ガチャで破滅した男は異世界でもガチャをやめられないようです

一色孝太郎

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第17話 今後の方針

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 何とかフラウの消滅を回避した俺は次に何をすべきかを考えてみた。

 まずはフラウの事だ。この『ガチャ』のシステムはよく分からないが、これまでのことを総合的に判断するとどうやらフラウは俺がガチャを定期的に引いていれば消滅してしまうことは無さそうだ。

 やはりこうして一緒にいて関わっている以上、消滅なんてしてほしくないからな。

 え? ナビゲーターをチェンジしないのかって?

 そりゃあ、俺だって健全な十三歳の男子だ。前世で言えば中二の年齢なのだから、当然俺好みの美女に夜のサービスを受けてみたいという願望はある。

 だからといってこうして目の前にいて何か月も一緒に過ごしてきたフラウが消えていいなんて話になるわけがない。

 だからナビゲーターはこのままフラウにお願いして、そっちはそっちで頑張って彼女を作るところからはじめようと思う。

 まあ、ハズレと知られているので同年代の女子には全く相手にされていないけどな。

 でも、これはきっとのそのうち何とかなると思う。

 冒険者として有名になれば女は選び放題で、登りつめれば貴族にだってなれると聞いたことがある。そうなれば、いくらハズレギフト持ちと言えども相手をしてもらえるんじゃないだろうか?

 あれ? でもその状況で掌を返されたら俺、人間不信になりそうだな。

 そう思い至ったところで俺は頭を抱えた。

「あれー? 一人で百面相して何してるの?」
「ああ、フラウか。いや、今後の事を考えたらちょっと人間不信になりかけてさ」

 俺の返答にフラウは不思議そうな顔をしてこてんと首をかしげた。

「どうして人間不信になるの?」
「いや、この先冒険者として成功していくと今まで俺をハズレとして避けてきた女子どもが群がってくると思うとさ」
「ふーん? ディーノはイヤなんだ。男の子って女の人が相手なら見境がないと思っていたのに」
「そ、そんなわけないだろ。ただ、彼女になってもらっても信用できないよなって」
「まあっ。あたしというものがありながらあたしに堂々と浮気の相談なんて、ダーリンひどいわっ♡」
「お前、キャラ変わってるじゃないか! このっ!」
「えへへー」

 俺は人差し指で軽くつついてツッコミを入れようとするが、フラウは陽気な笑顔を浮かべながらひらりひらりと躱していく。

「じゃあ、ディーノは一途な女が好みなのね?」
「そりゃそうだろう。当然だ」
「じゃあ、ディーノも浮気とかしないの?」
「しないよ。当然だろう?」
「ふーん。じゃあ、妖精のおまじなーい♪」

 フラウはそう言うと俺の周りをくるくると回った。その動きを目で追いかけているとどうにも目が回りそうになる。

「ちょっと、何だよその動き。目が回るって」
「えへへ。おまじないだよー。一途なディーノが一途な彼女と結ばれますようにってね」
「へいへい。ありがとう」
「あー、信じてないでしょ。頑張って飛び回ったのにー!」
「いやいや、信じてるって。超ありがとう」
「ぶー」

 フラウは口ではそう言ってむくれているものの、ニコニコと笑顔を浮かべている。

「それで、これからどうするの?」
「そうだな。まずは定期的にガチャを引けるようになろうと思う」
「おー、ついに!」

 フラウはそう言ってパチパチパチと拍手した。

 やはりまず第一の目標はフラウが消滅しないように定期的にガチャを引くことだ。彼女については妖精のおまじない(笑)もあることだし、追々で良いだろう。

「ちなみに、ミッションって増やせないのか?」
「今はこれ以上は無理かなぁ。ほら、☆5と☆4以上確定でかなり無理しちゃったの。だからしばらくは無理かな」
「無理したって?」
「だって、予定外のガチャを開催しちゃったから」
「予定外?」
「うん。でもこれ以上は禁則事項だからナビゲーターのあたしは喋れないの」
「そっか」

 なるほど。よくはわからないが、ナビゲーター界にもルールのようなものがあるようだ。

 となるとだ。やはり冒険者として金を稼いでガチャを引くしかないだろう。それに、魔法スキルが二つあるのだから早いところ『MP強化』を引いて使えるようになっておきたい。

「よし。じゃあやっぱり金をたくさん稼いでたくさんガチャを引こう。きっとこれが一番の近道のはずだ」
「そうだね。それじゃあディーノ、がんばろー! おー!」
「おー!」

 こうして俺はガチャを回すために冒険者としてたくさん稼ぐことを決意したのだった。

****

 さて、そうと決まればまずは景気づけにEランク昇格ミッションの報酬でもらったガチャチケットを使ってガチャを回してみようと思う。

 元々は百連でまた回そうと思って貯めておいたのだが、冒険者として成功を目指すと決意した以上は少しでも早く神引きして強くなることが最優先なのだ。

 俺はさっそく十一連ガチャをスタートさせた。するといつものように妖精たちが箱を運んで来る。

 だが全て木箱だ。ヤバい!

「変われ! 変われっ! 変われよっ!」

 気合を入れるが残念ながら木箱のままで中からは『ただの石ころ』が出てきた。

「次っ! 来い! 来い! 来いっ!」

 すると次の木箱は銅箱へと変化する。

「よしっ! 銅の剣! 銅の剣の予備来い!」

 しかし銅箱から出てきたのは『皮の盾』だった。

「あー違う! でも持ってないないからよし。いいぞ。よし。当たり、だよな。よし当たり! よーし! 次も来い! 変われっ!」

 しかしそんな俺の気合も空しく、合計で三つの木箱が銅箱へと変わっただけだった。

「くそっ。今回はちょっとガチャに集中できてなかったかもしれない。次こそはきっちりと引いてやる」

 そう後悔する俺をフラウはそっと肩に手を当てて慰めてくれたのだった。

────
今回のガチャの結果:
☆3:
 皮の盾
 石の矢十本
 薬草
☆2:
 糸
 薪
 皮の紐
 藁しべ
 枯れ葉
 馬の糞
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