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沖黒の章 膽澤鎮守府3
磐座山
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国守一行は河崎柵を出ると、日高見川を渡り西行した。
五百を越える兵士に囲まれて柵を出たのであるが、その物々しさに戸惑う間もなく、渡河する際には馬を乗せられる舟が出され、悠々と渡航出来たのには登任もさすがに驚いた。
『都からはるか離れた辺境の地で、一郡司如きが持ちうる力がこれほどとは・・・。」
戸惑いの混じった陰鬱とした気持ちのまま再び馬に揺られ、やがて磐井川が蛇行しその支流久保川に囲まれた柵が見えてきた。
小松柵である。
河崎の柵ほどではないが、囲む久保川よりは数段高い位置に大きな舘が在り、東西南北に高さ二丈ほどの物見櫓が建っていた。
久保川に渡された桟橋の前まで来て、経清は柵内に向かってさけんだ。
「陸奥国守、藤原主殿頭登任様のご到来である。」
すると門を開けずに櫓上から応える者がいた。黒漆の光る鎧をまとった若武者であった。
「遠路ご苦労様でございます。当小松柵をお預りします安倍頼良が弟良照は、過日鎮守府へと向かいました。私は留守居を任されました、良照が子(養子)家任にございます。申し訳ございませぬが、あるじ不在のため国守様をご饗応することかないませぬゆえ、先へ向かわれますようお願い申し上げます。」
にべもない対応にあぜんとした一行は、反ばくする気も失せて、仕方無く馬首を北へと向けた。
磐井川を渡河し暫く進むと、東西に連なるやや高さのある山が見えた。
地元では磐座山と呼ばれ、山頂には配志和(火石輪)神が祀られていたのだが、そうとも知らずに山を迂回して、右手に日高見川を望みながら先へと進んだ。
五百を越える兵士に囲まれて柵を出たのであるが、その物々しさに戸惑う間もなく、渡河する際には馬を乗せられる舟が出され、悠々と渡航出来たのには登任もさすがに驚いた。
『都からはるか離れた辺境の地で、一郡司如きが持ちうる力がこれほどとは・・・。」
戸惑いの混じった陰鬱とした気持ちのまま再び馬に揺られ、やがて磐井川が蛇行しその支流久保川に囲まれた柵が見えてきた。
小松柵である。
河崎の柵ほどではないが、囲む久保川よりは数段高い位置に大きな舘が在り、東西南北に高さ二丈ほどの物見櫓が建っていた。
久保川に渡された桟橋の前まで来て、経清は柵内に向かってさけんだ。
「陸奥国守、藤原主殿頭登任様のご到来である。」
すると門を開けずに櫓上から応える者がいた。黒漆の光る鎧をまとった若武者であった。
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にべもない対応にあぜんとした一行は、反ばくする気も失せて、仕方無く馬首を北へと向けた。
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地元では磐座山と呼ばれ、山頂には配志和(火石輪)神が祀られていたのだが、そうとも知らずに山を迂回して、右手に日高見川を望みながら先へと進んだ。
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