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一章 トーマス村編
あれから5年
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準成人式から5年たった。あの年に狩猟ギルドに入った僕は、見習いから初めて薬草採取やホーンラビットの狩猟等で経験を積み、今ではフォレストウルフなんかを獲るようになった。
獲物はギルドで換金し、2割はギルドへ残り8割のうち4割を孤児院に入金している。
まだ孤児院でお世話になっているけど、今年中には出る予定でいる。そこそこ稼げるようになってきたしいつまでも甘えていられないからね。
そして現在のスキルは…
ステータス
名前 アルノ
種族 人間
職業 狩人
ユニークスキル 『思い出す』
スキル 『腕力強化Lv2』
『集中Lv2』
『気配察知Lv1』
この歳でスキルを習得しレベルまであげているのは中々優秀なんじゃないかと思う。
狩人と言う職種が僕にあっていたと言うことなのかなぁ、ただ目標であった村一番の狩人にはまだなれていない。
村一番と言えば、ミリスが自警団のナンバーワンになってしまってびっくりした。
15歳になったミリスはこの5年で騎士見習いとして大分成長している、見た目はそんなに変わっていないと思うんだけど、自警団所属の男達から熱烈なアピールを受ける程度には美人だと言う評価を得ているようだ。
「断るのもいちいち面倒なんだけど、自警団内がギスギスしても嫌だし上手く流してるのよ。」だって。今は騎士道一本に集中しているんだそうだ。
そうそう、身長は僕の方が高くなった。大事な事だからもう一回、僕の方が背が高くなった!(少しだけど)
それで自警団にはベネットも入っているのだが(彼はもともとの体質なのかがっちり体型になってきた)、ミリスは並み居る団員をしりぞけて武力的な意味で一番になったのだ、レアスキルである「守りの盾」を鍛えた結果、相手の攻撃をほぼ防ぐことが出来るようになったからだ。試しに僕も弓で撃たせてもらったことがあるけれど、カーンと良い音をさせてはじかれてしまった…どれだけ硬いんだろうか?
本人曰く
「盾を斜めに展開したり、攻撃にあわせて押し込んで打点をずらしたり工夫してるのよ。」
との事。ちょっとくやしい。
そういえばミリスは成人したら騎士になるため王都アレスガルドに行くと言っていたのに、成人式が終わってから渋り出したのは何でなんだろう?昔からあんなに騎士を熱く語っていたというのに不思議だ、あんまり村から離れたくないみたいなんだよね。寂しいのかも。
「アルノはやくいきましょ!」
「ミリスの支度に手間取ったのに…」
「男が小さいこと言わないの!女の子は時間がかかるものなのよ!」
ミリスは軽鎧といわれるタイプの防具を付けて背中にバスタードソードを背負っている、本来ショートソードorロングソードにラウンドシールドが自警団の標準装備なのだが、『守りの盾』を持つミリスは盾を持つ必要がなく、両手で使うバスタードソードを使っているのだ。
ちなみに僕はフォレストウルフの皮で作った皮鎧を付けて腰には矢筒、背中にはショートボゥを背負っている。森の中が主な活動場所の狩人はなるべく軽い装備を好んでつけるものだ。
◇
ミリスと二人で孤児院を出て、走って村の北端にあるキノヒ大樹へと向かう。
今日は自警団と狩猟ギルド合同でフォレストウルフを狩りにいく予定だ。なぜ自警団が一緒なのかと言うと、最近村近くの森で沢山のゴブリンを見かける事が増えたので偵察を兼ねているからだ。
「アルノちゃーん、ミリスちゃーん。こっちですよー」
大きく手を振りながら声を掛けてきた女性は、この村一番の狩人であるエルミージュ師匠だ。上下とも緑の服で薄茶色のマントを羽織り羽飾りのついた帽子を被っている、腰に矢筒を付けて左手にショートボゥを持っていなければパッと見は吟遊詩人のようだ。この村にも祭りの時は流しの吟遊詩人が来てくれるのだが、やっぱりエルミージュ師匠と同じような格好をしていた。そしてエルミージュ師匠の帽子の下あたりに左右に伸びた耳が見える、師匠はこの村ただ1人のエルフなのだ。
見た目は長寿の種族であるエルフだけあって僕らと同年代と言っても通用する程若々しいけど、もう百年近くもこの村に住んでいるらしい。僕の父も小さいころから師匠にお世話になっていたんだそうで、僕の事を子供か孫のように思っているふしがある。僕が村一番になれない理由がこの人だ。
「アルノちゃんとミリスちゃんは今回は私のチームよー」
少々間延びした話し方をするが、狩猟時は狙った獲物をはずしたところをみた事がない程の腕前だ。
「エルミ師匠、もう成人したんですからちゃん付けはやめて下さいよ。」一応抗議をしてみるけれど…
「あらあら大人ぶっちゃって、この村の子達はみぃんな私の子供みたいなものなんだからいいのよー」
僕とミリスの頭をなでながらそんな事を言う師匠。なんだか不思議な気分だけど、ひょっとしたらこれが母親の感じなのかもしれないと思う。僕もミリスも母親を知らないからよくわからないけど…
「今日は3チームに分けたぜ。1チーム目は俺がリーダーの「強力」チーム、2チーム目はダインがリーダーの「森の風」チーム、3チーム目はエルミージュさんの「帰るまでが偵察よ!」チームだ!…エルミージュさん、チーム名がこれじゃあ気合入りませんよ。」
自警団のリーダーでもある厳つい顔でお馴染みのギャレットさんも、エルミ師匠には頭が上がらないので何だかしまらない話になってしまっている。
「まぁいい、俺達は真っ直ぐ北に森を進んでいくから、ダインは東回りに、エルミージュさんは西周りにそれぞれ進んで下さい。フォレストウルフとかは各隊で適当に狩ってくれればいいが、ゴブリンがいるようなら無理をしないで規模なんかを確認してくれ!緊急の場合は音響矢を使う事、3時間後に一度ここに集合しましょう。では出発!」
所どころ話し方が変わるのは見回しながら話しているギャレットさんの視線が師匠に向かった時だ。ギャレットさんは普段はオーガ軍曹と呼ばれるくらい怖い人なんだけどな…横に立っているミリスは笑いを堪えるのに必死といった感じでぷるぷる震えている。確かにしゃべり方のギャップで僕も笑いそうだ…堪えろ自分!
その後3チームに分かれた合同チームはそれぞれの進路を進んでいった。
獲物はギルドで換金し、2割はギルドへ残り8割のうち4割を孤児院に入金している。
まだ孤児院でお世話になっているけど、今年中には出る予定でいる。そこそこ稼げるようになってきたしいつまでも甘えていられないからね。
そして現在のスキルは…
ステータス
名前 アルノ
種族 人間
職業 狩人
ユニークスキル 『思い出す』
スキル 『腕力強化Lv2』
『集中Lv2』
『気配察知Lv1』
この歳でスキルを習得しレベルまであげているのは中々優秀なんじゃないかと思う。
狩人と言う職種が僕にあっていたと言うことなのかなぁ、ただ目標であった村一番の狩人にはまだなれていない。
村一番と言えば、ミリスが自警団のナンバーワンになってしまってびっくりした。
15歳になったミリスはこの5年で騎士見習いとして大分成長している、見た目はそんなに変わっていないと思うんだけど、自警団所属の男達から熱烈なアピールを受ける程度には美人だと言う評価を得ているようだ。
「断るのもいちいち面倒なんだけど、自警団内がギスギスしても嫌だし上手く流してるのよ。」だって。今は騎士道一本に集中しているんだそうだ。
そうそう、身長は僕の方が高くなった。大事な事だからもう一回、僕の方が背が高くなった!(少しだけど)
それで自警団にはベネットも入っているのだが(彼はもともとの体質なのかがっちり体型になってきた)、ミリスは並み居る団員をしりぞけて武力的な意味で一番になったのだ、レアスキルである「守りの盾」を鍛えた結果、相手の攻撃をほぼ防ぐことが出来るようになったからだ。試しに僕も弓で撃たせてもらったことがあるけれど、カーンと良い音をさせてはじかれてしまった…どれだけ硬いんだろうか?
本人曰く
「盾を斜めに展開したり、攻撃にあわせて押し込んで打点をずらしたり工夫してるのよ。」
との事。ちょっとくやしい。
そういえばミリスは成人したら騎士になるため王都アレスガルドに行くと言っていたのに、成人式が終わってから渋り出したのは何でなんだろう?昔からあんなに騎士を熱く語っていたというのに不思議だ、あんまり村から離れたくないみたいなんだよね。寂しいのかも。
「アルノはやくいきましょ!」
「ミリスの支度に手間取ったのに…」
「男が小さいこと言わないの!女の子は時間がかかるものなのよ!」
ミリスは軽鎧といわれるタイプの防具を付けて背中にバスタードソードを背負っている、本来ショートソードorロングソードにラウンドシールドが自警団の標準装備なのだが、『守りの盾』を持つミリスは盾を持つ必要がなく、両手で使うバスタードソードを使っているのだ。
ちなみに僕はフォレストウルフの皮で作った皮鎧を付けて腰には矢筒、背中にはショートボゥを背負っている。森の中が主な活動場所の狩人はなるべく軽い装備を好んでつけるものだ。
◇
ミリスと二人で孤児院を出て、走って村の北端にあるキノヒ大樹へと向かう。
今日は自警団と狩猟ギルド合同でフォレストウルフを狩りにいく予定だ。なぜ自警団が一緒なのかと言うと、最近村近くの森で沢山のゴブリンを見かける事が増えたので偵察を兼ねているからだ。
「アルノちゃーん、ミリスちゃーん。こっちですよー」
大きく手を振りながら声を掛けてきた女性は、この村一番の狩人であるエルミージュ師匠だ。上下とも緑の服で薄茶色のマントを羽織り羽飾りのついた帽子を被っている、腰に矢筒を付けて左手にショートボゥを持っていなければパッと見は吟遊詩人のようだ。この村にも祭りの時は流しの吟遊詩人が来てくれるのだが、やっぱりエルミージュ師匠と同じような格好をしていた。そしてエルミージュ師匠の帽子の下あたりに左右に伸びた耳が見える、師匠はこの村ただ1人のエルフなのだ。
見た目は長寿の種族であるエルフだけあって僕らと同年代と言っても通用する程若々しいけど、もう百年近くもこの村に住んでいるらしい。僕の父も小さいころから師匠にお世話になっていたんだそうで、僕の事を子供か孫のように思っているふしがある。僕が村一番になれない理由がこの人だ。
「アルノちゃんとミリスちゃんは今回は私のチームよー」
少々間延びした話し方をするが、狩猟時は狙った獲物をはずしたところをみた事がない程の腕前だ。
「エルミ師匠、もう成人したんですからちゃん付けはやめて下さいよ。」一応抗議をしてみるけれど…
「あらあら大人ぶっちゃって、この村の子達はみぃんな私の子供みたいなものなんだからいいのよー」
僕とミリスの頭をなでながらそんな事を言う師匠。なんだか不思議な気分だけど、ひょっとしたらこれが母親の感じなのかもしれないと思う。僕もミリスも母親を知らないからよくわからないけど…
「今日は3チームに分けたぜ。1チーム目は俺がリーダーの「強力」チーム、2チーム目はダインがリーダーの「森の風」チーム、3チーム目はエルミージュさんの「帰るまでが偵察よ!」チームだ!…エルミージュさん、チーム名がこれじゃあ気合入りませんよ。」
自警団のリーダーでもある厳つい顔でお馴染みのギャレットさんも、エルミ師匠には頭が上がらないので何だかしまらない話になってしまっている。
「まぁいい、俺達は真っ直ぐ北に森を進んでいくから、ダインは東回りに、エルミージュさんは西周りにそれぞれ進んで下さい。フォレストウルフとかは各隊で適当に狩ってくれればいいが、ゴブリンがいるようなら無理をしないで規模なんかを確認してくれ!緊急の場合は音響矢を使う事、3時間後に一度ここに集合しましょう。では出発!」
所どころ話し方が変わるのは見回しながら話しているギャレットさんの視線が師匠に向かった時だ。ギャレットさんは普段はオーガ軍曹と呼ばれるくらい怖い人なんだけどな…横に立っているミリスは笑いを堪えるのに必死といった感じでぷるぷる震えている。確かにしゃべり方のギャップで僕も笑いそうだ…堪えろ自分!
その後3チームに分かれた合同チームはそれぞれの進路を進んでいった。
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