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第4章 王家の陰り
第21話 クラレンス公爵一家の再会
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着替えて午後の授業が終わり、馬車に乗ると兄が濡れた制服の入った袋を見ている。
「汚された制服を、洗ってみることにしたの。
お兄様、私とお姉様の話を聞いた?」
「姉上の婚約破棄の件は、私の学年まで広がっているよ。
級友たちから、同情されてる感が辛い」
午後からの話題を、かっさらったようだ。
「我がクラレンス家の汚点だわ。
自分であれだけ恥を語るとは、頭の中がもうジャムなのかも。
クリームじゃ甘さが足りないわ。
私も、クラスメートたちの視線が痛かった」
屋敷に戻ると祖父母は、もうこの話を知っているのか機嫌が悪かった。
サロンで4人がお茶を飲みながら、各自で考えていると執事長トーマスが来客を告げる。
ジェイクは部屋にて勉強中、空気を読む力と危機管理能力はスバ抜けているようだ。
客は泣いた跡がある姉と、眉間にシワがある母。
憮然の父が、どうやら連れて来た感じがする。
これから先、修羅場になることしか想像が出来なかった。
隣に座っている兄上からは、ため息しか聞こえてこない。
「大旦那様、お茶はいりますか?」
執事長トーマスの声が、部屋に響くのであった。
あの穏和な執事がこんな冷たい言葉を言うとは、この人たちは彼に何をしたのか?!
「お前たちは、お茶飲みたいのか?
早く終わるようなら出したくないが、どうじゃな?」
祖父は、不機嫌な顔で客たちに嫌々伺った。
「手短にしますので、結構です」
扉の前で立つ、3人の中の父が返答する。
それを聞くと、執事長は静かに部屋を出た。
「愚息や!
座って話す内容なのですか?
椅子に座りたいの!?」
座って優雅に扇をパタパタさせる、不機嫌な祖母ヴィクトリア。
「いいえ!父上、母上!
娘リリアンヌが、婚約破棄されました。
先方に、考え直すように助言を願いたい」
父が必死に頼む姿は、額に汗がにじんでいた。
「どうして破棄されたのです?
持参金は多く出したでしょう?
キチンと訳を言いなさい!」
祖母は扇を閉じると、それを父に指した。
「お義母様、相手の方は子爵では条件が違う。
公爵の娘と婚約したと仰ってきたのです」
母は泣きそうな表情で、手を前に組んでお願い姿勢で話しかけてきた。
祖母は勝手に話し出すなと、不快な顔を母に向けた。
空気を察した兄ブライアンが、母に話しかける。
「母上、今はまだ公爵なのでしょう?
もしかして、姉をこのまま公爵令嬢にいさせてと図々しくお願いしに来られたのですか?!」
兄ブライアンは、呆れ顔で3人を見た。
「父上、リリアンヌは孫です。
差別しないで下さい!!」
父にクリストファーは、顔を強ばらせながら祖父に必死に頼んできた。
「儂は、リリアンヌは好かん!
ブライアンは、それなりに努力は見えるが、その娘はなぁ。無能は要らんのじゃあ。
良いではないか。
仲の良い3人で、新たな土地で頑張るのじゃぞ」
祖父は姉を無慈悲に拒絶してから、3人に励ましの言葉を送った。
「お祖父様は、私が可愛くないのですか?!
悲しいです!!」
泣き始めた姉を、祖父母はあきれ果てた感情で見てる。
祖父はお前も何勝手に話すんじゃと、姉に人も殺せそうな眼力で睨む。
すすり泣く声だけが、部屋に聞こえる。
鬱陶しい、イライラ気味のプリムローズ。
「お父様!本当にお姉様が、愛されていれば爵位など気になりませんわ。
元々相手はそれが狙いではないのですか?
化けの皮が剥がれて、結婚後に捨てられるよりマシです!!」
3人に言い聞かせる、9歳児。
「そうです!
プリムローズの言うとおりです。新たな地で新たな出会いをし、相手を探せばよい!!」
祖母は3人に、キッパリ言い聞かせる。
「お義母様は、リリアンヌが貴族でない方と婚姻を結んでも構わないのですか?
もし平民と結ばれたら、貴族ではなくなるのですよ?!」
母は話しながら、ポロポロ泣き出した。
本当に見かけも中身も一緒で、泣けば助けてくれると思っているのね。
たった3歳の頃に、貴女たちから無視されたお陰で逞しくなったのよ。
今度は、貴女たちの番よ!
「そうじゃ!
あの住んでいる屋敷は、儂のものになるのでなぁ。
荷物はそんなに運べんじゃろ。
家具とかは、儂が買ってやる。有り難く思えよ!!」
突如、話を終わらせにかかる祖父。
やるわねぇ、さすがお祖父様!
私も後押しをしなくては、孫ですもの。
「お母様、お姉様。
ドレスと宝石は鑑定して、私が買いますわ。
助かりますでしょう?」
プリムローズは顔が明るくなる。
まぁ、私と趣味が合いませんし。
無駄に多い宝石と贅を尽くしたドレスは、全て安く買い叩いてやるわ。
在庫が少なかったので、ちょうど助かりましたわね。
「父上、母上と姉上。
また別れの挨拶はしますが、遠く離れてもご健勝で。
そろそろ夕食ですので、お帰り下さい。
トーマス、宜しく頼む!」
兄ブライアンがビシッと締めてくれた。
お兄様も私たちと住むようになって、すっかり頼もしくなったわ。
嫌みも上手ですこと。
迫力は、まだまだですけどね。
私たちは、3人に口許だけ微笑んで見せる。
父は肩を落とし、母と姉はハンカチで涙を拭きながら帰って行った。
あれって、うそ泣きではありませんよね。
あの2人って、イマイチ信用出来ない。
血の繋がりがあっても、他人みたいな感覚だし。
もうすぐ私の前から消えるから、その時が待ち遠しいですわ。
プリムローズは、心の中でニヤっとしたのだった。
「汚された制服を、洗ってみることにしたの。
お兄様、私とお姉様の話を聞いた?」
「姉上の婚約破棄の件は、私の学年まで広がっているよ。
級友たちから、同情されてる感が辛い」
午後からの話題を、かっさらったようだ。
「我がクラレンス家の汚点だわ。
自分であれだけ恥を語るとは、頭の中がもうジャムなのかも。
クリームじゃ甘さが足りないわ。
私も、クラスメートたちの視線が痛かった」
屋敷に戻ると祖父母は、もうこの話を知っているのか機嫌が悪かった。
サロンで4人がお茶を飲みながら、各自で考えていると執事長トーマスが来客を告げる。
ジェイクは部屋にて勉強中、空気を読む力と危機管理能力はスバ抜けているようだ。
客は泣いた跡がある姉と、眉間にシワがある母。
憮然の父が、どうやら連れて来た感じがする。
これから先、修羅場になることしか想像が出来なかった。
隣に座っている兄上からは、ため息しか聞こえてこない。
「大旦那様、お茶はいりますか?」
執事長トーマスの声が、部屋に響くのであった。
あの穏和な執事がこんな冷たい言葉を言うとは、この人たちは彼に何をしたのか?!
「お前たちは、お茶飲みたいのか?
早く終わるようなら出したくないが、どうじゃな?」
祖父は、不機嫌な顔で客たちに嫌々伺った。
「手短にしますので、結構です」
扉の前で立つ、3人の中の父が返答する。
それを聞くと、執事長は静かに部屋を出た。
「愚息や!
座って話す内容なのですか?
椅子に座りたいの!?」
座って優雅に扇をパタパタさせる、不機嫌な祖母ヴィクトリア。
「いいえ!父上、母上!
娘リリアンヌが、婚約破棄されました。
先方に、考え直すように助言を願いたい」
父が必死に頼む姿は、額に汗がにじんでいた。
「どうして破棄されたのです?
持参金は多く出したでしょう?
キチンと訳を言いなさい!」
祖母は扇を閉じると、それを父に指した。
「お義母様、相手の方は子爵では条件が違う。
公爵の娘と婚約したと仰ってきたのです」
母は泣きそうな表情で、手を前に組んでお願い姿勢で話しかけてきた。
祖母は勝手に話し出すなと、不快な顔を母に向けた。
空気を察した兄ブライアンが、母に話しかける。
「母上、今はまだ公爵なのでしょう?
もしかして、姉をこのまま公爵令嬢にいさせてと図々しくお願いしに来られたのですか?!」
兄ブライアンは、呆れ顔で3人を見た。
「父上、リリアンヌは孫です。
差別しないで下さい!!」
父にクリストファーは、顔を強ばらせながら祖父に必死に頼んできた。
「儂は、リリアンヌは好かん!
ブライアンは、それなりに努力は見えるが、その娘はなぁ。無能は要らんのじゃあ。
良いではないか。
仲の良い3人で、新たな土地で頑張るのじゃぞ」
祖父は姉を無慈悲に拒絶してから、3人に励ましの言葉を送った。
「お祖父様は、私が可愛くないのですか?!
悲しいです!!」
泣き始めた姉を、祖父母はあきれ果てた感情で見てる。
祖父はお前も何勝手に話すんじゃと、姉に人も殺せそうな眼力で睨む。
すすり泣く声だけが、部屋に聞こえる。
鬱陶しい、イライラ気味のプリムローズ。
「お父様!本当にお姉様が、愛されていれば爵位など気になりませんわ。
元々相手はそれが狙いではないのですか?
化けの皮が剥がれて、結婚後に捨てられるよりマシです!!」
3人に言い聞かせる、9歳児。
「そうです!
プリムローズの言うとおりです。新たな地で新たな出会いをし、相手を探せばよい!!」
祖母は3人に、キッパリ言い聞かせる。
「お義母様は、リリアンヌが貴族でない方と婚姻を結んでも構わないのですか?
もし平民と結ばれたら、貴族ではなくなるのですよ?!」
母は話しながら、ポロポロ泣き出した。
本当に見かけも中身も一緒で、泣けば助けてくれると思っているのね。
たった3歳の頃に、貴女たちから無視されたお陰で逞しくなったのよ。
今度は、貴女たちの番よ!
「そうじゃ!
あの住んでいる屋敷は、儂のものになるのでなぁ。
荷物はそんなに運べんじゃろ。
家具とかは、儂が買ってやる。有り難く思えよ!!」
突如、話を終わらせにかかる祖父。
やるわねぇ、さすがお祖父様!
私も後押しをしなくては、孫ですもの。
「お母様、お姉様。
ドレスと宝石は鑑定して、私が買いますわ。
助かりますでしょう?」
プリムローズは顔が明るくなる。
まぁ、私と趣味が合いませんし。
無駄に多い宝石と贅を尽くしたドレスは、全て安く買い叩いてやるわ。
在庫が少なかったので、ちょうど助かりましたわね。
「父上、母上と姉上。
また別れの挨拶はしますが、遠く離れてもご健勝で。
そろそろ夕食ですので、お帰り下さい。
トーマス、宜しく頼む!」
兄ブライアンがビシッと締めてくれた。
お兄様も私たちと住むようになって、すっかり頼もしくなったわ。
嫌みも上手ですこと。
迫力は、まだまだですけどね。
私たちは、3人に口許だけ微笑んで見せる。
父は肩を落とし、母と姉はハンカチで涙を拭きながら帰って行った。
あれって、うそ泣きではありませんよね。
あの2人って、イマイチ信用出来ない。
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