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第一章 麗光騎士団
第2話 入団初日
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―――麗光騎士団入団式
様々な説明が終わった後、騎士団長のフィアが演説をした。
「まずは諸君らの入団を祝福しよう!!しかし入団するだけではまだまだ足りん!!これから諸君らは一か月の訓練期間の後、本格的な配属を行う!!先に言っておくが、楽な訓練などないぞ!!騎士として常に高みを目指せ!それが出来ないのであれば、いますぐ退団しろ!!」
フィアの演説を聞いた者達はそれまで歓声を上げていたものも含めて静まり返った。
「団長かっこよかったね~」
「え~そう~?厳格な感じで厳しそうだったけど……」
「そこがいいんじゃない」
「……えぇ?」
尚、感想は人それぞれで違った。
三つの騎士団にはそれぞれ巨大な宿舎と訓練場が与えられている。
実際に任務のために各地に滞在する場合はそのための建物があるのだが、そちらは全ての騎士団で兼用する。
宿舎と言っても泊まるだけではなく、実質的な職務を行う場所でもある。
言わばそれは本部のようなものだ。
訓練場は黒い土で出来た部分と石畳で出来た部分に分かれている。
敷地で言えば城が建つほどに広い。
入団式が終わったその一時間後に訓練が開始された。
初日ということでフィアが訓練を行ったのだが――
「貴様らぁ!!そんな速度で生き残れると思っているのかぁ!!休まずさっさと走れぇ!!!」
まずは単純な走り込み。しかし実際の戦闘時のために鎧をつけているので、それだけでほとんどの者は倒れこんだ。
ガチャガチャと金属がぶつかる音が鳴る中、フィアの怒号が轟く。
団員からは心なしかフィアが生き生きとしているように見えた。
一時間の走り込みが終わり、五分の休憩を挟む。
リーナとアイクは、どちらも無事に合格していた。
そして二人も当然走っているのだが――
走り込みが終わったリーナはへたへたと地面に座り込んだ。
すぐ傍で汗一つ書かずに心配そうに見ているアイクに視線を向ける。
「ハァっ、ハァっ……アイク君、何でそんな平気そうなの!?」
「この程度なら問題ないです」
「この程度って……」
リーナは周囲を見渡した。
アイクの様に汗一つかいていない者は他におらず、ほとんどの者は座り込んでいる。
(どんな体力してるの……)
「休憩は終わりだ!!次はペアを組んで模擬戦を行え!魔法は使うな!他の組との距離に注意しろ!!」
「うう……」
立ち上がったリーナは腰に差していた剣を抜いた。
その剣は騎士団から支給された訓練用の刃を潰した両手剣である。
それぞれが得意な武器を訓練用にしたものが支給される。
このように団員に支給される物の代金は国から支払われている。
「アイク君、模擬戦してくれる?」
「はい、勿論です」
微笑むアイクを見てリーナも口元を緩め、すぐに気を引き締めて剣を構えた。
目の前の少年は得体が知れないところがある。
十五歳という若年であるにも関わらず、他の者より圧倒的に多い体力。
加えてリーナはアイクと一緒に走っていたのだが、その走り方は無駄がなく美しいとすら感じた。
年上だからと気を抜いていては敗ける―――そう考えた。
そして、アイクも両手剣を抜き放ち、片手で構えた。
(――へ?)
一瞬困惑した気持ちを鎮め、集中を深める。
「それじゃ、始めるよ」
「はい。いつでもどうぞ」
「お言葉に甘え、てッ!!」
リーナは地面を蹴り、その勢いのままに突きを放った。
相手の年齢を無視した全力の一撃。
仕草、立ち居振る舞い等から、手を抜いていい相手ではないとリーナは判断した。
しかし、自身に迫る剣を見てもアイクは動かない。
かと言って怯えているわけでもなく、むしろその瞳は獲物を見るような鋭い目つきに代わり、微かに口角が上がっているのが見えた。
剣がアイクに当たる―――そう考えた瞬間、リーナは天を仰いでいた。
「……え?」
リーナは地面に仰向けに倒れていた。
しかし、何が起こったのか分からなかった。
「だ、大丈夫ですか?」
呆然と呟くリーナに対してアイクは焦ったように声をかけた。
(今、何が……?)
気付けば手から剣の感触が消えていた。
突きを放った後を思い返しても、突然自分の視界が空に向けられていただけ。
辺りを見回すと両手剣が傍に落ちており、周囲で模擬戦を行っていた何組かの団員達が呆然と見つめていた。
「すいません……どうも戦いになると盛り上がっちゃって……」
「…えっ」
無理矢理に笑みを造る。
しかし頬が引き攣ってしまっていた。
(ま、まさかアイク君は……!?)
「そ、そうなの……ところで、さっきのはどうやったの?」
「えっと……リーナさんの剣を受け流して払った後に、脚をかけて転ばせました」
それだけのことを一瞬でやる、それにどれだけの技量が必要なのかリーナには想像できなかった。
一体誰から教わったのか、それが気になり口を開いた。
「ねぇアイク君、それ――――」
「アイク、私とも戦おうか」
リーナの言葉を美しい凛とした声が遮った。
先ほどまで人がいないと思っていた場所から声が聞こえた、そのことに驚愕したリーナが後ろを振り返ると―――
――――無邪気な笑顔を浮かべるフィア=ローゼンの姿があった。
様々な説明が終わった後、騎士団長のフィアが演説をした。
「まずは諸君らの入団を祝福しよう!!しかし入団するだけではまだまだ足りん!!これから諸君らは一か月の訓練期間の後、本格的な配属を行う!!先に言っておくが、楽な訓練などないぞ!!騎士として常に高みを目指せ!それが出来ないのであれば、いますぐ退団しろ!!」
フィアの演説を聞いた者達はそれまで歓声を上げていたものも含めて静まり返った。
「団長かっこよかったね~」
「え~そう~?厳格な感じで厳しそうだったけど……」
「そこがいいんじゃない」
「……えぇ?」
尚、感想は人それぞれで違った。
三つの騎士団にはそれぞれ巨大な宿舎と訓練場が与えられている。
実際に任務のために各地に滞在する場合はそのための建物があるのだが、そちらは全ての騎士団で兼用する。
宿舎と言っても泊まるだけではなく、実質的な職務を行う場所でもある。
言わばそれは本部のようなものだ。
訓練場は黒い土で出来た部分と石畳で出来た部分に分かれている。
敷地で言えば城が建つほどに広い。
入団式が終わったその一時間後に訓練が開始された。
初日ということでフィアが訓練を行ったのだが――
「貴様らぁ!!そんな速度で生き残れると思っているのかぁ!!休まずさっさと走れぇ!!!」
まずは単純な走り込み。しかし実際の戦闘時のために鎧をつけているので、それだけでほとんどの者は倒れこんだ。
ガチャガチャと金属がぶつかる音が鳴る中、フィアの怒号が轟く。
団員からは心なしかフィアが生き生きとしているように見えた。
一時間の走り込みが終わり、五分の休憩を挟む。
リーナとアイクは、どちらも無事に合格していた。
そして二人も当然走っているのだが――
走り込みが終わったリーナはへたへたと地面に座り込んだ。
すぐ傍で汗一つ書かずに心配そうに見ているアイクに視線を向ける。
「ハァっ、ハァっ……アイク君、何でそんな平気そうなの!?」
「この程度なら問題ないです」
「この程度って……」
リーナは周囲を見渡した。
アイクの様に汗一つかいていない者は他におらず、ほとんどの者は座り込んでいる。
(どんな体力してるの……)
「休憩は終わりだ!!次はペアを組んで模擬戦を行え!魔法は使うな!他の組との距離に注意しろ!!」
「うう……」
立ち上がったリーナは腰に差していた剣を抜いた。
その剣は騎士団から支給された訓練用の刃を潰した両手剣である。
それぞれが得意な武器を訓練用にしたものが支給される。
このように団員に支給される物の代金は国から支払われている。
「アイク君、模擬戦してくれる?」
「はい、勿論です」
微笑むアイクを見てリーナも口元を緩め、すぐに気を引き締めて剣を構えた。
目の前の少年は得体が知れないところがある。
十五歳という若年であるにも関わらず、他の者より圧倒的に多い体力。
加えてリーナはアイクと一緒に走っていたのだが、その走り方は無駄がなく美しいとすら感じた。
年上だからと気を抜いていては敗ける―――そう考えた。
そして、アイクも両手剣を抜き放ち、片手で構えた。
(――へ?)
一瞬困惑した気持ちを鎮め、集中を深める。
「それじゃ、始めるよ」
「はい。いつでもどうぞ」
「お言葉に甘え、てッ!!」
リーナは地面を蹴り、その勢いのままに突きを放った。
相手の年齢を無視した全力の一撃。
仕草、立ち居振る舞い等から、手を抜いていい相手ではないとリーナは判断した。
しかし、自身に迫る剣を見てもアイクは動かない。
かと言って怯えているわけでもなく、むしろその瞳は獲物を見るような鋭い目つきに代わり、微かに口角が上がっているのが見えた。
剣がアイクに当たる―――そう考えた瞬間、リーナは天を仰いでいた。
「……え?」
リーナは地面に仰向けに倒れていた。
しかし、何が起こったのか分からなかった。
「だ、大丈夫ですか?」
呆然と呟くリーナに対してアイクは焦ったように声をかけた。
(今、何が……?)
気付けば手から剣の感触が消えていた。
突きを放った後を思い返しても、突然自分の視界が空に向けられていただけ。
辺りを見回すと両手剣が傍に落ちており、周囲で模擬戦を行っていた何組かの団員達が呆然と見つめていた。
「すいません……どうも戦いになると盛り上がっちゃって……」
「…えっ」
無理矢理に笑みを造る。
しかし頬が引き攣ってしまっていた。
(ま、まさかアイク君は……!?)
「そ、そうなの……ところで、さっきのはどうやったの?」
「えっと……リーナさんの剣を受け流して払った後に、脚をかけて転ばせました」
それだけのことを一瞬でやる、それにどれだけの技量が必要なのかリーナには想像できなかった。
一体誰から教わったのか、それが気になり口を開いた。
「ねぇアイク君、それ――――」
「アイク、私とも戦おうか」
リーナの言葉を美しい凛とした声が遮った。
先ほどまで人がいないと思っていた場所から声が聞こえた、そのことに驚愕したリーナが後ろを振り返ると―――
――――無邪気な笑顔を浮かべるフィア=ローゼンの姿があった。
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