悪女と呼ばれた王妃

アズやっこ

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5 19歳

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今日アルバートと婚姻式をする。周辺諸国を招き、貴族を招いた。


大聖堂の控室。ウエディングドレスに身を包んだ私は椅子に座る。


「リリーアンヌおめでとう」

「タイラーありがとう。タイラーは来ないかと思ったわ。人が集まる所は苦手でしょ?」

「人が集まる所は苦手だけど僕だってお祝いしたいよ」

「ありがとう」

「でも大聖堂の中には入らない」

「ええ、それでも嬉しいわ。この控室で待っててくれる?」

「良いの?」

「ええ」


タイラーと話しているとアルバートが控室に来た。


「リリーアンヌ綺麗だ…」

「ありがとう」

「でもタイラーが俺より先に見たのか」

「僕が先だって良いだろ」

「俺が一番に見たかったんだ」

「一番は叔父さんと叔母さんだよ?あ、あとライアン」

「そういう事を言ってるんじゃないだろ?」

「ふふっ」

「「リリーアンヌ」」

「本当に息がぴったりね」


幼い頃から変わらない私達の関係が私は嬉しい。だからこそ守りたい。


「時間だ、行こう」

「僕はここで待ってる。二人共おめでとう。幸せになってね」

「ああ」

「ありがとうタイラー」


笑顔のタイラーに見送られ控室を出た。アルバートにエスコートされ大聖堂の扉の前に行くとお父様が待っていた。

アルバートが先に一人で大聖堂の中へ入って行く。


「リリーアンヌも結婚か」

「お父様、今までありがとうございました。これからもよろしくお願いします」

「ああ。王子妃は苦労の方が多い。それでもリリーアンヌなら耐えれると出来ると俺は信じている」

「はい」

「アルバートと力を合わせて頑張れ。お前は俺の娘だ、大丈夫、お前らしくやればいい」


お父様の優しい顔。いつ見ても安心出来る。

扉が開きお父様と一歩一歩前に進む。進む先にはアルバートが待っている。

私とお父様が進む両側にはこの国の貴族達の姿。陛下や王妃様、ジェイデン、グレイソン、お母様やライアン、伯父様や伯母様、タイラーの弟のカーター、その後ろには周辺諸国の方々の姿もある。


皆に見守られながら私はお父様と進む。

一歩歩くと重石が乗るような感覚。足取り軽く控室を出たはずなのに今は足取り重くなった。これは重責。大聖堂にいる貴族の後ろにいる平民達を、この国を背負う重責。アルバートと共に背負う重責。

それでもこれは決められた事じゃない。私が決めた事。アルバートの側で見守り支える、それが私の夢。

だから私は前を向く。アルバートの隣に立つ為に。

お父様から手渡された私の手をアルバートが受け取る。

今度はアルバートと進む。これからこの国を護ると背負うとアルバートと共に進む一歩。アルバートを隣で支える為の一歩。



婚姻式が終わり王宮で祝賀パーティーが行われた。そこでアルバートの王太子も発表された。


「姉上」

「ライアン」

「これからは王太子妃と呼んだ方が良いですね」


ライアンの隣にはグレイソンがいる。


「ライアン、グレイソン、貴方達だけは変わらないで。王太子妃になっても私はライアンの姉だしグレイソンの義理姉だわ。それは変わらない。だから貴方達も変わらないで?」

「姉上」


ライアンが抱きついてきて、


「寂しくなります」


私はライアンの背中を撫でる。

グレイソンの事も弟として可愛がってきた。それでもライアンと一緒にいる事の方が多いグレイソンとはジェイデンのように一緒に遊んだ事はない。それでも剣の稽古をこっそり見たりしている。


「ライアンもグレイソンもまだ食べ盛りなんだから別室で食べて来なさい」


ライアンは下から私を見上げる。


「良いの?今日は大人しくしていなさいって父上に言われていたんだけど」

「別室にはタイラーもいるわ。私も後で行くから。大人ばかりの場所に居ても退屈でしょ?」

「グレイソン行こ」


ライアンとグレイソンは笑顔で別室の方へ歩いて行った。


「王太子妃」


後ろから声が聞こえ振り返る。声の主は分かってる。


「ジェイデン」

「義姉上と呼んだ方が良かったですか?」

「ジェイデンどちらの呼び方も合ってるわ。それでも私は貴方とは変わらない関係でいたかった。それでも変わらないといけないのね」

「先に突き放したのはそちらだ」

「そうね」

「私は隣国から幸せを願っていますよ」

「ありがとう」


私はジェイデンの背を見送った。

ジェイデンはあの日から『私』と言うようになった。そして『リリーアンヌ』と私の名を呼ばなくなった。


「ジェイデンはまだ拗ねているのか」

「アルバート」


アルバートは私の腰を抱いた。


「どうしようもない奴だな、全く」

「それも仕方がないわよ」


それからアルバートと一緒に周辺諸国の方々や貴族達にお礼を言い話しをする。


この日、私は覚悟を決めた瞬間だった。



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