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レーションとビスケット
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「燃料が不足しているMiG-29中隊から先に降りるんだ。地上で待機している牽引車で引っ張って滑走路から退避させ、しかる後にSu-34およびSu-35を着陸させよう」
「了解!第一中隊二番機、着陸を開始します」
全体指揮官兼第一中隊長であるメルニク中佐の命令で、MiG-29全機が着陸を完了する。そのあとSu-34二機が着陸し、Su-35全機が着陸を終えた。程なくして、基地から伝令が訪れた。
「基地は超音速滑空体の直撃を受けました。地上施設は大部分が破壊されましたが、滑走路はあと一時間程度で完全復旧し、仮設管制塔も立ちます。また現在のところ死者・行方不明者はいません。負傷者は八名、うち重傷は一名のみです。それから地下の予備発令所、無線、基地周辺のレーダーサイト、基地要員の大半は健在、対空砲や地上部隊も大半が健在です。滑走路が復旧すれば燃料輸送車が来ますので、あと一時間半ほどここで待機してください。とりあえず車で戦闘糧食と水、それからビスケットは持ってきてあります。それから温かいコーヒーと暖を取るためのテント、電気ヒーターも」
食事があることを告げられたパイロットたちはある種の歓喜をもって伝令が車に乗せてきた物資を受け取る。寒さがしみる深夜三時半の民間飛行場ではたちまちテントが張られ、パイロットたちがテントの中で戦闘糧食であるレーションを片手に水を飲みつつヒーターを囲んだ。
「このビスケット、なかなか乙な味ですな」
「ライ麦の全粒粉ビスケットだ」
「この味、素朴な甘さ……たまりませんな」
コヴァーリ少尉はレーションを食べ終えるとビスケットの袋を開け、焦げ茶色で香ばしい香りを放つ四角形のビスケットをかじった。口の中にほどよい甘さをまとった全粒粉ビスケット独特の風味が広がる。コヴァーリ少尉はコーヒーを口に含み、ビスケットの香りと合わさりさらに豊潤になる香ばしさと旨味を楽しんだ。伝令が持ってきた通信機は基地の無線室からの電波を受信しており、通信士が即興で作ったという音声コントをパイロット向けに上演しているのが聞こえてくる。
「さて、あまり笑わせないようにネタを揉んで参りました。続いては……」
Su-35やSu-34のパイロットたちとMiG-29のパイロットたちはウクライナ人もロシア人も関係なく楽しく談笑し、テントの中には平和な時間が流れていた。そして楽しく穏やかな一時間半はあっという間に過ぎ、戦場へ戻る準備をする時が来た。
「燃料補給車があと八分で到着する。テント撤収準備及び燃料補給準備!」
燃料補給車が空港に入ってきたときには、テントは片付けられパイロットたちは自機のそばに立っていた。燃料が補給され、まずSu-35とSu-34が暖機運転を始める。ウクライナ空軍の軍用機三十七機は早朝五時十分のまだ日も昇らない空へと舞い上がった。
基地に帰還したパイロットたちは、次なる作戦の計画を告げられた。司令は語った。
「和平交渉のためキエフを奪還する。その前段作戦として、我々はロシア軍の地上部隊と交戦するため秘密裏に派遣されてきたNATO各国の兵力を待つまでの間、ロシア軍をこちらに釘付けにする。具体的には……」
戦争を終わらせるにはキエフ奪還しかないだろう。ウクライナ全軍を巻き込んだ大規模作戦が今から始まるのだと思うと、パイロットたちは全身に熱血が奔流する思いだった。
「了解!第一中隊二番機、着陸を開始します」
全体指揮官兼第一中隊長であるメルニク中佐の命令で、MiG-29全機が着陸を完了する。そのあとSu-34二機が着陸し、Su-35全機が着陸を終えた。程なくして、基地から伝令が訪れた。
「基地は超音速滑空体の直撃を受けました。地上施設は大部分が破壊されましたが、滑走路はあと一時間程度で完全復旧し、仮設管制塔も立ちます。また現在のところ死者・行方不明者はいません。負傷者は八名、うち重傷は一名のみです。それから地下の予備発令所、無線、基地周辺のレーダーサイト、基地要員の大半は健在、対空砲や地上部隊も大半が健在です。滑走路が復旧すれば燃料輸送車が来ますので、あと一時間半ほどここで待機してください。とりあえず車で戦闘糧食と水、それからビスケットは持ってきてあります。それから温かいコーヒーと暖を取るためのテント、電気ヒーターも」
食事があることを告げられたパイロットたちはある種の歓喜をもって伝令が車に乗せてきた物資を受け取る。寒さがしみる深夜三時半の民間飛行場ではたちまちテントが張られ、パイロットたちがテントの中で戦闘糧食であるレーションを片手に水を飲みつつヒーターを囲んだ。
「このビスケット、なかなか乙な味ですな」
「ライ麦の全粒粉ビスケットだ」
「この味、素朴な甘さ……たまりませんな」
コヴァーリ少尉はレーションを食べ終えるとビスケットの袋を開け、焦げ茶色で香ばしい香りを放つ四角形のビスケットをかじった。口の中にほどよい甘さをまとった全粒粉ビスケット独特の風味が広がる。コヴァーリ少尉はコーヒーを口に含み、ビスケットの香りと合わさりさらに豊潤になる香ばしさと旨味を楽しんだ。伝令が持ってきた通信機は基地の無線室からの電波を受信しており、通信士が即興で作ったという音声コントをパイロット向けに上演しているのが聞こえてくる。
「さて、あまり笑わせないようにネタを揉んで参りました。続いては……」
Su-35やSu-34のパイロットたちとMiG-29のパイロットたちはウクライナ人もロシア人も関係なく楽しく談笑し、テントの中には平和な時間が流れていた。そして楽しく穏やかな一時間半はあっという間に過ぎ、戦場へ戻る準備をする時が来た。
「燃料補給車があと八分で到着する。テント撤収準備及び燃料補給準備!」
燃料補給車が空港に入ってきたときには、テントは片付けられパイロットたちは自機のそばに立っていた。燃料が補給され、まずSu-35とSu-34が暖機運転を始める。ウクライナ空軍の軍用機三十七機は早朝五時十分のまだ日も昇らない空へと舞い上がった。
基地に帰還したパイロットたちは、次なる作戦の計画を告げられた。司令は語った。
「和平交渉のためキエフを奪還する。その前段作戦として、我々はロシア軍の地上部隊と交戦するため秘密裏に派遣されてきたNATO各国の兵力を待つまでの間、ロシア軍をこちらに釘付けにする。具体的には……」
戦争を終わらせるにはキエフ奪還しかないだろう。ウクライナ全軍を巻き込んだ大規模作戦が今から始まるのだと思うと、パイロットたちは全身に熱血が奔流する思いだった。
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