少年刑事レオンの冒険──犯罪者を出し抜け!

作家志望の怠惰な学生

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科学施設の陰謀

出発の刻

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 車の後部座席に俺たちは座らされた。リーパーのときと同じく、窓がかなり暗い。外の景色はモノクロでかろうじて見える。

「それで、その開発センターってのはどこにあるんです?」

 車のエンジンがかかり、車がガレージから飛び出した。暗く狭い路地をゆっくり駆けていく。俺に対しての返答はなく、運転に過集中しているのか、単に無視しているのか定かではなかったが、虫唾が走る。

 窓を通過したか弱い日差しが俺の膝を温め始めた。今まで見えなかったチャックの不満顔が嫌というほど目に入るようになった。彼は言うまでもなく、昨日の暴力から立ち直れていないらしい。どこにあるかもしれない謎のセンターに着くまで、終始無言で過ごす気だろうか──そう考えると、胃が重たくなる。

 路地を抜けだし、車はどんどん田舎らしい道に入っていく。真意は分からない。たいていの場合、長旅では高速道路を使うのがセオリーだ。研究所がこの周辺にあるわけでもなさそうだし……

 それからというもの、窓を見ても建物のないあぜ道が延々と続くばかりで、なんの見栄えもなかった。退屈で眠たくなり、体がフラフラしてきた。ふとジェームズがため息をつくのが聞こえたが、その直後、彼の口から出てきた言葉は、理解するのに時間がかかった。

「チャック。昨日は、すまなかった。少々厳しすぎたかもしれない」

 少し間が開いて、俺は事の異常さに気がつき、目を見開いた。眠気はとうに吹き飛んでいて、必要となったとき何を言えばいいか必死に思考した。隣に目を向けると、チャックが口をゆがめていた──謝罪を受け入れるつもりはなさそうだ。

「なるほどな。あくまであれは教育だと思っているんだ──」

 そんなチャックに対して、ジェームズは鼻息荒く、嫌味たらしい顔をした。

「ハッ、まったく、これでもまだ不満があるのか?」

 チャックの拳に力が入る。しばらく顔全体をしかめた後、小さいけれど、飛び切り威力のある怒号を発した。

「あんたが僕の腕をひねったのは、教育のためなんかじゃないだろ。ただ単にあんたの体が、助手と敵の区別をできなかっただけじゃないのか!」

 チャックはジェームズに向かって、日ごろのお返しだとばかりに、見下すような笑いを浮かべた。

「あんたは、暴力沙汰になると興奮して、判断が鈍るんだな、きっと」

「ッ──なぜそこまで意地を悪くする?」

「確かに僕は意地悪かもな。けど、あんたほどじゃない」

「よしてくれ。センターにこんないざこざを持ち込まれては困る」

「できるなら、着いた先でトラブルを犯しまくって、あんたの信頼を地の底に落としてやる」

 ジェームズは、話にならないと分かったのか、口を閉じた。いつのまにか、車は山岳地帯に突入しており、きわどい崖をなぞるように走行している。そこは半ば荒地で、木々は少なく弱弱しい。

 遠くの峰に、いくつか近代的な建物があることに気づいた。あれが開発センターだろう──ジェームズとチャックの争いのことは、考えたくもない。目の前に広がる景色、そして未来的な開発センターフェリシアのもてなしの妄想──を楽しもうじゃないか。

 まず、彼女は笑顔で俺にすり寄って来る。そして一通りの社交辞令をした後、個人の研究部屋に招かれる──そこでたわいもないことを話し合い、ああしてこうして──めでたく婿入りというわけだ。

 社内の空気感を忘れて、俺はニヤリとした。チャックが横目でにらんでいるが、この際どうだっていい。建物にじわじわ近づいていく──俺の心拍も比例して上昇している。ついにこの時が来た!

 まず、いかつい警備員が目に入った。車はついにそこまで到達し、ジェームズが窓を開け、彼らに身分証明書を手早く見せていた。それから車はのろのろと進み、建物の入り口を通過した。中は暗くトンネルのようで、ずっと先へ続いており、壁の上にライトが等間隔についている。 

 その空間の最後まで行くことは叶わなかった。車は途中で壁際に停まり、そのままエンジンは切れてしまった。そして、不審な笑顔の見知らぬ人物が遠くから歩いてくる。彼は結構な低身長で、道化師のような感じのいいちょび髭を持っていた。しかし、そんなの、知ったことではない。

〈あぁ、フェリシアはどこだよ──〉

 俺は妙な不安にかられた。




 あとがき

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