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動乱の故郷
第六章第32話 森の魔物駆除
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翌日、私たちは再び南の森の魔物の駆除へと向かうこととなった。今回はアロイスさんの小隊だけではなく別の小隊が三つ、つまり一個中隊に加えてハンターたちも 100 人ほどが参加している。
これは一週間前から計画されていたことで、町に近い場所の魔物を一気に狩って殲滅する作戦だったのだそうだ。
ただ、南の森で魔物が異常に大量発生しているということを受けて急遽全戦力を南に振り向けるのだという。
今回、ハンターたちは自前で魔石や素材を剥ぎ取ることは禁止されていて、ハンターギルドの派遣した剥ぎ取り専門部隊が私たちの後ろからついてくる。そして彼らが剥ぎ取った素材は騎士団とハンターギルドで折半することになっているとのことだ。
さて、私たちの側には騎士団の代表として駐屯部隊長のラザレさんとアロイスさんが、そしてハンターたちの代表としてアイロールの盾というパーティーが付いている。
「聖女様、はじめまして。俺はハンターパーティー『アイロールの盾』のリーダー、ディオンです。こちらは同じくメンバーのグレッグ、そしてギーです。よろしくおねがいします」
「おう、聖女様。よろしく頼むぜ!」
「きひひ、よろしく頼んまさぁ」
最初に挨拶をしてくれたのが藍色の髪に緑色の瞳をしたあどけなさの残る青年がディオンさん、次がガチムチスキンヘッドで褐色の肌に黒い瞳の青年がグレッグさん、そして最後がヒョロヒョロで少しくたびれた感じのおじさんがギーさんだ。ディオンさんとグレッグさんは同い年くらいかもしれないが、ギーさんは随分と年上のように見える。
「はい。よろしくおねがいします」
とは答えたものの、私たちが直接戦うようなことは無いのではないだろうか。
もし出番があるとしても遠隔攻撃のできるルーちゃんくらいだろう。
何やらありがたい訓示とやらをラザレ隊長がしているが、案の定ハンターは誰も聞いていない。ついでに言うと私も聞いていない。
だって、もうかれこれ五分くらい話しているのだ。
校長先生と偉い人の話は長いとはよく言ったものだが、ラザレ隊長もそのカテゴリに入るようだ。
「それでは、最後に聖女フィーネ・アルジェンタータ様よりお言葉を頂戴する」
うん? 聞いてないよ? 大体、そんな大声を出せないから聞こえないと思うんだけどな。
しかし集まった騎士とハンターたちまでもが静まり返ってこちらを見ている。
ええい、仕方ない。
私はお立ち台に登ると精一杯大きな声で語りかける。
「皆さん。ここアイロールで、そして故郷で帰りを待つ大切な人たちのために、必ず生きて帰ることを約束してください。皆さんに神のお導きがあらんことを」
そう言った瞬間、総勢 300 人近い人たちが一斉にブーンからのジャンピング土下座を決める。
私も慌ててブーンからのジャンピング土下座を決めるとこの会は終了となり、私たちは森へと出発することとなったのだった。
ああ、それにしてもびっくりした。
あの人数が一斉にやるとさすがに壮観だ。
動きはてんでバラバラだったけれど、あの人数が一斉にやったという迫力を加味すると 7 点ってところかな?
****
さて、先ほど私たちの出番はないと言ったな。あれは嘘だ。
というわけで、私たちも前線に出て森に溢れる魔物の駆除を行っている。
今のところ、私が結界を張ってマシロちゃんが狙撃していくという鉄壁の布陣は健在だ。
町を出て南側の森に着いた私たちは山狩りならぬ森狩りをするため、広く散開してローラー作戦で駆除をすることになった。ハンターはパーティー毎に、騎士団は分隊と言う 10 人くらいのチームごとに別れると一定の間隔を保ちながら森の奥へ奥へと分け入っていく。
こうすればかなりの範囲の魔物を全て排除できるというわけだ。
もちろん左右の端の人たちは正面と横の相手をしなければならないため、その後ろから騎士団の分隊が適宜サポートする形をとっている。
そしてその後ろからハンターギルドの素材回収部隊と後詰として騎士団の一個小隊がついてきている。
「マシロっ、次は害獣。あそことあそことあそこつ!」
ルーちゃんの掛け声でマシロちゃんが風の刃を飛ばしてはゴブリンやその上位種、それにフォレストウルフ、ホーンラビット、たまにオークといった魔物たちを次々と倒していく。
何だかマシロちゃんは肥えてからというもの、風の刃のパワーが増したような気がするのは私だけだろうか?
それにしても、ひっきりなしに魔物が襲ってくる。
どう考えても昨日よりも魔物の数が多い。
たった一日でここまで増えるものなのだろうか?
そんなことを考えていると、右のほうから誰かの悲鳴が上がった。
「うわぁぁぁぁ、オーガだっ!」
「こ、殺されるっ!」
この悲鳴はハンターたちだろうか? でも昨日シズクさんが瞬殺していたし、それほど取り乱すような相手なんだろうか?
「クリスさん、オーガというのはそんなに強いんですか?」
「そうですね。一般的には強いと言われる部類になるでしょう。一般的な戦士が大体レベル 22 ~ 24 くらいになれば一人で倒せると言われています。もしかしたら前にお話したかもしれませんが、レベル 15 で一人前、レベル 20 で高レベルです。ですので、普通のハンターどもではとても太刀打ちできないでしょう」
ああ、確かに。そういえば、世間一般だとそういう感じなんだったね。
「助けに行かなくて大丈夫ですかね?」
「オーガは単体としての強さはゴブリンロードよりも下ですし、群れの数も少なく 5 ~ 6 匹程度であることが多いのです。知能もそれほど高くはありませんので我が国の騎士団であれば倒すことは造作もありません」
そんな会話をしている間に右の方から歓声が上がった。木々で隠れて見えないが、どうやらオーガが倒されたようだ。
「あ、倒されたみたいですね」
「はい。こういった陣形を組んでいる場合は持ち場を離れないことも大切なことなのです」
「はい。わかりました」
クリスさんとそんな会話をしつつ、私たちは森の奥へと進むのだった。
これは一週間前から計画されていたことで、町に近い場所の魔物を一気に狩って殲滅する作戦だったのだそうだ。
ただ、南の森で魔物が異常に大量発生しているということを受けて急遽全戦力を南に振り向けるのだという。
今回、ハンターたちは自前で魔石や素材を剥ぎ取ることは禁止されていて、ハンターギルドの派遣した剥ぎ取り専門部隊が私たちの後ろからついてくる。そして彼らが剥ぎ取った素材は騎士団とハンターギルドで折半することになっているとのことだ。
さて、私たちの側には騎士団の代表として駐屯部隊長のラザレさんとアロイスさんが、そしてハンターたちの代表としてアイロールの盾というパーティーが付いている。
「聖女様、はじめまして。俺はハンターパーティー『アイロールの盾』のリーダー、ディオンです。こちらは同じくメンバーのグレッグ、そしてギーです。よろしくおねがいします」
「おう、聖女様。よろしく頼むぜ!」
「きひひ、よろしく頼んまさぁ」
最初に挨拶をしてくれたのが藍色の髪に緑色の瞳をしたあどけなさの残る青年がディオンさん、次がガチムチスキンヘッドで褐色の肌に黒い瞳の青年がグレッグさん、そして最後がヒョロヒョロで少しくたびれた感じのおじさんがギーさんだ。ディオンさんとグレッグさんは同い年くらいかもしれないが、ギーさんは随分と年上のように見える。
「はい。よろしくおねがいします」
とは答えたものの、私たちが直接戦うようなことは無いのではないだろうか。
もし出番があるとしても遠隔攻撃のできるルーちゃんくらいだろう。
何やらありがたい訓示とやらをラザレ隊長がしているが、案の定ハンターは誰も聞いていない。ついでに言うと私も聞いていない。
だって、もうかれこれ五分くらい話しているのだ。
校長先生と偉い人の話は長いとはよく言ったものだが、ラザレ隊長もそのカテゴリに入るようだ。
「それでは、最後に聖女フィーネ・アルジェンタータ様よりお言葉を頂戴する」
うん? 聞いてないよ? 大体、そんな大声を出せないから聞こえないと思うんだけどな。
しかし集まった騎士とハンターたちまでもが静まり返ってこちらを見ている。
ええい、仕方ない。
私はお立ち台に登ると精一杯大きな声で語りかける。
「皆さん。ここアイロールで、そして故郷で帰りを待つ大切な人たちのために、必ず生きて帰ることを約束してください。皆さんに神のお導きがあらんことを」
そう言った瞬間、総勢 300 人近い人たちが一斉にブーンからのジャンピング土下座を決める。
私も慌ててブーンからのジャンピング土下座を決めるとこの会は終了となり、私たちは森へと出発することとなったのだった。
ああ、それにしてもびっくりした。
あの人数が一斉にやるとさすがに壮観だ。
動きはてんでバラバラだったけれど、あの人数が一斉にやったという迫力を加味すると 7 点ってところかな?
****
さて、先ほど私たちの出番はないと言ったな。あれは嘘だ。
というわけで、私たちも前線に出て森に溢れる魔物の駆除を行っている。
今のところ、私が結界を張ってマシロちゃんが狙撃していくという鉄壁の布陣は健在だ。
町を出て南側の森に着いた私たちは山狩りならぬ森狩りをするため、広く散開してローラー作戦で駆除をすることになった。ハンターはパーティー毎に、騎士団は分隊と言う 10 人くらいのチームごとに別れると一定の間隔を保ちながら森の奥へ奥へと分け入っていく。
こうすればかなりの範囲の魔物を全て排除できるというわけだ。
もちろん左右の端の人たちは正面と横の相手をしなければならないため、その後ろから騎士団の分隊が適宜サポートする形をとっている。
そしてその後ろからハンターギルドの素材回収部隊と後詰として騎士団の一個小隊がついてきている。
「マシロっ、次は害獣。あそことあそことあそこつ!」
ルーちゃんの掛け声でマシロちゃんが風の刃を飛ばしてはゴブリンやその上位種、それにフォレストウルフ、ホーンラビット、たまにオークといった魔物たちを次々と倒していく。
何だかマシロちゃんは肥えてからというもの、風の刃のパワーが増したような気がするのは私だけだろうか?
それにしても、ひっきりなしに魔物が襲ってくる。
どう考えても昨日よりも魔物の数が多い。
たった一日でここまで増えるものなのだろうか?
そんなことを考えていると、右のほうから誰かの悲鳴が上がった。
「うわぁぁぁぁ、オーガだっ!」
「こ、殺されるっ!」
この悲鳴はハンターたちだろうか? でも昨日シズクさんが瞬殺していたし、それほど取り乱すような相手なんだろうか?
「クリスさん、オーガというのはそんなに強いんですか?」
「そうですね。一般的には強いと言われる部類になるでしょう。一般的な戦士が大体レベル 22 ~ 24 くらいになれば一人で倒せると言われています。もしかしたら前にお話したかもしれませんが、レベル 15 で一人前、レベル 20 で高レベルです。ですので、普通のハンターどもではとても太刀打ちできないでしょう」
ああ、確かに。そういえば、世間一般だとそういう感じなんだったね。
「助けに行かなくて大丈夫ですかね?」
「オーガは単体としての強さはゴブリンロードよりも下ですし、群れの数も少なく 5 ~ 6 匹程度であることが多いのです。知能もそれほど高くはありませんので我が国の騎士団であれば倒すことは造作もありません」
そんな会話をしている間に右の方から歓声が上がった。木々で隠れて見えないが、どうやらオーガが倒されたようだ。
「あ、倒されたみたいですね」
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クリスさんとそんな会話をしつつ、私たちは森の奥へと進むのだった。
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