僕はスキルで思い出す

魔法仕掛けのにゃんこ

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二章 王都バッシュテン編

魂の色

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王都の門で一度馬車から降りた僕は、ミリスと合流してから改めて王城へと向かった。

宮廷魔導師のオーファスさんのところへ案内してもらったんだけれど、オーファスさんと合流したその足で、陛下と非公式な会見を行うべく会議室へと連れて行かれた。
調度品が適度にある豪華な部屋に通された。真ん中にはテーブルがあり椅子が五脚ずつ向かい合わせになるようにおいてあった。テーブルの真ん中あたりに両手でもったら丁度いいくらいの大きさの水晶球が台座に乗せられており、誰も触れていないのに淡く光っている。あれが魂の色を見るという魔道具なんだろう。

待つことしばらくで陛下がケントゥスさん(大臣だそうだ)をつれてやって来た。
迎えいれる側は、僕、ミリス、オーファスさんの三人で合計五人での会見になった。

「アルノよ、オーファスからも話は聞いた。お主の立場はやはり魂の色が判断材料になるとの結論になった。」

ケントゥスさんが最初に発言をすると水晶球に手を差し出す。

「これは触れて魔力を流すと、個人個人で最も相性の良い属性の色に光るものだ。赤、青、緑、黒、白等だな。基本はこの五色なのだが稀な色の属性もある。」

「属性の色が魂の色という事なのですか?」

「この魔道具は基本的には属性を調べるものなのだ、副産物としてだが王族はもれなく銀に光る事がわかっている。」

「髪の色と同じだという事じゃな。この国の祖であるアレスが神の力を授かった時から銀になったと言われておる。必ずユニークスキルが発動するのじゃよ。」

必ずユニークスキルが発動する!流石王族は違うんだなぁ。つまり僕がこの水晶球で銀に光ったら王族……に近いような扱いになるってことなのかな。

「では早速だが調べさせて貰おう。」

僕は右手を水晶球に乗せて魔力を意識してみた。ちなみに魔法が全く使えない人でも魔力と言うものは必ず持っているので問題なく調べる事ができるそうだ。
僕の魔力に反応したのか水晶の淡い光が中心に向かって収縮していく。反動をつけたかの様に強い光を放ちだした水晶は……銀に光って!……赤になった?……白になって緑に……一瞬青になったかと思ったらまた銀になった。

「これはどういう事じゃ?オーファスよ。」

「陛下。これは恐らくアルノ君の中にある魂の色が順番に出ているのではないかと思います。銀は間違いなくユーフィリス王女、他の色もそれぞれ違う者の色なのでしょう。もともとのアルノ君が何色なのかはこれではわかりませんが……」

「姉上の魂が共にあるという事は間違いないという事なのだな?」

「はい、そういう事になるかと。」

それぞれの色に違う魂?僕、ユーフィリス、ガレン、オーリンの四人に対して五色発光している……間違いなくまだ思い出せる前世があるという事なのだろう。一瞬だけ光ってる青があやしい……

「陛下。確かにアルノにはユーフィリス王女の魂があるようですが、彼の扱いとしては王族と言うわけにはいかないでしょう。完全に銀色であったら準王族という事にする予定でしたが……」

「そうだな。だが一介の平民として扱うわけにもいかん、アルノは準男爵扱いとする。一代しか続かないならそこまでかもしれんし、子孫に銀の魂が受け継がれるようなら昇爵するなりしなければならん。」

「とりあえず様子見という事がよろしいでしょうな。」

え!?僕が準男爵??準男爵は一代かぎりの貴族で、功績を立てたものがなれたりする爵位だ。

「アルノ君にはしばらく私のところで預かるという形にいたしましょう。ミリスさんも一緒に私の屋敷にくると良いでしょう。」

「あ、ありがとうございます!」

「ありがたいのですが、トーマス村に持っていかないといけない物資がありまして一度戻りたいのですが……」

ルプスポートで買ったものを持って帰らないと師匠とギャレットさんに怒られる!

「村へは私から届けさせましょう、今回の決定も手紙で知らせないといけませんし。」

それなら大丈夫かな?そういえばもう半月くらいでミリスの騎士団試験もあるし、村に戻ってたら間に合わなくなっちゃうかもしれないしね。

「それにしても不思議なスキルもあったものだな。いつでも使えるわけではないと聞いているが、タイミングが合えば姉上に合う時間をとらせてもらおうと思う。よいな?」

「は、はい陛下……」

これはちょっと困った事になったかもしれない、あんまり使いたくないのに……なんとかごまかして使わずにすむようにしよう。



オーファスさんに連れられて、今後お世話になるオーファスさんのお屋敷に向かった。道すがら今後の事を決めた。まずミリスの入団試験、その間に僕は貴族としての勉強……礼儀作法とか覚えないといけない事が山ほどあるらしい。
今回準男爵にはなったけれど、特に領地があるわけでもなく陛下直属と言うよくわからない立場になった。とりあえず呼び出されたら城に行けばいいらしい。

僕が曲がりなりにも貴族になった事でミリスはたいそう喜んでくれた。なぜかミリスも貴族の勉強をすると言いだしたが、そんなのいらないんじゃない?と言ったところ「騎、騎士だって礼儀作法必要でしょ!」と怒られた。
なぜだろう?






ステータス
名前 アルノ
種族 人間
職業 
ユニークスキル 『思い出す』
        『魔法剣Lv5』
        『神眼Lv1』

スキル     『腕力強化Lv3』
        『集中Lv2』
        『気配察知Lv1』
        『剣聖Lv9』
        『神速Lv6』
        『神聖魔法Lv1』
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