【完結】無意識 悪役公爵令嬢は成長途中でございます!幼女篇

愚者 (フール)

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第2章  王都の生活

第13話 両親との外出

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 王宮でのお茶会が終わった翌日、朝食は全員がそろった。

昨日のメリーの話を聞き、姉を何気なにげむプリムローズ。

「ちょっと、プリムローズ。
貴女お茶会で、王子様と会話はしなかったのかしら?!」

母の問いかけに、家族が私に注目する。

「はい、ご挨拶だけですわ。
その後、他の方と会話がはずみました。
ねぇ、お父様?!」

父は、軽く咳払せきばらいをしてうなづいた。

「まぁ、もったいないこと!
私でしたら、王子様のお側をけして離れません!!」

姉は唇をめて、プリムローズを睨んだ。

互いに睨みあっていたら、隣で見ていた者が仲裁ちゅうさいに入ってくれた。

「姉上、男性はあまり積極的だと引きますよ。
皆さま、挨拶で一人一人ゆっくり会話は無理でしょう?」

兄の助けでその話は終了したが、姉は顔をひきつりながら何か言いたげだった。

父がプリムローズに伝える。

「学園から返事が来たぞ。
学園長の前で、試験して学年を決めるようだ。
2日後に、私とソフィアとお前で行く。よいな!」

ハイと返事をしたが、一人で行きたかった。

なんで、両親と一緒に行くの。
面倒だと思い、母の顔を見ると冷たい目で私を見ていた。

部屋に戻ると、専属メイドのメリーが私に話しかけてきたわ。

「お嬢様、お忙しいので体調が心配です?!
今度は、学園に入る試験がおありだとか?
御無理ごむりしないで下さい。
その日は、確かお誕生日だったはずですよ。
良い日になると良いですね?!」

メリーの言葉にハッとした、自分の誕生日を忘れていたわ。

今年、この家で誰が誕生日を祝ってくれるのかしら?!

 
   本日は、両親との初めての外出。
9歳にして初めてですよ?!

今日娘の誕生日を無視している。
やはり普通ではない。

この両親はー!!

馬車の中2人は、私に行儀ぎょうぎよくするように説教する。

また私は、2人を睨み付け黙らせた。
特に父は、お茶会から私に苦手意識があるようだ。

 馬車の扉が開いた、あれが学園か?
無駄にデカく豪華ごうか質素しっそでいいのにー!
なに税金を、無駄に使ってんだと思った。

 案内の方々が、公爵夫妻に挨拶する。
3人も要らないし、私が主役なのに!
このはぶかれた、間抜まぬけな感じは何かしら?!
子供だからってバカにしないでと、ふてくされるプリムローズ。

授業中の教室を横切って、廊下をぞろぞろと歩く。

途中で立ち止まり、説明する案内人たち。

「このクラスは、お嬢様と同じくらいの学年です。
どうですか?!
教え方も丁寧ていねいにしておりますでしょう?!」

黒板を見てつまらん授業だわ、要らないわと鼻で笑った。

「この学年では不十分です。
必要ないので、もっと上を希望します!」

全員が私の話を聞いて驚くが、私は静かに微笑んだ。

そして、祖父の教訓を思い出していた。

「よいか、戦いとはけ引きが大事じゃ。
相手に考えを知られず。
卑怯ひきょうと呼ばれようが、勝ったものが全てじゃあー!」

祖父は4歳児に、戦争の教訓をべた。

「おじい様!
私もそうした方がいいの?!」

まだ純粋なプリムローズは、首をかしげて祖父に問う。

「お前は、幼いのが良い。
皆が油断するでなぁ?!
まずは強者きょうしゃびつつ、自分の有利に持ち込む。
一気に攻めて引いて押す!
忘れるなよ。分かったな。
あとは、仕掛しかけ時が大事じゃ~あ!!」

考えたら4歳の子に向けての言葉ではないが、今日はその戦法でいこうと思った。

 学園長と書かれた部屋をノックして、入ってゆく人たちの後ろにちょこっと付いていく子供。

 学園長は、私に腰を屈めて目線を合わせて挨拶をする。

「プリムローズ嬢、初めまして。
そして、お誕生おめでとう!
君は5か国語の読み書きと、最終学年に進む学力がある。
申し訳ないが、信じられないので試験しても宜しいでしょうか?!」

父と母は誕生日の祝いの言葉を聞き、青い顔になっている。
娘の誕生日を、赤の他人に教えられるとはー。

「お願いします!
今日、初めてのお祝いの言葉をいただきました。
ありがとうございます。
どうぞ、試験して下さい!」

実の父と母に、氷のように冷たい目線を送る娘。

「お父様、お母様。
私の誕生日を、生まれて1度も祝ってくれなくて!
ありがとう~!!!」

その一言で、部屋の空気が寒々さむざむとした。

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