悪女と呼ばれた王妃

アズやっこ

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58 フォスター公爵と対峙

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「それは出来ません」


執務室へ入って来たのはフォスター公爵。

公爵はアルバートが座る椅子の横に立った。


「出来ない?どうしてかしら」


私は公爵と対峙する。


「ルヴェンド公爵には謀反の疑いがあります」

「疑いだけで地下の牢屋?それはおかしいわ」

「疑いと言っても確信に近い。だから地下の牢屋なのです」

「確信?ルヴェンド公爵は謀反を起こしていないし起こすつもりもない。愛国心が強く王をこれまでも支えてきた臣下だわ」

「前陛下の時はそうでしょう」

「いえ違うわ、それは今もよ。確かに一線を退いた。それは私が王妃として王を支えているから。私を信じ託してくれたの」

「妃殿下はただお父上を庇いたいだけでは?」

「それを言うなら貴方も同じね。元王族のお父様の存在が疎ましいのでしょ?

お父様は王族としてこの国を支えてきた、それは事実だわ。それは誰の目にも明らか。

なら貴方は?

第二夫人の父親、ただそれだけ。それだけしかないのに王宮を国を牛耳ろうとしている。

お父様も王妃の父親、でも元王族のお父様と貴方は立場が違う」


公爵は私を睨みつける。


「地下の牢屋から今すぐ出しなさい。そしたら目を瞑るわ」

「フッ、ならなぜ皇帝は辺境に騎士を集めているのです?

ルヴェンド公爵は帝国との取り次ぎ役。謀反を起こすつもりがないのなら、なぜ、皇帝まで辺境にいるんですかね」

「皇帝が辺境に来ただけでしょ?皇帝が動けば軍も動く。それは当たり前の事よ?

陛下が辺境へ行けば近衛だけでなく騎士団の騎士を引き連れて行くわ。それと同じ。

王は国の顔。その王に何かあっては国は立ち行かなくなる。その為に騎士を大勢連れて動く、違う?

それを謀反と間違えるなんて、ねぇ?」

「なら妃殿下はこの書簡をどう見るおつもりです?」


公爵は執務机にある書簡を私に渡した。

帝国の紋章が施された書簡。私は書簡を広げた。


《これで最後だ。帝国は宣戦布告と受け取りこれより侵略を開始する》


宣戦布告は分かる。でも、これで最後?


「帝国からの書簡はこれだけ?これで最後と書いてある以上今までも書簡を送った、と読み取れるわ」

「帝国からの書簡は3通」

「全部見せて」



《第二夫人を娶るに至った理由を知りたい。御国は王一人に対し妃一人だと周知していたが》

《第二夫人は王妃よりも優秀なのか。王妃よりも実力があるのだな。その実力、我も拝見したい》

《第二夫人を娶った理由が言えぬ程、第二夫人は貴殿にとり大切な存在なのだな》



「これに対し返答は?」

「返答?第二夫人はこの国の事。帝国の皇帝とはいえこんな戯言に付き合うつもりはありません」

「なら返答をしていないの?

貴方が戯言と言ったこの書簡、帝国の紋章が施された書簡は帝国の正式な書簡を意味するのよ!

皇帝の戯言ではなく帝国としての意志!

貴方、もしかしてそれを知らないの?何年公爵をしているのよ!」


王族は勿論だけど公爵家、侯爵の一部、上位の侯爵家には幼い頃から他国の紋章を教える。

他国の紋章を幼い頃から覚えさせるにはきちんと理由がある。陛下に仕える事務官は公爵か上位侯爵と代々決まっているから。次男が事務官になる率は高い。それでも他国の紋章は子供達平等に教え込む。


毎日貴族から届く書簡の中で他国の書簡だけは優先しないといけない。貴族にも各々紋章があり紋章で封をしている。

いち早く見つけ返答する

国を守る為に必要な事だから。一足遅いでは国は守れない。その一足でどれだけの被害が出るか。

昔、戦になった事もあった。後手に回ったこの国は戦に負けた。元は小国だった隣国に負け領土を渡す結果になった。隣国の半分の土地は元はこの国の領土。

その時、陛下の事務官には幼い頃から厳しい教育を受けて育つ公爵と上位侯爵と決まった。


「この書簡、ルヴェンド公爵には見せたの?」


私はアルバートの目を見た。


「それを見せる為に呼んだんだ」

「どうして一通目の時に見せなかったの」

「それは、」

「第二夫人を娶る理由、子が出来る行為をしたと言う事が言えなかった?第二夫人に好意を抱いたと言えなかった?

第二夫人を反対していたお父様に見限られるのが怖かった?」

「………そうだ」

「お父様が第二夫人を反対したのは法で定められているから。アルバートがナーシャ様を愛したなら私と離縁しナーシャ様を王妃にすればお父様は何も言わなかったわ。

お父様は王妃の父親の立場ではなく元王族として王を支える臣下として反対したの。私とアルバートが離縁してもアルバートを見限る事はなかったのよ。

アルバートはお父様の何を見ていたの?」

「ッ!」

「ねぇアルバート、私からの最後のお願いよ?

お父様を処刑しないで。娘としてではなくこの国を支える一人の民としてのお願い。

お父様を処刑したら本当にこの国の未来はないわ…」


私の一筋の雫が頬を伝った。



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