽しく日々を送っているそうですって!
後でメイド達から、聞かされた。

上の2人の子供たちの手がかからなくなり、両親は仕事や人脈作りに力を注いだそうだ。 
庭師から内緒で、こっそりと教えてもらったわ。

母ソフィアは、昼間お茶会でご婦人たちと会い。
夜は父と一緒に、夜会やパーティーの毎日。

誰も、私に構ってくれなかった。
家族が私を忘れたと、これは言ってもいいですわよね。
1番愛情の欲しい時期に、私は独りぼっちだったわ。

それでも思い出していたのか、家族全員で朝食を食べる日があったの。
家族に合わすのが苦痛であり、まだ眠いのに無理に起こされていた。

目が覚めてなくボーッとしていると、家族は自分たちの早さで食べるのでついていけない。
急いで慌ててるとのどまらせたのが何度かあり、死ぬかと思ったほどよ。

自分に合わせた結果、半分も食べなかった。
そんな私を見ていないのか、4人は楽しく会話をしながら過ごしている。

朝食の時間が嫌いになり、無理するのをやめましたわ。
だって、料理が美味おいしく思えないのよ。

   
 部屋で姉や兄のお下がりの絵本が、沢山あり独り寂しく読みあさりましたの。
公爵家の使用人の中には貴族出身の令嬢もおり、彼女達は教養も高く語学が堪能たんのうの方もいるから助かりましたわ。

メイドに頼むと本を読んでくれ、文字の意味も丁寧に教えてくれる。
これが仕事だからよ。
おとなしく手間がかからないので、皆から親切にして貰ったわ。

文字の書き順の本を見て真似まねて書く、インクとペンと紙が欲しいわと頼むと。

「お嬢様も、絵を描きたいのですね。
妹を思い出しますわ」と、勝手に勘違いをされましてよ。

そうしたら、自然に文字の読み書きが出来てしまった。
自国は完璧なので、他国が知りたくなるものよね。
兄や姉のお下がり中には入っていない。


 執事長トーマスを探す事にしてみた。
トーマスは忙しく、動き回るので見つけるのが大変。

「トーマス、お忙しいかしら?」

「プリムローズ様。
お久しぶりにお会いしましたね」

トーマスは主に父に仕え、メイド長のアンナは母に仕えていた。

トーマスは、プリムローズの姿を見てあやしんだ。
ドレスがブカブカなのは、せてしまったせいか?
それとも、姉君のお下がりのせいか?

妻のアンナに、相談してみようかと思ったそうよ。

「どうかされましたか。
なにか、お困りですかな?」

幼児に優しく問いかけた。

「あのね?いろんな本が読みたい。
家の図書室にあるのを読んで構わないか、お父様に伺って欲しいの?」

可愛らしくおねだりをされて、トーマスは眉を下げる。

「そうですね。
プリムローズ様は、良い子ですので頼んでみましょう!」

 父の許しを得て、プリムローズは毎日図書室に通うことになった。
野放のばなし状態で好き放題。
運がいいのか、人にかち合わなかった。
暇になると寂しいので、勉学して気をまぎらわしている日々。
とうとう、3か国語を取得してしまう。

後日、異常なことで生活習慣にダメ出しをお医者様から頂いたわ。
そんな事を言われても、3歳児にどうしろと言うのよ!


 そして、執事長トーマスとメイド長アンナ夫妻が後悔し悔やむ日が訪れてしまう。

「あっ、熱いよー!
うっ、のど痛いよ!
苦しいよー、う~ん」

思い出したくない。あの日。
もし、あの日がなければ、私は…。

昼から少し体が怠かった。
食欲がまったくなかったが、普段から少食で誰も気づいてもくれない。

トーマスとアンナだけが体調を聞いてくれたけど、笑って平気と答えたの。
思えば、ちゃんと伝えておけばと悔やみましたわ。

  その日は、王宮で王様主催の晩餐会ばんさんかいが開かれる。
王妃様が第2子を授かり安定期に入り報告を兼ねての祝いだ。
全貴族が出席するのではと話題は持ちきりで、我が家は晩餐会へ行くための支度したくに浮き足立っていた。

祖父母の馬車が午前中に王都の屋敷に着くはずが、途中にみぞにはまり午後になってしまいあせったそうだ。

なにせ筆頭公爵家、身なりにもいつも以上に気を遣っていた。
そちらに皆の目がいってしまった。

運が悪すぎ、偶然が重なる。
当時、私には2人のメイドが仕えていたわ。
昼と夜の2交代制。 

前日にメイドの身内が風邪をわずらってしまう。
メイドも気を付けていたがどうやら移ったようで、お嬢様に何かあってはと早退を決断する。
代わりの引き継ぎが、ちゃんと伝わらなかった。

アンナは後日、責任を感じ辞職まで考えていたそうよ。
結局、最悪の事態となってしまったみたいね。
昼から発見されるまで、ベッドで私は1人苦しんでいた。
 
 華やかな晩餐会、幸福あふれる集まりである。
帰宅してそのまま祖父母と両親は、可愛い孫達や子供たちにおやすみの挨拶をしに各々の部屋に訪れた。

扉を開けて、そっとベッドの中の寝顔を見ては喜ぶ。
どうも祖母が、孫達の顔を見ずに行ったのが気になっていたらしい。
姉と兄の安らかな寝顔を見て、最後に私の部屋の中へ。

「さぁ、最後に1番小さい天使ちゃんね?!」

祖母が最初にベッドをのぞき寝顔を見た瞬間に、女性達の悲鳴が部屋に全体に響く。

 意識不明でその場は想像できないが、とにかく大変だったらしい。
やっと、私の意識が戻ったのは3日後の朝。

目を開けた時に名前を呼ばれたが、反応が遅れてしまった。
のどが渇いて、普通に声が出せない。
周りに人が何人もいた。
父なのか母だったのか、また名前を呼ばれた。

「あなた方、誰?」と、言ったそうだ。

覚えていない、言ってはいけない言葉だった。
その言葉を周りは、疑わず信じ込んでしまったみたい。

たった一言で、運命が変わった瞬間であった。







    
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