悪女と呼ばれた王妃

アズやっこ

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57 地下の牢屋とは

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「お嬢しっかりしろ!旦那を救うんだろ!」


コナーの声に私は顔を上げた。


「アルバートの所に行くわ」


私は立ち上がる。


「僕も行くよ」

「タイラー…。そうね、それが良いわ。謀反なんてしていないと言わないと」

「ああ、止めないといけない」


私は影を見た。


「答えて。公爵は帝国の情報をどこまで知ってるの?」

「何も知らない。それは本当だ。俺はここの部屋の話を公爵にしていない。それは誓っても良い。だから妻と息子だけは助けてくれないか」

「貴方は最悪死ぬわよ」

「俺は良い。公爵の影になった時に自分の命は捨てた。でも妻と息子は違う。……生きてほしいんだ…。頼む、妻と息子だけ助けてくれ」

「分かったわ。でも助けるには条件がある。これからは公爵が何をしたいか、何をしようとしているか包み隠さず教えて」

「分かった」

「コナー、彼の奥さんと息子さんを安全な場所まで避難させてあげて。本当なら辺境が安全だけどコナーが留守にするのは私も困る。だから二人を護れる人、そしてあの狸が手を出せない人…、

タワーム公爵の邸に匿ってもらうわ」


私はタワーム公爵に手紙を書いた。


「コナーこれを持って奥さんと息子さんを今すぐタワーム公爵家に連れて行って」


コナーは手紙を受け取り窓から出て行った。


「助かった」

「約束は守って」

「必ず」


影はまた天井へ戻った。


「タイラー行くわよ」


タイラーと一緒に部屋を出てアルバートの執務室へ向かった。


私は執務室の前にいる騎士を無視して執務室の中に入った。部屋の中にいるイーサンの代わりにアルバートに付いた近衛騎士を手で制止した。


「リリーアンヌ、タイラー、何の用だ」


アルバートは椅子に座り書類を見ていた。私とタイラーは机を挟み目の前に立った。


「人払いを」


アルバートは騎士と執事を外に出した。

執事室に残ったのは私達だけ。


「二人して何の用だ」

「何の用?それは陛下が分かっていると思いますが」

「何だ?」

「ルヴェンド公爵とシャドネー公爵を捕らえた理由をお聞かせ下さい」

「捕らえた?捕えてなどいない。話を聞く為に呼んだんだ」

「呼んだ?ならお会いになったのですね」

「まだここには来ていない」

「何を聞くおつもりだったのです?」

「帝国から書簡が届いたからその真意を聞きたいだけだ」

「書簡?」

「ああ、ルヴェンド公爵は帝国との取り次ぎ役、皇帝が何を考えているのか意見を聞きたかったんだ」

「意見を聞きたいだけなら、どうして二人は地下の牢屋に居るんですか?」

「地下の牢屋?どうして二人が地下の牢屋に居るんだ」

「それを私が聞いているんです」

「し、知らない、本当に俺は知らない」

「なら誰が」

「アルバート、帝国の事を聞く為ならどうして僕の父上まで呼び出したの?」


私とアルバートが話していたらタイラーが口を挟んだ。

アルバートはタイラーを見て答えた。


「タイラー、俺はシャドネー公爵は呼んでない。本当だ、信じてくれないか」

「なら公爵家へ誰を使いに行かせた?」

「頼んだのはフォスター公爵にだが、」

「アルバート、父上は謀反に加担したと連れて行かれた。だけどこれだけは言える。

父上も叔父上も帝国とは無関係だ。謀反を起こしてなどいない。それに起こすつもりもない。

今すぐ地下の牢屋から出すんだ。

何もしていない公爵二人を処刑すればこの国は荒れる。国内で争いが起こる。それこそ本当に謀反が起こる」

「分かってる」


地下の牢屋、処刑される人が入る牢屋。捕らえられ処刑されるまでの間牢屋で過ごす。拷問され最期は処刑…。

地下の牢屋に入るという事は処刑が決まった、それを意味する。

処刑には公開処刑、非公開処刑があり、公開処刑の場合は断頭台で首を落とされる。非公開処刑の場合は毒。

どちらにしても処刑される事は国中に知らされる。

タイラーが言うように公爵二人が処刑されればお兄様だけじゃない、国中の貴族が反旗を翻す。

それにお父様は放棄をしたけど王位継承権を持っていた元王族。お父様の父親は元王弟殿下で大広になったお祖父様。

お祖父様の方が王の器があったと聞いている。それでもお祖父様は兄を支える方を選んだ。そしてお祖父様の意志を引き継いだのがお父様。元陛下が王太子の時から支えていた。


お祖父様もお父様も王を支えてきた。王がアルバートになりお父様は一線を退いた。それは私やタイラーがアルバートの側に居たから。

王妃として、相談役として、王になったアルバートを支える。

アルバートを王に、アルバートの側で見守り支える、それは幼い頃からの私の意志だったから…。


それなのに今この現状はどう?


アルバートは王になった。私は王妃になり側で支えてきたつもり。

でも実際はフォスター公爵の傀儡、第二夫人を娶り、お父様と伯父様は地下の牢屋、お兄様はこの国を攻めようとしている。


どこで間違えた?


間違いは分かってる。

フォスター公爵を側に寄らせるすきを見せた事。

アルバートの王の器、それが無いのに王にした事。


全ては私が招いた結果…


あぁ、私が悪いのね………



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