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二章 王都バッシュテン編
いや増す不安
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「貴様!陛下に向かって呼び捨てとは不敬な!」
左右に並んでいた兵士達が剣を抜いて僕に剣先を向けている。急いで弁明しないと!だが僕の意思を無視して体が立ち上がると、スキルを使ってもいないのにユーフィリス王女に変身していった……
「約束どおり帰ってきたぞ、クレイド。大きくなったな。」
◇
私が嬉しさのあまり涙ぐみながらそう言っているというのに、クレイドは口をポカーンとあけて私を見ているだけでピクリとも動かない。
「クレイド、父様の後を次いで王になったのだろう?ぽかーんとするのは関心せんぞ?しっかりせんか!」
「あ、姉上だというのですか?いや、しかしそんな。」
「お待ちください陛下!魔物が化けているのやもしれませぬ!」
っと、目の前に割り込まれてしまったな。ん?この者は確か……
「ケントゥスも久しぶりだな、おぬしも大きくなった。太りやすいから気をつけろと言っていたのに、やっぱり太ってしまったのだな。」
「な!その話を知っているのは、ユーフィリス様!?」
ふふ。王を身を挺して守るとは関心だ、太ったのは見逃してやろう。
「今の私は、アルノという少年のスキルで現世に呼び出されているという形になっているのだ。」
「王族の魂を使役しているというのですか?それはいささか問題ですぞ。」
「いや、使役というか……どうやらアルノは私の生まれ変わりのようでな。前世を思い出すと言うユニークスキルでこうなっているのだよ。」
「なんと!転生されたというのですか!?」
兵達を下がらせ、私、クレイド、ケントゥスの三人で改めて話す事にした。この姿になれるのは制限時間がある事を伝え、城に戻ったらアルノを良いようにしてやってくれと頼んだ。すでにオーファスには会って事情を話している事も伝えた。
「しかし、姉上。束の間かもしれませんがまたお会いできて本当に嬉しいです!」
「あの時は戻ってやれなくて悪かったな。だが今はクレイドの……王となった姿を見れて大変嬉しく思うぞ。」
「姉上……」
いかんそろそろ時間のようだ、
「また会える事もあろう、しっかりな。」
それだけを最後に私は眠りに落ちていった……
◇
恐れ多い事に僕は陛下の馬車に同乗させてもらい、王都へと向かった。馬車の中ではスキルを授かってからの事を大まかに話してお聞かせした。
ある程度は信用してもらったみたいだけど、お城にある魂の色を見るという魔道具で検査をさせて貰いたいという話になった、その上で僕をどう扱うか決める事になるそうだ。
ただ僕はそんな話をしながらさっきの事を考えていた、僕はスキルを使ったわけではなかったのにユーフィリス王女になってしまった。海を見たときも勝手にガレンになってしまっている(変身まではしなかったようだけど)……特に前世の人物が重要だと思っている事柄の時なのだとは思うけど、もしその垣根がどんどん下がっていってしまったら、予期せずコロコロ変わってしまうんだろうか、それとも『思い出す』のスキルをむしろ極めれば(どうすれば極められるかわからないけど)コントロールがきくようになるのだろうか。
陛下のもとに帰ってくると言う願いが叶ったからなのだろう、やはりスキルのレベルが上がっていた。これに関しては嬉しいという気持ちが大きかったが、やはり混じっていっているのではと言う不安が首をもたげてくる。
そして転生とはどこまで遡ってしまうのか。今はガレン、ユーフィリス、オーリンの3人だけだけど、5人とか10人とか増えていったらどうなるのか……なるべく使いたくはないけどそうも言ってられない事もあるだろう。これからは今よりもしっかり自分を意識していかないといけないと思った。
ステータス
名前 アルノ
種族 人間
職業 狩人
ユニークスキル 『思い出す』
『魔法剣Lv5』
『神眼Lv1』
スキル 『腕力強化Lv3』
『集中Lv2』
『気配察知Lv1』
『剣聖Lv9』
『神速Lv6』
『神聖魔法Lv1』
左右に並んでいた兵士達が剣を抜いて僕に剣先を向けている。急いで弁明しないと!だが僕の意思を無視して体が立ち上がると、スキルを使ってもいないのにユーフィリス王女に変身していった……
「約束どおり帰ってきたぞ、クレイド。大きくなったな。」
◇
私が嬉しさのあまり涙ぐみながらそう言っているというのに、クレイドは口をポカーンとあけて私を見ているだけでピクリとも動かない。
「クレイド、父様の後を次いで王になったのだろう?ぽかーんとするのは関心せんぞ?しっかりせんか!」
「あ、姉上だというのですか?いや、しかしそんな。」
「お待ちください陛下!魔物が化けているのやもしれませぬ!」
っと、目の前に割り込まれてしまったな。ん?この者は確か……
「ケントゥスも久しぶりだな、おぬしも大きくなった。太りやすいから気をつけろと言っていたのに、やっぱり太ってしまったのだな。」
「な!その話を知っているのは、ユーフィリス様!?」
ふふ。王を身を挺して守るとは関心だ、太ったのは見逃してやろう。
「今の私は、アルノという少年のスキルで現世に呼び出されているという形になっているのだ。」
「王族の魂を使役しているというのですか?それはいささか問題ですぞ。」
「いや、使役というか……どうやらアルノは私の生まれ変わりのようでな。前世を思い出すと言うユニークスキルでこうなっているのだよ。」
「なんと!転生されたというのですか!?」
兵達を下がらせ、私、クレイド、ケントゥスの三人で改めて話す事にした。この姿になれるのは制限時間がある事を伝え、城に戻ったらアルノを良いようにしてやってくれと頼んだ。すでにオーファスには会って事情を話している事も伝えた。
「しかし、姉上。束の間かもしれませんがまたお会いできて本当に嬉しいです!」
「あの時は戻ってやれなくて悪かったな。だが今はクレイドの……王となった姿を見れて大変嬉しく思うぞ。」
「姉上……」
いかんそろそろ時間のようだ、
「また会える事もあろう、しっかりな。」
それだけを最後に私は眠りに落ちていった……
◇
恐れ多い事に僕は陛下の馬車に同乗させてもらい、王都へと向かった。馬車の中ではスキルを授かってからの事を大まかに話してお聞かせした。
ある程度は信用してもらったみたいだけど、お城にある魂の色を見るという魔道具で検査をさせて貰いたいという話になった、その上で僕をどう扱うか決める事になるそうだ。
ただ僕はそんな話をしながらさっきの事を考えていた、僕はスキルを使ったわけではなかったのにユーフィリス王女になってしまった。海を見たときも勝手にガレンになってしまっている(変身まではしなかったようだけど)……特に前世の人物が重要だと思っている事柄の時なのだとは思うけど、もしその垣根がどんどん下がっていってしまったら、予期せずコロコロ変わってしまうんだろうか、それとも『思い出す』のスキルをむしろ極めれば(どうすれば極められるかわからないけど)コントロールがきくようになるのだろうか。
陛下のもとに帰ってくると言う願いが叶ったからなのだろう、やはりスキルのレベルが上がっていた。これに関しては嬉しいという気持ちが大きかったが、やはり混じっていっているのではと言う不安が首をもたげてくる。
そして転生とはどこまで遡ってしまうのか。今はガレン、ユーフィリス、オーリンの3人だけだけど、5人とか10人とか増えていったらどうなるのか……なるべく使いたくはないけどそうも言ってられない事もあるだろう。これからは今よりもしっかり自分を意識していかないといけないと思った。
ステータス
名前 アルノ
種族 人間
職業 狩人
ユニークスキル 『思い出す』
『魔法剣Lv5』
『神眼Lv1』
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