4 / 14
Episode1/Raison detre
序章/星の巡り(.??)
しおりを挟む
(.??)
(. )
ーーとある真夏の大学病院で、ひとりの少女が騒いでいた。
「どうしでですかっ!? どうしてそうやってわたしをいたぶるんですかっ!? 答えてくださいっ! 答えてくださいっ答えろよっ! 答えろって言ってんだっ! 聞こえないフリしてんじゃねぇよぉおおっ!」
少女は絶叫しながら、入院室の天井を仰ぎ見て錯乱する。
「殺す、殺す、ぜったい許さない。殺してやる。殺す、殺す殺す殺してやるっ! わたしを虐め抜いたこと、必ず後悔させてやるからなっ! 首を洗って待ってろっ!」
誰が見ても異常だとわかるくらい、顔を歪ませて発狂する少女の姿。
周りは様子を窺うことしかできない。
少女は泣きながら左腕を前に向けると、ナイフを持つ右手を天高く振り上げた。
「待ってろよ、いますぐぶっ殺しに行ってやるからぁああああああっ!!」
それを自分の手首に振り下ろしたーー。
(.-4)
神奈川県川崎市、とあるコンビニの上には、一見入り口がわからないマンションが併設されていた。その4階にある401号室の中では、目を覚ましたばかりの一人の女性ーー舞香が、ベッドの上で今しがた見た夢の内容を思い出そうとしていた。
「今の夢、なんだろう? すごい夢だった気がするんだけど、思い出せそうにないわ」
なんとなく重要な夢を見た気がする舞香は、しばらく夢を想起しようとするが、結局なにも浮かんではこない。
おいしそうな卵やパンの香りが台所から漂ってきたことにより、舞香の意識はそちらに移ってしまった。
その香ばしい匂いを嗅ぎながら、舞香はベッドから降りると近場に置かれたテーブルの前へと座った。
「夢って、過去・現在・未来という時間の概念がないらしいので、なにか良い予知夢かもしれませんよ?」
寝起き頭の舞香に、料理をしている少女ーー沙鳥(さとり)が返事する。
「それ、本当だったら凄いわ。まあ、どっちにしても忘れちゃったから無意味か」
ーー今日の寝癖は一段と酷いなぁ鏡見たくないなぁこれ。
舞香はそう考えながらも、今日の活力剤を補給していないため、それを整える気力すら湧いてこない。
「そういえば今度、成人式ありますよね? 舞香さんは行きますか?」
テーブルの上に目玉焼きとトースト、そしてサラダを並べながら沙鳥は舞香に尋ねた。
「行く気なんてさらっさらないわ。だって私、同年代の友達なんて一人もいないもの」
「わかりました。予定表には書かないでおきますね」
舞香はのんびりとサラダを口に運ぶ。
「いや、沙鳥がうちに来てくれて本当に助かる。料理も洗濯も全部押し付けちゃってさ、悪いわね」
「構いませんよ。だってわたし今、とっても幸せです。この、代わり映えのしない一日が、わたしにとって大切なものなんです。むしろ、これから先、ずっと舞香さんのご飯を作らせていただけたらな、と思っています」
沙鳥は少し赤を赤らめつつ、大胆な事を口にした。
「な、なんだかプロポーズみたいに聞こえるんだけど、それって、友達としてってこと? それとも……どう捉えたはうがいいのしら?」
沙鳥は舞香に問われると、少し間を置いてから答えた。
「……舞香さんの、お好きなほうで」
とある細道で出会った二人の少女は、お互い見つめあう。
二人の日常は、二人の時間は、このまましばらくは続くだろうか。
そして、舞香はそれに対して、真剣に答えるのであったーー。
(. )
ーーとある真夏の大学病院で、ひとりの少女が騒いでいた。
「どうしでですかっ!? どうしてそうやってわたしをいたぶるんですかっ!? 答えてくださいっ! 答えてくださいっ答えろよっ! 答えろって言ってんだっ! 聞こえないフリしてんじゃねぇよぉおおっ!」
少女は絶叫しながら、入院室の天井を仰ぎ見て錯乱する。
「殺す、殺す、ぜったい許さない。殺してやる。殺す、殺す殺す殺してやるっ! わたしを虐め抜いたこと、必ず後悔させてやるからなっ! 首を洗って待ってろっ!」
誰が見ても異常だとわかるくらい、顔を歪ませて発狂する少女の姿。
周りは様子を窺うことしかできない。
少女は泣きながら左腕を前に向けると、ナイフを持つ右手を天高く振り上げた。
「待ってろよ、いますぐぶっ殺しに行ってやるからぁああああああっ!!」
それを自分の手首に振り下ろしたーー。
(.-4)
神奈川県川崎市、とあるコンビニの上には、一見入り口がわからないマンションが併設されていた。その4階にある401号室の中では、目を覚ましたばかりの一人の女性ーー舞香が、ベッドの上で今しがた見た夢の内容を思い出そうとしていた。
「今の夢、なんだろう? すごい夢だった気がするんだけど、思い出せそうにないわ」
なんとなく重要な夢を見た気がする舞香は、しばらく夢を想起しようとするが、結局なにも浮かんではこない。
おいしそうな卵やパンの香りが台所から漂ってきたことにより、舞香の意識はそちらに移ってしまった。
その香ばしい匂いを嗅ぎながら、舞香はベッドから降りると近場に置かれたテーブルの前へと座った。
「夢って、過去・現在・未来という時間の概念がないらしいので、なにか良い予知夢かもしれませんよ?」
寝起き頭の舞香に、料理をしている少女ーー沙鳥(さとり)が返事する。
「それ、本当だったら凄いわ。まあ、どっちにしても忘れちゃったから無意味か」
ーー今日の寝癖は一段と酷いなぁ鏡見たくないなぁこれ。
舞香はそう考えながらも、今日の活力剤を補給していないため、それを整える気力すら湧いてこない。
「そういえば今度、成人式ありますよね? 舞香さんは行きますか?」
テーブルの上に目玉焼きとトースト、そしてサラダを並べながら沙鳥は舞香に尋ねた。
「行く気なんてさらっさらないわ。だって私、同年代の友達なんて一人もいないもの」
「わかりました。予定表には書かないでおきますね」
舞香はのんびりとサラダを口に運ぶ。
「いや、沙鳥がうちに来てくれて本当に助かる。料理も洗濯も全部押し付けちゃってさ、悪いわね」
「構いませんよ。だってわたし今、とっても幸せです。この、代わり映えのしない一日が、わたしにとって大切なものなんです。むしろ、これから先、ずっと舞香さんのご飯を作らせていただけたらな、と思っています」
沙鳥は少し赤を赤らめつつ、大胆な事を口にした。
「な、なんだかプロポーズみたいに聞こえるんだけど、それって、友達としてってこと? それとも……どう捉えたはうがいいのしら?」
沙鳥は舞香に問われると、少し間を置いてから答えた。
「……舞香さんの、お好きなほうで」
とある細道で出会った二人の少女は、お互い見つめあう。
二人の日常は、二人の時間は、このまましばらくは続くだろうか。
そして、舞香はそれに対して、真剣に答えるのであったーー。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
思いを込めてあなたに贈る
あんど もあ
ファンタジー
ファナの母が亡くなった二ヶ月後に、父は新しい妻とその妻との間に生まれた赤ん坊を家に連れて来た。義母は、お前はもうこの家の後継者では無いと母から受け継いだ家宝のネックレスを奪うが、そのネックレスは……。
【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない
堀 和三盆
恋愛
一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。
信じられなかった。
母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。
そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。
日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる