【完結】明日結婚式なのですが、新郎のアレの様子がおかしいようです。

さわらにたの

文字の大きさ
5 / 13

5*

しおりを挟む
「数時間の前倒しは、ゆるされるんじゃないかしら……?」
「え?」

 ぽつりと静かな部屋に、イヴリアの冷静な声が響いた。

「さっき……その、私の手が触れただけで射精できたじゃない? そもそも勃起は射精すれば収まるのだから、わたしが手を貸して射精に至れるのなら、わたしがいっぱい手伝えば、どう、かしら?」
 
 そう一息に言ってのけるイヴリアの頬も、ほんのり赤い。そのままカーライルの股間に再び手を伸ばすイヴリアに、カーライルはぶんぶんと首を振った。

「ダメだよ、イヴ! 結婚前の性的交渉は禁じられてるだろ?」
「でも、わたしたち、今日の数時間後には夫婦よ? 数時間程度なんて、この先の夫婦生活を考えれば誤差だわ、許されるべきよ」
「そう、……かな?」
「結婚式はもう今日よ、厳密には同日なのだから大丈夫に決まってるわ。それにわたしは医術士、これは治療の一種だわ。ねえ、そう思わない?」
「治療……」

 ここまできて、引けるわけがない。ようやく解決の糸口をみつけたのだ。
 自分ってあんがい強引でたくましいのね、と思いながら、イヴリアはそう無茶な理論をまくし立てると、床にすわるカーライルににじり寄った。
 愛らしい小首をかしげ、その藍色の瞳を瞬かせる。
 そして一度、コクリと頷いた。

「わたしに任せて、ライル」


****


 天井の灯りを消して、ふたりで寝台に上がる。
 ひとり用の小さな寝台は、ふたり分の重みに抗議するようにギシリと薄闇に鈍い音を響かせた。

 月光だけが射しこむ、静かな部屋。心臓の音が互いに伝わってきそうなほどの緊張感だ。
 羽織っていた深緑のローブを脱ぎ、紺のガウンだけになったカーライルが寝台の上で仰向けに寝転ぶ。少しだけ緊張したようなその表情、けれど陽色の瞳の奥には炎のような欲が灯っていた。

(ライル……頬が赤いわ。でも――わたしだって……)

 ドクン、とイヴリアの心臓が一度脈打つ。体全体が熱くなってくるのが自分でもわかって、イヴリアは唇を少しだけ噛みしめると目を伏せた。

 ライルが、好き。そう強く思う。昔から、大好きでたまらなかった。ううん、好きだと自覚するよりも先に、ずっと一緒にいる相手だと思っていたのよね、とイヴリアは思う。
 本当に昔から、ずっと、ずっと、他の男なんて好きになるどころか興味をもったことだって一度もない。今までのイヴリアの人生は、すべて彼と共にあった。

 「イヴ」と自分を呼ぶ優しい声。癖のある鳶色の髪。この陽色の瞳が、ずっと隣で自分を見てくれていたのを知っている。だってわたしの藍色も、ずっと彼を見続けていたんだから。
 
「……脱がせるわ……、っ!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わんこ系婚約者の大誤算

甘寧
恋愛
女にだらしないワンコ系婚約者と、そんな婚約者を傍で優しく見守る主人公のディアナ。 そんなある日… 「婚約破棄して他の男と婚約!?」 そんな噂が飛び交い、優男の婚約者が豹変。冷たい眼差しで愛する人を見つめ、嫉妬し執着する。 その姿にディアナはゾクゾクしながら頬を染める。 小型犬から猛犬へ矯正完了!?

幼馴染の執着愛がこんなに重いなんて聞いてない

エヌ
恋愛
私は、幼馴染のキリアンに恋をしている。 でも聞いてしまった。 どうやら彼は、聖女様といい感じらしい。 私は身を引こうと思う。

英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない

百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。 幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。 ※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。

【完結】大好きな幼馴染には愛している人がいるようです。だからわたしは頑張って仕事に生きようと思います。

たろ
恋愛
幼馴染のロード。 学校を卒業してロードは村から街へ。 街の警備隊の騎士になり、気がつけば人気者に。 ダリアは大好きなロードの近くにいたくて街に出て子爵家のメイドとして働き出した。 なかなか会うことはなくても同じ街にいるだけでも幸せだと思っていた。いつかは終わらせないといけない片思い。 ロードが恋人を作るまで、夢を見ていようと思っていたのに……何故か自分がロードの恋人になってしまった。 それも女避けのための(仮)の恋人に。 そしてとうとうロードには愛する女性が現れた。 ダリアは、静かに身を引く決意をして……… ★ 短編から長編に変更させていただきます。 すみません。いつものように話が長くなってしまいました。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

うっかり結婚を承諾したら……。

翠月 瑠々奈
恋愛
「結婚しようよ」 なんて軽い言葉で誘われて、承諾することに。 相手は女避けにちょうどいいみたいだし、私は煩わしいことからの解放される。 白い結婚になるなら、思う存分魔導の勉強ができると喜んだものの……。 実際は思った感じではなくて──?

伯爵令嬢の婚約解消理由

七宮 ゆえ
恋愛
私には、小さい頃から親に決められていた婚約者がいます。 婚約者は容姿端麗、文武両道、金枝玉葉という世のご令嬢方が黄色い悲鳴をあげること間違い無しなお方です。 そんな彼と私の関係は、婚約者としても友人としても比較的良好でありました。 しかしある日、彼から婚約を解消しようという提案を受けました。勿論私達の仲が不仲になったとか、そういう話ではありません。それにはやむを得ない事情があったのです。主に、国とか国とか国とか。 一体何があったのかというと、それは…… これは、そんな私たちの少しだけ複雑な婚約についてのお話。 *本編は8話+番外編を載せる予定です。 *小説家になろうに同時掲載しております。 *なろうの方でも、アルファポリスの方でも色んな方に続編を読みたいとのお言葉を貰ったので、続きを只今執筆しております。

【完結】小さなマリーは僕の物

miniko
恋愛
マリーは小柄で胸元も寂しい自分の容姿にコンプレックスを抱いていた。 彼女の子供の頃からの婚約者は、容姿端麗、性格も良く、とても大事にしてくれる完璧な人。 しかし、周囲からの圧力もあり、自分は彼に不釣り合いだと感じて、婚約解消を目指す。 ※マリー視点とアラン視点、同じ内容を交互に書く予定です。(最終話はマリー視点のみ)

処理中です...