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ちゃんと推してよ!
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「えっ……?」
ライブ後のチェキ会で、あたしは目を疑いました。
彼が、他のメンバーとチェキしていたから。
彼とあたしは内緒で付き合っています。
あたしが地下とはいえアイドルとして働いているので誰にも言えませんが、結婚の約束――つまり婚約をしている仲です。
その彼が、他のメンバーとチェキしています。
これって浮気なのではないでしょうか。
「いやいや、まさかね……」
たまたま、断れなかったのかもしれません。
すぐにあたしのところにも来て、「ごめんね」と弁解してくれるはず。
そんな淡い期待を抱いたあたしでしたが、その思いは見事に打ちくだかれ、チェキ会はそのまま終了となりました。
「ちょっと、どういうつもり⁉︎」
「え?」
あたしは、仕事終わりに彼の部屋へと直行し、玄関先で問いただしました。
「なんであたしじゃなくて他の子とチェキなの? 嫌がらせ?」
「いや、普通に推し変だけど」
「はあ?」
推し変とは、推しているメンバーを変更すること。
つまりは乗り換えです。
「婚約者以外を推すって、あなたおかしいんじゃない?」
「推し変は自由だろ」
「普通はそうかもしれないけど、あたし婚約者だし――」
「いや、だから推し変だって。婚約とかなし」
は……?
あたしは目も口も丸く開けていたと思います。
「そんなわけで推し変したから、もうここには来ないでくれ」
「え? 待って待って。ごめんわかんない」
「難しい話してないだろ。お馬鹿キャラとかもう流行んないんだって、おばさん」
「おば……」
あたし24歳。
初めておばさんと呼ばれました。
「プロフィール嘘書くなって。何がハタチだよ。詐欺じゃん」
「いやあれ、ネタってわかるよね? ハタチじゃなくて、『永遠のはたちぃ♡』だもん」
「うわグッロ……。せっかく本物のハタチとチェキして気分いいんだから、もう帰れよ」
あたし生きている人間。
初めてグロいと言われました。
「あたしもう無理。ステージ降りる……」
「そっか、じゃあな。歌声は悪くないから、ステージ脇からでも声だせばいいんじゃね?」
「ありがと……」
ステージ脇から歌だけ参加するアイドルなんていません。
ていうか、引退するって意味で言ったのに。
永遠に閉じられた彼の部屋のドアをしばらく眺めてから、あたしは帰路につきました。
あたしは元アイドル。
引退理由は、婚約破棄です……。
ライブ後のチェキ会で、あたしは目を疑いました。
彼が、他のメンバーとチェキしていたから。
彼とあたしは内緒で付き合っています。
あたしが地下とはいえアイドルとして働いているので誰にも言えませんが、結婚の約束――つまり婚約をしている仲です。
その彼が、他のメンバーとチェキしています。
これって浮気なのではないでしょうか。
「いやいや、まさかね……」
たまたま、断れなかったのかもしれません。
すぐにあたしのところにも来て、「ごめんね」と弁解してくれるはず。
そんな淡い期待を抱いたあたしでしたが、その思いは見事に打ちくだかれ、チェキ会はそのまま終了となりました。
「ちょっと、どういうつもり⁉︎」
「え?」
あたしは、仕事終わりに彼の部屋へと直行し、玄関先で問いただしました。
「なんであたしじゃなくて他の子とチェキなの? 嫌がらせ?」
「いや、普通に推し変だけど」
「はあ?」
推し変とは、推しているメンバーを変更すること。
つまりは乗り換えです。
「婚約者以外を推すって、あなたおかしいんじゃない?」
「推し変は自由だろ」
「普通はそうかもしれないけど、あたし婚約者だし――」
「いや、だから推し変だって。婚約とかなし」
は……?
あたしは目も口も丸く開けていたと思います。
「そんなわけで推し変したから、もうここには来ないでくれ」
「え? 待って待って。ごめんわかんない」
「難しい話してないだろ。お馬鹿キャラとかもう流行んないんだって、おばさん」
「おば……」
あたし24歳。
初めておばさんと呼ばれました。
「プロフィール嘘書くなって。何がハタチだよ。詐欺じゃん」
「いやあれ、ネタってわかるよね? ハタチじゃなくて、『永遠のはたちぃ♡』だもん」
「うわグッロ……。せっかく本物のハタチとチェキして気分いいんだから、もう帰れよ」
あたし生きている人間。
初めてグロいと言われました。
「あたしもう無理。ステージ降りる……」
「そっか、じゃあな。歌声は悪くないから、ステージ脇からでも声だせばいいんじゃね?」
「ありがと……」
ステージ脇から歌だけ参加するアイドルなんていません。
ていうか、引退するって意味で言ったのに。
永遠に閉じられた彼の部屋のドアをしばらく眺めてから、あたしは帰路につきました。
あたしは元アイドル。
引退理由は、婚約破棄です……。
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