【完結】無意識 悪役公爵令嬢は成長途中でございます!幼女篇

愚者 (フール)

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第2章  王都の生活

第11話 見知らぬ御仁の正体は?

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 知らなかったことを、深く恥じていたようだった。
王に挨拶後は、王妃と第1王子に普通の儀礼に沿った挨拶をした。

プリムローズの所作しょさ完璧かんぺきであり、文句のつけようがなかった。
王妃様が特に厳しい目付きで、私を見ていた様な気がした。

どうやら、私の粗捜あらさがしをしたかったようね。 
しかし、王族がこれとはガッカリだわ。

早くこの場から去りましょうか。

「ご聡明そうめいなお方、どうか名をお教えてくれませんでしょうか?」

この方に、うまく助けて頂きましょう。

わしは、オスカー・ド・ブロイだ。
前公爵の身分でのう。
今日は、孫のお供をしている。
よかったら、孫の友達になってえんかのう?!」

よし、いい感じだわ。
さぁ、とっとと逃げますわよ!

「ハイ!
是非ぜひとも、お誘い嬉しゅうございますわ。
父上、宜しいでしょう?
この後はお仕事でしたわよね。
私は御迷惑でなければ、色々と教えを頂けたらと思いますわ」

「おお、儂こそ願いたい!
こんな可愛い子の相手に、選ばれるとは光栄こうえいじゃな」

2人でニコニコと顔を会わせて笑っている横で、父の公爵は苦笑を浮かべた。

「ブロイ前公爵様、どうぞ娘をお願いします。
プリムローズ、ご無礼ないようにしなさい」

父は仕事に向かうのだろう、その場を後にした。

私たちは王族にお辞儀して、2人で並んで去って行く。

「儂を使って、王族から離れるとは大したものだ。
まぁ、儂も同じじゃが。
互いに、気が合いますなぁ!」

「私は、ブロイ前公爵様の方が好みですのよ」

笑いながら、ブロイ前公爵のお孫様の席を目指して歩いて行ったのだった。

「父上、あの者たちが去って行きます。
宜しいのですか?」

第1王子は、プリムローズ達を指差ゆびさす。

「指をすな!
これ以上、王族が恥をかくことはできない。
まさか、あの令嬢がここまでとは…」

「王様!
第1候補ではなかったのでは?!」

王の横で、あわてる素振りの王妃は王に問う。

「無理だ。
今日は、余たちは見事に振られたのだ。
余らは知らなくてはならん事を、幼子に教わった。
何ということかー、はぁ~」

  席に着席しお孫様へ挨拶して、お茶を3人で楽しんだ。

私より2歳下のお孫様、女の子ばかりではと無理に招待されたので機嫌が悪かった。

馬の話が出ると、その子も最近乗馬を習いはじめていて話が盛り上がった。

「熱心にお菓子の味を聞いてますね。
女の子は、甘いものが好きなんですか?」

お孫さんのリュカ様が、私に質問すると。

「これこれ、無粋ぶすいな質問をすると女性に嫌われるぞ!」

「うふふ。実は王都に、祖母が共同でお菓子店を出してますの。
王宮の品は、滅多めったに味わえませんので絶好ぜっこう好機こうきですわ」

2人は似た顔で、おおっと目を丸くした。

「名は、名前を教えてくれんかのう?」

「セパヌイールですわ!」

「そうか、花が咲くか。
花ではなく菓子じゃがのう」

前公爵が笑うと、リュカ様が手を1度たたいた。

「僕、知っています。
母上がそこのジャムやお菓子を買ってお茶をしてます!」

「本当ですか。
じゃあ、カード持っていますかしらね」

私がカードの説明を始めた。

「いい案じゃ。
その特別な品が気になるぞ。
どのような品か、ちょっと教えてくれんかのう?」

気になって、仕方ないようである。

「女性がちょっと外出に使用できる袋の中に、ロゴ入りの透かし模様の瓶にしゅんの果物のジャム。
お茶缶に入っているのは、この国では珍しい花茶はなちゃですわ!」

二人して花茶と呟き、不思議なそうな顔をしていた。

「湯を注ぐとぱぁ~と花が咲きますのよ。
とても美しいですわよ。
花は食べられませんが、お茶は美味ですことよ!」

プリムローズが、手を使って表現する。

「おじい様、欲しいです。
どんな物か見て、飲みたい!!」

リュカ様は隣の前公爵におねだりする。

「では、カフェにご招待しますわ。
ですが、まだ店になる物件を探している段階ですの」

店の大きさを話すと、2人は親身になって聞いてくれた。

「お屋敷ぐらいなきゃダメじゃない?
思いきってお城とかは?!」

リュカ様は、楽しげにケラケラ笑う。

「いいわね、お城か?
そうしたら私は、お姫さまね!」 

「友情のあかしとして、儂も探してみよう。
結構、手助けになるかもしれんぞ!」

来てよかったわ。
王族と接点せってんないし、素晴らしい出会いがあった。

お茶会は終わりらしく、父が声をかけてきた。

「もう終わりか。あっという間だったね!」

「クラレンス公爵、ご令嬢は儂らが送りますぞ!」

リュカ様と前公爵様が続けて、話をされた。

「そんな、悪いですわ。ねぇ、お父様!」

押しきられた形となり、ブロイ家の馬車で帰ることになる。

無事に何事もない初めての王宮のお茶会は、プリムローズにとって国の権力者の一人と強いつながりを得たのだった。


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