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第3章 暗躍と毒女たちとの戦い
第17話 命は天に在り
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へーディン侯爵のお屋敷に向かっている3人は、公爵夫妻の前に座る彼を王弟殿下と重ねているのか。
時たま、神妙な面持ちで彼を見つめるようにしているのを感じた。
金髪の髪に戻されたエリアスは、緊張した固い表情で私の隣に置物の様に座る。
紺ベストに黒パンツに、清涼感ある白シャツに映える水色のタイしているエリアス。
ヘイズに着いてから、すぐに私が選んで買い与えた服だった。
スクード公爵も馬車に乗る前に、キレイな服を着たエリアスの姿に声をあげそうに驚いていた時を思い出す。
プリムローズは横の彼をチラッと見て、王弟の残された遺児なんだと改めて実感する。
ヘーディン侯爵のお屋敷が目前に近づく、白壁に赤い屋根で、なんか可愛い佇まい。
馬車から降りると王様たちを迎えるために早く来たので、ヘーディン侯爵一家がお出迎えに姿を現していだ。
「これは、スクード公爵様にプリムローズ嬢。
ようこそ参られた!」
侯爵はライラと同じ見事な赤い頭髪の持ち主で、笑顔を見せながら私たちに歓迎してくれた。
「お招き頂き感謝するぞ、ヘーディン侯爵。
こちらは、プリムローズ嬢と供の者だ。
名前をエリアスと申す。
彼を宜しゅう、頼むぞ!」
エリアスは胸に手を当てて、お辞儀しながら挨拶をした。
対面したライラの父侯爵は、挨拶をしながら頭を軽くだが下げた。
これは侯爵が、ただの従者にするものではない。
公爵は事前にヘーディン侯爵に話されたようで、エリアスに丁重に接しているように思えた。
これから現れるヘイズ王がエリアスを見て認めれば、彼は未来の国王になるかもしれない。
「プリムローズ様~!
今日は私のために皆様、ご足労頂き感謝致しますわ」
何も知らされてないライラは、嬉しそう話しかけてくれる。
彼女を騙して悪いと思いつつ顔見せが終わる頃、ヘイズ王が屋敷に到着するのをお待ちしていた。
エリアスは場違いで落ち着かないのか、不安な表情をプリムローズに時折向けている。
「今日は王妃のワガママを聞いてくれて、余からも礼を申すぞ!」
ヘイズ王が供を従えて、目の前に現れた。
「顔をあげてくれ!
これはお忍びだし、気を使うでない」
皆が一斉に顔を挙げると、ヘイズ王はエリアスの顔を直視する。
王の目には、涙が浮かんでいるように見えた。
あぁ、エリアスはやはり王弟殿下の子供だったのね。
プリムローズの表情が、何故か曇っていた。
「そちの名は、なんと申すのか?!
ご両親は、どんな方であったか?」
ヘイズ王は、エリアスへ直接声がけする。
へーディン侯爵の家族や供の者たちは驚き2人を見ていたが、その二人の面差しが似ているので何かを感じ取っているようだった。
うろたえて赤い顔のエリアスに、最後であろう主人としてプリムローズは命じた。
「エリアス……。ヘイズ国王陛下に、正直にお答えしなさい」
「はい!エリアスと申します。両親は、他界しておりません」
「そうか…そうであったか。
そなたは、我が亡き弟にソックリなのだよ。
生きていたら12歳になる。
君も12歳かね?」
「ハイ」と、エリアスは戸惑い視線を思わず下に向ける。
「ああ、私には分かる!
たった、2人の兄弟だった。
エリアス、弟の子もエリアスという名なのだよ。
そなたはー。そなたは…。
弟の子によく似ている。
おおー、間違いない!!」
そう断言すると一筋の涙を流しヘイズ王は、エリアスを強く抱き締めるのである。
プリムローズは驚かされるままのエリアスを見ると、嬉しさと寂しさが胸に感情が流る。
船底からの彼氏の人生は、この瞬間にまったく別なものになってしまった。
それは、凶と出るのか吉と出るのか。
へーディン侯爵はこの屋敷の当主として、折り目正しく客人たちを案内する。
事前に、極秘で知らされていたのだろう。
顔にも出さず、実に落ち着いていた。
彼は味方に違いない、プリムローズはその態度でそう思った。
席に座ると、王妃はライラの短くされた髪を慰めるお言葉をかけた。
彼女は心からライラ様の事で、胸が傷んだのだろう。
その言葉にはうそ偽りは、まったく感じなかった。
思い出したのか、目には涙が溜まり王妃の優しい言葉に感動していた。
へーディン侯爵夫人とライラに、王妃は庭の案内を所望された。
私たちだけにするつもりなのであろう、かの方は起点の効く頭の回転が速い女性。
「クラレンス公爵令嬢よ!
エリアスを、王宮に連れ帰って良いだろうか!?」
ヘイズ王は弟の死後、この行方不明であったエリアスを探すことを1番に考えていたのだろう。
それは、不安で危険な行為だ。
「お断り致します!
陛下、弟君は誰かに殺害されたのでは?!
考えが違っていたら、無礼を謝ります。
膿を出し切り、キレイにしてからエリアス様をどうか王宮にお迎えして下さいませ」
プリムローズは、初めてここでエリアスを様付けする。
「貴女の仰るのは正しい!
ヘイズは膿だらけです。
次世代が安心して継げるように、今こそ立ち上がらくてはいけないのだ」
そう王が話すと、スクード公爵とへーディン侯爵はほぼ同時に頷く。
「エリアス様、突然このような立場になり混乱されているでしょう。
【命は天に在り】!
人間の運命は天が定めること、人の力ではどうすることも出来んこともある。
我らがお守りしますので、この先をお考えください。
このヘイズの安寧のためにー」
スクード公爵は、エリアスの瞳を見つめ仰った。
一同に注目を受ける彼は、返事も出来ずに悩みどうして良いか分からずにいる。
彼の態度をプリムローズだけが気になり、これからの茨の道を考えると気の毒に思えてならない。
時たま、神妙な面持ちで彼を見つめるようにしているのを感じた。
金髪の髪に戻されたエリアスは、緊張した固い表情で私の隣に置物の様に座る。
紺ベストに黒パンツに、清涼感ある白シャツに映える水色のタイしているエリアス。
ヘイズに着いてから、すぐに私が選んで買い与えた服だった。
スクード公爵も馬車に乗る前に、キレイな服を着たエリアスの姿に声をあげそうに驚いていた時を思い出す。
プリムローズは横の彼をチラッと見て、王弟の残された遺児なんだと改めて実感する。
ヘーディン侯爵のお屋敷が目前に近づく、白壁に赤い屋根で、なんか可愛い佇まい。
馬車から降りると王様たちを迎えるために早く来たので、ヘーディン侯爵一家がお出迎えに姿を現していだ。
「これは、スクード公爵様にプリムローズ嬢。
ようこそ参られた!」
侯爵はライラと同じ見事な赤い頭髪の持ち主で、笑顔を見せながら私たちに歓迎してくれた。
「お招き頂き感謝するぞ、ヘーディン侯爵。
こちらは、プリムローズ嬢と供の者だ。
名前をエリアスと申す。
彼を宜しゅう、頼むぞ!」
エリアスは胸に手を当てて、お辞儀しながら挨拶をした。
対面したライラの父侯爵は、挨拶をしながら頭を軽くだが下げた。
これは侯爵が、ただの従者にするものではない。
公爵は事前にヘーディン侯爵に話されたようで、エリアスに丁重に接しているように思えた。
これから現れるヘイズ王がエリアスを見て認めれば、彼は未来の国王になるかもしれない。
「プリムローズ様~!
今日は私のために皆様、ご足労頂き感謝致しますわ」
何も知らされてないライラは、嬉しそう話しかけてくれる。
彼女を騙して悪いと思いつつ顔見せが終わる頃、ヘイズ王が屋敷に到着するのをお待ちしていた。
エリアスは場違いで落ち着かないのか、不安な表情をプリムローズに時折向けている。
「今日は王妃のワガママを聞いてくれて、余からも礼を申すぞ!」
ヘイズ王が供を従えて、目の前に現れた。
「顔をあげてくれ!
これはお忍びだし、気を使うでない」
皆が一斉に顔を挙げると、ヘイズ王はエリアスの顔を直視する。
王の目には、涙が浮かんでいるように見えた。
あぁ、エリアスはやはり王弟殿下の子供だったのね。
プリムローズの表情が、何故か曇っていた。
「そちの名は、なんと申すのか?!
ご両親は、どんな方であったか?」
ヘイズ王は、エリアスへ直接声がけする。
へーディン侯爵の家族や供の者たちは驚き2人を見ていたが、その二人の面差しが似ているので何かを感じ取っているようだった。
うろたえて赤い顔のエリアスに、最後であろう主人としてプリムローズは命じた。
「エリアス……。ヘイズ国王陛下に、正直にお答えしなさい」
「はい!エリアスと申します。両親は、他界しておりません」
「そうか…そうであったか。
そなたは、我が亡き弟にソックリなのだよ。
生きていたら12歳になる。
君も12歳かね?」
「ハイ」と、エリアスは戸惑い視線を思わず下に向ける。
「ああ、私には分かる!
たった、2人の兄弟だった。
エリアス、弟の子もエリアスという名なのだよ。
そなたはー。そなたは…。
弟の子によく似ている。
おおー、間違いない!!」
そう断言すると一筋の涙を流しヘイズ王は、エリアスを強く抱き締めるのである。
プリムローズは驚かされるままのエリアスを見ると、嬉しさと寂しさが胸に感情が流る。
船底からの彼氏の人生は、この瞬間にまったく別なものになってしまった。
それは、凶と出るのか吉と出るのか。
へーディン侯爵はこの屋敷の当主として、折り目正しく客人たちを案内する。
事前に、極秘で知らされていたのだろう。
顔にも出さず、実に落ち着いていた。
彼は味方に違いない、プリムローズはその態度でそう思った。
席に座ると、王妃はライラの短くされた髪を慰めるお言葉をかけた。
彼女は心からライラ様の事で、胸が傷んだのだろう。
その言葉にはうそ偽りは、まったく感じなかった。
思い出したのか、目には涙が溜まり王妃の優しい言葉に感動していた。
へーディン侯爵夫人とライラに、王妃は庭の案内を所望された。
私たちだけにするつもりなのであろう、かの方は起点の効く頭の回転が速い女性。
「クラレンス公爵令嬢よ!
エリアスを、王宮に連れ帰って良いだろうか!?」
ヘイズ王は弟の死後、この行方不明であったエリアスを探すことを1番に考えていたのだろう。
それは、不安で危険な行為だ。
「お断り致します!
陛下、弟君は誰かに殺害されたのでは?!
考えが違っていたら、無礼を謝ります。
膿を出し切り、キレイにしてからエリアス様をどうか王宮にお迎えして下さいませ」
プリムローズは、初めてここでエリアスを様付けする。
「貴女の仰るのは正しい!
ヘイズは膿だらけです。
次世代が安心して継げるように、今こそ立ち上がらくてはいけないのだ」
そう王が話すと、スクード公爵とへーディン侯爵はほぼ同時に頷く。
「エリアス様、突然このような立場になり混乱されているでしょう。
【命は天に在り】!
人間の運命は天が定めること、人の力ではどうすることも出来んこともある。
我らがお守りしますので、この先をお考えください。
このヘイズの安寧のためにー」
スクード公爵は、エリアスの瞳を見つめ仰った。
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