日高見の空舞う鷹と天翔る龍 地龍抱鷹編

西八萩 鐸磨

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火焔の章 鬼切部2

~禿山~ 2

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「なるほど。あい分かった。では、よいな三郎?」
 頼良は、あらためて経清から計画の仔細を聞いて、宗任に向かって言った。
「はい。曰理の舘の者には、けっして手を出さぬように厳命しおきます。その代わり経清殿らの兵が舘を囲んだら、ただただ、大ごえを挙げ続けさせましょう。戦であまりに静かなのもおかしなものですから。」
 宗任そう言って、呵々と笑った。

「ところで、雄勝城はいつ頃動き出しそうですか?」
 経清が、武衡を見て尋ねた。
「そうですな。出羽は雪深いゆえ、卯月に出兵することは無いでしょうな。来月は戦支度を念入りにして、皐月に入って雪が融ける頃の出立でありましょう。」
 武衡はやや勿体ぶりながら答えた。
「では、多賀国府側もそれに合わせての行軍ですね。」
 経清は気にせず、うなずいた。

 その夜の宴席では、例のごとく三姉妹が舞を舞った。
 経清と永衡は、その優美でありながら厳粛な舞を眺めながら、これから始まるであろう壮絶な戦いが嘘であるかのような不思議な感覚にとらわれていた。
 舞が終わると、姉妹は退出する。
 そのうしろ姿を追いながら、経清は武衡の声を聞いた。
「有加殿もお綺麗になられましたなあ。」
 声のした方を見ると、武衡も姉妹のうしろ姿をじっと見つめていた。



 武衡が出羽へと戻り、四月になると多賀国府と雄勝城の動きが刻一刻と伝えられるようになった。

 登任は、経清らの行方を探しているようであったが、金為時を通して、引き続き二人は、安倍方の動きを探っているという、言い訳を伝えてもらっていた。

 秋田城介は、すでに二千の兵を集めているという。
 一方、国守側が三千を越えたという報が伝えられた。


 頼良は、弟の良照を小松柵に戻し、家任とともに国守軍の北上を阻止するおさえとした。
 衣川関には、眞任改め官照と重任が入り、後詰めとした。
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