殺め屋敷

༺みずな(シャキシャキ)࿐

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中村文理

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プルルルルル。プルルルルル。  

事務所に一本の電話が来る。中村文理なかむらふみまさが電話を取った。

「はい。とりあえず、嫌です」

その日、中村は苛立っていた。裏の仕事を引退したにも関わらず、『君なら安全だ』などと運び屋や交渉の手駒にされ続けたからだ。

今回こそは断ろうとそう決めていたのだ。

「おお、ちょうど良かった。中村クン、君か。早速だが、君に頼みがある」

「全然ちょうど良くない。嫌だと言ったでしょう、本願寺さん」

「少女の護衛。たったこれだけで今回の報奨金は100万だ。君に断る正当な理由などないはずだが?」

「どうせその少女が只者じゃないんでしょ?どっかの資産家の娘だとかなんだろ!」

「お、おう・・・流石に鋭いな。その通りだ。有名資産家・紗羅科さらしなグループの娘さんだ」

「そんな大層な仕事僕には無理ですヨ」

「ちょっすでに・・・」

中村は嫌味半分に電話を切ろうとした時・・

ピンポーン。地獄のベルがなる。

「ごめんください。例の件で伺いました。中村さんはいますか?」

「おい、既に話がついてるのかよ!あのジジイ」

こういった要素が中村をまた苛立たせるのだ。

「仕方ねぇな」

訪ねてきたのは女一人で、名を西田と言った。その女の話によると、紗羅科グループの娘さんである真央という少女の護衛を頼みたいのだそうだ。こうなった経緯を長々と話されたが、要約するとこうだ。

『紗羅科真央の母、紗羅科理沙が何者かによって暗殺された事によって、後継が真央に託された。だが、真央は東京の寮学校住みの高校生であり、ここ大阪まですぐに連れてくることが難しい。さらに彼女はだーいすきな彼氏と明日遊園地に行くと言って聞かない。東京での最後の思い出づくりとして許可したのだが、紗羅科グループを弱体させる好機と見て刺客を送り込んで来る者がいるかも知れない。そこで、実績のある中村に依頼が来たというわけだ』

「とにかく俺はストーカーみたいにリア充の後おって、指くわえて見てればいいんだろ」

吐き捨てるような物言いに気持ちを汲み取ったのか、西田は申し訳なさそうに答える。

「は、はい。護衛さえちゃんとして貰えれば・・・」

「承知した。じゃあお嬢さんは帰ってどうぞ」

中村は軽く見送って身構えるように時計を見る。時刻は午後5時。任務が明日である以上今日中に東京に着いておきたいのだ。

軽く身支度を済ませ、すぐに事務所を出る。

「お願いだから神さま。何事もありませんように」









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