Raison d'être

砂風

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Episode1/Raison detre

序章/星の巡り(.??)

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(.??)
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 ーーとある真夏の大学病院で、ひとりの少女が騒いでいた。
「どうしでですかっ!? どうしてそうやってわたしをいたぶるんですかっ!? 答えてくださいっ! 答えてくださいっ答えろよっ! 答えろって言ってんだっ! 聞こえないフリしてんじゃねぇよぉおおっ!」
 少女は絶叫しながら、入院室の天井を仰ぎ見て錯乱する。
「殺す、殺す、ぜったい許さない。殺してやる。殺す、殺す殺す殺してやるっ! わたしを虐め抜いたこと、必ず後悔させてやるからなっ! 首を洗って待ってろっ!」
 誰が見ても異常だとわかるくらい、顔を歪ませて発狂する少女の姿。
 周りは様子を窺うことしかできない。
 少女は泣きながら左腕を前に向けると、ナイフを持つ右手を天高く振り上げた。
「待ってろよ、いますぐぶっ殺しに行ってやるからぁああああああっ!!」
 それを自分の手首に振り下ろしたーー。



(.-4)
 神奈川県川崎市、とあるコンビニの上には、一見入り口がわからないマンションが併設されていた。その4階にある401号室の中では、目を覚ましたばかりの一人の女性ーー舞香が、ベッドの上で今しがた見た夢の内容を思い出そうとしていた。
「今の夢、なんだろう? すごい夢だった気がするんだけど、思い出せそうにないわ」
 なんとなく重要な夢を見た気がする舞香は、しばらく夢を想起しようとするが、結局なにも浮かんではこない。
 おいしそうな卵やパンの香りが台所から漂ってきたことにより、舞香の意識はそちらに移ってしまった。
 その香ばしい匂いを嗅ぎながら、舞香はベッドから降りると近場に置かれたテーブルの前へと座った。
「夢って、過去・現在・未来という時間の概念がないらしいので、なにか良い予知夢かもしれませんよ?」
 寝起き頭の舞香に、料理をしている少女ーー沙鳥(さとり)が返事する。
「それ、本当だったら凄いわ。まあ、どっちにしても忘れちゃったから無意味か」
 ーー今日の寝癖は一段と酷いなぁ鏡見たくないなぁこれ。
 舞香はそう考えながらも、今日の活力剤を補給していないため、それを整える気力すら湧いてこない。
「そういえば今度、成人式ありますよね? 舞香さんは行きますか?」
 テーブルの上に目玉焼きとトースト、そしてサラダを並べながら沙鳥は舞香に尋ねた。
「行く気なんてさらっさらないわ。だって私、同年代の友達なんて一人もいないもの」
「わかりました。予定表には書かないでおきますね」
 舞香はのんびりとサラダを口に運ぶ。
「いや、沙鳥がうちに来てくれて本当に助かる。料理も洗濯も全部押し付けちゃってさ、悪いわね」
「構いませんよ。だってわたし今、とっても幸せです。この、代わり映えのしない一日が、わたしにとって大切なものなんです。むしろ、これから先、ずっと舞香さんのご飯を作らせていただけたらな、と思っています」
 沙鳥は少し赤を赤らめつつ、大胆な事を口にした。
「な、なんだかプロポーズみたいに聞こえるんだけど、それって、友達としてってこと? それとも……どう捉えたはうがいいのしら?」
 沙鳥は舞香に問われると、少し間を置いてから答えた。
「……舞香さんの、お好きなほうで」
 とある細道で出会った二人の少女は、お互い見つめあう。
 二人の日常は、二人の時間は、このまましばらくは続くだろうか。

 そして、舞香はそれに対して、真剣に答えるのであったーー。
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