異世界魔王の勇者転生記 

タケノコご飯

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第一章  お帰りなさい、勇者(魔王)さま!

第四話 魔王、村にて。4

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        ◇  ◇  ◇

俺はリーダー格の男に歩み寄った。
「……」
今起こった事が理解できていないようでメリケンの野郎が飛ばされた方を向いて口を開けている。

俺はその横を通り過ぎると倒れているアンナの元へ歩み寄った。
どうやら気絶しているだけのようだ。

正面にいるアンナを縛り上げていた男もリーダー格の男と同様、口をアングリと開けて驚いているのが顔を覆っている布越しにでもわかる。

俺はアンナを抱き抱えるとおじいさんの元へ向かう。
しかし

「……はッ!? 」

アンナを縛り上げていた男がようやく我に帰った。
背中に背負っていた大鎌を手に取ると

「テ、テメェ! よくもパークをぉぉぉッ!」

俺が殴り飛ばした男らしき名を叫び、三日月のように整った大鎌を凪いできた。
その鋭い刃は後ろから俺の首を捕らーー

「ぐがッ!?」

ーーえず、頭上を通過した。

メギッ…!

が男の横腹を抉る。
男は車に跳ねられたように吹き飛ぶと、店の壁を貫通し、隣の家の壁へめり込み動かなくなった。

おじいさんにアンナを渡すと、俺はリーダー格の男に向き直る。

「…き、貴様ァ……!」

ヤツは我に帰ると、さらに懐から剣を取りだし、両手に剣を構えた。

(どんだけ懐に剣入れてるんだよ…)

さっきまでとは違い、翼を出した瞬間から不思議と俺は落ち着いていた。
高ぶっていた感情が一旦リセットされたみたに、頭に昇っていた血がなくなっていた。

でも、確かに強い怒りを胸に感じる。

目の前にいる男は決して許されない事をしたんだからな。

「うらぁぁぁぁぁぁあああああ!!」

男はギィンッと一度剣を打ち鳴らすと、真正面から突っ込んできた。
こちらも翼を硬化させ、両翼から一本ずつ羽を抜き取りそれに応戦する。

当たるとは思わなかったが、牽制に翼を凪いだ。
が、案の定、男はそれを前転で回避して俺の懐へと潜り込んむ。
「オゥラァッ!」
さらにその体制から切り上げるように剣を振るった。
その剣を羽で受け止め顔を上げると、男は楽しそうに笑っていた。
「へへっ…さっきの力はハッタリか…?」
さっきのメリケン野郎の拳よりも重い一撃が俺の腕ごしにも伝わり、腕がびりびりと痺れる。
その一瞬の痺れも終わるか終わらないかの内に、
「魔王ってのも大したことねぇなぁッ!!」
男はもう片方の剣で俺の顔目掛けて突きを放つ。
(チィッ…!)
俺は咄嗟に、翼で地を蹴った。
男の狙いはズレ、放った突きは、辛うじて俺の顔の芯を捉えず、頬を掠める。
「このッ…!」
俺は、腰を低くしていた男の肩を蹴り、宙に舞い上がった。
その体制から羽の剣を男に向かって投げ放つ。
「はァッ!こんなものッ!!」
男はそれを自慢の腕力でガンガンッと弾きかえす。
そして手ぶらの俺に向かって薄気味悪い笑みをこぼした。
だが、

ーー その油断が命取りだ…!

俺は天井に突き刺さっていたおじいさんの氷の剣を掴みとった。
状況を理解した男の笑みが、ひきつったように歪む。

「はぁぁぁぁぁぁああああッ!」

俺はその剣を引き抜くと、落下する体と共に、男の肩へと勢いよく突き刺した。

ブシュッと男の真っ赤な鮮血が宙を舞い、体制を崩された男の顔から、余裕が消える。
「!? くぉッ…!?」
男のもつ剣も、肩を貫かれた腕から地に落ちた。
不安定ながらもなんとか着地した俺は、すかさず、痛みに困惑した男のもう片方の腕を翼で凪ぎ払う。

ゴキリッ…!

俺の腕から鈍い音が聞こえ、握っていたもうひとつの剣が弾き飛ぶ。
さらに蹴りをがら空きになった腹に叩き込むが、男はこれを間一髪で後ろに跳んで避けた。


「…や、やるじゃねぇか…な、舐めてたぜ…!」

それでも男はニヤリと笑い、

「こいつは…出したくなかったんだがなぁ…!」

そう言って、指笛をピーーーッと鳴らした。
すると、

 バゴォッ!


壊れた扉を更に吹き飛ばして、



(!?)






鎖で両手を結ばれた大男が、姿を現した。



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