悪女と呼ばれた王妃

アズやっこ

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16 24歳 ①

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「妃殿下こちらを」


ボビーの必死な形相で何かがあったのは分かった。

ボビーから受け取った紙。


「これは!これは大変な事になるわ。このまま通ったの?」

「はい、陛下が許可しました」


私は急いでアルバートの執務室へ向かった。


「アルバート、これを許可したの?」


私はボビーから受け取った紙、決定書を見せた。決定書を見たアルバートは、


「ああ、許可した。問題はない」

「領地を通る時に通行料を支払うのは別に駄目じゃないわ。この国では今まで無かったけど、他国では通行料を支払う所もあるのは知ってるから。通行料で道を整備したり宿屋を増やしたり領地をより良くする為なのも分かってる。それでもこれは駄目よ」

「どうして。この国は海に面してない。だから帝国と取引が多い。これからはジェイデンが行った隣国とも増えるだろうけど、それでも今は帝国の方が多い。どうしても毎日何度も馬車が通れば道は悪くなる。事故がおきてからでは遅い。違うか?」

「そうよ。事故がおきてからでは遅い。それでもね、通行料を設定する場合、上限を決めないと。私はそこを言ってるの。荷の何割、一律いくら、通行料が駄目なんじゃなくてその上限を決めなかった事が駄目なの。

この決定書には上限が記されていない」

「通行料を設定するのは貴族だ。皆貴族の矜持を持つ者達だ。そのくらいは皆心得ている。だから俺は明記をしなかった。俺は貴族達を信じてる。

リリーアンヌ、それだけなら出て行ってくれないか。今は俺も忙しい」

「分かったわ。忙しい時にごめんなさい」


私は執務室を出た。

この国は海に面していない。だから海に面して貿易をしている帝国かジェイデンが行った隣国に頼るしかない。隣国とは今まで争いも多く実際帝国との取引が多い。それでもジェイデンが王女と結婚し少しずつ隣国との取引も増えてきた。

通行料の上限を決めないと次から次へと高くしていく。そうなれば領地を通る為には支払うしかなく、支払えないと帝国へは行けない。十分な資産がある所は良いかもしれない。それでも切羽詰まっている家からしてみれば通行料は負担になる。帝国へ行けず領地経営が出来なければ…。

何事も起こらないと良いけど…。



通行料の支払いを許可して数ヶ月

貴族達からは不満の声があがった。その矛先は許可したアルバートに向けられる。

アルバート、信じるのは大事よ。それでも最悪の事態を想定するのも大事なのよ?だから上限を決めないといけなかったの。切羽詰まっている家を基準にいくらなら負担にならないか、許可を出す時にそれも内容にいれないといけなかったの。

高額の通行料を支払うのなら今まで数回で行き来していた所を荷をいっぱいにして回数を減らすしかない。そうすれば荷は重くなり馬への負担、荷馬車は安定を失い事故を起こす。小さな溝一つ、小石一つで荷馬車は倒れる。

どれだけ道を整備しても重い荷馬車が通れば道は直ぐに悪くなる。通行料を払う以上、事故が起きれば道の整備を怠った領地の責任。駄目になった荷、馬、荷馬車、その請求がまた負担になり通行料を上げる。

悪循環を繰り返すだけになるのよ。

それにわざと荷を重くし事故を起こしその請求をして不当に稼ぐ者が出てくるかもしれない。いらない物、老馬、壊れた荷車、姑息な手を使う者が現れる。現にすでに手遅れよ。悪どい考えは直ぐに平民達に伝わる。それをやるかやらないかはそれぞれの倫理に委ねられる。



定期的に行われる高位貴族だけを招いた夜会が王宮で開かれた。

挨拶が終わり、私は通行料を反対している貴族達の近くに行く。


「国王は何を考えているんだ」

「まだ若い国王だ。何も知らないのだろう。今は世に名声を広げたいだけなのだろう」

「そんな事をしていたらこの国は、」

「おい!」


私が近くにいる事を知った侯爵が話を止めた。


「面白そうなお話ね。この国は、何かしら。私にも聞かせて?」

「いえ、」

「あら、私は何も責めていないわ。ただ興味深い話だったから気になっただけなのよ?」


伯爵と話をしていたら侯爵が私と伯爵の間に入り、


「王妃殿下、我々は貴族です」

「ええ、私はこの国の王妃よ」

「貴族には護る者がいる」

「そうね。私にも護るものがあるわ。だからね、これからは王宮に入るのにも入宮料を取ろうと思うの。だってお金はあればあるだけ良いもの」

「妃殿下、貴女は、」


今日の私は綺羅びやかに着飾って、宝石も目立つ物を着けている。


「人は裏切るけど、お金は裏切らないわ。そうでしょ?」

「では通行料の許可ももしかして妃殿下の入れ知恵ですか?」

「ふふっ、さあどうかしら。貴方はどう思う?」


私は侯爵の耳元で、


「そうよ」


侯爵は目だけ私を向けた。私も目だけ侯爵に向けた。


「と言ったらどうする?」

「貴女は国の母という事をお分かりか」

「ふふっ、まだ子供もいない私に分かると本気で思ってるの?それに、」


私は侯爵と目を合わせ、


「アルバートは扱いやすいの、ふふっ」


私は侯爵から離れ、


「今日は楽しんでいってね」



きっとこれで私の噂が流れる。噂の元は侯爵。悪い噂はあっという間に広がるから。


私は全ての矛先を私に向けさせた。


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