ホコリは脳内腐れ外道 R-18

ハウスダスト

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プロローグ

Episode3

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 体育館内にバッシュのスキール音が響く。
春の大会に向け、部員たちは黙々と練習をこなしていく。


 一年生組の中でも群を抜いて上手いポイントガードである藍は、ダッシュ練に取り組んでいた。


「藍ー!あと何本やー?」
二年の順平が、藍に声をかけた。


「6本でーす!!」
インターバルダッシュの合間のジョギングをしながら、藍は順平に手を振った。


「まだ余裕ありそうやなぁ……ほな、プラス二本なー!」
悪戯っぽく八重歯をのぞかせて、順平は叫んだ。


「は?マジで言ってんすか!?この鬼畜やろー!」
藍は近くに落ちていたバスケットボールを拾い上げ、順平に向かってぶん投げた。
すると、油断していた順平の背中に見事、クリーンヒットした。


「痛っ!なにすんねん!」
背中をさすりながら、順平は藍の元に猛ダッシュして掴みかかろうとした。
藍も負けじと逃げるが、じわじわと距離を詰められ、追いつかれてしまう。


「今のはじゅんぺー先輩がひどいっしょ!って…──うわあっ!」
逃げることを断念して止まった藍に、ブレーキが間に合わずフルスピードで追いついてきた順平が衝突し、二人は床に倒れこみ、順平が藍の上に倒れこむ形になる。


「ちょ、せんぱいっ…!重いって……!!」
自分より背の高い男にのしかかられて藍は苦しそうに訴えた。


「すまんすまん……って、裕人!今来たんかいな…」
順平は立ち上がり、乱れた練習着を直しながら、足元に倒れる藍を見下ろす裕人に呆れた様子で言った。



「────んー?あい、何してるの?」
順平のことをフル無視して、裕人はしゃがみこみ藍を見つめながら、その白くて柔らかい藍の頰を指で突く。


「先輩と事故った…」
よほど苦しかったのであろう、苦悶の表情を少しずつ緩め、みぞおちのあたりをさすりながら、藍は裕人を見上げた。
その時藍は、裕人の瞳の奥の不気味な揺らめきに気がつかなかった。


「っておい!無視すんなや!……はよ練習行くで」
完全に順平を空気扱いする裕人にしびれを切らし、順平は怒鳴った。


「ごめんなさーい、ほら、あい行くよ」
裕人は、まだ倒れこんでいる藍を助け起こそうと、立ち上がり手を伸ばす。
そして、助け起こしたまま藍の耳元に顔を寄せ、一言囁いた。


「──あいって、じゅんぺー先輩と仲良しなんだね」






「はぁ?」
今の一連の流れを見て、なぜそんな考えに及ぶのか訳がわからないと言った様子で藍は裕人に素っ頓狂な声を上げる。


「だって…あい、先輩とぎゅーしてた」
裕人はこれ以上の根拠は無いだろうと、妙に真剣な面持ちで藍を見つめた。


「いやいや意味が分かんねーわ!誰があんな鬼畜野郎なんかと仲良くするかよ!」
藍は裕人の、かなり意味のわからない意見に、遂に声を荒げた。


「なんやと!もっぺん言うてみぃ!」
藍の言葉に目くじらを立てて順平は再び藍に掴みかかろうと距離を詰めてきた。それを裕人は少し乱暴に片手で制す。


「何すんねん、裕人は関係な───」
「もーいいじゃん、かまちょな男はもてないよ~…ね?」


向かってくる順平に再び身構え、ぎゅっと目を瞑っている藍に裕人は共感を求める。


「そ、そっすよ!先輩みたいなウザい人俺きらいだわ…」
勢い任せに言ったのは良いものの、今の発言で順平が激昂するのは目に見ていたので、藍の語尾は消え入りそうだった。


「え…俺……ウザいんか?……まぁええわ、早よ練習戻るで」
なぜか酷く傷ついた表情を一瞬垣間見せたが、順平はすぐにもとの副部長らしい顔つきに戻り、向きを変えて練習に戻ろうと二人に背を向け歩き出した。


「あれ?順平先輩どうしたんだ?」
掴みかかってこないのは御の字なのだが、急に様子が変わったため藍は首を傾げた。


「ってか、裕人ありがとな」
藍は裕人に向き直り礼を言った。


「うん!はやくれんしゅー行こっ」
裕人は笑顔でスポーツバッグを担ぎ直し歩き出した。



 藍は裕人の少し後ろを、体をほぐしながら付いていく。
前を歩く裕人の表情など知らずに……
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