12 / 61
12
しおりを挟む
数日後、王女様のお茶会へ向かい、いつもの様に馬車を降りて、
「サリーリ嬢」
「ジークルト様? 夜会の時はお話相手になって頂きありがとうございました」
「いえ。こちらこそありがとうございました。本日はお茶会会場までご案内させて頂きます」
「え? あの…お仕事中ではないのですか?」
「王女殿下に頼まれまして」
「そうですか。ではお願いします」
「はい」
私はジークルト様の後を付いて行った。
ジークルト様の一つに纏めた黒髪に手が伸び、
「いたっ」
ジークルト様の顔が私の目の前にあり、お互い見つめ合った。
「サリーリ嬢?」
私はジークルト様の瞳から目が離せない。
「サリーリ嬢?どうされました?」
「あ!すみません」
「出来れば髪を…」
「髪?」
私は自分の手が握っているジークルト様の髪に気が付き慌てて手を離した。
「申し訳ありません」
「いえ」
「大丈夫でしたか?本当に申し訳ありません」
「大丈夫です。それより何かご用でしたか?」
「はい?」
「何か用事があって髪を引っ張ったのではありませんか?」
「いえ。申し訳ありません。無意識です。私も自分で驚いています」
「それなら良いのですが」
「はい。すみません」
「今日も王宮でのお茶会ですが、大丈夫ですか?」
「はい」
「少し時間があります。花でも見て落ち着きますか?」
「良いのですか?」
「はい。ではこちらへ」
私はジークルト様の後に付いて行った。
色々な色が咲きほこる花壇の前、
「どうぞ。時間になりましたらお声掛けします」
「ありがとうございます」
風になびく色とりどりの花を見つめて。
「ジークルト様は何色の花がお好きですか?」
「私ですか?」
「はい」
「私はピンク色が好きです。とても可愛いらしいと思いませんか?」
「そうですね」
ジークルト様の横に立ち、こっそりジークルト様を見上げた。
ジークルト様はピンクの花が咲いてる所を見つめ、とても愛おしそうに見つめています。
「ふふっ」
「どうかされましたか?」
「いえ、昔から見つめ方は変わらないなと思いまして」
「え?」
私はジークルト様に向かって笑顔で見つめた。
「そうですか」
「はい」
「さあ、参りましょうか」
「はい。お願いします」
お茶会の場所に着いたら、既に王女殿下が座っていて、
「すみません、遅れました。王女殿下をお待たせして申し訳ありません」
「貴女がフランベル伯爵令嬢ね」
「はい。フランベル伯爵家サリーリと申します」
「そう、貴女が。わたくし、今日は貴女とふたりでお話したいと思いまして。よろしいかしら?」
「ふたり…ですか?あっ、はい」
王女様の目線の先、私もつられて見て、
「ねえ、貴女はジークの噂知ってますの?」
「はい」
「わたくしにとってジークはもう一人の兄なの」
「はい」
「王太子のお兄様とジークは幼馴染みでね、よく王宮で遊んで貰いましたわ」
「はい」
「ジークは元々王太子のお兄様の護衛になる予定でしたの。だから幼い頃からお兄様とジークは会わせられ友人として過ごして参りましたわ」
「はい」
「ではどうしてジークはわたくしの護衛をしていると思います?」
「それは……」
「貴女も噂を信じていますの?」
「皆様のお話を耳にしておりますので」
「そうですわね。皆、噂話がお好きですもの。でも違いますのよ?」
「そうなのですか?」
「ジークの初恋の君はわたくしではありませんわ」
「え?」
「わたくしの初恋もジークではありませんの。わたくしの初恋は婚約した王子ですのよ」
「そうなのですか?」
「わたくし、隣国に嫁ぎますでしょ?」
「はい」
「隣国へ嫁げば中々この国へは帰って来れませんわ。王太子のお兄様もお義姉様と婚姻して王子もふたり産まれて仲睦まじくしておりますわ。第二王子のお兄様も婚約者のお義姉様と今年中に婚姻しますわ。先程、ジークもわたくしの兄と申しましたわね」
「はい」
「ジークの幸せも見届けてからわたくしは隣国へ嫁ぎたいと思いますの。兄達には幸せになって貰いたいと思いますもの」
「はい」
「だからわたくしお節介を致しましたの。お茶会を開いてジークの初恋の君を探す為に。そして見つけましたわ」
王女様と目が合い、
「見つけましたわ」
「あの」
「貴女がジークの初恋の女の子ですのよ?」
「え?」
「サリーリ嬢」
「ジークルト様? 夜会の時はお話相手になって頂きありがとうございました」
「いえ。こちらこそありがとうございました。本日はお茶会会場までご案内させて頂きます」
「え? あの…お仕事中ではないのですか?」
「王女殿下に頼まれまして」
「そうですか。ではお願いします」
「はい」
私はジークルト様の後を付いて行った。
ジークルト様の一つに纏めた黒髪に手が伸び、
「いたっ」
ジークルト様の顔が私の目の前にあり、お互い見つめ合った。
「サリーリ嬢?」
私はジークルト様の瞳から目が離せない。
「サリーリ嬢?どうされました?」
「あ!すみません」
「出来れば髪を…」
「髪?」
私は自分の手が握っているジークルト様の髪に気が付き慌てて手を離した。
「申し訳ありません」
「いえ」
「大丈夫でしたか?本当に申し訳ありません」
「大丈夫です。それより何かご用でしたか?」
「はい?」
「何か用事があって髪を引っ張ったのではありませんか?」
「いえ。申し訳ありません。無意識です。私も自分で驚いています」
「それなら良いのですが」
「はい。すみません」
「今日も王宮でのお茶会ですが、大丈夫ですか?」
「はい」
「少し時間があります。花でも見て落ち着きますか?」
「良いのですか?」
「はい。ではこちらへ」
私はジークルト様の後に付いて行った。
色々な色が咲きほこる花壇の前、
「どうぞ。時間になりましたらお声掛けします」
「ありがとうございます」
風になびく色とりどりの花を見つめて。
「ジークルト様は何色の花がお好きですか?」
「私ですか?」
「はい」
「私はピンク色が好きです。とても可愛いらしいと思いませんか?」
「そうですね」
ジークルト様の横に立ち、こっそりジークルト様を見上げた。
ジークルト様はピンクの花が咲いてる所を見つめ、とても愛おしそうに見つめています。
「ふふっ」
「どうかされましたか?」
「いえ、昔から見つめ方は変わらないなと思いまして」
「え?」
私はジークルト様に向かって笑顔で見つめた。
「そうですか」
「はい」
「さあ、参りましょうか」
「はい。お願いします」
お茶会の場所に着いたら、既に王女殿下が座っていて、
「すみません、遅れました。王女殿下をお待たせして申し訳ありません」
「貴女がフランベル伯爵令嬢ね」
「はい。フランベル伯爵家サリーリと申します」
「そう、貴女が。わたくし、今日は貴女とふたりでお話したいと思いまして。よろしいかしら?」
「ふたり…ですか?あっ、はい」
王女様の目線の先、私もつられて見て、
「ねえ、貴女はジークの噂知ってますの?」
「はい」
「わたくしにとってジークはもう一人の兄なの」
「はい」
「王太子のお兄様とジークは幼馴染みでね、よく王宮で遊んで貰いましたわ」
「はい」
「ジークは元々王太子のお兄様の護衛になる予定でしたの。だから幼い頃からお兄様とジークは会わせられ友人として過ごして参りましたわ」
「はい」
「ではどうしてジークはわたくしの護衛をしていると思います?」
「それは……」
「貴女も噂を信じていますの?」
「皆様のお話を耳にしておりますので」
「そうですわね。皆、噂話がお好きですもの。でも違いますのよ?」
「そうなのですか?」
「ジークの初恋の君はわたくしではありませんわ」
「え?」
「わたくしの初恋もジークではありませんの。わたくしの初恋は婚約した王子ですのよ」
「そうなのですか?」
「わたくし、隣国に嫁ぎますでしょ?」
「はい」
「隣国へ嫁げば中々この国へは帰って来れませんわ。王太子のお兄様もお義姉様と婚姻して王子もふたり産まれて仲睦まじくしておりますわ。第二王子のお兄様も婚約者のお義姉様と今年中に婚姻しますわ。先程、ジークもわたくしの兄と申しましたわね」
「はい」
「ジークの幸せも見届けてからわたくしは隣国へ嫁ぎたいと思いますの。兄達には幸せになって貰いたいと思いますもの」
「はい」
「だからわたくしお節介を致しましたの。お茶会を開いてジークの初恋の君を探す為に。そして見つけましたわ」
王女様と目が合い、
「見つけましたわ」
「あの」
「貴女がジークの初恋の女の子ですのよ?」
「え?」
47
あなたにおすすめの小説
砕けた愛
篠月珪霞
恋愛
新婚初夜に男に襲われた公爵令嬢エヴリーヌは、不義密通の罪を被せられた。反逆罪に問われた彼女の一族は処刑されるが、気付くと時間が巻き戻っていた。
あなたへの愛? そんなものとうに、砕け散ってしまいました。
【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。
112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。
愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。
実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。
アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。
「私に娼館を紹介してください」
娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──
愛されない花嫁はいなくなりました。
豆狸
恋愛
私には以前の記憶がありません。
侍女のジータと川遊びに行ったとき、はしゃぎ過ぎて船から落ちてしまい、水に流されているうちに岩で頭を打って記憶を失ってしまったのです。
……間抜け過ぎて自分が恥ずかしいです。
壊れた心はそのままで ~騙したのは貴方?それとも私?~
志波 連
恋愛
バージル王国の公爵令嬢として、優しい両親と兄に慈しまれ美しい淑女に育ったリリア・サザーランドは、貴族女子学園を卒業してすぐに、ジェラルド・パーシモン侯爵令息と結婚した。
政略結婚ではあったものの、二人はお互いを信頼し愛を深めていった。
社交界でも仲睦まじい夫婦として有名だった二人は、マーガレットという娘も授かり、順風満帆な生活を送っていた。
ある日、学生時代の友人と旅行に行った先でリリアは夫が自分でない女性と、夫にそっくりな男の子、そして娘のマーガレットと仲よく食事をしている場面に遭遇する。
ショックを受けて立ち去るリリアと、追いすがるジェラルド。
一緒にいた子供は確かにジェラルドの子供だったが、これには深い事情があるようで……。
リリアの心をなんとか取り戻そうと友人に相談していた時、リリアがバルコニーから転落したという知らせが飛び込んだ。
ジェラルドとマーガレットは、リリアの心を取り戻す決心をする。
そして関係者が頭を寄せ合って、ある破天荒な計画を遂行するのだった。
王家までも巻き込んだその作戦とは……。
他サイトでも掲載中です。
コメントありがとうございます。
タグのコメディに反対意見が多かったので修正しました。
必ず完結させますので、よろしくお願いします。
「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。
【完結】記憶喪失になってから、あなたの本当の気持ちを知りました
Rohdea
恋愛
誰かが、自分を呼ぶ声で目が覚めた。
必死に“私”を呼んでいたのは見知らぬ男性だった。
──目を覚まして気付く。
私は誰なの? ここはどこ。 あなたは誰?
“私”は馬車に轢かれそうになり頭を打って気絶し、起きたら記憶喪失になっていた。
こうして私……リリアはこれまでの記憶を失くしてしまった。
だけど、なぜか目覚めた時に傍らで私を必死に呼んでいた男性──ロベルトが私の元に毎日のようにやって来る。
彼はただの幼馴染らしいのに、なんで!?
そんな彼に私はどんどん惹かれていくのだけど……
記憶がないなら私は……
しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。 *全4話
殿下の婚約者は、記憶喪失です。
有沢真尋
恋愛
王太子の婚約者である公爵令嬢アメリアは、いつも微笑みの影に疲労を蓄えているように見えた。
王太子リチャードは、アメリアがその献身を止めたら烈火の如く怒り狂うのは想像に難くない。自分の行動にアメリアが口を出すのも絶対に許さない。たとえば結婚前に派手な女遊びはやめて欲しい、という願いでさえも。
たとえ王太子妃になれるとしても、幸せとは無縁そうに見えたアメリア。
彼女は高熱にうなされた後、すべてを忘れてしまっていた。
※ざまあ要素はありません。
※表紙はかんたん表紙メーカーさま
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる