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第一章 お帰りなさい、勇者(魔王)さま!
第三話 魔王、勇者になります。4
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◇ ◇ ◇
「「あ...」」
俺と少女の声が重なった。
「や、やったぜ!遂に伝説の剣を引き抜いたぜ!ヒャッホウ!」
青年は大はしゃぎである。
俺が一度引き抜いた剣をブンブン振り回しながらそこら変を走り回っている。
「あのぅ...その剣は先程この方が...モガッ!?」
俺は咄嗟に少女の口を押さえた。
ちょっと待てい。
さっき頼んだばっかりの事を忘れないでほしい。
俺が目で訴えると少女はしぶしぶといった感じで首を縦に振ってくれた。
「おっ?」
そんなこんなしているうちに青年がこちらの存在に気がついたようだ。
そしてニヤニヤしながら近づいてくる。
「おー、おー、アンタ等もこの剣を抜きに来たのかい?でも残念だなぁ、俺が最初に抜いちまったよ。だから、これは俺のモンだ。」
意地悪い笑みをニタァッと浮かべながら俺達に自慢してきた。
くぅ...!言いてぇ...!
俺が一番最初に抜いたって言いてぇ...!
でも我慢しろ俺!
これ以上面倒事には...!
そんな事を考えていると、
ガサガサガサッ!
と、森の奥で木々が揺れた。
そして先程の大蛇と似たようなヤツがズリズリとその巨体を引きずって現れた。
さっきのヤツよりもデカい。
しかも二匹。
マジかよ、またかぁ...
今度は逃げるに限る。
そう思いながら再度翼を広げようとしたところ、
「おうおう、大蛇ごときが束になっても俺には勝てねぇぜ?」
でんっと青年が大蛇達の前に立ちはだかった。
「なんせ俺は伝説の剣を抜いた勇者だからな!」
余裕ぶっこいてるわりには足がすくんでるぞ。
「いくぜ!うおぉぉぉぉぉ...へぶッ!?」
そして突っ込んでいった勇者()は大蛇の尻尾にベシッと蹴られた。
そのままクルクルと見事に宙を舞い、隣の木に頭を打ち付けてキュウと伸びてしまった。
...何がしたかったんだ?コイツ?
「...と、にかく!彼は放っておいて逃げましょう!」
少女も少し絶句した後、俺にそう促してきた。
確かに俺みたいな貧相な体のヤツが少女と一緒に戦っても勝てそうにないと思うだろう。
だから、
「...いや、俺は戦う。」
俺はあえて堂々と言ってやった。
「なぁっ!?あ、貴方も殺されちゃいますよ!」
彼女は少し怒っているようだった。
「これぐらいならなんとか俺一人でも大丈夫だ。先に行ってくれ。」
だってあの人を置いて行くのはさすがに気が引けるだろ?
『シャァ......』
ソイツがこちらの存在に気づいた。
ギロリとこちらを睨み付ける。
どうやら狙いは少女のようだ。
「な、何をバカな事をいってるんですか!早く逃げないと襲われ...!?」
瞬間、大蛇は少女に頭から飛びかかっていた。
大蛇の大きな口が少女に迫る。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
ガッ!
俺はその大蛇の牙を同じように左手で掴んだ。
その巨体を急停止させたためドゴォッと衝撃波が起こる。
「えっ...?」
少女は目を見開いている。
無理もない。
物理法則もクソもないこの状況。
さらに、俺の背中には、
魔王の翼が再び生えてきたのだから。
「「あ...」」
俺と少女の声が重なった。
「や、やったぜ!遂に伝説の剣を引き抜いたぜ!ヒャッホウ!」
青年は大はしゃぎである。
俺が一度引き抜いた剣をブンブン振り回しながらそこら変を走り回っている。
「あのぅ...その剣は先程この方が...モガッ!?」
俺は咄嗟に少女の口を押さえた。
ちょっと待てい。
さっき頼んだばっかりの事を忘れないでほしい。
俺が目で訴えると少女はしぶしぶといった感じで首を縦に振ってくれた。
「おっ?」
そんなこんなしているうちに青年がこちらの存在に気がついたようだ。
そしてニヤニヤしながら近づいてくる。
「おー、おー、アンタ等もこの剣を抜きに来たのかい?でも残念だなぁ、俺が最初に抜いちまったよ。だから、これは俺のモンだ。」
意地悪い笑みをニタァッと浮かべながら俺達に自慢してきた。
くぅ...!言いてぇ...!
俺が一番最初に抜いたって言いてぇ...!
でも我慢しろ俺!
これ以上面倒事には...!
そんな事を考えていると、
ガサガサガサッ!
と、森の奥で木々が揺れた。
そして先程の大蛇と似たようなヤツがズリズリとその巨体を引きずって現れた。
さっきのヤツよりもデカい。
しかも二匹。
マジかよ、またかぁ...
今度は逃げるに限る。
そう思いながら再度翼を広げようとしたところ、
「おうおう、大蛇ごときが束になっても俺には勝てねぇぜ?」
でんっと青年が大蛇達の前に立ちはだかった。
「なんせ俺は伝説の剣を抜いた勇者だからな!」
余裕ぶっこいてるわりには足がすくんでるぞ。
「いくぜ!うおぉぉぉぉぉ...へぶッ!?」
そして突っ込んでいった勇者()は大蛇の尻尾にベシッと蹴られた。
そのままクルクルと見事に宙を舞い、隣の木に頭を打ち付けてキュウと伸びてしまった。
...何がしたかったんだ?コイツ?
「...と、にかく!彼は放っておいて逃げましょう!」
少女も少し絶句した後、俺にそう促してきた。
確かに俺みたいな貧相な体のヤツが少女と一緒に戦っても勝てそうにないと思うだろう。
だから、
「...いや、俺は戦う。」
俺はあえて堂々と言ってやった。
「なぁっ!?あ、貴方も殺されちゃいますよ!」
彼女は少し怒っているようだった。
「これぐらいならなんとか俺一人でも大丈夫だ。先に行ってくれ。」
だってあの人を置いて行くのはさすがに気が引けるだろ?
『シャァ......』
ソイツがこちらの存在に気づいた。
ギロリとこちらを睨み付ける。
どうやら狙いは少女のようだ。
「な、何をバカな事をいってるんですか!早く逃げないと襲われ...!?」
瞬間、大蛇は少女に頭から飛びかかっていた。
大蛇の大きな口が少女に迫る。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
ガッ!
俺はその大蛇の牙を同じように左手で掴んだ。
その巨体を急停止させたためドゴォッと衝撃波が起こる。
「えっ...?」
少女は目を見開いている。
無理もない。
物理法則もクソもないこの状況。
さらに、俺の背中には、
魔王の翼が再び生えてきたのだから。
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