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17.一緒にいたい
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「ふにゅ~~~」
エルに色々とレクチャーを受けて、ようやく開放された俺は、コリンと自分たちの部屋へ戻ってきた。
シカルを結構飲んだので、腹がパンパンだ。
「にゅにゅにゅ~~」
「コリン~。一緒に寝るとは言ったけど、なんでベッドの上で転がっているんだ?」
「にゅ?だって、楽しいんだもん」
「さよデスカ・・・」
それにしても、本当にこの子がエルと手合わせできたのか?
「なあコリン、できたらでいいんだけど、お願いしてもいいか?」
「ぷは~~!にゃに?」
俺の枕に顔をうずめて、香りを堪能していたコリンが、キョトンとこっちを見る。
何をやっているんだか・・。
「お前のステータスを、見せてくれないかな?」
駄目なのは分かっている。
だが、見ておかないと駄目なような気もするんだ。
「・・・・・セイヤお兄ちゃんになら、見せてもいいけど。・・・そのかわり、コリンのお願いも聞いてくれる?」
コリンが、なぜかとても不安そうな顔で聞いてきた。
どうして、そんな表情をするんだろう?
「あ、ああ。・・聞くよ。な、なんだ?」
「・・・・コリンのこと嫌いにならないで欲しいの。そして、ずぅーーと一緒にいて欲しいの」
ベッドの上に四つん這いになり、俺の顔を覗き込む。
「・・・・き、嫌いになるわけ無いだろう。コリンは、可愛くてとってもいい子だし・・」
「何があっても、一緒にいてくれる?」
なぜ、そんなに不安そうな顔をするんだ?
可愛いと言われたコリンの表情は、嬉しそうに微笑んではいたが、それはとても儚い笑顔だった。
「大丈夫だ、どんなことがあっても、一緒にいる」
俺は、そんなコリンの頭に手を置いて、優しく撫でてあげながら言った。
「ほんと?コリンのこと、独りにしない?」
「ああ、ホントだ」
「良かった!」
コリンは、心底安堵したような表情で、笑った。
「じゃあ、見てもいいよ」
「ありがとう、見せてもらうな」
「うん」
俺は、コリンに『鑑定』スキルを使った。
***************
「・・・・・突っ込みどころが多すぎる」
全体的に、チートスキルなのはいい・・・良かないけど。
「ウカノミタマの加護ってどういうことだ?」
「だってコリン、きつねだもん」
そうじゃなくて、ウカノミタマさまって地球(日本)の神様だろ?
それに、俺と同じ加護・・・。
「それに、称号が『追いかけしもの』?」
何を、誰を追いかけるんだ?
「・・・」
コリンが、両手の人差し指を突き合わせて、モジモジしている。
「・・・を追いかけてきたの」
「ん?」
「セイヤお兄ちゃんを追いかけてきたの!!!」
それって!
え!?
「俺、きつねに知り合いなんていないぞ?」
「助けてくれたじゃない!黒くておっきくて、目玉がこ~んなのに!」
コリンはそう言って、人差し指と親指で、まぶたを広げてみせた。
「ああ!あの時の!!」
あの子ぎつねが、コリン?
「まさか!」
「えへ」
コリン、おまえ・・・どうして・・。
「なんでこんなとこまで、追いかけてきたんだよ!せっかく助かったのに!」
「だって・・・」
異世界に来たということは、地球では、死んじゃったってことだろ?
「それに、親きつねとか、兄弟きつねとかが、悲しむだろ」
「みんな死んじゃったもん・・」
「なっ、だからってお前まで死ぬことは!」
「コリンは、ちゃんと長生きしたよ。セイヤお兄ちゃんのおかげで」
え?
「天寿を全うして死ぬときに、ウカノミタマさまが、あたしのお願いを聞いてくれたの」
「お願い?」
「セイヤお兄ちゃんにもう一度会いたいって、会ってずっと一緒にいたいって」
「コリン、おまえ・・・」
俺は、頭が真っ白になって、胸の奥が熱くなる感覚がした。
「いいよね?一緒にいていいよね?」
「いいに決まってるだろ!!」
俺は、コリンのことを力いっぱい抱きしめていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
そのあと、コリンのステータスをもう少し詳しく見ていった。
まず、『ステータスポイント』がある。
「俺とおんなじじゃん」
もしかして、これって俺たち転生・転移者だけの、特別システムか?
ユニークスキルも、ほぼ俺と同じだな。
これも、標準仕様か?
問題は、固有能力だ。
「ステータス自動配分ってなんだ?」
「なんかね、コリンよくわかんないから、エア神さまが付けてくれたの」
なるほどね、便利ちゃあ、便利か。
オン・オフできるんだな。
「こっちの『模倣』は?」
「わかんない」
説明見りゃいいだろう・・・(直前に見た魔法を1度だけ真似できる。ただし保有魔力量に依存する)・・・なんだこれ?
魔力量さえ育てとけば、自分の知らない、会得していない魔法でも放てるってことだよな。
ただ、使い所を考えないと、1回使って失敗したら終わりだから、意外と使い勝手悪いかも。
「あんまり使う場面ないかもな」
「そなの?」
「ああ、使う時は俺が言うから、それまではなるべく使うな」
「わかった」
にしてもアレだな、俺と同じシステムだとしたら、経験値をどんどん獲得させたほうが強くなるし、その分安全性が増すってことだよな。
でも、そうは言ってもまだ5歳の女の子だしなあ・・・。
「どうすれば、いいのか・・・」
よく考えないとな。
***************
朝になった。
今朝も、俺の懐にハマって丸くなっているコリン。
「おい、コリン。朝だぞ」
「むにゅ・・・」
まったく起きる気配がない。
「起きろ。朝だ!」
「・・・『あさ』さんは、きょうはお休みだって・・・」
「んなわけあるか!」
「エル、おはよう!」
「ほはようほはいま~す」
「おはよ。コリンは、まだお眠のようね」
右手の甲で、目をこすりながら俺のあとについてきたコリンに、エルが微笑みながら言った。
「今日はどうする?あたしと手合わせする?」
朝ごはんを食べながら、エルが聞いてきた。
「いや、悪いけど今日も依頼を受けてみようと思う」
「そ、じゃあ、あたしも今日は依頼をこなそうかな」
俺は、昨日のエルのアドバイスを聞いて、できるだけ経験を多く積んだほうがいいと思い、そう言った。
「でも、コリンはどうするの?」
「コリン、留守番できるか?」
「一緒がいい!」
コリンが、俺の腕に飛びついてくる。
「でもまだ、冒険者登録もできないしな・・・」
俺は、そんなコリンを見ながら迷った。
「別にいいじゃない、報酬はもらえないけど経験値は入るし、コリンの実力ならDランクの魔物くらいならいけると思うわよ」
「んー・・まあ、たしかに・・」
「それに、あたしが冒険者になったときより、よっぽど今のコリンの方が強いし」
「そうなのか?」
「ええ、そうよ!」
なんか、エルが少し怒ってる。
俺のせいか?
コリンは、キラキラした目で俺のことを見つめている。
「・・・・分かった、そうするよ。でもコリン」
「ん?」
「俺のそばから、絶対離れるなよ!」
「うん!!」
とびっきりの笑顔・・・これから俺は、どんなに強くなっても、この笑顔には勝てないんだろうな・・・。
**************************
あれから1週間が、あっというまに過ぎた。
俺とコリンは、2人で森に入って、EランクとDランクの依頼をこなし続けた。
3日目くらいには、だいたいの1日当たりのこなせる量が把握出来たので、4日目からは、1日のノルマを設定し、達成後は、コリンの経験値稼ぎに使った。
エルの言う通り、コリンの強さは本物で、Dランクの魔物を普通に狩ることができた。
コリンは、さすがに元肉食性のきつねだけあって、獲物を狩ることに戸惑いは無いようだった。
「それにしても、レベルって全然上がらないなあ」
「ほにょ?コリンは上がったよ」
俺の今のレベルは、6だ。
ちなみにコリンは、3。
ほとんど差がない。
どうも、得られる経験値に、ブーストは無いみたいだ。
この世界の、一般人と変わらない。
まあ、その分バカみたいなステータス数値のおかげで、大量に魔物を狩れるから、その上昇スピードは、他人に比べれば、速いのかもしれないが・・。
「所持金も、281.5万シケル・・・。そのうち家を買える勢いだ」
「あたしたち、お金持ち?」
「ああ、つい一週間前に無一文だったとは思えないな」
「じゃあ、いっぱいご飯食べれるね!」
「お前は、食べることばっかだなあ」
ニカッと笑うコリンに、俺は呆れ顔で言って、その頭をぽんぽんと叩いた。
「そろそろ、エルにあれをお願いしようかな」
「何を?」
「特訓さ」
「とっくん?」
「コリンもやって貰っただろう?棒でこう・・・」
「???・・あっ!分かった!!コンコンコン!!!」
「ははは。そう、コンコンコンだ」
よし、あとでエルに頼んでみよう。
***************
『ファイヤボール』
「アイスボール!」
俺が放った魔法が、打ち消された。
氷魔法!?
「せやっ!」
「はっ。甘い!」
「くっ」
俺は一瞬の戸惑いを振り払って、打ち込んだが、アッサリとギリギリでかわされてしまい、逆に攻め込まれる。
「こうよ!アイスウォール」
間合いが広がった瞬間、エルが見たことのない魔法を放った。
えっ!?
足が!!
足元が、凍りついて動けない。
「なにアタフタしているの!」
「む」
再び間合いを詰めてきたエル、打ち込んでくる。
俺は、スキルとステータス数値頼りで、その攻撃を返し続けるが、足が動かないため、どんどん劣勢になっていく。
「ふん!」
バリバリバリバリ!
俺は、力まかせに凍った地面ごと足を引き抜いた。
「なんなの!その馬鹿力!!」
意表をつかれたエルが、一瞬バランスを崩した。
「そこだ!」
「まだまだ!」
***************
エルとの手合わせは、魔法レベルは2までを上限として、木刀を使ってやった。
それでも、ステータス的には圧倒的に俺が上だと思ったんだが、結果は惨憺たるものだった。
「ほんとあんたって、無駄な動きが多すぎる。(もったいなさすぎて、だんだんムカついてくるわ!)」
「結構、この一週間頑張ったんだけどなあ・・」
たしかに、スピードと攻撃力は俺のほうが断然上回っているんだけど、応用力というか、意外性というか、要するに最後のところで持って行かれちゃうのだ。
「魔法も、なんで基本の3種ばっかりなの?」
「え?だって、それしか出来ないし・・」
「いい?あたしの氷魔法は、ユニークスキルだからちょっと違うんだけど、でも、元々水と風と火の属性持ちだからこそ取得できたの」
「お、おお。・・そんな事もできるんだ」
「そうじゃなくて、あんた魔力操作っていう便利そうな固有能力を持っているんでしょ?」
「そ、そういえば」
「普通の人は、とてつもない努力の末に、基本の魔法の他に様々な魔法を取得していくの。そして、そのために、ただボールやウォールを作るだけじゃなく、力加減や発動の方向なんかを工夫して、例えばファイヤなら小さな灯火から、あたりを焼き尽くす豪火みたいな巨大な炎を操れるようにするのよ」
「なるほど!俺は、なにも工夫せずに、ただバンバン魔法を放ってただけだったのか」
「そう、ほんと単純バカね」
「悪かったな」
「(ホントは、そういう真っ直ぐなところがいいというか・・・)」
「え?」
「なんでもないわよ!だから、そのスキルを使って色々試して練習と工夫を繰り返せば、きっと氷魔法どころか雷魔法も使えるようになるわ。・・あ、聞くの忘れてたけど、どうせ全属性持ちなんでしょ?」
「な、なんで分かったの?」
「バカみたいなスキルばっか持ってるからよ。(エア神さまの言っていることから考えれば分かるわよ)」
「そんな、バカバカ言うなって」
「いいから、その辺考えなら、もう一回行くわよ!」
「お、おい!!」
「セイヤお兄ちゃん頑張って~~~。」
5個目の綿アメを食べながら、コリンが手を振った。
エルに色々とレクチャーを受けて、ようやく開放された俺は、コリンと自分たちの部屋へ戻ってきた。
シカルを結構飲んだので、腹がパンパンだ。
「にゅにゅにゅ~~」
「コリン~。一緒に寝るとは言ったけど、なんでベッドの上で転がっているんだ?」
「にゅ?だって、楽しいんだもん」
「さよデスカ・・・」
それにしても、本当にこの子がエルと手合わせできたのか?
「なあコリン、できたらでいいんだけど、お願いしてもいいか?」
「ぷは~~!にゃに?」
俺の枕に顔をうずめて、香りを堪能していたコリンが、キョトンとこっちを見る。
何をやっているんだか・・。
「お前のステータスを、見せてくれないかな?」
駄目なのは分かっている。
だが、見ておかないと駄目なような気もするんだ。
「・・・・・セイヤお兄ちゃんになら、見せてもいいけど。・・・そのかわり、コリンのお願いも聞いてくれる?」
コリンが、なぜかとても不安そうな顔で聞いてきた。
どうして、そんな表情をするんだろう?
「あ、ああ。・・聞くよ。な、なんだ?」
「・・・・コリンのこと嫌いにならないで欲しいの。そして、ずぅーーと一緒にいて欲しいの」
ベッドの上に四つん這いになり、俺の顔を覗き込む。
「・・・・き、嫌いになるわけ無いだろう。コリンは、可愛くてとってもいい子だし・・」
「何があっても、一緒にいてくれる?」
なぜ、そんなに不安そうな顔をするんだ?
可愛いと言われたコリンの表情は、嬉しそうに微笑んではいたが、それはとても儚い笑顔だった。
「大丈夫だ、どんなことがあっても、一緒にいる」
俺は、そんなコリンの頭に手を置いて、優しく撫でてあげながら言った。
「ほんと?コリンのこと、独りにしない?」
「ああ、ホントだ」
「良かった!」
コリンは、心底安堵したような表情で、笑った。
「じゃあ、見てもいいよ」
「ありがとう、見せてもらうな」
「うん」
俺は、コリンに『鑑定』スキルを使った。
***************
「・・・・・突っ込みどころが多すぎる」
全体的に、チートスキルなのはいい・・・良かないけど。
「ウカノミタマの加護ってどういうことだ?」
「だってコリン、きつねだもん」
そうじゃなくて、ウカノミタマさまって地球(日本)の神様だろ?
それに、俺と同じ加護・・・。
「それに、称号が『追いかけしもの』?」
何を、誰を追いかけるんだ?
「・・・」
コリンが、両手の人差し指を突き合わせて、モジモジしている。
「・・・を追いかけてきたの」
「ん?」
「セイヤお兄ちゃんを追いかけてきたの!!!」
それって!
え!?
「俺、きつねに知り合いなんていないぞ?」
「助けてくれたじゃない!黒くておっきくて、目玉がこ~んなのに!」
コリンはそう言って、人差し指と親指で、まぶたを広げてみせた。
「ああ!あの時の!!」
あの子ぎつねが、コリン?
「まさか!」
「えへ」
コリン、おまえ・・・どうして・・。
「なんでこんなとこまで、追いかけてきたんだよ!せっかく助かったのに!」
「だって・・・」
異世界に来たということは、地球では、死んじゃったってことだろ?
「それに、親きつねとか、兄弟きつねとかが、悲しむだろ」
「みんな死んじゃったもん・・」
「なっ、だからってお前まで死ぬことは!」
「コリンは、ちゃんと長生きしたよ。セイヤお兄ちゃんのおかげで」
え?
「天寿を全うして死ぬときに、ウカノミタマさまが、あたしのお願いを聞いてくれたの」
「お願い?」
「セイヤお兄ちゃんにもう一度会いたいって、会ってずっと一緒にいたいって」
「コリン、おまえ・・・」
俺は、頭が真っ白になって、胸の奥が熱くなる感覚がした。
「いいよね?一緒にいていいよね?」
「いいに決まってるだろ!!」
俺は、コリンのことを力いっぱい抱きしめていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
そのあと、コリンのステータスをもう少し詳しく見ていった。
まず、『ステータスポイント』がある。
「俺とおんなじじゃん」
もしかして、これって俺たち転生・転移者だけの、特別システムか?
ユニークスキルも、ほぼ俺と同じだな。
これも、標準仕様か?
問題は、固有能力だ。
「ステータス自動配分ってなんだ?」
「なんかね、コリンよくわかんないから、エア神さまが付けてくれたの」
なるほどね、便利ちゃあ、便利か。
オン・オフできるんだな。
「こっちの『模倣』は?」
「わかんない」
説明見りゃいいだろう・・・(直前に見た魔法を1度だけ真似できる。ただし保有魔力量に依存する)・・・なんだこれ?
魔力量さえ育てとけば、自分の知らない、会得していない魔法でも放てるってことだよな。
ただ、使い所を考えないと、1回使って失敗したら終わりだから、意外と使い勝手悪いかも。
「あんまり使う場面ないかもな」
「そなの?」
「ああ、使う時は俺が言うから、それまではなるべく使うな」
「わかった」
にしてもアレだな、俺と同じシステムだとしたら、経験値をどんどん獲得させたほうが強くなるし、その分安全性が増すってことだよな。
でも、そうは言ってもまだ5歳の女の子だしなあ・・・。
「どうすれば、いいのか・・・」
よく考えないとな。
***************
朝になった。
今朝も、俺の懐にハマって丸くなっているコリン。
「おい、コリン。朝だぞ」
「むにゅ・・・」
まったく起きる気配がない。
「起きろ。朝だ!」
「・・・『あさ』さんは、きょうはお休みだって・・・」
「んなわけあるか!」
「エル、おはよう!」
「ほはようほはいま~す」
「おはよ。コリンは、まだお眠のようね」
右手の甲で、目をこすりながら俺のあとについてきたコリンに、エルが微笑みながら言った。
「今日はどうする?あたしと手合わせする?」
朝ごはんを食べながら、エルが聞いてきた。
「いや、悪いけど今日も依頼を受けてみようと思う」
「そ、じゃあ、あたしも今日は依頼をこなそうかな」
俺は、昨日のエルのアドバイスを聞いて、できるだけ経験を多く積んだほうがいいと思い、そう言った。
「でも、コリンはどうするの?」
「コリン、留守番できるか?」
「一緒がいい!」
コリンが、俺の腕に飛びついてくる。
「でもまだ、冒険者登録もできないしな・・・」
俺は、そんなコリンを見ながら迷った。
「別にいいじゃない、報酬はもらえないけど経験値は入るし、コリンの実力ならDランクの魔物くらいならいけると思うわよ」
「んー・・まあ、たしかに・・」
「それに、あたしが冒険者になったときより、よっぽど今のコリンの方が強いし」
「そうなのか?」
「ええ、そうよ!」
なんか、エルが少し怒ってる。
俺のせいか?
コリンは、キラキラした目で俺のことを見つめている。
「・・・・分かった、そうするよ。でもコリン」
「ん?」
「俺のそばから、絶対離れるなよ!」
「うん!!」
とびっきりの笑顔・・・これから俺は、どんなに強くなっても、この笑顔には勝てないんだろうな・・・。
**************************
あれから1週間が、あっというまに過ぎた。
俺とコリンは、2人で森に入って、EランクとDランクの依頼をこなし続けた。
3日目くらいには、だいたいの1日当たりのこなせる量が把握出来たので、4日目からは、1日のノルマを設定し、達成後は、コリンの経験値稼ぎに使った。
エルの言う通り、コリンの強さは本物で、Dランクの魔物を普通に狩ることができた。
コリンは、さすがに元肉食性のきつねだけあって、獲物を狩ることに戸惑いは無いようだった。
「それにしても、レベルって全然上がらないなあ」
「ほにょ?コリンは上がったよ」
俺の今のレベルは、6だ。
ちなみにコリンは、3。
ほとんど差がない。
どうも、得られる経験値に、ブーストは無いみたいだ。
この世界の、一般人と変わらない。
まあ、その分バカみたいなステータス数値のおかげで、大量に魔物を狩れるから、その上昇スピードは、他人に比べれば、速いのかもしれないが・・。
「所持金も、281.5万シケル・・・。そのうち家を買える勢いだ」
「あたしたち、お金持ち?」
「ああ、つい一週間前に無一文だったとは思えないな」
「じゃあ、いっぱいご飯食べれるね!」
「お前は、食べることばっかだなあ」
ニカッと笑うコリンに、俺は呆れ顔で言って、その頭をぽんぽんと叩いた。
「そろそろ、エルにあれをお願いしようかな」
「何を?」
「特訓さ」
「とっくん?」
「コリンもやって貰っただろう?棒でこう・・・」
「???・・あっ!分かった!!コンコンコン!!!」
「ははは。そう、コンコンコンだ」
よし、あとでエルに頼んでみよう。
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『ファイヤボール』
「アイスボール!」
俺が放った魔法が、打ち消された。
氷魔法!?
「せやっ!」
「はっ。甘い!」
「くっ」
俺は一瞬の戸惑いを振り払って、打ち込んだが、アッサリとギリギリでかわされてしまい、逆に攻め込まれる。
「こうよ!アイスウォール」
間合いが広がった瞬間、エルが見たことのない魔法を放った。
えっ!?
足が!!
足元が、凍りついて動けない。
「なにアタフタしているの!」
「む」
再び間合いを詰めてきたエル、打ち込んでくる。
俺は、スキルとステータス数値頼りで、その攻撃を返し続けるが、足が動かないため、どんどん劣勢になっていく。
「ふん!」
バリバリバリバリ!
俺は、力まかせに凍った地面ごと足を引き抜いた。
「なんなの!その馬鹿力!!」
意表をつかれたエルが、一瞬バランスを崩した。
「そこだ!」
「まだまだ!」
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エルとの手合わせは、魔法レベルは2までを上限として、木刀を使ってやった。
それでも、ステータス的には圧倒的に俺が上だと思ったんだが、結果は惨憺たるものだった。
「ほんとあんたって、無駄な動きが多すぎる。(もったいなさすぎて、だんだんムカついてくるわ!)」
「結構、この一週間頑張ったんだけどなあ・・」
たしかに、スピードと攻撃力は俺のほうが断然上回っているんだけど、応用力というか、意外性というか、要するに最後のところで持って行かれちゃうのだ。
「魔法も、なんで基本の3種ばっかりなの?」
「え?だって、それしか出来ないし・・」
「いい?あたしの氷魔法は、ユニークスキルだからちょっと違うんだけど、でも、元々水と風と火の属性持ちだからこそ取得できたの」
「お、おお。・・そんな事もできるんだ」
「そうじゃなくて、あんた魔力操作っていう便利そうな固有能力を持っているんでしょ?」
「そ、そういえば」
「普通の人は、とてつもない努力の末に、基本の魔法の他に様々な魔法を取得していくの。そして、そのために、ただボールやウォールを作るだけじゃなく、力加減や発動の方向なんかを工夫して、例えばファイヤなら小さな灯火から、あたりを焼き尽くす豪火みたいな巨大な炎を操れるようにするのよ」
「なるほど!俺は、なにも工夫せずに、ただバンバン魔法を放ってただけだったのか」
「そう、ほんと単純バカね」
「悪かったな」
「(ホントは、そういう真っ直ぐなところがいいというか・・・)」
「え?」
「なんでもないわよ!だから、そのスキルを使って色々試して練習と工夫を繰り返せば、きっと氷魔法どころか雷魔法も使えるようになるわ。・・あ、聞くの忘れてたけど、どうせ全属性持ちなんでしょ?」
「な、なんで分かったの?」
「バカみたいなスキルばっか持ってるからよ。(エア神さまの言っていることから考えれば分かるわよ)」
「そんな、バカバカ言うなって」
「いいから、その辺考えなら、もう一回行くわよ!」
「お、おい!!」
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5個目の綿アメを食べながら、コリンが手を振った。
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