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会いたくない人に会いました
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月日が流れ辺境での生活も侍女としての仕事も馴れ、今日はお坊ちゃまの様子を見に行きたいとおっしゃった奥様に付いて辺境の騎士団の練習を見に来ました。
私は木陰に椅子を用意し、
「奥様、こちらへ」
私は奥様の後ろで立ちました。目の前では騎士達に交ざりお坊ちゃま達が剣の稽古をしております。
「奥様、お茶の準備をして参ります」
「分かったわ」
私はお茶の準備をする為、騎士団の中の食堂で湯を貰い、食堂を出ようと、
「ガネット」
後ろから声がかかり、
「マーベン様」
「もう俺はマーベンじゃない。ただのケイザックだ」
その意味は直ぐに分かりました。マーベンを名乗らないと言う事はマーベン家から廃嫡され勘当され平民になったという事です。
「ケイザック様、お久しぶりです」
「ガネット、」
「では失礼致します」
私はケイザック様の言葉は遮る様にその場を後にしました。
奥様の元へ戻りお茶をお淹れし、
「奥様」
スッと奥様の前に置きました。
「ありがとうガネット。ってガネット?貴女どうしたの?」
「何でしょう」
「何って貴女…泣いてるわ…」
私は自分の頬を触り、濡れている事に気付きました。
「申し訳ございません。少しお側を離れてもよろしいでしょうか」
「ええ」
私は少し離れた所でハンカチを出し、涙を拭きました。悲しい訳ではありません。嬉しい訳でもありません。ただ涙が出ているだけです。
「ガネットちゃん、こんな所で何してるの?奥様の側から離れちゃ駄目じゃん」
いつもの軽い口調でハルク様は声をかけてきました。
「申し訳ございません。直ぐに戻りますので」
私は顔をあげ奥様の元に戻ろうとしました。
突然ハルク様に抱きしめられ、
「どうした?」
いつもの軽い口調ではありませんでした。
「ちょっと…」
「誰かに泣かされた?」
「いえ」
「奥様の側には他の者に行って貰うように指示するからここで待ってるんだ」
「はい…」
ハルク様が離れ、私はハンカチを目にあてました。
暫くするとハルク様が戻り、手を引かれ邸にあるハルク様の部屋に連れて来られました。
部屋には二人きりです。
「誰にも見られなくないだろうから、ごめん俺の部屋に連れて来た」
「いえ、お気遣いありがとうございます」
「で、どうして泣いてた?」
「それは…」
「ガネット、君は何もかも溜めすぎだよ。人に言って何になるって思うかもしれない。だけどね、人に言う事で救われる事だってある。俺が聞いてやるから全て吐き出せ」
「ハルク様」
「君は貴族の令嬢だ、それに侍女だ。感情を表に出さない様に言われてきたと思う。だけど君は元々感情豊かだったはずだ。俺が聞いてやるから」
「ありがとうございます」
「で、泣いた理由は?」
「奥様に言われるまで涙が出ている事なんて気づきませんでした」
「なら何があった?」
「お湯を騎士団の食堂に貰いに行ったんです。その時元旦那様に会いました」
「何か言われたのか?」
「いえ。何も」
「ならどんな会話をした?」
「声を掛けられお久しぶりとだけ。私は直ぐに立ち去りましたから」
「久しぶりに元旦那にあって嬉しかった?」
「いえ」
「なら辛かった?」
「辛い、分かりません。辛いのか悔しいのか、もしかしたら嬉しかったのかもしれません。分からないのです」
「本当の気持ちを教えてくれ」
「はい」
「まだ元旦那が好きなのか?」
「分かりません。好きなのか嫌いなのか。私は一方的に離縁しました。話し合う事などせずに」
「それは元旦那が悪いだろ」
「そうですね。愛人を作り、結婚記念日も忘れられ愛人と旅行に行った人です」
「文句も言わなかったのか」
「はい。手紙は書きましたが」
「元旦那に文句の一つでも言ってやれば良かっただろ」
「そうですね。言っていたら変わっていたかもしれません」
私は木陰に椅子を用意し、
「奥様、こちらへ」
私は奥様の後ろで立ちました。目の前では騎士達に交ざりお坊ちゃま達が剣の稽古をしております。
「奥様、お茶の準備をして参ります」
「分かったわ」
私はお茶の準備をする為、騎士団の中の食堂で湯を貰い、食堂を出ようと、
「ガネット」
後ろから声がかかり、
「マーベン様」
「もう俺はマーベンじゃない。ただのケイザックだ」
その意味は直ぐに分かりました。マーベンを名乗らないと言う事はマーベン家から廃嫡され勘当され平民になったという事です。
「ケイザック様、お久しぶりです」
「ガネット、」
「では失礼致します」
私はケイザック様の言葉は遮る様にその場を後にしました。
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スッと奥様の前に置きました。
「ありがとうガネット。ってガネット?貴女どうしたの?」
「何でしょう」
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「申し訳ございません。少しお側を離れてもよろしいでしょうか」
「ええ」
私は少し離れた所でハンカチを出し、涙を拭きました。悲しい訳ではありません。嬉しい訳でもありません。ただ涙が出ているだけです。
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いつもの軽い口調でハルク様は声をかけてきました。
「申し訳ございません。直ぐに戻りますので」
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突然ハルク様に抱きしめられ、
「どうした?」
いつもの軽い口調ではありませんでした。
「ちょっと…」
「誰かに泣かされた?」
「いえ」
「奥様の側には他の者に行って貰うように指示するからここで待ってるんだ」
「はい…」
ハルク様が離れ、私はハンカチを目にあてました。
暫くするとハルク様が戻り、手を引かれ邸にあるハルク様の部屋に連れて来られました。
部屋には二人きりです。
「誰にも見られなくないだろうから、ごめん俺の部屋に連れて来た」
「いえ、お気遣いありがとうございます」
「で、どうして泣いてた?」
「それは…」
「ガネット、君は何もかも溜めすぎだよ。人に言って何になるって思うかもしれない。だけどね、人に言う事で救われる事だってある。俺が聞いてやるから全て吐き出せ」
「ハルク様」
「君は貴族の令嬢だ、それに侍女だ。感情を表に出さない様に言われてきたと思う。だけど君は元々感情豊かだったはずだ。俺が聞いてやるから」
「ありがとうございます」
「で、泣いた理由は?」
「奥様に言われるまで涙が出ている事なんて気づきませんでした」
「なら何があった?」
「お湯を騎士団の食堂に貰いに行ったんです。その時元旦那様に会いました」
「何か言われたのか?」
「いえ。何も」
「ならどんな会話をした?」
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「久しぶりに元旦那にあって嬉しかった?」
「いえ」
「なら辛かった?」
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「はい」
「まだ元旦那が好きなのか?」
「分かりません。好きなのか嫌いなのか。私は一方的に離縁しました。話し合う事などせずに」
「それは元旦那が悪いだろ」
「そうですね。愛人を作り、結婚記念日も忘れられ愛人と旅行に行った人です」
「文句も言わなかったのか」
「はい。手紙は書きましたが」
「元旦那に文句の一つでも言ってやれば良かっただろ」
「そうですね。言っていたら変わっていたかもしれません」
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