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第172話 戦いのあとで
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大聖堂は半壊しており、惨憺たる有り様だ。エルドレッド様とミヤマーの戦いがそれだけ激しかったということなのだろう。
それとあちこちに鎧や服が散乱している。ゾンビになった人たちが浄化されて消滅した跡なのだろう。
そんな大聖堂でも比較的被害の少なそうな場所に私たちはやってきた。そこには先ほど二人の聖女を預けた女性兵士がおり、侵入者を拒むように守っている。
半壊しているせいで分からなかったが、どうやらここは聖女たちが住んでいるという場所のようだ。
「待て! この先は聖女様の……お前たちか。聖女様がたをお連れいただいたことは感謝している。だが……大聖女クラウディア様!?」
「勇者タクオ様まで!?」
「そういうことだ。悪いが入らせてもらう」
「っ! 部外者をここに入れるわけに……は……」
エルドレッド様がいつの間にか女性兵士の一人に剣を突き付け、もう一人には左手を向けてオレンジ色の球を突き付けていた。
「勇者タクオは我々に敗北した。お前たち自身が招いた邪神によって聖騎士たちもほぼ壊滅させられた。お前たちは敗者だ。勝者である我々に素直に従うのであれば身の安全は保証しよう。だがそうでないならば……」
エルドレッド様が今まで一度も見せたことの無いような恐ろしい口調で女性兵士を脅す。
「ぐ……わ、わかり……ました」
「ですが聖女様の安全は!」
「ええ、保証します。お分かりいただけて何よりです」
エルドレッド様はいつもどおりの紳士的な口調に戻った。
「では手始めに、大聖女クラウディアを横にしてやれる場所を提供してください。彼女の居室があるのならそこがいいでしょう」
「……ご案内いたします」
こうして私たちはクラウディアさんの部屋へとやってきた。内装はシンプルで、調度品は上質ではあるが、華美な感じはまったくない。
私たちはクラウディアさんを備え付けのベッドに寝かせ、ミヤマーを同じベッドに寝かせる。
「さて、次は先ほど預けた聖女二人を呼んでください。聞きたいことがあります」
「それは……」
「話を聞くだけです。危害を加えようというわけではありません」
「それが、その……」
「何か問題でも?」
「はい。聖女様は神の奇跡をその身に宿すため、ご存じのように大変長い御髪をお持ちです。ですがその代償として、側仕えの手伝いなしに移動することはできません。ですがその側仕えが今、行方不明になっているのです」
「どういうことでしょうか?」
「聖女ヴァージニア様も聖女シンシア様も、教皇猊下に大事な儀式があるとして呼ばれました。しかしそれ以来側仕えたちも戻っておらず……」
「そういうことですか。では私たちで出向くとしましょう。案内してください。ああ、それと誰か見張りを」
「ほならアタシが残るで。あとは、せやな。ヘクターやったっけ?」
「分かりました。私も残りましょう。それとエルドレッド殿下、できればホリーちゃんも……」
「いえ、念のためホリーさんには一緒に来てもらいます。もしかするともう少し頑張ってもらわなければならないかもしれませんから」
ヘクターさんは心配そうに私のほうを見てきた。
「ヘクターさん、大丈夫です。もう少しなら頑張れますから」
「ホリーさんがもう魔力切れ寸前なことは理解しています。ですが奇跡を使えるのはホリーさんだけですから」
「そうですよ。終わったらしっかり食べて寝ますから」
「分かったよ。くれぐれも無理しちゃダメだよ?」
「はい」
こうして私たちはまずヴァージニアさんの部屋へと向かうのだった。
◆◇◆
ヴァージニアさんの部屋から案内してくれた兵士の女性が出てきた。
「事情をお話しました。どうぞお入りください」
「失礼します」
私たちはヴァージニアさんの部屋に入る。するとシンプルなベッドの上でヴァージニアさんが上体を起こして私たちのほうをみていた。
「あなたがたが意識のないわたくしを運んでくれたと聞きました。魔族とはいえ、感謝いたしますわ」
ヴァージニアさんはにっこりとほほ笑んだ。多分年齢は私と変わらないくらいのように見えるが、とてもお淑やかで大人びて見える。
「わたくしもちょうどあなたがたにお聞きしたいことがありましたの。よろしいかしら?」
ヴァージニアさんは濃い青の瞳で私をじっと見てきた。
「えっと……」
「ホリーさん、構いませんよ。彼女たちもホリーさんのほうが話しやすいでしょう。ついでにああなった経緯も聞いてみてください」
「わかりました。ヴァージニアさん、なんでしょうか?」
「ええ。わたくしの側仕えがどこに行ったか、ご存じないかしら? あの子たちがわたくしを置いてどこかに行くとは考えられませんの」
「すみません。私たちもそれを知りたいんです。教皇に呼び出されてどこかに一緒に行ったんですよね?」
「ええ、そうですわ。教皇猊下に呼ばれ、わたくしたちは地下の礼拝室に向かいましたの。礼拝室というには少々おかしな場所でしたけれど、教皇猊下はここで祈りを捧げてほしいとおっしゃっていましたわ」
「おかしい?」
「ええ。礼拝室に普通、鉄格子なんてないでしょう? だからきっとあそこは罪人が祈りを捧げ、神に赦しを乞うための礼拝室なのだと思いますわ」
普通に考えれば、そこはただの地下牢だと思うけれど……。
「それからどうしたんですか?」
「ええ。祈りを捧げていたら騎士団長も来ましたわね。それから異界の勇者様をお呼びするためと、別室に参りましたわ。大きな魔法陣の描かれた場所で、わたくし、あんな場所がこの大聖堂にあるなんて知りませんでしたわ。そこでお祈りをして……あら? どなたかに祈りを邪魔されたような気が……?」
ヴァージニアさんはそう言って首をこてんと傾げた。
「最初に呼び出された地下の礼拝室って、どこにあるかわかりますか? もしかしたら、側仕えの方たちもそこにいるかもしれません」
「まあ! それなら早く連れてきてくださる?」
「あの、場所は……」
「わたくしが道など覚えているはずがありませんわ」
「え?」
「だって、それは側仕えの仕事でしょう? どうしてわたくしがそのようなことをしなくてはいけないんですの?」
あまりに浮世離れしたその台詞に私は開いた口が塞がらない。
この人たちは聖堂教会がなくなったら生きていけないのではないだろうか?
だが、邪神を呼び出した聖導教会を残しておくわけにはいかないだろう。
私が困り果ててエルドレッド様のほうを見みると、エルドレッド様も困惑した表情を浮かべていたのだった。
それとあちこちに鎧や服が散乱している。ゾンビになった人たちが浄化されて消滅した跡なのだろう。
そんな大聖堂でも比較的被害の少なそうな場所に私たちはやってきた。そこには先ほど二人の聖女を預けた女性兵士がおり、侵入者を拒むように守っている。
半壊しているせいで分からなかったが、どうやらここは聖女たちが住んでいるという場所のようだ。
「待て! この先は聖女様の……お前たちか。聖女様がたをお連れいただいたことは感謝している。だが……大聖女クラウディア様!?」
「勇者タクオ様まで!?」
「そういうことだ。悪いが入らせてもらう」
「っ! 部外者をここに入れるわけに……は……」
エルドレッド様がいつの間にか女性兵士の一人に剣を突き付け、もう一人には左手を向けてオレンジ色の球を突き付けていた。
「勇者タクオは我々に敗北した。お前たち自身が招いた邪神によって聖騎士たちもほぼ壊滅させられた。お前たちは敗者だ。勝者である我々に素直に従うのであれば身の安全は保証しよう。だがそうでないならば……」
エルドレッド様が今まで一度も見せたことの無いような恐ろしい口調で女性兵士を脅す。
「ぐ……わ、わかり……ました」
「ですが聖女様の安全は!」
「ええ、保証します。お分かりいただけて何よりです」
エルドレッド様はいつもどおりの紳士的な口調に戻った。
「では手始めに、大聖女クラウディアを横にしてやれる場所を提供してください。彼女の居室があるのならそこがいいでしょう」
「……ご案内いたします」
こうして私たちはクラウディアさんの部屋へとやってきた。内装はシンプルで、調度品は上質ではあるが、華美な感じはまったくない。
私たちはクラウディアさんを備え付けのベッドに寝かせ、ミヤマーを同じベッドに寝かせる。
「さて、次は先ほど預けた聖女二人を呼んでください。聞きたいことがあります」
「それは……」
「話を聞くだけです。危害を加えようというわけではありません」
「それが、その……」
「何か問題でも?」
「はい。聖女様は神の奇跡をその身に宿すため、ご存じのように大変長い御髪をお持ちです。ですがその代償として、側仕えの手伝いなしに移動することはできません。ですがその側仕えが今、行方不明になっているのです」
「どういうことでしょうか?」
「聖女ヴァージニア様も聖女シンシア様も、教皇猊下に大事な儀式があるとして呼ばれました。しかしそれ以来側仕えたちも戻っておらず……」
「そういうことですか。では私たちで出向くとしましょう。案内してください。ああ、それと誰か見張りを」
「ほならアタシが残るで。あとは、せやな。ヘクターやったっけ?」
「分かりました。私も残りましょう。それとエルドレッド殿下、できればホリーちゃんも……」
「いえ、念のためホリーさんには一緒に来てもらいます。もしかするともう少し頑張ってもらわなければならないかもしれませんから」
ヘクターさんは心配そうに私のほうを見てきた。
「ヘクターさん、大丈夫です。もう少しなら頑張れますから」
「ホリーさんがもう魔力切れ寸前なことは理解しています。ですが奇跡を使えるのはホリーさんだけですから」
「そうですよ。終わったらしっかり食べて寝ますから」
「分かったよ。くれぐれも無理しちゃダメだよ?」
「はい」
こうして私たちはまずヴァージニアさんの部屋へと向かうのだった。
◆◇◆
ヴァージニアさんの部屋から案内してくれた兵士の女性が出てきた。
「事情をお話しました。どうぞお入りください」
「失礼します」
私たちはヴァージニアさんの部屋に入る。するとシンプルなベッドの上でヴァージニアさんが上体を起こして私たちのほうをみていた。
「あなたがたが意識のないわたくしを運んでくれたと聞きました。魔族とはいえ、感謝いたしますわ」
ヴァージニアさんはにっこりとほほ笑んだ。多分年齢は私と変わらないくらいのように見えるが、とてもお淑やかで大人びて見える。
「わたくしもちょうどあなたがたにお聞きしたいことがありましたの。よろしいかしら?」
ヴァージニアさんは濃い青の瞳で私をじっと見てきた。
「えっと……」
「ホリーさん、構いませんよ。彼女たちもホリーさんのほうが話しやすいでしょう。ついでにああなった経緯も聞いてみてください」
「わかりました。ヴァージニアさん、なんでしょうか?」
「ええ。わたくしの側仕えがどこに行ったか、ご存じないかしら? あの子たちがわたくしを置いてどこかに行くとは考えられませんの」
「すみません。私たちもそれを知りたいんです。教皇に呼び出されてどこかに一緒に行ったんですよね?」
「ええ、そうですわ。教皇猊下に呼ばれ、わたくしたちは地下の礼拝室に向かいましたの。礼拝室というには少々おかしな場所でしたけれど、教皇猊下はここで祈りを捧げてほしいとおっしゃっていましたわ」
「おかしい?」
「ええ。礼拝室に普通、鉄格子なんてないでしょう? だからきっとあそこは罪人が祈りを捧げ、神に赦しを乞うための礼拝室なのだと思いますわ」
普通に考えれば、そこはただの地下牢だと思うけれど……。
「それからどうしたんですか?」
「ええ。祈りを捧げていたら騎士団長も来ましたわね。それから異界の勇者様をお呼びするためと、別室に参りましたわ。大きな魔法陣の描かれた場所で、わたくし、あんな場所がこの大聖堂にあるなんて知りませんでしたわ。そこでお祈りをして……あら? どなたかに祈りを邪魔されたような気が……?」
ヴァージニアさんはそう言って首をこてんと傾げた。
「最初に呼び出された地下の礼拝室って、どこにあるかわかりますか? もしかしたら、側仕えの方たちもそこにいるかもしれません」
「まあ! それなら早く連れてきてくださる?」
「あの、場所は……」
「わたくしが道など覚えているはずがありませんわ」
「え?」
「だって、それは側仕えの仕事でしょう? どうしてわたくしがそのようなことをしなくてはいけないんですの?」
あまりに浮世離れしたその台詞に私は開いた口が塞がらない。
この人たちは聖堂教会がなくなったら生きていけないのではないだろうか?
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