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お兄様が突然、
「さあ穀潰し共を説教しに行くか」
「お兄様?」
「お前達も一緒に来い」
「はい」
私とクロはお兄様の後をついて行った。
邸の中に入り、お父様とお母様がいるサロンに向かった。お母様は元お嬢様だからサロンで優雅にお茶をしていた。
あのお茶、いくらのだと知ってるのかしら。このサロンだけは変わらないわね。昔はよくここでお茶会を開いていたっけ。
「フレッド帰っていたのか」
「ええ、父上」
「帰ってくるなら連絡ぐらいよこしなさいな」
「母上に教える必要ありますか?」
「フレッド、貴方いつからその様な事を母に言う様になったのです?」
「母上が散財しなければ俺も何も言いませんよ」
「これは散財ではありません。必要なのです」
「母上は今家の実状を知らないのですか?」
「女性が知る必要のない事です」
「いえ、知って頂きます」
お兄様はお父様とお母様に、
「まず始めに、父上」
「な、何だ」
「父上には隠居して頂きます」
「な、何だと」
「当主には俺がなります。これは決定事項です」
「勝手な事を言うな」
「勝手?よくそんな事が言えますね。勝手に投資し失敗したのは誰ですか」
「あれは、あれは私が悪いのではない」
「騙された父上が莫迦なんです」
「父に向かって莫迦だと」
「ええ」
「フレッド!」
「それなら今の家の状況は誰のせいです?」
「それは…」
「家はお金がありません、貧乏です。伯爵と言えどそんなの名だけです。そんな名にいつまでもしがみつきたいのですか」
「当たり前だ。父上から譲り受けた大事な家だ」
「そうです。大事な家です。だから父上には退いて頂きます。父上に今後再建出来ますか?いえ出来ません。母上の顔色を伺う事しか出来ません」
「フレッド!」
「なら母上に強く言って下さい。母上が散財するから使用人を辞めさせていると」
「使用人とファニーは関係ない」
「関係あります。着る機会がないドレスや宝石、高級なお茶やお菓子、今の家で必要のない物です。父上が当主でいたいのなら早く母上に言って下さい。必要のない物は今後一切買わないと」
「フレッド、お待ちなさい。わたくしが購入している物は旦那様から許可を頂いたからですわ。確かに今は着る機会がありませんわ。それでもドレスや宝石は淑女としての嗜みですのよ」
「確かに母上は元侯爵令嬢、淑女の嗜みそれも大いに結構です。ですが今は伯爵夫人、それもお金がない貧乏伯爵夫人です。その事をお忘れなく。
父上、早く母上に言って下さい」
「それは出来ない」
「何故です?」
「ファニーと婚姻する時の約束だからだ」
「父上と母上が婚姻した時は裕福だっただけです。父上が投資に失敗しなければ今も変わらず裕福でした。母上がどれだけドレスを買おうが宝石を集めようが、高級な茶葉を使おうがお菓子を食べようが、何も問題は無かった。ですがそれも投資に失敗するまでの話です。その事を父上の方が分かっているのでは?」
「そうだが」
「なら父上は当主としてどの様にお金を稼ぐつもりです?領地も切り売りし、残った領地は荒れ放題の土地のみ。父上はこれからどうするつもりですか」
「それは…」
「何も策もなく、妻の散財に目を瞑り、伯爵当主と言う立場に縋り、父上は現実から目を背けているだけです」
「フレッド!」
「なら俺が領地で稼いだお金は何に使ったのです?」
「確かにフレッドが稼いだお金だが、伯爵家のお金だ。何に使おうがフレッドには関係ない」
「俺は俺が稼いだお金の使い道を聞きたいだけです。俺には聞く権利がある」
「伯爵家のお金は私の当主のお金だ。答える義務はない」
「そうですか。なら一つだけ聞かせて下さい」
「何だ」
「フローラの学園費用は何処にありますか」
「何?」
「俺が送ったフローラの学園の学費です」
「それは…そうだ、フローラが通いたくないと行ったからだな」
「なら返して下さい。フローラの持参金の足しにします。フローラに渡した学園の学費です。フローラが学園に通わないと決めたなら持参金の足しにします。早く出して下さい」
「それは…」
「早く出して下さい」
「もう無い」
「はい?」
「だからもう無い!」
「無い?この前送ったばかりですよ」
「無いものは無い!」
「またくだらない投資ですか?」
「違う」
「なら愛人でも囲いましたか?」
「違う!私はそんな事しない」
「なら母上のドレスや宝石代ですか?」
「………ああ」
「はぁぁ。娘の学園資金まで使い着るあてもない母上のドレスや宝石に充てるってどう言う事です!答えて下さい!」
「ファニーが欲しいと言ったからだ」
「それを認めたと?」
「ああ」
「今の家のお金で買える品だと思っているんですか!」
「仕方ないだろ。婚姻する時の約束なんだ。侯爵令嬢の時と同じ生活をさせるって」
「同じ生活ができる訳ないじゃないですか!今は侯爵令嬢ではなくて伯爵夫人なんです。身分も違えば得るお金も違う」
「そうだ、身分が下の伯爵に嫁いでくれたんだ」
「それだって母上も納得して嫁いだんでしょう」
「そうだが…」
「さあ穀潰し共を説教しに行くか」
「お兄様?」
「お前達も一緒に来い」
「はい」
私とクロはお兄様の後をついて行った。
邸の中に入り、お父様とお母様がいるサロンに向かった。お母様は元お嬢様だからサロンで優雅にお茶をしていた。
あのお茶、いくらのだと知ってるのかしら。このサロンだけは変わらないわね。昔はよくここでお茶会を開いていたっけ。
「フレッド帰っていたのか」
「ええ、父上」
「帰ってくるなら連絡ぐらいよこしなさいな」
「母上に教える必要ありますか?」
「フレッド、貴方いつからその様な事を母に言う様になったのです?」
「母上が散財しなければ俺も何も言いませんよ」
「これは散財ではありません。必要なのです」
「母上は今家の実状を知らないのですか?」
「女性が知る必要のない事です」
「いえ、知って頂きます」
お兄様はお父様とお母様に、
「まず始めに、父上」
「な、何だ」
「父上には隠居して頂きます」
「な、何だと」
「当主には俺がなります。これは決定事項です」
「勝手な事を言うな」
「勝手?よくそんな事が言えますね。勝手に投資し失敗したのは誰ですか」
「あれは、あれは私が悪いのではない」
「騙された父上が莫迦なんです」
「父に向かって莫迦だと」
「ええ」
「フレッド!」
「それなら今の家の状況は誰のせいです?」
「それは…」
「家はお金がありません、貧乏です。伯爵と言えどそんなの名だけです。そんな名にいつまでもしがみつきたいのですか」
「当たり前だ。父上から譲り受けた大事な家だ」
「そうです。大事な家です。だから父上には退いて頂きます。父上に今後再建出来ますか?いえ出来ません。母上の顔色を伺う事しか出来ません」
「フレッド!」
「なら母上に強く言って下さい。母上が散財するから使用人を辞めさせていると」
「使用人とファニーは関係ない」
「関係あります。着る機会がないドレスや宝石、高級なお茶やお菓子、今の家で必要のない物です。父上が当主でいたいのなら早く母上に言って下さい。必要のない物は今後一切買わないと」
「フレッド、お待ちなさい。わたくしが購入している物は旦那様から許可を頂いたからですわ。確かに今は着る機会がありませんわ。それでもドレスや宝石は淑女としての嗜みですのよ」
「確かに母上は元侯爵令嬢、淑女の嗜みそれも大いに結構です。ですが今は伯爵夫人、それもお金がない貧乏伯爵夫人です。その事をお忘れなく。
父上、早く母上に言って下さい」
「それは出来ない」
「何故です?」
「ファニーと婚姻する時の約束だからだ」
「父上と母上が婚姻した時は裕福だっただけです。父上が投資に失敗しなければ今も変わらず裕福でした。母上がどれだけドレスを買おうが宝石を集めようが、高級な茶葉を使おうがお菓子を食べようが、何も問題は無かった。ですがそれも投資に失敗するまでの話です。その事を父上の方が分かっているのでは?」
「そうだが」
「なら父上は当主としてどの様にお金を稼ぐつもりです?領地も切り売りし、残った領地は荒れ放題の土地のみ。父上はこれからどうするつもりですか」
「それは…」
「何も策もなく、妻の散財に目を瞑り、伯爵当主と言う立場に縋り、父上は現実から目を背けているだけです」
「フレッド!」
「なら俺が領地で稼いだお金は何に使ったのです?」
「確かにフレッドが稼いだお金だが、伯爵家のお金だ。何に使おうがフレッドには関係ない」
「俺は俺が稼いだお金の使い道を聞きたいだけです。俺には聞く権利がある」
「伯爵家のお金は私の当主のお金だ。答える義務はない」
「そうですか。なら一つだけ聞かせて下さい」
「何だ」
「フローラの学園費用は何処にありますか」
「何?」
「俺が送ったフローラの学園の学費です」
「それは…そうだ、フローラが通いたくないと行ったからだな」
「なら返して下さい。フローラの持参金の足しにします。フローラに渡した学園の学費です。フローラが学園に通わないと決めたなら持参金の足しにします。早く出して下さい」
「それは…」
「早く出して下さい」
「もう無い」
「はい?」
「だからもう無い!」
「無い?この前送ったばかりですよ」
「無いものは無い!」
「またくだらない投資ですか?」
「違う」
「なら愛人でも囲いましたか?」
「違う!私はそんな事しない」
「なら母上のドレスや宝石代ですか?」
「………ああ」
「はぁぁ。娘の学園資金まで使い着るあてもない母上のドレスや宝石に充てるってどう言う事です!答えて下さい!」
「ファニーが欲しいと言ったからだ」
「それを認めたと?」
「ああ」
「今の家のお金で買える品だと思っているんですか!」
「仕方ないだろ。婚姻する時の約束なんだ。侯爵令嬢の時と同じ生活をさせるって」
「同じ生活ができる訳ないじゃないですか!今は侯爵令嬢ではなくて伯爵夫人なんです。身分も違えば得るお金も違う」
「そうだ、身分が下の伯爵に嫁いでくれたんだ」
「それだって母上も納得して嫁いだんでしょう」
「そうだが…」
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