悪女と呼ばれた王妃

アズやっこ

文字の大きさ
22 / 107

21 24歳 ⑥

しおりを挟む

次の日私は公爵家へ向かった。

馬車を降りると執事が慌てて走って来た。


「急にどうされました」

「お父様に相談したい事があって」

「分かりました。直ぐに呼んで参ります。書斎でお待ち下さい」


私は書斎へ向かいお父様を待った。

暫くしてお父様が書斎に入って来て、


「何かあったのか」

「はい。フォスター公爵が側室をと考えているみたいです」

「それだけは絶対に認められない。何の為にお前を幼い頃からアルバートに付けていたと思う」

「はい。ですがこちらも手を打たないといけません。あの公爵は何が何でも通すでしょう。だから通した後の事です。今度は私を排除するでしょう。

お父様、お母様とライアンと使用人を連れて帝国へ逃げれる準備を。出来れば伯父様達も」

「俺は残る。だがライアンだけは帝国へ留学させる。ライアンに付いてアリーナも行かせる。アリーナとライアンの世話係として使用人も連れて行かせる」

「お母様が一緒ならライアンも安心できます。それと、タイラーとカーターも一緒に留学させて下さい」

「義兄上に聞いてみないといけないが、おそらく二人を留学させる事になると思う。

お前がそこまで言うのには何か理由があるのだろう」

「私にはまだ子がいません。ジェイデンが隣国へ行って、陛下の不調、アルバートを王にと子を作る時期ではありませんでした。その間に飲んでいた避妊薬の影響もあるかもしれませんが、もうそろそろと思っていてもなかなか授かりません。公爵はそこを押し通すと思います」

「だろうな。だが側室は持たない、それがこの国の法だ。もしお前達に子が出来なければグレイソンの子を、ライアンの子を、そう決められている。法を変える事は出来ない」

「それでも私は貴族達から恨みを買っています。それに今は諸事情で私を監視してほしくなくて遠ざけましたから」


私は以前からイーサン隊長に監視されている。今は塔に子爵が居る。だからイーサン隊長を私から遠ざけた。

イーサン隊長の指示で私を見張る騎士達はローレン隊の騎士達が見つけ追い払っている。ローレン隊の騎士達には隠密の訓練も受けさせているから。


「俺は義兄上に連絡する。お前はどうする」

「一週間後にまた寄ります」

「分かった。それまでに俺も手を打とう」


私は公爵家を出て孤児院に寄った。


「リリーアンヌ様~」

「みんな元気にしてた?お勉強はもう終わったの?」

「うん。だから一緒に遊べる?」

「遊べるわよ。さあ今日は何をするの?」

「追いかけっこ」

「絵本読んで」

「お花の冠」

「なら先ずは追いかけっこから始めましょう。さあみんな逃げて~」


キャ~と言う声が響き私と騎士達で子供達を追いかける。一人一人追いかけて捕まえる。


「アンネ捕まえた」

「つかまっちゃった。おねえちゃん、」


幼いアンネは泥だらけの手で私のドレスを引っ張った。


「こら、アンネ!泥だらけの手で妃殿下のドレスを引っ張っては駄目です。アンネ、謝りなさい。すみません妃殿下、どうお詫びすれば…」

「シスター、泥は洗えば取れます。子供は子供らしく遊ぶ、それが一番ですよ。

シスターも毎日大変だと思いますが、ここに居る子供達にとってシスターはかけがえのない存在です。シスター達の負担が増えるばかりでいつも申し訳なく思っています。

シスター、シスターは私にとってもかけがえのない人です。これからもこの子達の幸せを一緒に祈りましょう」

「はい、妃殿下」

「ねぇねぇ、おねえちゃん」

「なあに」

「くびにかかってるきれいなのみせて」

「これ?」


私はネックレスを外しアンネに見せた。


「きれい」

「そうね。これは宝石と言うの。きらきら輝いて綺麗よね」

「うん。わたしきめた!おねえちゃんににあうおようふくをつくる。それからこういうのもつくりたい」

「ならお針子さんかしら」

「おはりこさん?」

「お洋服を作る人よ。アクセサリーを作る人はアクセサリー職人ね」

「どうすればなれる?」

「まだアンネは幼いから針を持つ事は危ないの。針が刺さるとチクンって痛いのよ?だから今はどんなお洋服が作りたいか絵を描いてみたら?アンネが着たいと思った服や私に似合うと思った服の絵を描くの。どう?出来そう?」

「うん!できそう」

「なら今度また遊びに来る時は紙と色鉛筆をプレゼントするわ」

「ほんと?」

「今日はぬいぐるみにしちゃったから」

「ぬいぐるみもうれしい。まいにちだっこするね」

「ええ、可愛がってね」


追いかけっこが終わり、男の子達は騎士達に剣を習い、女の子は絵本を読む私の周りに集まり花の冠を作り、私の頭に乗せてくれた。


「王妃様…、」

「どうしたの?マリー」

「私も騎士になりたい。でも女の子はなれないって皆が言うの」

「そうね、女の子には厳しい世界かもしれない。それでもなりたいと思う気持ちが強ければなれると私は思うわ。それに女性騎士は他国には居るのよ。体力や体格は男性には負けても戦う事が出来ない訳じゃないわ。自分に合った戦い方を見つけるのは簡単じゃないけど、不可能ではないの。マリーに合った戦い方を見つければ女だからと馬鹿にする人はいないわ。

ただ、女性だから厳しい世界ではないの。男性だって騎士は厳しい世界なのよ?女だから駄目ではなくて、努力をしないのが駄目なの。それを忘れないで、良い?」

「はい」


お菓子を配りプレゼントを配り私は孤児院を後にした。


しおりを挟む
感想 82

あなたにおすすめの小説

本物の『神託の花嫁』は妹ではなく私なんですが、興味はないのでバックレさせていただいてもよろしいでしょうか?王太子殿下?

神崎 ルナ
恋愛
このシステバン王国では神託が降りて花嫁が決まることがある。カーラもその例の一人で王太子の神託の花嫁として選ばれたはずだった。「お姉様より私の方がふさわしいわ!!」妹――エリスのひと声がなければ。地味な茶色の髪の姉と輝く金髪と美貌の妹。傍から見ても一目瞭然、とばかりに男爵夫妻は妹エリスを『神託の花嫁のカーラ・マルボーロ男爵令嬢』として差し出すことにした。姉カーラは修道院へ厄介払いされることになる。修道院への馬車が盗賊の襲撃に遭うが、カーラは少しも動じず、盗賊に立ち向かった。カーラは何となく予感していた。いつか、自分がお払い箱にされる日が来るのではないか、と。キツい日課の合間に体も魔術も鍛えていたのだ。盗賊たちは魔術には不慣れなようで、カーラの力でも何とかなった。そこでカーラは木々の奥へ声を掛ける。「いい加減、出て来て下さらない?」その声に応じたのは一人の青年。ジェイドと名乗る彼は旅をしている吟遊詩人らしく、腕っぷしに自信がなかったから隠れていた、と謝罪した。が、カーラは不審に感じた。今使った魔術の範囲内にいたはずなのに、普通に話している? カーラが使ったのは『思っていることとは反対のことを言ってしまう魔術』だった。その魔術に掛かっているのならリュートを持った自分を『吟遊詩人』と正直に言えるはずがなかった。  カーラは思案する。このまま家に戻る訳にはいかない。かといって『神託の花嫁』になるのもごめんである。カーラは以前考えていた通り、この国を出ようと決心する。だが、「女性の一人旅は危ない」とジェイドに同行を申し出られる。   (※注 今回、いつもにもまして時代考証がゆるいですm(__)m ゆるふわでもOKだよ、という方のみお進み下さいm(__)m 

偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて

奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】 ※ヒロインがアンハッピーエンドです。  痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。  爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。  執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。  だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。  ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。  広場を埋め尽くす、人。  ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。  この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。  そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。  わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。  国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。  今日は、二人の婚姻の日だったはず。  婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。  王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。 『ごめんなさい』  歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。  無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。

【完結】義妹(ヒロイン)の邪魔をすることに致します

凛 伊緒
恋愛
伯爵令嬢へレア・セルティラス、15歳の彼女には1つ下の妹が出来た。その妹は義妹であり、伯爵家現当主たる父が養子にした元平民だったのだ。 自分は『ヒロイン』だと言い出し、王族や有力者などに近付く義妹。さらにはへレアが尊敬している公爵令嬢メリーア・シェルラートを『悪役令嬢』と呼ぶ始末。 このままではメリーアが義妹に陥れられると知ったへレアは、計画の全てを阻止していく── ─義妹が異なる世界からの転生者だと知った、元から『乙女ゲーム』の世界にいる人物側の物語─

見捨てられた逆行令嬢は幸せを掴みたい

水空 葵
恋愛
 一生大切にすると、次期伯爵のオズワルド様に誓われたはずだった。  それなのに、私が懐妊してからの彼は愛人のリリア様だけを守っている。  リリア様にプレゼントをする余裕はあっても、私は食事さえ満足に食べられない。  そんな状況で弱っていた私は、出産に耐えられなくて死んだ……みたい。  でも、次に目を覚ました時。  どういうわけか結婚する前に巻き戻っていた。    二度目の人生。  今度は苦しんで死にたくないから、オズワルド様との婚約は解消することに決めた。それと、彼には私の苦しみをプレゼントすることにしました。  一度婚約破棄したら良縁なんて望めないから、一人で生きていくことに決めているから、醜聞なんて気にしない。  そう決めて行動したせいで良くない噂が流れたのに、どうして次期侯爵様からの縁談が届いたのでしょうか? ※カクヨム様と小説家になろう様でも連載中・連載予定です。  7/23 女性向けHOTランキング1位になりました。ありがとうございますm(__)m

妹に婚約者を奪われたけど、婚約者の兄に拾われて幸せになる

ワールド
恋愛
妹のリリアナは私より可愛い。それに才色兼備で姉である私は公爵家の中で落ちこぼれだった。 でも、愛する婚約者マルナールがいるからリリアナや家族からの視線に耐えられた。 しかし、ある日リリアナに婚約者を奪われてしまう。 「すまん、別れてくれ」 「私の方が好きなんですって? お姉さま」 「お前はもういらない」 様々な人からの裏切りと告白で私は公爵家を追放された。 それは終わりであり始まりだった。 路頭に迷っていると、とても爽やかな顔立ちをした公爵に。 「なんだ? この可愛い……女性は?」 私は拾われた。そして、ここから逆襲が始まった。

妹に全部取られたけど、幸せ確定の私は「ざまぁ」なんてしない!

石のやっさん
恋愛
マリアはドレーク伯爵家の長女で、ドリアーク伯爵家のフリードと婚約していた。 だが、パーティ会場で一方的に婚約を解消させられる。 しかも新たな婚約者は妹のロゼ。 誰が見てもそれは陥れられた物である事は明らかだった。 だが、敢えて反論もせずにそのまま受け入れた。 それはマリアにとって実にどうでも良い事だったからだ。 主人公は何も「ざまぁ」はしません(正当性の主張はしますが)ですが...二人は。 婚約破棄をすれば、本来なら、こうなるのでは、そんな感じで書いてみました。 この作品は昔の方が良いという感想があったのでそのまま残し。 これに追加して書いていきます。 新しい作品では ①主人公の感情が薄い ②視点変更で読みずらい というご指摘がありましたので、以上2点の修正はこちらでしながら書いてみます。 見比べて見るのも面白いかも知れません。 ご迷惑をお掛けいたしました

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

私が、良いと言ってくれるので結婚します

あべ鈴峰
恋愛
幼馴染のクリスと比較されて悲しい思いをしていたロアンヌだったが、突然現れたレグール様のプロポーズに 初対面なのに結婚を決意する。 しかし、その事を良く思わないクリスが・・。

処理中です...