リアルチートは突然に _ゲーム初心者の最強プレーヤー_

Lizard

文字の大きさ
21 / 36
第二章 ボス(プレイヤースキル的な)

二十一本目 初PVP _リアルチーター、人の心の難儀さを知る_

しおりを挟む

「てめぇはさっさと情報を出せばいいんだよ!当然のことだろうが!!!」

プレイヤーの男が叫ぶ。

うーん・・・

どうしてこうなった?

マルトロスを歩いていた時、突然プレイヤーに呼びかけられた。
どうやら事の発端は橋の上でナイアードと会話していた所を見られたことらしい。

~~~~~~~

遡ること10分前―――

「おい」
「うん?初めまして。どうしたんですか?」

真っ白な鎧を着た男が呼びかけてきた。

「お前さっき水龍神と会話してたよな?どうやったんだ?」
「・・・どうやったとは?」

どうも嫌な感じだなぁ・・・

「出現条件を聞いてんだよ!」

出現条件って・・・
ナイアードに会うための条件?

「いや、知らないですよ?」
「はぁ!?てめぇ、隠そうってんならどうなるか分かってんだろうな?俺はギルド"聖天騎士団"のメンバーのブローXだぞ?」

そういって凄いニヤニヤしてる。
いや、ブローXって・・・

「すいません、知らないです」
「あぁ?舐めてんのか??てめぇだって知ってんだろ?純白の鎧は"聖天騎士団"の証拠だ!!てめぇはさっさと教えりゃいいんだよ!!」
「・・・え?"聖天騎士団"ってなんですか?」
「はぁ!?てめぇにわかかよ!"聖天騎士団"は最前線の攻略ギルドだろうが!!」

首を傾げる。
いやそんなこと言われてもなぁ・・・

「うーん、それで、例え知ってたとしても何で教えなきゃいけないんですか?」

もしかしてこのゲームのルールだったりするのかな?

「はぁ?そんなもん俺たちが攻略組だからだろうが。てめぇがその情報を独占してたら役に立たねぇだろ?それを俺が使ってやるっつってんだよ」

あー・・・そういう人か。
なるほどねぇ・・・

「別に誰がどうしようと自由じゃないんですか?迷惑をかけてるわけでもないですから」

そう言うと、真っ白な鎧の上から出た顔が赤くなった。
完全にキレてるな・・・


そして冒頭に戻る。

「てめぇはさっさと情報を出せばいいんだよ!当然のことだろうが!!!」
「断らせてもらいます」

はっきりと拒否を示すと、今度は殴りかかってきた。
街中でも普通にダメージは通るのかな・・・?
まぁ、例えダメージが無くても殴られてあげる理由はないなぁ。

「ッ!?はぁ!?」
「・・・うーん、これでトップクラスのギルドのメンバーなの?」

顔を逸らして手首をつかんだら驚いて動きが止まっちゃったんだけど・・・
いや、さすがに隙だらけすぎない?

「まぁ、ここは穏便に行きませんか?街中で暴れるのはやめて下さい」

注意されたことに更に怒ったのか、言葉を聞いて一瞬呆けていたブローXさん?が足払いをかけてくる。
視線を相手の顔に合わせたまま、軽く跳躍し躱す。
突き出されたままの腕をくぐるようにして背後に回る。
軽く相手の首を掴んだまま会話を試みる。

「・・・とりあえず、やめてもらえないでしょうか?」
「ぐっ!!」

驚愕に目を見開く男に、僅かな殺意を向ける。
首を放すと、男はそのまま膝を付きかけ、何とか持ちこたえた。

「てっ、てめぇっ!!!」
「?何に怒ってるんですか?」
「よくもこの俺に・・・!おいっ!お前、俺と戦え!!決闘だ!!」
「・・・はい?」

男が空中に指を奔らせる。
どうやらウィンドウを操作してるのかな・・・?

《プレイヤー『ブローX』から決闘の申請が来ています
 ・敗北条件:自身のHP全損
 ・勝利条件:相手のHP全損
    受けますか?》

   〈Yes.  or  No.〉

・・・ええー
こんなシステムもあるんだ・・・
まぁ、これで大人しくなるならいいのかな?
さっきから周りの人がかなり見てるんだけど、この場所で始まるの?

まぁ、とりあえずYesっと。

「おっ?」

Yesを選択した途端、広場に移動した。
周りの風景を見るにマルトロスだと思うけど・・・普通に人もいるし。
あれ?周りに・・・透明な壁?
もしかして隔離状態?

よく見たら周囲が半径10mくらい?のガラスのような壁に覆われていた。

目の前にカウントダウンが表示される。

5、4、3、2、1、0――

《決闘開始》

・・・あれ?ブローXさんとやらが動かないんだけど。

「おい、てめぇ・・・」

うん?なんかかなり怒ってるような?

「なんで武器を出さねぇ!!」
「え?別にいらないし・・・」

その言葉を聞いてさらにヒートアップ。
あれ?何か駄目なこと言った?

「てめぇの装備で拳闘士なわけねぇだろうがっ!!」

ブローXさんが剣を振り下ろしてくる。
うん?拳闘士・・・?

「僕は拳闘士じゃなくて聖法士だよ」

普通に跳んでそう言うと、さらに怒気が増したような気がする。
あれ?

「てめぇ・・・ぜってぇぶっ殺す!!」

・・・・・・人間って難しいよね
しおりを挟む
感想 147

あなたにおすすめの小説

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎
ファンタジー
 この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)  主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)  しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。  命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥ ※1話1500文字くらいで書いております

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

生活魔法は万能です

浜柔
ファンタジー
 生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。  それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。  ――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

俺の伯爵家大掃除

satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。 弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると… というお話です。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

【完結】それはダメなやつと笑われましたが、どうやら最高級だったみたいです。

まりぃべる
ファンタジー
「あなたの石、屑石じゃないの!?魔力、入ってらっしゃるの?」 ええよく言われますわ…。 でもこんな見た目でも、よく働いてくれるのですわよ。 この国では、13歳になると学校へ入学する。 そして1年生は聖なる山へ登り、石場で自分にだけ煌めいたように見える石を一つ選ぶ。その石に魔力を使ってもらって生活に役立てるのだ。 ☆この国での世界観です。

処理中です...