短編集

三日月

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私は気づく、いつもと違うことに。

私はいつも通り目覚め、いつも通り学校に行き、いつも通り色々なことを学び、いつも通り帰る。
私はいつも通りの日常をすごしていた。
その日常には君がいた。
君と共に笑った。
君と共に喜んだ。
君と共にはしゃぎ回った。
だけど、そんな幸せな日常は突然、非日常に落ちていった。
一人で泣いた。
一人で悲しんだ。
一人で咽んだ。
非日常の中に君はいなくて、そこには君がどこにもいない世界が広がっていて、そんな世界に絶望して、君がいない世界を見下ろした。喉を劈くような冷たい空気を深く吸い込んで吐き出した。微かに白い息だった。
少し、肌寒いような気もしたが、気にならなかった。
空はこれからの自分と同じ色染まりきっていた。
どこからか、甲高い音が鳴り響いた。
意識せずとも、体が動く。
私は、一人じゃなかったの…?
私は、私のせいで一人になったの…?
私は、誰…?
私が、君を…?
私は、こうなることを望んでいたの…?



浮遊感が私達を包んだ。
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